天使と悪魔と奇跡の代償

「命を長らえて欲しい。あの樹の葉が全て散るまで……」
「任せろ」
 真夜中の病室。病魔に侵された私が召喚した悪魔は、頷いて指を鳴らした。途端。
 窓の外の樹の葉が全て散った。
「散ったぞ。契約満了だ」
「なっ」
「インチキだ!」
 突然、純白の翼を持つ男が現れた。天使のようだ。彼は悪魔を糾弾し、悪魔は天使に掴みかかる。こうして白と黒のオーラが嵐のように吹き荒れる戦いが始まったが、やがて彼らは互いを口汚く罵り合いつつ宙へと消えた。

「治ってます」
 翌日、医師は私に困惑して言った。
「何故か病巣が散り散りに」
「私の髪も散り散りになったよ」
 戦いの影響で禿散らかった頭に、私は嘆息をついた。

天使と悪魔と奇跡の代償

天使と悪魔と奇跡の代償

【Twitter300字ss】 使用お題:散る ジャンル:オリジナル 備考:Twitterで開催している300字ss(第三十一回)に参加した際の作品です。超! のつく短編です。 15秒くらいのしょうもないCMを意識して作りました。色んなものが散ります。 超備考:新作書いたらTwitterで告知してます。宜しければ。http://twitter.com/drawingwriting

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-04-01

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