あの保健室で君と出会った
第1章
?保健室での出会い?
私立アンブローゼ学院
この学校には、世界中のお金持ちが通っているいわゆるお金持ち学校だ。
しかしこの学校にはある噂が最近広がり始めた。
それは、保健室の一番端にあるベットには
何か不思議なものがあるというあやふやな噂だった。
しかしこの学校の生徒は育ちがいいせいかだれも確かめようとしなかった。
でも一人だけいた。
少年の名は白羽聖司といった。
この少年もお金持ちだが、自由に育てられた為
とても好奇心旺盛で親でも手がつけられないほどだった。
聖司は放課後になると保険医が保健室を出るのを見計らうと
すばやく侵入し、目的である一番端にあるベットに近づき
カーテンを開けた。
そこにはこの世のものとは思えないほど美しい少女が眠っていた。
聖司は、暫く見とれているとその少女は、突然目を覚ました。
聖司は驚いていたが、少女は気付いていないらしく
暫くボーっとしていた。
そしてようやく気付いたらしく、「あなたは誰?」
小さな声で聞いてきた。
あまりの美しさに聖司は黙っていたが少女がずっと自分を眺めていることに気が付き
ようやく自分の名前を言った。
「私は冠嵜架蓮。宜しくね。」
架蓮は微笑んだ。
聖司はドキッとした。
聖司は、冠嵜という名前をどこかで聞いたことがあったが
今は目の前にいる架蓮と話していたかった。
しかし、保険医が戻ってきた為、帰らざる得なかった。
「またね。私はいつでもここにいるから。」
架蓮は言うと、ベットの上から聖司が帰るのを見送っていた。
聖司は帰りながら、「冠嵜」の名を思い出していた。
そしてようやく思い出した。
冠嵜と言えば、もともとは着物を中心に売っていた
老舗の店として有名だった。
今ではいろいろな洋服を作っているブランドだ。
しかし冠嵜には、「男しか生まれていないはず・・・・」
聖司は、考えたが何も分からなかった。
学校が終わり、家に帰ると真っ先に父親の所に行き
今日あった事を話すと、父親の顔が一瞬凍った。
しかし父親はすぐに表情を隠すと、
「私は知らないが・・・・・」
聖司はあっさり質問をかわされた。
しかし、今の聖司にはどうでもいいことだった。
今までつまらなかった学校がとても楽しみになったのだから・・。
次の日もまた次の日も聖司は保健室のあの場所に通い続けた。
だんだん通い続けるうちに聖司はある疑問が浮かんだ。
架蓮は授業に出ているのか・・・と
そこで聖司は聞いてみた。
すると、架蓮は悲しそうな顔をして
「私はこの場所から動けないの・・・。私の家は
私が生まれたこと、ううん、女が生まれた事を隠したいの。
だから学校に行ってもずっとここで一人ぼっち。私が生まれても誰も
祝福しない。両親も口を開けば否定の言葉ばかり・・・・
学校にもまともに行けなかったし、今いけているのもここの学園長が
いなかったら私は今ここにはいないの・・・・・・。」
二人の間に暫くの間沈黙が流れた。
先に口を開いたのは、聖司だった。
「それで、君はここにいるままでいいの?」
「それはイヤ。この学校がどんな所なのか見てみたい・・・・・・。」
「じゃあ見にいこうよ。」
聖司は架蓮に手を差し伸べた。
架蓮は手をとりそうになり手を引っ込めた。
「でも私、ヤッパリいけないや・・・・・・。」
「どうして?」
「私がここからいなくなれば学校の先生達が全員で
私を探しにくる。私の身体には小さい頃にGPSが入れられているの・・・・・・。
だからどこに居たってすぐにばれる・・・・・・。」
「それがなんなの?君はそんなのだけで外に行くのを諦めるの?
別にばれても良いじゃないか。ばれたら俺のせいにすればいい。」
聖司は再び架蓮に手を差し伸べた。
今度は架蓮も迷うことなく手を差し出した。
架蓮はようやく外に出れた。
しかし、この二人の行動で今までの生活が
一変するとは思わなかった・・・・・・。
第2章
聖司は架蓮の手を引きながら
校内を案内した。
「ここが音楽室、ここが屋上。」
ドレもコレも架蓮は目を輝かせながら見ていた。
その横顔を見て、聖司はやっと自分が架蓮のことが
好きということに気が付いた。
「どうしたの??」
架蓮は聖司の視線に気が付き首を傾げて聞いた。
聖司ははっとして、
「いや。なんでもないよ。」
(この気持ちは時が来たら、言おう・・・。)
聖司は心に誓った。
「次はね・・・・・・。俺の教室だよ。」
「聖司の教室・・・・・・。」
少し考え込んですぐに顔を輝かせながら
「行きたい!」
「じゃあ、行こう?」
「うん!」
二人が歩き出そうとした瞬間、
「君たち!そこで何をしている?!」
そこには、教師が数人いた。
「君は・・・・・・!冠嵜架蓮・・・。なぜ君がここに居る?」
「そっ・・・・・・それは・・・。」
あの保健室で君と出会った