cute
女の子なら一度は思うかもしれない
可愛くなりたい、と
女の子になりたい、と
願いは儚く散りゆくもの
どこからかそんな声が聞こえた気がした
お前みたいなブスと付き合うわけねぇだろ
私は今日失恋した
彼に振られた理由はバカみたいな理由だった
可愛くなりたい
当時の私は心からそう思ったんだ
化粧を覚えた
髪の毛をアレンジすることを覚えた
服の着こなし方を研究した
肌の調子を整えるために大嫌いな野菜を食べた
私は可愛いを手に入れた
でも現実はそう甘くなかった
可愛いは作れても、化けの皮をはがしてしまえば
ようこそブスの世界へ♪ だ
化粧をした顔の私しか知らない人と付き合ったんだ
大好きだった
信頼していた
素顔を見せた彼の表情は今でも脳裏に焼き付いている
次の日私は失恋した
その日を境に私は化粧しかしなくなった
好きな人ができても付き合ってもその人に素顔を見せることはなかった
お泊りの時でもお風呂に入った後薄く化粧をした
お風呂の時でも化粧が落ちないように必死だった
私は必死に素顔を隠していた
あの時までは
好きな人ができた
いつも通り素顔を見せないように気を付けていた
彼と会う日は薄くでも化粧をしていた
まさかあんなことが起きるなんて夢にも思っていなかった
バッタリ会ってしまったんだ
真夜中のコンビニで
タイミングの悪いことに私は化粧をしていなかった
過去の彼のことが頭によみがえる
最悪だ
現実から逃げようとしたそのときだった
誰かと思った!!!!笑
彼が驚いた表情で言った
その場は笑って流してくれたが、私は次に彼に会うことが怖かった
彼に会う日
彼が来るまでの間妙に長く感じた
いつもは早く来てほしいと願うのに今日はどうかいつもの彼でありますようにと願っていた
いつも通りだった
そんな彼の態度に私は泣いてしまった
大好きだよお
言うつもりなんてなかったのにいってしまった
終わった
さよなら私の恋
振られると思っていた
彼は暖かく受け止めてくれた
好きだよ
彼に会うまで私は自分の顔が大嫌いだった
でも彼に出会って彼が可愛いと言ってくれる自分の顔が少しだけ好きになった
可愛いは作るものじゃなくて人それぞれ個性があって皆可愛いんじゃないかなって彼に会ってからそう思う
ブスだと思うのはその人の好みの顔じゃないから
そう思うと少しだけ楽になれた気がした
cute
女の子は女の子なんです。
どんな子でも。