透明




僕の大脳辺縁系が
君の指の間から抜けてった
僕の死が
君の手のひらから滑り落ちた


透明な情愛を抱いたままに


月光は半透明で


気がふれる



噛みちぎった花の血液が
じわり ぶわり
身体中に充満する


緑色の絵具を
飲み込んで 飲み込んで
細胞まで葉緑体になる


傷口にまで塩を塗り込んで
ひでり ひでり
海水への擬態を試みる




それでも

僕の身体の輪郭

二度と手に入らない



軽トラックの荷台

犯されてかなきり声




君のいろが恋しくって
反面は甲羅が欲しくって
かといって
僕は
いつまでも透明に漂った





ああ




まっしろになりたいな





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透明

透明

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-03-26

Copyrighted
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