私の人生は、現在どん底である。
如何にしてどん底へまで落ちたのかと言えば、全ては大学生活にある。
私はある小説を中学生の頃に読み、キャンパスライフに憧れた。
高校でもそこそこの成績を維持していたし、在学中である大学には校内の推薦の枠ですんなり入ることが出来た。
ああ、やっと念願の、あの小説の主人公のようなキャンパスライフが送れる、なんて夢を見ていた自分が甚だ惨めである。
現在私はその夢に見たキャンパスライフとは打って変わって、孤独でひっそりとしたキャンパスライフを歩んでいる。
あの思い描いていたキャンパスライフなんて在りはしなかったのだ。
所詮夢は夢であると現実を見ることが出来たのは、ほんのつい先ほどの事である。
私は大学構内にある、屋外のベンチにひとり腰かけ、早咲きの桜が散り始めた今、やっと気が付いたのだ。
今日は新入生の入学式である。
キラキラのスーツを纏った、新入生達がこれからの夢と希望に向かって歩き出そうとしている。
そんな姿を見て、無性に自分に情けなさを感じた。
そういう光景を見なけければ、私は大学で孤独だと気付かない阿呆であった。
なんだか私は新入生達にジロジロ見られ、蔑まれている様な感覚に陥った。
私はベンチから逃げるように、足早に大学を出た。
家に着いたのは、午後四時頃である。
それまで私は、私の孤独と葛藤していたのである。
なんて厭な時間だったのだ。
私は煙草に手をかけ、火をつけた。
迫る夕闇のせいか、煙草の火が妙に明るく見えた。
狭い部屋に煙が立ち込める。
私は裸電球の下に横になり、余計に自分の孤独さを味わうこととなった。

大学二回生の春、私は自分がどん底であることを知ったのだ。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-04-03

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