カード

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「めんどくさぁ~ 羽原さん、これやんなきゃだめですか?」
「当たり前やろ! ちゃんとそこ整理しいや!」


私は 桜井真奈(さくらいまな)羽原探偵事務所で助手をしている、24歳。
この人は 羽原瞬(はばらしゅん) この事務所の一応社長 とゆうか 私とこの人しかいない。ずっと大阪にいたから 関西弁。
羽原さん、勘と運だけは並外れてるけど、推理力はないのよねぇ。やるきはあるけど 残念な人でもう32歳の軽いおっさん。

「探偵! 探偵!」
「うわぁ この声は・・・」
「また 事件が・・・」
「やっぱり 高柳刑事か・・・ どうしたんですか?」

この おっさんは 高柳嘉信(たかやなぎよしのぶ) なぜだか、昔から、能無しの羽原さんのとこに頼みに来る刑事さん。
そのせいか、42歳の今まで出世の話が全くでてこない。やっぱり残念な人。

「あ、真奈ちゃん!いやぁ 真奈ちゃんの母校でもある、私立明星学園で、殺人事件が起きたんだ!」
「とりあえず 母校とかやなくて、高校で殺人事件が起きたことが問題なんやないの?」
「羽原さん、高校以前に殺人事件が起きたことが問題ですよ・・・」
「まぁ とゆうことで とりあえず来てくださいよ!」
「めんどいなぁ~ 私行かなきゃダメですか?」
「桜井! アホ! さっさと行くで!」
「真奈ちゃん、羽原君だけじゃ、絶対に事件解決できないから・・・ お願い!」
「高柳刑事酷ない?それ」
「まぁそれもそうですね。 しょうがないか!」
めんどいけど、行くことにした私は 高柳刑事の車に乗って、明星学園に向かった。

「久しぶりだなぁ 明星」
現場の、体育館倉庫に向かった。 
「高柳刑事、どんな事件ですか?」
「それは、まずこの先生から話を聞いてください」
するとそこには 私が3年のときの担任の千葉(ちば)先生がいた。
「千葉セン! 久しぶりぃ!」
「ん? おぅ! 桜井かぁ 久しぶりだな」
「えーー 桜井の上司で探偵の羽原です。少々お話聞けますか?」
「はい」
千葉センが深刻な顔をして話し始めた。
「まず、殺されたのは 僕が顧問をしている、バスケ部のキャプテン井上翔(いのうえかける)君です。」
「はぁ、生徒さんがですか?」
「はい、誠に残念です。」
「彼が8時半ごろに体調が悪いと言って保健室に行くと言ったので、1年マネージャーの橘(たちばな)に
連れて生かしたんです。」

話を聞いていると高柳刑事がこっちへ来た。
「死亡推定時刻は、11時から12時の1時間。
そして、この事件のカギになるのが、このベタなダイイングメッセージです。」
「{ま}やねこれは」
「はい、それでで 「ま」の付く容疑者を3人集めました。」
話を聞くとその日は日曜で、授業はなく、バスケ部以外の活動がなかったため、
バスケ部員と、千葉セン以外に犯行可能な人間はいなかったらしい。
活動は7時から4時までの予定だったが、3時にマネージャーの橘により
胸にナイフを刺された遺体が見つかり、活動は中止された。
容疑者は・・・

・松本隆(まつもとたかし)  
被害者の同級生で親友。副キャプテンでこの日の午前は具合が悪く、12時に部活に来た。
また、1人暮らしのため、アリバイはない。事件前夜被害者と喧嘩していた。

・坂本学(さかもとまなぶ)
被害者の後輩で2年生。 練習をサボり気味で、何度も被害者に怒られていた。
この日は朝からいたが、休憩を多くとっていた。

・前田賢冶(まえだけんじ)
かつての明星のエースで、今日は後輩たちに教えてに来たOB。
大学1年生で、元キャプテンでもあり、被害者の良き理解者であった。

「この3人が容疑者ですか・・・」
「はい。」
「じゃあ 俺は帰っていいんですか?」
3年の桐嶋真志(きりしましんじ)が千葉センに尋ねた。
「いいわけないだろ!」
「でもよぉ 他に容疑者いないんですよね?なぁ? 実(みのる)?」
実とは2年マネージャーの篠崎(しのざき)のことらしい
「はい まあ・・・らしいです。」

「まぁまぁ ええんとちゃいます? 返しちゃっても
犯人はあの3人の誰かなんでしょ?」
「まぁ 探偵さんが言うのなら・・・」
他の部員は帰って行った。
「返しちゃってよかったんですか?」
私が訪ねると、
「ええんや、ええんや、青春の大事な時間を関係ないやつが、無駄にしたらアカンねん!」
「そうですか・・・(感情論で行動すんなよ!)
じゃあ 3人に 話聞きに行きましょうか?」

まず、松本のところに行った。
「えっと~ 松本君? ちょっといいかな?」
「ほんと 勘弁してくださいよ・・・
やってないですって・・・ 翔とは親友だし。
いつもあいつ部活のない日は「隆、一緒に自主練しよう」って言ってきていつも練習してたんですよ!」
「そうですか でも 事件前夜あなたたちは喧嘩してはったんですよね?」
「それは、とても些細なことです。目玉焼きはしょうゆか、ソースかそれだけです。
ケンカと言うほどのものじゃありませんよ。」
「そうですか、私はケチャップ派ですけど。」
「羽原さん、どうでもいいです。」
「では、一応、動機はあるんですね?」
「動機とは言えないと思います。」
「いやいや どんな些細なことでも動機になることやてあるんですよ?」
「はぁ とにかく俺はやってないですから!!」
「アリバイは?」
「ありませんね 一人暮らしなのでいつ家を出たか誰も確認出来ませんから」

「松本は怪しいなぁ」
「なんでですか?」
「だって 動機があるし、アリバイはない! 完璧やん! 「ま」やし!」
「そんな単純ですかねぇ?」


2人目は坂本だ。
「坂本君? 君はよく被害者に怒られていたらしいなぁ?」
「まぁ そっすね。 いつもいつも 小っちゃいことで
坂本!遅刻するな!とか 坂本!たらたらすんな!とか 何かと」
「うらみを持ってたりとかは?」
「うーーん 多少はありますけど、そんな殺すほどじゃあないっすよ」
「当日は休憩をよくとってたのは何故?」
「いや 普段ちゃんとやってないと 体力が持たないんっすよ」
「なぜ いつも遅刻してたのに今日はちゃんと来はったんですか?」
「今日はなんとなく 早起きできたんすよ」
「ふ~ん なるほど」

「坂本も怪しいなぁ」
「まぁ 怪しいから容疑者なんですけどね」
「それは言ったらアカンやろ その中でも怪しいってことやないかい」
「松本君も怪しいって言ってたじゃないですか?」
「うるさい! 次行くで!」


3人目、前田。
「あー 前田君? 君は今はこの学校の人間やないんよね?
「はい、去年卒業しました。」
「なんで あの場にいたのかな?」
「後輩を教えに行ったんですよ。 たまに行くんですよ。
井上のこともまだ少し心配ですしね。」
「なるほど! ご立派ですね!」
「では、アリバイは? 死亡推定時刻はずっと体育館にいましたよ。
他の部員や、千葉先生に聞けば分かります。」
「それに、当日は手ぶらで学校に行ったので、ナイフも隠せませんしね」
「なるほど ありがとうございました。」

「彼は、実にええ子やな いまどきあんなええ若者はおらんで」
「アリバイ少し完璧すぎませんか?」
「でも 不自然ではないで?」
「まぁ・・・そうですけど・・・」

「あの3人以外にも話を聞く必要があるな」
「そうですね。 じゃあ、明日は、マネージャーの2人と、桐嶋君に話を聞きましょう」
「桐嶋って誰やったっけ?」 
「羽原さんが帰らしちゃった人ですよ!」
「あぁ あの子か!」
「まぁ 続きは明日にしますか?」
「あっ! 高柳刑事!」
「じゃあ一旦3人を家まで送ってきますので 先に帰っといてください」
「分かりましたぁ じゃあ また明日な!」



「・・・プルルルッピ もしもし? 話が違くないか?
明日ちゃんとしないと 殺すよ?」




次の日、私たちは、桐嶋君に話を聞いた。
「桐嶋君、君は当日、親の実家にいて事件の内容はよく知らないんやね?」
「はい こっちへ帰ってきて初めて知りました。」
「じゃあ 君には普段の部活の様子について聞こうかな」
「はい。あの3人の中では坂本が怪しいと思いますね。
いつも態度悪いし、翔にいつも怒られてますしね」
「なるほど ありがとう。 参考になったよ」

「じゃあ、次は1年マネージャーの橘さんに話を聞きましょう」

「橘さん あなたは被害者とどういう関係で?」
「マネージャーなんですけどぉ 翔ちゃんとは付き合ってました!
だからぁ すんごい残念なんですぅ」
(なんか うざいなこいつ こんなんで 男落とそうとしてんのか?)
「ふぇ~ しゃべり方かわええなぁ!」
(・・・バカ)
「君が被害者を保健室に連れて行ったんだよね?」
「うん。そんで 保健室でちょっとイチャイチャして
寝かせて戻ってきたんだですぅ。
それ以外の時間は ずっと体育館にいましたぁ」
「被害者を発見したのも君だよね?」
「うん。 翔ちゃんが胸をナイフで刺されてたから
あわてて 千葉先生呼んだんだぁ それで千葉先生が警察よんでって感じですぅ」
「なるほど ありがとう」

「いやぁ あの子かわいいなぁ」
「馬鹿じゃないですか羽原さん あんなのうざいだけじゃないですか!」
「何?焼いてんのかいな」
「ほんと馬鹿ですね」


「あとは、2年マネージャーの篠崎さんですね」

「篠崎さん?」
「あっ えっ はい・・・」
「大丈夫ですか?」
「はい 大丈夫です・・・」
「えっと じゃあ聞いていきますね。
被害者とはどういった関係で?」
「マネージャーで 翔先輩のことが、あの、その・・・好きでした・・・」
「ほうほう、当日は何を?」
「えっとですねぇ マネージャーの仕事を、あれはほとんど1人ですねでやってました。」
「1人? 橘さんは?」
「あの子は全くやる気がなくて! しかも私の好きな翔先輩まで取るし・・・」
「はい わかりました。 ありがとうございます。」

「やはり あの2どっちかやな」
「あの2人?」
「桐嶋君は、あの場にいなかったわけやし、
マネージャー2人は被害者のこと好きやったんやから。
んで あの3人の中で 前田君はアリバイがあるから、
松本か坂本できまりや!」
「そうですかねぇ?」
「絶対そうや!」
「また 明日あの2人に話を聞こう」
「はぁ」


家に帰った私はビールを飲みながら
不自然な点を考えていた
「何かがおかしい・・・」

次の日の朝、二つ目の事件が起きてしまった・・・

「探偵・・・ 大変です・・・」
「どうしたんですか?高柳刑事こんな朝早くに電話なんて」
「桐嶋君が殺害されました。」
「なんだって!!!!」
「おはようございま~す 羽原さん朝からどうしたんですか?」
羽原さんから 電話の内容を聞いて 私たちはすぐに現場へ向かった。

「公園ですね」
公園には 入れずに外でカードゲームをしている子供たちがいた
「いいなぁ このカード交換しようよ!!」
「いいよ!」

桐嶋は、近くの公園のトイレの裏でバットのようなもので殴り殺されたそうだ。
死亡推定時刻は夜11時 この時間は 暗くて全く外からは見えない。
そして何よりも 特徴的なのは 体に被害者の血で
「裏切りたちばな殺す」とかいてあることだ。

「うん~ これはなんやろう・・・」
このとき、私の何か引っかかるものが全て分かった。
「あのぉ 私たぶん わかりました。」
「桜井、ウソはアカンで」
「真奈ちゃん本当?」
「羽原さん、高柳刑事おそらく あってると思います。
関係者を全員集めてください。」

ここからが 私の時間だ。

「みなさん お集まりですね?
私が今からお話しするのは あくまで仮定であるので外れている場合もあるのでご容赦を」

集まったのは
・松本隆
・坂本学
・前田賢冶
・千葉先生
・篠崎実
・橘桜
・羽原瞬
・高柳刑事
・そして私

「まずは羽原さんと私と高柳刑事は除外です。
そして、前田君と千葉センはずっと体育館の中にいたので違うでしょう。

あと、橘さんは保健室から戻ってきたのは9時ごろその後は体育館にいたと
死亡推定時刻の11時~12時と大きく離れていますね」

「あと、残るのは
・松本隆
・坂本学
・篠崎実

の3人ですね。



そして、2つ目の犯人からのメッセージ
「裏切り たちばな 殺す」
この裏切りとは 殺された桐嶋君のことでしょう
つまり 橘さんと桐嶋君にうらみがある人が犯人でしょう。
おそらく、犯人は桐嶋君に裏切られた。
では、何をされたのでしょうか。
そのカギはこれです。」
私は胸ポケットからカードゲームのカードを取り出した。
「これは?」
「さきほど 公園の外で遊んでいた子供たちが持っていたカードです。」
「これがどうしたんですか?」
「はい このカード、子供たちはどういう遊び方をしていたか、覚えてますか?羽原さん?」
「え? あぁ確か・・・ 交換?」
「はい 「交換」。 これが今回のカギです。」
「井上君は、人にうらまれてるようではありませんでした。
ある2人を除いて・・・」
「誰ですか?」
「それは… 坂本君と殺された桐嶋君です。」
「じゃあ! さっきの3人のうちに入ってる 坂本が犯人なの? 真奈ちゃん?」
「それは違うんです。」
「!!!」
「でも 桐嶋君は殺されとるで?」
「はい。なので、ここでカギとなる「交換」です。
犯人は橘さんをうらんでいた。
桐嶋君は井上君をうらんでいました。
しかし、ここで直接殺してしまうと、動機がはっきりしてしまいます。
そこで桐嶋君は、犯人にこう言ったのです。」
「交換殺人をしないか?」
「っとね。」
「交換殺人ってなんですか?」
「交換殺人とは 殺意を持った人が殺意の対象を交換して殺人を行うことです。
メリットは動機がない。アリバイが作りやすい。
これが成立したとき、動機はいらない。」
「じゃあ犯人は誰なん?」
「それは 最初のダイイングメッセージ「ま」が教えてくれます。」
「あの3人の誰かなんやないのか?」
「そのうち 前田君は違う。
では 坂本君、松本君 井上君になんと呼ばれてましたか?」
「坂本(さかもと)っす。」
「隆(たかし)ですけど…」
「はい ありがとうございます。お気づきになりましたか?
もしも、この2人が殺したら「さ」「た」と書くでしょう。」
「じゃあ 誰やんねん?」
「はい。犯人は… マネージャーの篠崎実(しのざきまもる)さんですね?」
「…はい」
「なんで 実さんが3人の容疑者の中に入らなかったか。
それは 桐嶋君のせいでしょう。 桐嶋君は交換殺人を予定していたから協力的だったはず。
なので、「まもる」さんのことを「みのる」と呼んでいたのでしょう。
実という字はどちらでも読めますしね。何かあったら、「そう思っていた。」「そういうあだ名だから」
とでも言えますしね。」
「…はい」
「そして篠崎さんは井上君を殺し、桐嶋君は橘さんを殺す。そういう予定だったのでしょう。
しかし、桐嶋君が裏切った。違いますか?」
「はい 全部あたりです。 私は翔先輩を殺したのに桐嶋は桜を殺さなかったんです。」
「それで 不安になったあなたは橘さんの前に桐嶋君を殺したと…」
「はい。私は好きだった翔先輩まで殺したのに裏切られたことが
どうしてもどうしても 許せなかったんです。
それで、桐嶋を殺した後に桜を殺そうとしたんです。」
「なんで 私を殺そうとしたんですか? 私が何をしたんですか!?」
「あなたは私が言ったことをちゃんとやらない。
私は真面目に仕事をしてるのに あなたは私が真面目にやってるときに
翔先輩と… 逆恨みだって分かってたけど…私にとってはとてもとても・・・」
「気持ちはよく分かります。」
ガチャリと手錠の音が響いて高柳刑事が篠崎さんを連れていった。


「なんで 篠崎は2回目の殺人であんなことを書いたんやろか
あんなん書いたら犯人絞れちゃうやん」
「それは きっと彼女が素直すぎたんでしょうね
彼女は素直に井上君を好きだった。
だから 橘さんに殺意を持ったりしたのでしょう。」
「うぅ 女って怖いわぁ」
「探偵! 真奈ちゃん!!」
「高柳刑事なんか嬉しそうですね」
「うん! 実はこないだの事件で 俺、係長になったんだよ!」
「良かったですね! 初めての出世じゃないですか!」
「うん ありがとう! 全部真奈ちゃんのおかげだよ」
「おいおい 俺は?」
「羽原さん何もやってないじゃないですか」
私は羽原さんの肩を叩いた。
「痛っ! クビにすんぞ桜井!」
「私いなくなったら ここの事務所絶対つぶれますよ?」
「うぅぅぅ やっぱいてください。」
「はははっ まぁ 今日は、自分がおごるので
なんか食べに行きましょうよ」
「さすが!高柳係長!!」
「じゃあ 行きましょうか」


今回の事件は複雑なものだった。
しかし、この半年後にもっと複雑な事件が起きるなんてこのときは思いもしなかった。

   -完-
 

カード

結局 かなりベタなオチです。
続編がある風に書いてますが 続編が本当にあるかはわかりません。
正直時間がなくて かなり急展開になってしまいました。
あと 話てばっかですね。
「」だらけ(笑)

カード

私立明星学園バスケ部でおきた、殺人事件。 この事件に立ち向かう真奈はどう推理するのか。 ダイイングメッセージは何を意味するのだろうか。 そして 2つ目の事件が…

  • 小説
  • 短編
  • サスペンス
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-08-01

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著作権法内での利用のみを許可します。

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