天使と悪魔と奇跡の代償
「命を長らえて欲しい。あの樹の葉が全て散るまで……」
「任せろ」
真夜中の病室。病魔に侵された私が召喚した悪魔は、頷いて指を鳴らした。途端。
窓の外の樹の葉が全て散った。
「散ったぞ。契約満了だ」
「なっ」
「インチキだ!」
突然、純白の翼を持つ男が現れた。天使のようだ。彼は悪魔を糾弾し、悪魔は天使に掴みかかる。こうして白と黒のオーラが嵐のように吹き荒れる戦いが始まったが、やがて彼らは互いを口汚く罵り合いつつ宙へと消えた。
「治ってます」
翌日、医師は私に困惑して言った。
「何故か病巣が散り散りに」
「私の髪も散り散りになったよ」
戦いの影響で禿散らかった頭に、私は嘆息をついた。
天使と悪魔と奇跡の代償