壁がある

壁がある

こんにちは。

眼中にない。

初めて見た時君なんて眼中になかった。

今日から中学生。
彼氏できるかな?新しい友達できるかな?と、そんな期待を胸に歩きだした私。
空は青い。
家から学校まではそんなに遠くない。徒歩3分、すごく楽だ。
学校の前は人がたくさん。授業参観とかでよくする香水の匂いがした。
昇降口の前でクラス表が飾ってあるのでさっそく見に行った。
小学校の仲いい友達と一緒になれるといいな!なんて思いながら…。
「…」
最悪だ。
小学校6年生の時私が嫌々一緒にいた子達と同じクラス…しかも2人も。
「ゆーちゃん!一緒のクラスだね!」
大声で話しかけてきたのは小野一那。私が嫌々一緒にいた子だ。
「あ、いちなちゃん。そうだね!」
嫌だなあ…クラス替えしたいなあ…。
「じゃー中入ろうかー。」
「そうだねー」
1年生は4階…すごい疲れる。
さっきまで快晴だった空がグレーな曇り空に変わっていた。
いちなの話に適当な相づちをしているうちに4階だ。
早く進級したいと思っていたが新しいクラスというものはドキドキする。
ガラッ
中に入ると教室は小学校と変わらない。やはり学校はどこも同じようなものなのかな。
「えーっと席はどこだろう…」
私の名前が書いてある。ここか。
隣は少しポッチャリの男の子だ。いい子だといいな。
クラスの全体を見たところカッコイイ人はいない。
ちょっと残念…。
そして入学式の時間だ。
体育館に全校生徒が集合する。
だらだらと新入生の名前を読んでいく。こんな事に意味があるのかな…。
「田代佑梨」
「はい。」
私の番が終わった。ちょっと緊張したけどホッとした。
そんな事を思っていたらあっという間に生徒会長の話だ。
「起立」
あー面倒くさい。
だらだらと思ってもない綺麗ごとを並べて発表する生徒会長さんも大変だなーと思う私は心が汚いのかな?
と思っていたら急に目の前がぐらんぐらんし始めた。
なんだろう……こんなこと初めてだけどすぐ治るだろ。
と思っていると
目の前が青みがかかった黒に染まっていく。
もうダメかも…
幸い隣が同じ小学校の子だ。
「気分悪いんだけど座っちゃっていいかな?」
と小声で聞いてみる。
「え!大丈夫?座ったら先生も連れていってくれるから座った方がいいよ」
「ありがとう」
友達が言ってくれないと座れない自分にちょっとガッカリしたけど辛いからそんなことはどうでもいい。
座りながら自分でつっこんでいると先生が来た。
「大丈夫?」
大丈夫なわけないだろ。
「あ…ちょっと気分悪いんです。」
「大丈夫?歩ける?」
「はい。歩けます。」
先生に保健室みたいな所に連れていかれた。
先生に言われて気づいたけど汗がすごい。
汗かいてないことに気づかない自分にも驚いた。
先生が寝かせてくれて入学式が終わるまで寝ていたみたい。
教室に戻る時はみんなと一緒に何事も無かったように戻った。
友達から「大丈夫?」とたくさん聞かれた。面倒くさい…。
キーンコーンカーンコーン
チャイムだ。
チャイムと同時に担任の先生らしき人も来た。
…ゴリラだ…
「えー5組の担任をこれから一年間する島田です。よろしく。」
そしてだらだらと自己紹介している。
そんなこんなで放課後になった。
「ゆーちゃんバイバイー」
「バイバイ」
私には親友がいる。隣のクラスの遥だ。
「遥!一緒に帰ろ!」
「ゆうりやん。いいよ!」
遥には素直になれる。今日の愚痴をお互い言い合ってバイバイした。
「ただいま」
「おかえりー」
母からは質問の嵐…面倒くさい…。
今日面倒くさいと何回思ったのだろう。
家に帰ってからはいつも通り過ごして寝た。
「おやすみ」

朝だ!小学校と違って1時間起きるのが遅いからちょっと得した気分。
「いってきます」
そして学校。二日目だけど授業。
そして下校。
…あれ?なんか地味じゃない?
思っていたキラキラ学生生活じゃない…
カッコイイ人は?いない。
はー…
これからもずっとこんなのかー…

壁がある

さようなら。

壁がある

中学生の青春?です。

  • 小説
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  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-03-26

CC BY-NC-ND
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