隣眠
埃っぽい駅名は
君の顔を奪う。
すやすや眠ってるから
知らない無理は言わない。
奪い去り方はよく知らない。
とろければ口 誘えば睫毛。
作用で浮かぶ器官の名前は
繰り返してる口角をいじって
君の子音からことばが漏れる。
目の前の広告主は
君の目元で視線を送る。
寄り添う は見られてる。
感触で作る君の手は買い物袋の奥の中。
寝息を避ける呼吸が痛い。
比重が押してく。
心臓にくっつく頬が上下すれば
酸素が甘く苺味,
分けてと囁く言葉も忘れる。
埃っぽい駅名過ぎて
移動時間は終わるだろう。
君の顔は何気ない。
戻ってきたとも 帰ってきたとも
言わないで起きるのが君で
着いてもまだイマドコと聞く。
駅名の前に唾を飲み込む。
揺れて起きる君が好きだ。
隣眠