ボーイフレンド(仮)版権小説「弓道部部長の独り遊媚」(不破渓士・性的表現あり・自慰)
部室で一人自慰にふける不破渓士(ふわけいし。ボーイフレンド(仮)で主人公の先輩、弓道部部長)の前に、愛しく思っていた彼女が現れる。ひょんなことから彼女に自慰を手伝ってもらうことになり……。不破先輩一人称。
部活が終わり、誰も居ないミーティングスペース。俺は部誌を書き終えるため、一人で今日も残る。
……部誌。
言い訳だ。五分もあれば書ける。
今日行った練習内容。部員の状況。特に今日は気になるようなことはなかった。今日部費で補給した矢の数は、後で会計担当に任せよう。
そもそも、部誌を書くにはこの部屋は少し暗い。電気は半分以上消してあるのだから、手元を見るには少し支障がある。
暗い方が良い。俺の手元にあるものをそれほど眺めていたいわけではない。
これを何とかしないと、帰宅できないのだから――。
部室の隅の長椅子に座り、硬く立ち上がったままの自分自身に手をかける。最初は恐る恐るだった行為だが、緩慢な刺激ではいつまでも収まらないことに気が付いている。
少し強めに左手で竿を握りこみ、親指と人差し指で作った円の中を上下に通す。先程まで部員たちで賑わっていたミーティングスペースに、今は自分の喘ぎ声だけが響く。
部員たちと最後の挨拶をする頃から既に立ち上がり始めていた自分自身は、皆を送り出し、硬く冷たいプラスチックの長椅子に一人で座ると、それだけで待ちわびたかのようにきつく立ち上がり、下着の間から顔を出す。これを自分で収めるしかない。
……自慰。
自分で慰める、とはよく言ったものだ。少し左手が疲れたので一息つき、指ではじく。自分の意図と裏腹に立ち上がる器官はゆらっと動き、また元の位置に戻り、存在を主張する。
こういうことをする時の自分の喘ぎ声が随分と大きいことに気が付いてしまってから、家ではもうできなくなった。
部屋の壁も、風呂も、それほど壁が厚くはない。姉達に聞かれでもしたら。もし、鍵のない部屋のドアが開いたら。
……声を我慢して、布団に包まって試そうとしてみたが、それではうまくいかず、朝まで紋々とする羽目になっただけだった。
それで。
最終的に選ばざるを得なかったのが、ここ、部室の一角だ。部長なのが幸いした。部誌を書いて、施錠して。それが俺の役目だから。
俺が最後まで残っていても、不審がる者は誰も居ない。
普段、部員が何気なく座って談笑している長椅子が、まさかこういうことに使われているとは、誰も気が付いていないだろう。この場所を選んでから、俺は誰かが居る時に、もう座れなくなった。
「頼むから……そろそろ収まってくれないか。お前がこうして頑張っても……彼女には入れられないからな。無駄に疲れさせないでくれないかな」
俺は自分自身に話しかけつつ、左手を再び添え、上下に動かした。単調な刺激でも、彼女、というキーワードだけで一部が震える。
そう、彼女。
彼女の姿、声、時折見せる花のような笑顔。甘い香り。俺が突然声をかけるとびっくりして少し頬を赤らめて振り返る、頑張り屋さんな。彼女。
こうしている間、頭に浮かべるのは彼女のことだけだ。
「はぁ……あぁ……」
困ったことに、思い浮かべるとさらに自身がいきり立つ。俺の脳内だけに居る彼女は、随分と積極的だ。
特に、今週は、怪我をしたマネージャの代わりに弓道部を手伝ってくれている。体操服で、部員の間を甲斐甲斐しく動き回る彼女の姿は微笑ましい。
……いや、少し違う。
頼むから、他の男に笑いかけないでくれ。
学年も、教室の階も違うと、普段、彼女が他の男と親しく話している姿を目にすることはあまりない。
だから、気が付かなかった。
俺は彼女が好きだ。だが、俺だけではない。
彼女が通るとその姿を目で追い、彼女が微笑むと顔を緩めてしまう、奴らがいる。
願わくば。彼女を腕に閉じ込めて、他の男から隠して。
揺れる髪から覗く可愛らしい耳元に囁きたい。
「……好きだ……」
妄想の彼女は、顔を真っ赤にして、それでもしっかりと頷く。
どうして良いのか分からず、俺の腕の中で困っている彼女の小さな顎を取り、俺のほうに向かせる。少し俺は腰をかがめて彼女に唇を寄せる。触れた赤はとにかく柔らかく、しっとりとして。
彼女がは腕の中で少し震えるかもしれないが、それでも顔を背けることはなく、ゆっくりと瞳を閉じる。
まぶたに軽くキスをして、もう一度唇に戻る。薄紅色の上唇を軽く唇で食むと、甘いいちごの味がするに違いない。
少し苦しそうに息をつく彼女の白い首筋をすっと撫でて、体操服の上着のジッパーをゆっくりと下ろす。上着を脱ぐと露わになる首元に顔を寄せ、甘噛みする。丸首のTシャツの襟元を撫でつつ、耳元で囁いてみる。
「好きだ……」
いつもの妄想に合わせて、左手を動かす。
彼女の腰を引き寄せ、少し驚く彼女のシャツの裾から手を差し込む。きめの細かな脇腹をすっと撫で、くすぐったいと笑う彼女の背中に手を回す。
「うぅ……くぅ……」
そろそろとシャツを持ち上げ、下着を見る。薄桃色のレースが彼女の白い肌にはきっと似合う。
これ以上は、と恥ずかしげに俺の手を押さえる彼女に、また口づける。それだけで力が抜けてしまった彼女からシャツの裾を取り返し、上から抜いてしまう。
下着はそのままで、俺は彼女の首からむき出しの胸にかけて唇を這わせていく。ところどころ強く吸うと、白い肌に俺の痕が残る。
……体が熱い。なかなかいけない。
この左手が……彼女のならば。
「触って……」
恐る恐る手を伸ばされた手を俺のに導く。どうすれば、と首をかしげる彼女に、もう少し強めで掴んでほしいと言う。最初は、彼女の手に俺の手も添えて、動かす。
「あ……そこ……いい」
すぐに彼女はこつを掴み、俺のを気持ちよくさせようと手を動かす。
「んぁ……もっと……」
体の熱がすべて一か所に集まり、溜まったマグマのように、出る準備をしている。だがなかなか思い通りにいかない。妄想の彼女の手が少しぎこちなく、熱がさらに加わる。
「くぅ……もっと強く……」
手はそのままで少し寄るように促し、俺は彼女のブラジャーに手をかける。肩ひもを少しずらせ、胸を隠したレースを少し下げる。弾む白い球に触れると、どんな声を上げるのだろう。
小さく尖った先は何色だろう。唇と同じ、きれいな薄紅色か。
「もっと、いいから、はぁ……」
左手の動きに合わせ、大きくなる喘ぎ声を止められない。そして妄想の彼女も俺の言うとおりにブラジャーに手をかけ、すべてを見せようとする。
「先輩……」
妄想の彼女はこんな声で俺を呼ぶのだろうか。
「ん、もっと……脱いで……」
「大丈夫……ですか?」
「あぁ……」
妄想にしては妙にはっきりと上から降ってきた声。上を見るより早く、体操着から伸びるほっそりとした白い足が目に入る。
顔を上げるまでもなく分かった。彼女の足、だ。
自分の妄想から出てきたにしては妙に現実感がある。現れた彼女はまだ体操着の上着のチャックをきっちりと首筋まで上げており、そして、顔は妄想以上に真っ赤になり、俺を見下ろしていた。
……俺の、たぶん下半身を。
「あ、あの……」
「あぁ、どうしたのだ、こんなところで」
我ながらなんという挨拶だ。
たった今まで脳内で裸にして裸にしていた女が、現実に俺の目の前に居て、複雑な顔で俺を見ている。見下ろしている。
現実が受け止められず、俺はとりあえず普通に喋るしかなかった。
「あ……忘れ物、を……。そうしたら中から先輩の……声が」
「忘れ物……か。探すといい……俺は……俺ももう……帰るから……」
帰るって?
こんな状況で、どこへ?
痛いほど立ち上がったままの自分自身を何とかしないと、自分が立ち上がることもできない。
そもそも彼女に何というものを見せているのだ、俺は。
今更ながらに慌てて、とりあえず隠そうと、近くに置いてあるはずのタオルを片手で探す。
出たものを軽く処理するために使う予定だった、少し古びたタオルを上からかけるが、どうしてもくっきりと自身の姿が現れてしまう。
焦る俺を、彼女はそのまま動かずに、か動けずに、ただ突っ立って見ていた。
「先輩……」
「あぁ、すまない、少々……焦ってしまったな。俺としたことが」
もう何を言っているのか良く分からない。
喘ぎ、乱れていた、自分が勝手に作り上げた彼女の像がちらつき、まともに顔も見られない。少し慌てた声もまた可愛らしい。
「できれば……早く……忘れ物を探して帰ってくれると助かるのだが……」
何も見なかったことにして。すべて忘れてくれ。
そう言いたいのに、下半身は本物の彼女の登場、さらに彼女に見られていることでさらに欲情し、タオルの一部が少し湿り気を帯びた。
「先輩は……何を……」
一瞬、このまま彼女を捕まえて床に組み敷きたくなった妄想を、全力で追い払う。
「いいから! 帰ってくれないか」
俺は絞り出すように、下を向いたままで叫んだ。
少し見える彼女の足が、後ろにゆっくりと、1歩、2歩、と下がる。
あぁ、そのまま、振り向いて、全力で逃げてくれ。俺から。俺の欲望から。
紺色の靴下が3歩下がろうとして、止まる。
「でも……帰れません、そんな……苦しそうな先輩を放っては……」
「いいから! もう……見ないでくれないか……俺の姿を……」
動こうとしない彼女がもどかしく、俺はタオルを手にしたまま立ち上がった。さすがに、彼女は俯いたままで俺の顔を見上げようとしない。
彼女の手を引いてミーティングスペースの入り口まで行こうとしたが、思ったより強くふり払われた。
弾かれた手が机の上に無造作に置いてあった俺のカバンに当たり、中身がスローモーションのように床に散らばっていく。
「あぁ、す、すみません!」
彼女はあっけにとられている俺よりも早く床にしゃがみこみ、俺の落ちたノート、教科書類を拾い始める。その手が不意に止まる。
「先輩……」
彼女の手にあるのは、俺の手帳。
そして……その中にあるのは……。
固まる彼女から手帳を奪い返す。思った通り、手帳はあるページを開いていた。
そこに挟んであった彼女の写真がひらりと床に落ちる。
「どうして、私の……」
先ほど俺の下半身を見たときよりもさらに真っ赤になって俺を見上げた彼女と、目がしっかりと合う。
こんな時に、何か良い言い訳が思いつくはずもない。代わりに、妄想の彼女に何度も囁いていた言葉が口をついてしまう。
「君が……好き……だから……」
何度も言いたくて言えなかった言葉が、どうしてこんな時にするっと出てきてしまうのだろうか。
もう、これが彼女との最後の接点だと分かってしまっているからだろうか。
こんな姿で、こんなことをしている男が告白して、一体どうすると言うのだろう。
「だから……もう……頼むから帰ってくれ……すべて、忘れてくれ……」
しゃがみこんだままの彼女の白い指が、落ちた写真を拾い上げる。
「もう少し……いい写真、ありませんか?」
「俺は、結構気に入っているのだが」
お菓子作りの時に一緒に牡丹餅を作ったときの写真だ。頬に少しあんこが付いている。
彼女はゆっくりと立ち上がり、突っ立ったままの俺に写真を渡した。俺も条件反射で受け取ってしまう。もう、捨てなければいけないかもしれない写真を。
「先輩が持っていないなら……今度差し上げますから……できればそれは……」
「え?」
「私は、先輩が写真を持っていてくれてうれしい、です。私も……先輩が好き、ですから」
耳を疑ったが、耳まで真っ赤で俯く彼女を見ていると、からかわれているわけではないようだ。
「こんな……姿を見て……それでも、なのか?」
「私のこと……呼んでませんでした?」
彼女が、少し恥ずかしげに微笑む。
「俺は……、いや、君は、こんな俺の姿を見て……それでも、いいのか?」
「ん、ちょっとびっくりしましたけど……でも……。私は……」
俺は堪らず彼女を両腕で胸にかき抱いた。両手にジャージの感触、胸に布越しでも感じられる彼女の少し熱くなった頬、首にさらりと髪の毛があたり、えもいわれぬ香りが鼻孔をくすぐる。
そしてさらに立ち上がった自身が彼女の体操着にあたり、擦れて喜んでまた大きくなった。
「あ、すまない、あ……とりあえず下を隠させてくれないか……」
これだと彼女に口づけする姿としてはあまりにも間抜けすぎる。
俺は彼女から体を離そうとしたが、腕の中で身じろぎする彼女の感触がたまらなく心地よく、理性とは裏腹に本能で体が動こうとしない。むしろ彼女の感触を確かめるように、両腕が彼女の背中を這う。すらりとした背中、細い腰。裏腹に少しふっくらとした臀部。
彼女がぐもった声を上げる。それでも、俺の腰に回されていた手が離れようとしない。
「できれば……離れてくれないか……。このような状態の男に近づいてはいけない」
「じゃぁ……先輩が離れてください」
彼女が顔を上げる。乱れた髪が頬にかかり、上気した少し甘い声と、色づく頬を見て、何をどう止められるだろうか。
俺はそのまま彼女の額に口づけた。左手で彼女を抱いたまま右手でゆっくりと頬にかかる髪の毛を払い、頬の高い部分にも口づける。
軽く目を閉じた彼女が愛おしく、唇を合わせる。葡萄のような甘い香りの唇に脳のどこかが麻痺していく。
何かを奪うように唇を重ねる。漏れ出た声を奪うように、下唇を食む。
「好きだ……」
そう言ってから甘噛みした上唇はとろけるようで、このまま彼女の唇をすべて食べてしまえるような気がした。
ただ下半身が唇より雄弁に求めている。こめかみに汗が流れ、俺は慌てて彼女を体から離した。
「すまない……とりあえずこれを何とかしなければ、口づけもできないから……。できれば……あまり見ないでほしい……」
俺は数歩戻り、元の椅子に腰を掛けた。どうしようもない。
彼女を求めてさまよう亡霊、亡霊にしては生きがよすぎるそれは、まったく収まる気配を見せない。
「収めたら……送っていくから。今日はもう遅い。少し待っていてくれないか」
座ったものの、彼女を前にして、自分の下半身に手をかけるのも忍びない。ただ痛いほど立ち上がるものを放置もできない。
なんとなく彼女の視線から隠すように竿を握ったが、その先をどうにもしかねる。
ただ彼女を抱きしめていたいだけ、と理由をつけて体を離した理性より、よほど自分のことを良く分かっている。
「先輩……」
途方に暮れてため息をついた俺の声が聞こえたのか、床に散らばったままだった俺の教科書類を律儀にまとめ終わったらしい彼女がこちらにやってきた。
「そちらも……お手伝い、できますか?」
まるで弓道場に弓を運ぶかのように、簡単に彼女は言う。
「何を言っているのか……分かっているのか?」
「ちょっと、触るくらいなら」
ちょっと、と小首をかしげる彼女を見ていると、どこまでわかっているのかは微妙なところだ。
こんな申し出を受けてどうするのか。
彼女を俺の欲望のまま汚して良いとでも言うのか。
「ちょっと、って、君は……」
「だめ、ですか?」
ただ、大胆にも長椅子の俺の隣に腰を掛けた彼女の、少し恥ずかしそうな笑顔を見ると、断れるわけもない。
俺は一瞬だけ迷ったが、彼女とぐっと距離を詰め、お互いの太ももと腰を触れさせる。右手を彼女の腰に回してさらに引き寄せた。
小柄な彼女がすっぽりと右脇に収まり、蠱惑的な香りが誘う。彼女を長椅子の背に押し付けるように、俺は唇を合わせた。
角度を変えて唇を合わせつつ、左手で彼女の手首を取る。そっと自分の下半身に導く。
視線を俺の顔で遮られたままの彼女は、俺のに触れた瞬間、びくっと肩を震わせた。
俺は大胆にも彼女の指をそっと掴んで自分の竿を握らせた。彼女の手の感触にいい気になった俺の一部分が揺れて、欲しがる。
下から上がってくる熱よりも、想いを伝えるように、俺は唇をただ重ねた。少し苦しいのか、彼女が俺を掴む手が強くなる。それがまた心地よく、次は顎に軽く噛みつく。
唇を解放された彼女が、俺を握ったまま大きく息をつく。小さく揺れる耳たぶが可憐で、耳たぶから耳穴に舌を這わせる。
「ん」
軽く彼女が上げた声が楽しく、俺はさらに耳を甘噛みし、軽く息を吹きかける。彼女が驚くと、俺自身までそれが伝わってくる。
「気持ち……いいよ」
耳元で囁く。
「でも……もっと先輩に……気持ちよくなってもらいたいです。さっき……見ちゃったほど、に」
今度は俺が赤面する。あのような声を彼女の前で出すことには抵抗がある。……いくら、先ほどさんざん聞かれていたとは言え。
ただ、こうしてゆっくりと擦られていると、そんな些細な自意識などどうでもよくなっていた。
「いいのか?」
彼女が小さく頷く。
「もう少し……強く、そして早く、上下に擦ってくれると……助かる」
心持ち、手が強くなる。
手を動かすたびに、少しはねた毛先と、小さな肩と、胸とが揺れる。想像では何度も描いた彼女の肢体。
そっと手を背中から肩へと手を滑らせる。そして少しだけ下へ。硬めの肩口から続く柔らかな肉の感触が堪らない。
体操着越しなのがもどかしく、崩さぬように手の平でふくらみを辿る。彼女は真っ赤な頬で俺を見上げる。その視線は、先を望んでいるように思えてしまうのは、自分の勝手な妄想だろうか。
「俺も……君に触れさせてもらっても……いいか?」
かすかにまた頷いたのを確認し、俺は彼女の体操着のジッパーに手をかけた。柔らかく拘束された下半身からの熱にうなされるように彼女の上着の前をすべて開く。妄想ではすべて脱がしたが、彼女の手が自分自身から離れないからこれ以上は難しい。俺は上着をそのままに、丸襟の半そでの体操着の上から、彼女の形を確かめるように、首筋から胸、腹へと手のひらでゆっくりと撫ぜた。
丸いふくらみと、下着の感触。触覚が雄弁に彼女のぬくもりを伝える。
時折恥ずかしげに体を震わせるのが愛おしく、そのたびに俺は右腕で彼女を引き寄せて小さく口づけを落とした。
彼女の体を見たいが、それよりも口づけるたびに変わる表情が愛らしく、手だけで彼女の体を少しずつ侵食する。
何ときめの細かな肌だろう。
おろし立ての弓の木肌のようにつややかで、しなやかで。
俺の無骨な、硬いタコができた指で辿ると傷つけてしまうのではと一瞬躊躇したが、一度でも彼女の肌を知ってしまった俺の指は、もう止まらない。
一本の指だけでは足りず、手を大きく広げて手の平全体で味わう。
少し動かすだけで彼女の他の部分までぴくりと震え、俺を握る手の力が強くなる。全身で彼女を感じたらどれほど心地よいのだろう。
彼女の表情の変化を堪能しつつ柔らかな腹部をたどると、小さなへそが指にあたる。穴を指でそっと触れるとまた彼女の背中が震えた。
腹部から肋骨をたどると、少し硬い布に触る。ブラジャーか。
布に沿って上に上がると、また肌。先程より少し熱い。肌にくっついた布の入り口を指で探すように少しかりかりと動かすと、すぐに上から布の中に指先が沈む。
なんと柔らかいのだろう。
まだ誰にも触れさせたことが無いのか、あ、と彼女が戸惑いの声を上げる。声を奪うように角度を変えて口づけつつも、ブラジャーの上から忍ばせた二本の指が彼女をより深く知ろうと動く。もう少し指を進めると、違う感触があたり、彼女が大きく震えた。
いやいやと言うように体を震わせ、吐息が一段と甘くなる。少し唇を外し、でも額をくっつけんばかりの距離は保ち、俺の唇にかかる息を感じ取る。二本の指でその少し硬くなった部分をつまみ、親指で布越しにその硬くなった先をこする。ひゃ、と上がる声が可愛らしすぎてこちらまで身震いする。
もっと彼女のいろいろな姿を見たい。
これまでの自分が妄想していた彼女の肢体よりも、現実の彼女は何と素晴らしいのだろう。
そのまま指先で硬くなった彼女の乳首をつんつんと突くと、彼女の背が大きくのけ反る。
「先輩……」
どこまで声が甘くなるのだろう。指先をほんの少し動かすだけで返る感触がますます俺を高ぶらせる。もっと感じさせたい。
「見ても……いいか」
辛うじて、という感じで頷くのを確認し、そっと体操着を持ち上げる。俺の妄想とは異なり、薄い水色のシンプルなブラジャーだ。洗濯場に放り出してある姉たちのはよく目にするが、何と清楚なのか。
白い肌を魅惑的に包む水に、小さな桜模様が散っている。膨らんだ白い肌にそっと口づけると、まだ来ぬ春への想いより、彼女の肌が甘い。
味わうように何度も唇を当て、ブラジャーごと彼女の胸をゆっくりと揉む。下に薄く赤い線が走っているのが可愛らしくもあり、彼女のきれいな肌にこのような痕をつけた布に対して軽く苛立ちもあり、俺は布沿いに手を背中に走らせる。
何をされようとしているのか解ったらしい彼女がそっと俺の腕に手をかける。真っ赤な頬に口づけつつ、俺は片手で、そしてもどかしくなり途中で両手で彼女を守る金具をとった。
薄い双丘に沿って走る小さな桜にそっと手をかけ、ずらそうとする手を止める。妄想のようにずらすのではなく、すべて見たい。
「上……脱がせたい。手、上げてくれないか」
首回りにもたついていた体操着を軽くつかみ、ゆっくりと上へ。恐る恐るといった様子で持ち上げる彼女の腕ときれいな腋に惹きつけられるように俺は腕の下に噛みつくように口づける。体操着で半分隠れて俺の姿が見えないだろう彼女がくすくったそうに身をよじらせる。
「先輩、だめ、です」
「ならば、見なければいい」
体操着をさらに持ち上げると彼女の顔が完全に隠れる。腕を軽く掴み、むき出しの上腕から脇にかけてのなだらかな曲線にそっと舌先を這わせる。
「そんなとこ、汗かいているので、あ」
胸に触れられるより汗を気にするところが愛しくなり、戸惑う彼女の声をもっと聴いていたくなり、俺は今度は上腕に鼻先を沿わせ、少しずつ下へずらしていく。
これが彼女自身の香りか――。
運動した後に必ずつけているコロンの香りは知っている。
風呂上がりの彼女の髪の香りも、合宿で知った。
だが彼女自身を凝縮したような香りを間近で嗅ぐと、全身の毛まで興奮で彼女に向かうような感触が体を襲う。
本能が彼女に向かって一直線に走り出す。
もう誤魔化せないほど高ぶった感情をぶつけるように白い二の腕に口づけ、跡をつける。舌を腋の窪みに這わせ、そのままぶら下がった布を頬でずらせて白い膨らみの横に口づける。くち、と強めに吸うと彼女の身が跳ねる。
「ん、このままは……嫌で……す」
体操着に包まれた彼女からぐもった声が聞こえる。
「あ、すまない。苦しいか」
俺はすぐに体操着を彼女の首から引き抜いた。髪の毛が大きく揺れ、真っ赤になり涙を浮かべた顔が晒される。体操着を腕から抜き切るのがもどかしく、そのまま深く口づける。半開きになった小さな口は、唇だけで味わうのが勿体ない。そっと舌先を中に入れると、ぬるやかな感触にすぐ出会う。驚いて身を引こうとした彼女の背中と腰を抱き寄せ、さらに舌を入れ、咥内を味わう。笑う時にだけ見える、陶器のような白い歯。その奥に潜む舌を舌で探し当て、ねっとりと絡ませる。
唇をしっかりとつけて、舌を舌で追いかけ、絡ませる。逃げようとする彼女の後頭部を軽く押さえ、そぉっと追いつめる。どちらのか分からない唾液が二人の間から漏れた。
名残惜しさを感じつつゆっくりと唇を離す。しっとりと濡れた瞳が俺を捕らえる。その瞳から視線を外すことなく、今度こそゆっくりと体操着を彼女の腕から引き抜いた。
辛うじて肩からぶら下がったブラジャーにそっと手をかける。何をされるか分かった彼女がそっと指先だけで俺の腕を押さえて抵抗の意思を示すが、肩から紐を外す俺の手にとって支障になることもない。ゆっくりとずらせ、腕からそっと引き抜く。
揺れる白い肌の上に、くっきりと赤が存在を主張している。とりあえず隠そうと抵抗を示す彼女の手をそっと取る。
「手は……ここがいい」
脈打ちつつ液を垂れ流している自身に添わせる。べたつく感触に驚いたのか、逃げようとする彼女の手首を押さえて、再度自身の上に手のひらを乗せた。こうして男自身からこのような液がにじみ出ることはたぶん知らないのだろう。おっかなびっくりといった様子で、だが本能的に男を気持ちよくさせる方法が分かったのか、彼女は俺の液を潤滑油のようにして、俺自身の上をゆっくりと這わせる。
「あぁ……いい……。このままこうしていてほしい……」
彼女の体勢が少し前かがみになり、小ぶりの胸が手に挟まれて強調され、俺のを掴んで動かすたびに軽く揺れる。触れてほしそうなその赤い果実に、そっと人差し指を這わす。
「んぁ……」
もっと声を聞きたく、親指と人差し指で潰さぬように注意して摘まみ、軽くこする。指をほんのわずかに動かすだけで彼女の快感が声として溢れ出し、俺の脳をどんどんおかしくさせていく。指先で押すと白い胸に簡単に沈み、そしてまた浮かび上がる。
ぷくりと形を変えた部分にそっと舌先を近づける。不安げに見下ろす彼女に、見せつけるように舌を出し、ちらっと舐める。指とはまた違った快感が彼女に走ったのが、のけ反った白い首と、俺自身を掴む手の力から判った。そのまま舌先でくるりと触れて、唇で触れる。先で触れるたびに僅かに硬さを増していく。
俺の触れると硬くなる器官と比べ、遥かに小さく、可憐なのに、俺のと同じくらいに快感を運ぶのだろうか。漏れる甘い喘ぎ声は、触れるたびに甘さを増す。
「気持ち……いいのか?」
見上げて聞くと、恥ずかしげに彼女が頷く。どうしてこれほど可愛らしいのだろう。俺は彼女の胸にしがみつくように、気が付くと抱きしめていた。折れてしまいそうに細い体をかき抱き、なだらかな背中に貪るように手を這わす。胸に顔を埋め、乳首を余すところなく舐めつくす。上から優しく降りてくる甘い喘ぎで、腰まで痺れそうだ。
俺の頭を彼女の腕が強く抱きしめ、甘い肌に強く埋められると、このまま窒息しても良いと思ってしまう。埋められたままでも、尖った先に軽く歯を当て、甘噛みし、軽く引っ張り、また舐め、と初めて触る感触をとことん味わう行為は止められない。感触よりもむしろ彼女の甘い声、僅かな身じろぎ、そして強くなってくる香りに脳髄まで痺れそうだ。そして自身の硬さが限界まで高まり、彼女の中にいつ入れるのかと身じろぎし、また涎を零す。
「先輩……私ばかり気持ちよくなっていませんか……?」
彼女が息絶え絶えといった様子で甘く呟く。
「俺も……俺こそ……気持ちよくてたまらないよ……。可憐な君にこうして抱かれているともう俺のすべてが抑えきれない……」
彼女の腕から逃れるように少し下へと移動する。胸から脇腹へとゆっくりと舌を這わせ、肉付きの薄い腹を撫でる。
「もっと……君を見せてくれないか……良いか?」
彼女の腰を覆う体操着の半ズボンに手をかけ、少しずらす。白い小さな布が少しずつ姿を現していく。腰についた赤いズボン痕にも舌を這わせると、彼女の腰が動く。白い腰を自分の手で暴いていく快感を楽しむ間もなく、性急にズボンをずらし、彼女の前に膝をつく。
可憐な桃色のフリルが白い太腿の間を彩る。引き寄せられるように柔らかな腿に舌を乗せてゆく。彼女が身をよじるとつられて動くレースに目を取られる。隠そうとする彼女の手をそっと横にずらす。わずかな抵抗は、もう甘美な誘惑でしかない。
レースの下、薄い布だけが辛うじて覆う彼女の秘部は、見上げると少し濡れて透けていた。
左手で逃げないように彼女の腰を押さえ、右手の指先ですっとその濡れた部分をたどるように触れる。ひときわ大きく彼女の腰が揺れ、悲鳴のような声が上がる。
「あ、すまない、ここは、痛いのか?」
「いえ、痛いというよりも……ん」
「続けても、いいか?」
再び、人差し指でそっと、彼女の一番敏感だと思われるところに触れ、できるだけゆっくりとやさしく動かしてみる。
少し湿り気を帯びた布の下には何が隠れているのだろう。布越しでも様々な感触が伝わってくる。少し硬い部分、柔らかく包み込まれるような部分。
「ん、ん……」
行き場のなくなった彼女の手は口に添えられ、甘い声が少しだけ隠される。だが指を動かし続け、くちゃりと水音が響くころには、手はだらりとたれ、抑えきれない声がさらに俺自身を高ぶらせていく。
彼女の許しも得ないまま、俺は今度はゆっくりと、桃色の布をずらしていく。薄い毛が覆う秘部と秘部の間を煌めく水が結び、ぷつんと切れる。完全に下ろせぬまま、指を再度秘部に沿わせてみる。
初めての感触は、何とも甘美だ。
どう触れても、俺の指を待ちわびていたかのようにじっとりと湿った肌が包み込む。
指の背で触れても、指先で触れても、上から甘い声が降ってきて、秘部がざわめく。
「先輩……も、もう……無理……」
見上げた彼女が泣きそうな顔で俺の手首を取る。そんなことで俺の指は止まらない。
「どう無理なのか、聞かせてくれないか?」
動かしていくと、指がすっと潜った。ここが、彼女の中心か。
まだ第一関節も中に入れていないのに、溢れた液が指の股まで濡らし、少し動物的な香りが強くなってくる。そっと中指も加えてみたが、二本とも優しく包まれ、もっと、もっと、といざなわれているようにも感じられる。
前後にゆすりつつ、少し奥へと進める。滴る蜜で指先はたぶんふやけている。狭いが、少し指をゆすると、また少し奥へと誘われる。気が付くと第二関節まで中に埋もれていた。
「これ……見えるか……俺の指、君の中に」
「いや、先輩、そんなの」
「君も……俺を……求めていると思っていいのか?」
我ながら都合が良すぎる解釈だ。だがこの温もりと香りに包まれていつしか蕩けた脳髄は、もうすべてを自分の本能が求める方向にしか、俺を導かない。
「分からない……です……」
「そうか、分からない、か……」
俺は指を彼女の中に入れたまま立ち上がり、片腕で抱きしめ、上から唇で言葉に蓋をする。
「分からなくてもいい……」
口づけたまま指をゆっくりと動かす。二本の指を中で少し広げようとすると、肉壁の抵抗が強く感じられ、唇に痛みが走る。
俺の唇を噛んでしまったことに驚く彼女が目を見開き、俺から唇を離そうとする。離れないよう強く後頭部を捕まえ、さらに唇を強くあてた。
血の味に酔うように、舌を彼女の口にそろりと入れてみる。咥内は秘部以上に暖かく、硬い歯の感触、逃げるように動く舌を追うと、唾液だけではなく、血の味が自分から彼女へと移る。指で秘部を弄りつつ、舌で中を辿りまわすと、俺自身が放とうとする液まで彼女を求めて噴出の時を待ちわびている。先程まで出したくても出せなかったそれを、何とか出さないように、出さないようにと思いつつ、それでも彼女の柔らかな腹に自身を擦りつけるのをやめられない。腰の動きと合わせ、俺は自分でも驚くほど器用に舌と指とで彼女を貪り続けた。
どちらのかわからない唾液が口から溢れ、二人の間を落ちていく。
一瞬、気を取られた瞬間、俺自身から熱すぎる液が溢れ、肌の間を濡らした。じっとりとした濃い液が、下半身までずるずると辿り落ちていく。
感触に驚いたのか、離れようとする彼女の腰を引き寄せると、またその刺激に自身が形を持ち始めるのが分かった。
唇を離すと、彼女が大きく息をつき、濡れた腹をちらりと見て、何か言いたそうに俺を見る。
「もう一度だけ……手伝ってくれないか……?」
返事を聞く前に、俺は彼女の唇を塞いだ。口づけをすれば、何もかも許される気がするのは、俺の妄想なのか。
彼女の手が俺の腰へと回り、肉を軽く摘ままれたのは、きっと肯定の合図に違いない。俺は三本目の指で彼女の襞をなぞりはじめた。
「……なにを、……です、か?」
また俺の上から声が響く。俺は、ぐっしょりと濡れたタオルで自身を擦る手が止められないまま、きっちりと襟元にリボンを結んだ制服姿の彼女を、ただ見上げるしかなかった。
都合の良い妄想で何度も彼女を汚した後で現れた彼女が妄想なのか現実なのか、もう俺には区別がつけられなかった。
ボーイフレンド(仮)版権小説「弓道部部長の独り遊媚」(不破渓士・性的表現あり・自慰)
不破先輩に四人の姉がいると明らかになったイベントから(結局先輩と姉のカードは持ってないけど)、なんとなく書いてみたかった話。不破先輩は初書き。奥手そうだがこの年代の運動部男子だと性欲はかなり強いだろうなぁ、苦労していたりするのかなぁ、とか。最後までやっちゃってきちんと恋人同士にさせるつもりで書き始めたが、このまま妄想オチで終わらしたらどうかなぁとかふと思って途中で終了させてみた。
ほかの、ボーイフレンド(仮)のR-18ものはBOOTH(https://miyato.booth.pm/)で販売中。前半までは無料で閲覧できます。
2017/3/12時点で、以下を有料公開中。
・西園寺先輩×赤主人公(サバイバルゲーム、本番シーンあり)100円
・鷺坂くん×緑主人公(家でまったり) 100円
・桑門先輩×緑主人公(美術室で拘束、本番シーンあり) 200円