好きだ ① !オチあり注意!
好きだ。 俺は嫌がる君を引き寄せ、唇を寄せた。
好きだ ① !オチあり注意!
柔らかい春の日差しを浴びて、私たちは卒業します。
そんなオーソドックスな卒業の言葉を代表で述べた俺も、そろそろ高校へ入学する。
だけど俺は、入学なんかよりも、新しい仲間や部活なんかよりも、今夢中になっているものがある。
…それは、彼女。
そいつは俺の膝に頭を乗せ、寝てしまったりする。意味不明な発言をして寝てしまう。
「寝てんの?」
そう聞いた時にはもう、とっくに寝ている。幸せそうな顔をして。
起きると甘えたように見つめてから、素知らぬふりでどこかへ出かける。
さっきまで甘えてたくせに、いきなり冷たくなるのだ。 そんなツンデレなところも含めて、俺は大好きだ。
だけどそんな彼女が、酷く嫌っているものがある。
それは、「キス」。
俺の口が臭いのか、俺そのものが汗臭いのか、俺にファーストキスを奪われるのがまだ怖いのか知らないが、キスしようとするとすごい拒み方をする。顔を背け、怒りのせいかやたらに大きな声を出し、逃げてしまう。
…そんなツンデレなところも含めて好き…だが、さすがにあそこまで拒まれると俺のプライドも傷つく。
入学式を明日に控えた今日、俺は縁側で彼女と一緒に座りながら、軽食にしていた。
彼女のさらさらな髪は俺の愛護心をくすぐり(くすぐるどころかかき回す、という表現のほうが合っている気がしてならない)甘える声は俺の衝動を止められなかったようだ。
俺は我慢できずにキスした。
軽食をとっている最中ということ、そしてぽかぽかしていたことも手伝って、彼女は相当油断していたみたいだ。
ただびっくりして目を見開くだけで、驚きすぎて抵抗もしてこない。
軽くキスして唇を離すと、彼女は自分の手で一生懸命口を拭い始めた。それでも匂いが取れないのか、庭にある水道で顔を洗っている。
俺は結構傷ついた。
だったら、キスを抵抗してくれるほうがましかもしれない、とさえ思ったのだった。
これだけ飼い猫を愛している男が、他にいるだろうか。
──────愛してるよ、ミケ。
好きだ ① !オチあり注意!
貴方は騙されましたか?