プロット「山椒大夫とめっけ鳥のこと(スピンオフ4、虚飾の乱舞、未完)」
例えば、インターネットの健全な掲示板において、そのテーマとは
全く関係の無い書き込みが、延々となされているのを極めてまれに
見かけますが、その事を踏まえて、不可思議なプロットを書ければと
思います。
プロットの素材です。
「ミク達の吹奏楽部において、L達は次の醜聞を企んだ。
吹奏楽部員Bは、吹奏楽部と進学校である高校の、結果至上主義の犠牲者となった、という醜聞である。
そのための策略として、外部のアマチュアボカロPであるAを道化扱いし、
Aのような過ちに陥らないようしっかり歩もうと吹奏楽部員達を鼓舞し、過度の練習を課そうと画策した。」
追記。
小説が書ける程の技量があるとは思いません。
物語なら創作できるのではないかと漠然と思っています。
「山椒大夫」や「めっけ鳥」のように平易な文章で物語を書ければと思います。
1)
未知の反社会的組織X(悪魔崇拝者の集団)の上層部から、L達に、
至急、ミク達の通う高校を支配下に置くための準備を完成させるよ
う、命令が下る。「例えば、軽い推理小説等を読んでも、たいてい
の人間は読み進めていくにつれてはじめの頃の出来事を忘れ、最後
には何がどうであったかのか、事件の連続性等に関して、混乱して
しまうものだ。日常生活の出来事に関しても、高校生ならばなおさ
らそうだろう。しかも、日常の出来事など、余程の事が無い限り、
記録として残らない。騙してでも構わない、早急に吹奏楽部を意の
ままに手中にしろ。何でもいい、吹奏楽部内に醜聞の種を蒔け。
進学校の弱点を握れ。」
2)
ある日、ミクのスマホの本メールアドレスに不思議なメールが届く
。ミクは自分のアドレスを何処にも公表していない。大手サービス
プロバイダー運営のブログのURLが貼ってある。ミクはそれをクリッ
クする。表示されたブログのページには、吹奏楽に関する長い文章
が掲載されている。現実的とも冗談ともつかない、人を馬鹿にして
丸め込もうとする内容である。翌日、ミクはもう一度そのURLをクリ
ックするが、そのページは見つからない。
3)
翌日、吹奏楽部のミーティングの時、L達はミク達吹奏楽部員に「非
常にたくさんのお客様が皆さんのコンサートを楽しみにしている、
この事実をしっかりと認識して欲しい、その上で練習に励んで欲し
い、云々。」という内容の話をする。
4)
続けて、L達はミク達吹奏楽部員に対して限度を越えた練習を要請
する。ミク達吹奏楽部員はそれに反対する。しかしLの要請は保留
になる。
5)
吹奏楽部員Bの悩み。幼い頃、気管が弱く、健康のために管楽器を
始め、そのおかげで現在は体が丈夫になる。しかしL達の要請する
練習にはとてもついていけない。週6日の練習を週4にするか、そ
れとも退部するか、その希望を顧問や部長に伝える。
6)
何の脈絡も無く、ミクの胸中に、ふと、軽井沢スキーバス転落事
故の内容が思い浮かぶ。運転手の「大型バスの運転は不慣れ」と
いう言葉を思い出す。そして、事実認定、目的のための中庸のあ
る方法について思いを巡らせる。
7)
ミク達吹奏楽部員の本分は勉強にある。高校生の本分は勉強にあ
る。クラブやアルバイトが本分ではない。
8)
L達がBの悩みに関する事を見逃すわけがない。吹奏楽部の醜聞の
ために、Bを利用しようと企む。つまり、Bは、吹奏楽部及び進学
校である高校の、結果至上主義の犠牲者になったという醜聞であ
る(作者注~先に結末を明かすと、L達の企みは失敗に終わります
。何故なら、L達の前任者がAに関する奇怪な話題を吹奏楽部に持
ち込んで以来、高校の最高の指導者であり責任者でもある校長が、
ずっと吹奏楽部の動向に気を配り、見守ってきたからです。)。
9)
さて、毎度の事ながら、L達はアマチュアボカロPであるAの話を
持ち出す。吹奏楽部員には、L達の論法は分かっている。「Aは、
これこれしかじかが欠点である。皆には、同じ過ちを犯して欲
しくない。だから僕達の話をよく聴いて実行して欲しい。」
10)
L達の今回の話である。Aは派遣先の仕事において、ウェイターで
あろうがライン作業であろうが電話受け付けであろうが、10から
20の仕事量のうち必ず1つは仕事をしくじり、全体の作業を止め
てしまうという話である。もちろん、この話は全て嘘である。し
かし、ミク達吹奏楽部員には真偽の確認のしようがない。
11)
ミク達吹奏楽部員のL達に対する質問。
「なぜLさん達はAの生活の事を詳しく知っているのか?」
「知り合いの音楽事務所の若手アーティストCはまだ音楽だけで
は食えず、派遣スタッフをしているが、Aと同じ派遣スタッフだ
からだ。」
「Cは何時もAと間近な場所で、Aと共に仕事をしているのか?」
「分からない。」
「Aを一旦、業務から外し、再度、研修を行うなどしたのか?」
「分からない。」
「Aの仕事量はどれ程のものか?」
「分からない。」
「赤の他人の生活の良し悪しを暴いて、道徳的に恥ずかしいと
思わないのか?」
「前から何度も話しているように、Aはその存在自体が、極めて怪しい
。特に、様々な音楽関係の会社は、故意にしろ過失にしろ、Aは
コンサートを台無しにするのではないかと、強い疑いを持っている。
皆には、Aとその周辺の客をしっかりと注意し監視して欲しい。
そうして絶対にコンサートを成功させて欲しい。皆のためを思え
ばこそ、Aの情報を提供し、話すんだ。」
「Aへの疑いに関して、確かな根拠はあるのか?」
「分からない。」
「Lさん達は、分からない、という文句をよく口にするが、その
ようなLさん達にとって事実認定とはどういう事なのか?」
「、、、」
12)
例えば、従業員の啓発のため、不特定多数の人間の言動を(例え
ば、新聞記事などから)、その公になっている範囲内で、従業員
に紹介することは、広く一般的に行われているところだろう。
ミク達の吹奏楽部は、毎月、部費を使って、ある吹奏楽の雑誌を
購入している。そこではさまざまな中学や高校の吹奏楽部の練習
方法に関する記事がある。また、プロの演奏家の指導の記事もあ
る。時には工夫を加えてその練習をいろいろと試したりする。
13)
L達の吹奏楽部員に対するAの扱いは、それとは全く異質なもので
ある。L達の話すAについての話は、啓発になっていない、注意を
喚起するものではない、中傷には違いないのだが、その一言では
済まされない何かがある。
ミク達吹奏楽部員は、何故、L達は執拗にAに拘るのか理解できな
い。Aの、投稿した音楽等のように公になっている事柄ではなく、
Aの生活や内面のプライベートな事柄に執拗に拘るのか理解でき
ない。吹奏楽部員達は、L達のことについて、様々に考える。
(続く)
**********
(以下はメモ)
14)
吹奏楽部員Dは、L達のことを次のように考える。
ある特定の少数の有名人は、雑誌やネット等で頻繁にスキャンダルな
噂を書かれているが、L達のAに関する中傷も単なるスキャンダルなのか?
「スキャンダル」「醜聞」。なんて嫌な響きを持つ言葉だろう。
ある個人や組織に関して、全国規模で行き渡る風評や中傷や暴露が
「スキャンダル」なのだろうか?そのようなものもあるだろう。
しかし小さな教室や職場という限られた範囲内で発生する、
普通の人間に関する「醜聞」もある。L達以外の人間は誰も、つまり、
部員や先生は誰も、Aの事に関して話を持ち込まない。
皆、Aとは面識も何も無いからである。この事を思うと、L達は極めて
不道徳な人間だと思う。
15)
吹奏楽部員Eは、L達のことを次のように考える。
「苛め」。L達は、本当は吹奏楽部員の一人を苛めたいのである。
そうすることによって、吹奏楽部内に悪徳による連帯感、纏まりを
作り上げたいのである。しかしそうすることは容易い事ではない。
そこで、本来なら苛められるであろう部員の身代わりとして、L達は、
Aを利用しているのである。
16)
吹奏楽部員Fは、L達のことを次のように考える。
演劇的効果?例えば、ハムレットの劇中劇やそれに類似のエピソード。
道化や扇情を企む?コンサートにおける部員のミスの誘発を企む?
テロ?
17)
吹奏楽部員Gは、L達のことを次のように考える。
つまり、「詭弁を弄する」という観点から考えてみる。
Gは、ドストエフスキーの「罪と罰」の主要登場人物であるソーニャの
ことを考える。ソーニャの自己犠牲の在り方。貧しい家族を養うため。
その職業。ラスコーリニコフはソーニャに道徳的非を認めている。「
きみが罪深い女だという最大の理由は、いわれもなく自分を殺し、自分
を売りわたしたことだ。」。ラスコーリニコフはソーニャに聖なるもの
を認めているが深い疑惑も感じる。「きみの内部には、こんなけがらわ
しさやいやらしさが、まるで正反対の数々の神聖な感情と、いったいど
うしていっしょに宿っていられるのだ?」。しかし、ソーニャは、自分
の非を正当化しようと、詭弁を弄することは決してしない。ただ、ひた
すらに貧しい家族の身を案じている(罪と罰、第4部4章)。
汚らわしい罪と聖性が、同時に心に存在することを証明することは、
不可能なことかもしれない。、、、、、ソーニャはその存在自体が無償
そのものなのである。自分の信用や体裁が築かれることも、豊かな利益
が自分に入ることも、全く考えていない。
Gは、「詭弁を弄する」ことの目的の一つに、利益の獲得があると考える。
GのL達に関する一つの推測。吹奏楽部に関するL達の仕事上のプロジェクト、
しかしその途中経過は良くない、そこでL達は上司の叱責を受けている、
そこでL達はその原因はAにあると責任の転嫁を企んでいる、(コンサートの
事に関連させて)詭弁の案を心のうちで練っている。
18)
吹奏楽部員ミクは、L達のことを次のように考える。
(作者注~以下はウィキペディアからの引用です。)
サイコパス。
反社会的人格の一種を意味する心理学用語。
犯罪心理学者のロバート・D・ヘアは以下のように定義している。
良心が異常に欠如している
他者に冷淡で共感しない
慢性的に平然と嘘をつく
行動に対する責任が全く取れない
罪悪感が皆無
自尊心が過大で自己中心的
口が達者で表面は魅力的
オクスフォード大学の心理学専門家ケヴィン・ダットンによると、
サイコパスの主な特徴は、極端な冷酷さ・無慈悲・エゴイズム
・感情の欠如・結果至上主義、である。
サイコパスは病気(いわゆる精神病)ではなく、ほとんどの人々が
通常の社会生活を営んでいる。
組織内の位置としては組織下層部よりも上層部に多いと考えられており、
とりわけ企業に存在するサイコパスはコーポレート・サイコパス と呼ばれ、
長年安定して営まれてきた企業をときに破滅へと導く原因になり得ると
考えられはじめている。
ロバート・ヘアは「世の中の全ての本を読んでも、サイコパスの
破壊的影響力から守られるということはない。専門家も含めて、
誰もが騙され、操られ、ペテンにかけられ、
当惑の果てに取り残される。」と述べている。
19)
ミクはサイコパスという言葉を知っている。その特徴の一つに
「慢性的に平然と嘘をつく」というものがあることを知ってい
る。最近、吹奏楽部内において、この「慢性的に平然と嘘をつ
く」ことに該当すると思われる出来事があった。
2ヶ月ほど前、1人の女子部員Hが中途で入部してきた。彼女は
中学で3年間、吹奏楽部でフルートを演奏していた。この頃、
ミク達の吹奏楽部では、年内に発売するさまざまなポップスを
収録したCDの製作に向けて、練習を重ねていた。急遽、L達の提
案で、Hがやや難度の高い曲のソロを担当することになった。そ
の曲の収録までの練習期間は2週間と決まった。
L達は音楽経験の全く無い人間である。部員一人一人の演奏の特
徴や長所短所を聴き取り理解することはほとんど出来ない。しか
し、「Hさんは経験者だからこの程度の曲の習得は2週間で十分
大丈夫だろう」と過大評価し、2週間後のHの演奏を聴いて「
これだと単なる並みの演奏だ」と低い評価を与え、「入部して
間もないから、つまり2週間だから、ストレスが溜まったのか
な」と一人合点な意味不明なことを言い、Hをソロの担当から
外したのである。
20)
ミクはサイコパスという言葉を知っている。しかし、心理学や
生理学を学んだことが無いので、専門的なところは何も分から
ない。自分の極めて浅はかな知識から考えると、L達は、いわ
ゆるサイコパスではないと、ミクは思っている。もしも万が一、
サイコパスであったとしても、その程度は極めて軽いものでは
ないかと思っている。何故なら、L達(つまり、LとM)が良心や
道理に反した話をするのは、必ず、LとMが2人一緒にいる時だ
からである。LとMが各々1人でいる時は、吹奏楽部員に対して、
奇怪で不自然な話を全くしないからである。LとMは、何かの
醜悪な思想上の繋がりのある人間ではないかと疑っている。
21)
インターネットの利用の検討その1。
吹奏楽部員達とL達との対立が深まる。L達は内心、「こんちく
しょう、苛めてやるぞ!」と思う。その方法について周囲を見
渡すと、インターネットの利用に思い当たる。経済的にも時間
的にも手軽で、身元を隠すにも都合が良い。L達の仲間には、
インターネットの技術に精通した者がいる。L達はその仲間に、
ミク達吹奏楽部のサイトへの攻撃(誹謗中傷の書き込み)につ
いて相談を持ちかける。しかし、いろいろと検討した結果、吹
奏楽部のサイトへの書き込み攻撃は見送る。吹奏楽部のサイト
は高校のサイト内にあること、吹奏楽部員は未成年であること、
SNS等の利用における未成年者の被害が増加していること、単
にいたずらに騒ぎを大きくするだけかもしれないこと、後に高
校を陥れるための計画に支障をきたすかもしれないこと、、、
これらの事を考慮して、吹奏楽部のサイトへの書き込み攻撃を
見送る。
22)
インターネットの利用の検討その2。
同時にL達は、アマチュアボカロPであるAのブログへの書き込
み攻撃も考える。炎上を企む。もしも炎上すれば、これまでの
L達の吹奏楽部員に対するAの話は、ある種の警告として、部員
達に認められる可能性がある。もしもそうなれば、吹奏楽部員
を意のままに操ることに都合が良い。そこでL達は、Aが自ら誤
った事柄を書き込むことを気長に待つことにする。
23)
インターネットの利用の検討その3。
吹奏楽部員に対するL達の様々な話は、どこか危険で異端の要素を
含んでいる。そこで数名の部員達は、吹奏楽部やL達の個人情報等
は伏せた上で、吹奏楽部の出来事をインターネット上で公にし、何
が正しくて何が間違いなのか、広く意見を求めようと考える。しか
し、そんな事をすれば、吹奏楽部内に何かのトラブルが発生し、余
計に吹奏楽部の状態は悪くなるかもしれない。やはり、この考えは
見送ることにする。
24)
書き込みの内容にもよって一概には言い切れないのだが、ある健全
なサイトの主旨に反する書き込みについて、人間の手による極めて
少ない回数の書き込みよりも、プログラムによる極めて多い回数の
書き込みの方が、はるかに罪は重いのでないだろうか?「自動書き
込みのプログラムを作成したのは(あるいは、使用したのは)自分
だが、そのサイトをこれ程酷い状態にするとは考えてもみなかった。
全くの予想外である。悪いのは自分ではない、プログラムが悪い
のである。」、、、こんな言い訳は全く通用しないであろう。
25)
Aに関することではないのだが、吹奏楽部部員達とL達の溝を深める
2つの出来事が起こった。
1つは女子部員HのSNSの利用に関することである。最近、Hはある大手
ブログサイトの利用を始めた。本名などは公表していないが、一部、
修正を施した上で、顔写真を投稿していた。その事で、L達は次の
ように部員達に話した。「不純な交友など、決して過ちの無いように。
もしもそうなってクラブの信用を損なうことなどしたら、誠意を持って
謝罪しないといけない。、、、例えば、ある有名な女性アイドルは、
やはり不純な交友が発覚して、そのためファンの信頼を裏切ることになり、
そのアイドルは頭を剃って涙をもって謝罪した。これこそが誠意という
ものだ!皆にそうする勇気があるのかな?」
このL達の話を聴いたとき、部員達は皆、強い不快を感じた。まず第一に、
部員達の活動や言動の何を根拠にして、不純交友がどうのこうのと
疑い、話すのか?そして次に、その女性アイドルの謝罪についてだが、
それは誠意ではなくて、上の者から強制されたか丸め込まれたかして、
道化を演じさせられただけではないのか?
もう1つは、文化祭の時に開いた小さな青空カフェでの出来事である。
売り上げは全て、ある社会福祉方面へ寄付をするということで、部員達は
演奏する場所の隣りに小さな青空カフェを開いた。予想に反して、
たくさんのお客が来て、コーヒー紅茶のドリンク類が良く売れた。馴れない
部員達は皆、天手古舞した。会計のために、釣銭を入れておく30cm四方
位の空き缶と電卓と帳簿を利用した。閉店して、空き缶のお金と帳簿の
合計金額を比べると、一致しない。お金が3000円程足りないのである。
その原因は2つ考えられる。1つはお釣りを多く客に渡してしまったのである。
もう1つは、帳簿の記入の誤りである。しかし正確な原因は分からない。
もちろん、部員達は皆、四則計算は充分に出来る。しかし、L達は、
手元の現金と帳簿の金額とが一致しないというだけの理由で、カフェに
携わった部員達を、特に会計を担当した部員Iを、「進学校の生徒であるにも
関わらず、単純な計算さえ出来ないのか。」と決め付けた(言いふらした)
のである。
26)
ちょうどこの頃、Aは、警察と警視庁と検察と弁護士と裁判官と
FBIに「密告」するための文章を作成している。
オレンジ色のジャケットを着た友人とカフェにいる時、全く知らない
音楽会社の人間から有料配信の話を持ち込まれたこと。Aがそれを断った
ときのその人間の「コンサートを潰す」という罵声のこと。オレンジ色の
ジャケットを着た友人の突然の謎の死のこと。Aの行くコンサートや
イベントにおける、Aを陥れる気配のある異様な小さな出来事。
これらの事柄を、非常に幼い子供でも読んで理解できるような簡潔な
文章にまとめているところである。
ところで、現在のAの生活であるが、仕事に関しても私生活に関しても、
問題は何も無い(上記のコンサートのことを除いては)。しかし、
ただ一つだけ、不自然な現象があった。Aは、ある飲食店で仕事を
しているのだが、そこであまりに異様な人事異動が行われたことである。
そのためにAが何らかの損をしたということは何も無いのだが、、、。
(作者注~この人事異動のモチーフは、作者が以前、ピアプロに投稿した
「プロット~流転、仮題、3つのプロット第三部(未完)~」の
使いまわしです。)
27)
Aは、以前、鮮やかなオレンジ色のジャケットを着た友人とあるカフェに
いた時、全く面識の無い音楽会社の人間から、有料配信の話を言われた
時の光景を思い浮かべていた。自分の個人情報やプライバシーが
漏洩している事は明らかだった。現在の自分の生活状況を振り返り、
漏洩した原因を考えてみた。
全ての人間は通う学校や仕事先に個人情報を提出している。
そしてその情報は完全に保護されている。Aは、自分も全く同様であると
考えた。自分の経歴と関わりのある学校や会社には、全く問題や非は
無いと考えた。
Aは、インターネットを利用して、趣味として音楽活動をしている。
直接、人と交流しての音楽活動は、無い。そこで自分が公開しているのは、
作品、それについての簡単な文章、そして本名だけである。写真、住所、
電話番号、プロバイダーからのメールアドレス、教育や仕事の履歴等は
全く公開していない。極めて時折、インターネット上でのコラボの
相手方を募集するが、その相手に教える事も、本名、作品、作品についての
簡単な文章、これだけである。しかも、作品のダウンロード回数や再生回数は、
非常に微々たるものである。インターネットを利用した音楽活動から、
自分の存在が広く世間に知れ渡るとは、全く考えられない。
Aは、時折、インターネットを利用して、コンサートのチケットや、
訳あり煎餅詰め合わせセット等を購入する。その時、個人情報も入力し、
それが印字されたチケットが発券され、食品が届く。このような形で
商品やサービスの購入をしている人間は、非常にたくさんいる。
そして、皆、個人情報の漏洩から守られている。商品やサービスの
販売・流通の各段階に関して、それに携わる人間は皆、善意を持って自分の
業務を行っているからである。Aは、自分もそうであると考えた。
Aは、自分の個人情報やプライバシーの漏洩には、全く普通の人間を
装った「闇の住人」の暗躍が関わっている可能性が高いと考えた。
また、Aは、自分の知らない所に、本来、流れるはずの無い情報が
暴露されたり、いわれの無い中傷が流れたりした時、それをした
人物が未知の反社会的組織のメンバーだと考えた。
28)
吹奏楽部員Jは、グリコ森永事件の犯人達が食品会社やマスコミ等に
送りつけた全ての文書の分析を開始する。LとMのどこか危険で異端の
要素に満ちた様々な言葉や、安っぽい歪んだ正義感を振り回すような
言葉に、何か共通するものを感じたからである。
またJは、漫画Death Noteとグリコ森永事件の共通点についての検討も
開始する。例えば、グリコ森永事件の犯人たちは、1984年6月22日、
丸大食品に5000万円を要求し、同28日、丸大食品社員になりすました
警察の捜査員を、国鉄高槻駅から京都駅間で動かし、その小道具等に
封筒を利用している。これは、Death Note単行本2巻に描かれたFBI捜査官
レイ・ペンバー殺害事件のあり方と似ている。
例えば、グリコ森永事件の犯人たちは、1984年12月17日には不二家の
労務部長宅へ「阪神百貨店の屋上から現金2000万円をばら撒け」という
脅迫状を送り、また、同年12月28日には忠実屋に「東京池袋のビルから
2000万円をばら撒け」という脅迫状を送っている。この内容は、
Death Note単行本10巻に描かれたニアの奇策と似ている
(ライトの手下の出目川は、ばら撒かれた金を追う)。
Jは、光文社古典新訳文庫・カラマーゾフの兄弟5エピローグ別巻の
P295「ファウストの連続線」という文章を読む。短い文章である。
この文章から、Jは、ある2つの物語に描かれた類似する出来事から、
主題の連続性や発展性を確認することは可能なのではないかと考える。
(まだまだ続く)
プロット「山椒大夫とめっけ鳥のこと(スピンオフ4、虚飾の乱舞、未完)」