ディプレッション、詩、モザイクの人々
鬱の俺は
ロンドンで
紅茶を飲んで
正気の俺は
パリでタクシー
待ってる
どちらも
寂しい
虜囚なのさ
ハンスがキスして
マリアンヌを愛す
街角の
悲劇的なゲームさ
人々が
互いに
奪い合う心は
魂のダミーだ
カムフラージュされた
本当の気持ちっていうスパイは
なにもかも
今夜ゲロするんだ
鬱な詩書きの
運命とか
言ったよね 俺
もうお手上げさ
夢か幻
だったんだ
でも俺は
世界の誰にも
怒らないし
傷つけないよ
なにも
分かっちゃいない
分からないだけだ
分かったときは
いつも
手遅れで
俺と人は
ちぎれるんだ
理性じゃないんだ
情念なんだ
君は 好きだった？
俺の詩
詩を書きながら
俺は
いつだって
俺を
裏切ったことは
なかった
愚かで
なにも知らない
そんな俺でも
俺は書いた
今朝だって
汚れた魂で
これを
書いているんだ
誰かに
届けたいんだ
俺は
祈る
俺が
俺の詩で
浄化されるってことを
君に
どんなに
刺し違えられようとも
俺は
痛くはならない
俺の心臓
鬱っていうベストを着てるんだ
せつない夜は
鬱が恋人さ
君が刺し違えても
君は俺の鬱って恋人に
勝てやしない
こんな街で
俺と君だけ
だったよ
魂を削って
摩擦の心象に
殉死したのは。
鬱では
ない
真夜中の
言葉だけが
確かで
鬱っていう
朝の
一番の
思いだけが
真実だ
ピュアなんてものは
猫が舐めるマーガリン
むしろマーガリンで
植物性油に
化けてしまいたい
そうすれば
鬱なんて
パンかホットケーキの上で
とろけて
おしまい
それぐらいでいいのさ
人生ってな
鵜呑みに
毒牙を
飲んでも
後悔しないさ
魂の摩擦は
チャラなんだ
でもさ
信じらんないだろうけど
俺って
底なしに
優しいんだよ
知ってたかい？
人々みんなに
キスできるよ
させてくれたらな
鬱なんてのは
ちょろい独房さ
鉄格子の窓から
唇燃やすさ
君とは
魂の
同胞で
いたいだけ
傷つけあうのは
ごめんさ
俺は
精一杯で
誰かは
持て余してる
きっと
彼自身
彼女自身
街を見てみなよ
人々は
彼らの影の中で
傷みを
幾らだって
抱えてる
俺は
知ったさ
君の傷みをね
俺や
君や
人々が
変るって
なんだろうね
同じ
街の中
引越し
ぐるぐる
続けることなのか
前の部屋が
新しい部屋の
空気に
また淀むのか
銃弾が
次の俺を
狙うのか
この朝は
眩しすぎる
朝焼けが見たい
薄い陽だけでいい
変われない
生き方で
みんな
彷徨っている
不器用な
努力で
生きようとしている
せつない
変われない魂
一つずつを
愛してやりたいよ
街の中で
同じ夕暮れの斜陽が
人を
包む
いつだって
夕刻は
優しげだ
今日だって
誰かが
定めに抗おうと
試みているんだ。
この街で
幾つもの
影が
壊れそうに
必死で耐えてる
君も
その一人だった
互いは
互いを
決して
見つけられなかった
雑踏の中で
旋律は
哀しかった
誰も振り向かず
誰かは
背を向けた
その背中で
黙ったままの
摩擦が泣いていた
失ったんだろうね
誰かを
変わるってことを。
だから
俺
こんな
感傷の日は
たとえば
ニューヨークの
街角で
ジェーン・フォンダを
待ちたい気分なんだ
きっと
魂
拾ってくれる
孤独まみれの
ピュアな街で
詩の紙切れを
拾ってもらえるさ
英語は多少書けるんだ
such like tragic
つまり
「悲劇的に」
十分だろ
俺の証明。
祈りの詩
待って いるのさ
魂が
断絶の 日々を
調和する 時をな
荒れ野から
出発するさ
何度でも
何度でもな
たとえ
全部を
忘れたってさ
ディプレッション、詩、モザイクの人々
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