魔剣ライブラと、とある魔剣使いの物語
―――これはライブラちゃんに捧ぐ愛の詩。それ以上でもそれ以下でもない歌。
願いを乗せて、届け、この想いよ―――
これは原書。壱にして零。
―――ここに一人の魔剣使いがいた。
完熟レベルマのS魔剣は数知れず、9本のSS魔剣を完熟、レベルマにし、近々10本目のSS魔剣完熟を予定しているという
紛うことなき廃人。(同時に紛れもない廃課金とも言えるであろう)
そんな者の名前を語る必要は最早ないであろう。称号だけで固有名詞となる程の者。
「五極マスター【煌】」にして「お助けマスター【極】」、他にも多数のユニーク称号を持つ者。
そんな者が、いわば嫁とも呼べる秘書魔剣を、ほぼ全ての魔剣を選べる廃人が、何故、イベント配布故に参加していればほぼ誰でも持っている
イベント配布のSランク光属性投擲魔剣【ライブラ】に設定し、嫁としての愛の証を書くに至ったのか、相応の物語があった―――
一の章
五極マスター、そして正義の味方
それは原初。最初の一振り。
彼の者も例外なく、初心者時代を通過してきていることに違いはなく。それでも
―――彼の者も想定していなかった、その当時の事を今年も再度感謝される程には
お助けマスターとして感謝される者となる最初の1ページ。最初の完熟SS魔剣「打ち出の小槌=原罪」の話から語らざる得ないであろう。
―――何故『正義』を根幹に持つ魔剣【ライブラ】に惹かれたかの理由の一端は、その当時から始まっていたのだから。
彼の者は当時、秘書魔剣という機能がなく、パーティ1の先頭魔剣がイコール酒場に立つ魔剣であった時に
当時は殆ど誰もが先頭にしているであろう熟度を上げやすかったSランク水属性魔典型魔剣「マビノギオン」を眺めながら
悶々と考えていた。それはもう、やるとしたら相当なことになるのを理解してでも、そうしたかった。
―――ヘルマスターになった一番の利点は、マビノギオンを酒場で見るのではなく、ヘルちゃんを堂々と酒場で眺めていられることだね。
これは彼の者が最初の一歩を踏み出したきっかけの、・・・今は引退してしまった「二代目ヘルマスター」様の言葉。
彼の者は当時、まだまだ初心者で、何の変哲もない一プレイヤーとして、たまたま打ち出の小槌=原罪を引き当てて、改造して喜んでいた。
しかし同時に、SSランク魔剣の改造というのは初心者には困難で、しかしそれだけの事をしても改造したかったという程に好みであった。
―――そう、酒場で堂々と眺めていられるという、その言葉に大いに揺らぐほどに。
この話は主題ではない。故に、あっさりと書いてしまうが、その「二代目ヘルマスター」様の言葉のままにしようと
2015年10月魔王祭にて、決して安くはない、容易くもない出費をして、打ち出の小槌=原罪、完熟。初代原罪マスターになった彼の者である。
そして原罪マスターとなった彼の者が、漸く原罪ちゃんが手に馴染んできたと思う程度には使いこなせるようになった時に打ち出された
今年も復刻+αでやっている去年のハロウィンイベント。当時の彼の者が、明確な形で一番最初にお助けをすることになったイベントである。
熟度は99で完熟の原罪ちゃんを振るい、1ウェーブでジャストガードでBDゲージを溜めつつ、原罪ちゃんのスキルによって
(原罪マスターとなった魔王祭で副産物的に熟度の上がった訳ではあるが・・・)ロンギヌス=カースのブレイク力を上げ、
ルールメイカーの弱点特効も加えてボスをブレイクしてカースによるBDFを決めるという工程。
試行錯誤の末に至った、当時のハロウィンイベントのボスの強さに皆が嘆く中の、比較的容易く、熟度も高く、イベントボスを倒せる編成。
しかし、これにはゲージ溜めをするということが不可欠であったが故にというのもあり、同時にダメージ反映までに攻撃回数が多く
結果として助けられる側には文字通り何もしてほしくないという、割と昨今では当たり前のことが明確に出ていた。
そして彼の者はワールドチャットに以前から割と普通にいたプレイヤーであったが故に、ワルチャにて呼びかける
「ドラクル(ハロウィンイベント入手ソウル)が欲しい人は『まだ』いますか?」
と、昨今では、迷惑行為が蔓延ってしまったために対策されており、できないが・・・ポーズによる戦闘からの避難をしてもらい
その間にゲストとして参加した彼の者が倒す。そしてポーズ解除してもらい、ダメージ反映を一気に行かせてホストもノーダメージでクリア。
あまりにも明確な、そのお助け行為。名声システムもなかった当時では、文字通り完全に無償奉仕である。
彼の者にとっても、呼びかければゲージ溜めさせてもらえるなどのお助けの都合が良かったのはあるが
それでもなお、奉仕をすることに喜びを感じるという
曖昧ながらも彼の者に眠っていた『正義』が目を覚まし始めたその瞬間である―――
ハロウィンイベントも終わり、暫く経ってから打ち出されたクリスマスイベント。未だにミラの悪夢という者もいるほどの
圧倒的な強さのボスを倒す周回を、気が遠くなるほどして
Sランク闇属性大鎌型魔剣「サンタクロス」を渋いドロップ率の中で完熟させるという
阿鼻叫喚の地獄絵図が繰り広げられたイベントである。
当時において、3rdヘルマスターと既になっていたのか、イベントに必要だからと3rdヘルマスターになったのかは朧気な記憶の底だが
当時は既に引退してしまっている二代目ヘルマスター様の影響をまず間違いなく受けているであろう
次のマスターにヘルマスターを選択した彼の者。
これも枝葉の物語故に、簡潔に書き記すのみではあるが・・・
例によって、今度は完熟したレヴァンテイン=ヘルを手に、縦横無尽にお助けを続ける彼の者。
―――とある魔剣使い様に萌えキャラ認定されるということが印象に残っていると言う程に
お助けをするだけして疲れたのか、はたまたお助けしすぎて感覚が麻痺したのかは定かではないが・・・
当時の苦労を一切思い出せない彼の者である。機会があれば再度戦いたいと思っていたりも。
ただ、そのイベントがあったが故に―――
(振り返ってみれば実は選択としてはヘルマスターで間違いではなかったわけなのだが)
―――ヘルマスターではなく、スカーマスターを取っていたら。
完熟した闇属性を先頭に、有効属性の光属性のボスへ挑めた。もっと効率よくお助けできたのではないかという考えが生まれた。
これが、五極マスター、即ち「全属性のSS魔剣完熟」という
いかなる相手にも最高のお手伝いをしたいという明確な『正義の味方』になりたい。
そのような『正義』が生まれた瞬間であろう。
そして、我慢の効かない子供のような彼の者は、暫くした後に、残り三属性のSSマスターにもなって、
五極マスターに本当になってしまうわけではあるが・・・その誇らしい称号は、同時に威圧を含むという事から
特にお手伝いしたい初心者さんが逃げることとなってしまったために
公認お手伝いマスター・・・お助けマスターという称号を貰うに至ったのである。
ここまで読まれればわかるであろう。
原初の一振りの完熟こそ、自分のためであるが・・・
―――彼の者は、他者を助けるという己の『正義』を執行するために、様々なSSマスターになっていっているのだということが。
二の章
彼の者が望みし者は?
五極マスターとなって暫く経った後。
いつものように『正義執行』とお助けをしていた中で不意に表示される、右上の新着お知らせを示す!マーク。
ここに一つの惨劇が生まれるとは、その時は誰も思わなかったであろう・・・
今では珍しくない、新魔剣の製造開始案内。それを見た時、彼の者は大きく揺らいだ。それはもう、鉄球が脳天直撃レベルに。
―――カタストロフ=イデア
これは、と、原罪ちゃんを初めて見た時と同じ感覚が過ぎったのは直ぐに解った。
これも枝葉の物語。故に、簡単に記す。
イデアちゃんが出ない、と、ワルチャで泣きながら、魔剣機関様にも泣き言を言いながら、合計20万程投資して、漸く手にしたイデアちゃん。
原罪ちゃんが秘書魔剣から交代するに至る、魔性の魔剣である・・・
1stイデアマスターを巡っての小話などもあるが、それはまたの機会があればとしよう。
イデアマスターになる前に、自棄になってエアマスターとなってしまう程には辛かった。
イデアちゃん以降の最近のSS確率では、SS引くまで引こうという気になれない(主にブキダスさんをする体力と資金的な意味で)
それだけの痕を残したイデアちゃんである・・・
推して知るべし、それだけの労力をかけて入手した、そこまで入手したかった魔剣。
話を聞けば、それでどうして推し魔剣とならないのかと疑問になるレベルであろう。
実際、長い間推し魔剣として、秘書魔剣として、その座に君臨していたのだから、間違いはない。
―――ただ、それを超える「概念」を持って、手元に自然とやってきた魔剣が現れるということは、誰にも想像がつかなかったであろう・・・
ラストリゾート=ジョーカー
発表当初は気にすらしていなかった。
イデアちゃんのSS確率の痕から、SSを引くまで引くという感覚が希薄だったことも含めて、である。
そして、新魔剣製造フェス。メダル二倍だから、S魔剣完熟はしておいて損はないし、そんな感じで回していたら、
ひょんとブキダスさんからジョカちゃんいらっしゃいませ。
これが後に、彼の者がそもそも意識していなかったのか、意図的に意識から追いやっていたのかは定かではないが
お遊び程度で普段はやる気なしの統一戦を、お助けマスターがある意味いつでも行えるようになるという
―――お助けマスターにとって運命的な、予定調和とさえ言える出会いの魔剣だとは思ってすらいなかった。
統一戦というのは、現時点では、統一戦内でどれだけダメージを受けても戦闘不能になろうとも、戦闘終了時には戦闘前に戻っているという
初めから通常クエストとは概念の異なるもので、その中でも、当時はまだギリギリ知られていたかどうかという、4ボーナスを獲得するという
参戦する魔剣三本全ての現在HPを最大HPの5%以下から開始するという手法を取ることが、上位を狙う上では必須であった。
また、当時は記憶結晶というものもなく、SS魔剣レベルマというのは単純に統一戦において非常に強力でもあった。(燃費も悪いのですが)
しかし、お助けマスターは、どうしてもかすり傷であろうとも傷を負うのは避けられないクエストにお助けに行くこともままあり
特に完熟しているものは勿論のこと、未完熟でも戦力的にSS魔剣は(ゲストではMPを消費しないこともあって尚の事)外せない。
つまり
統一戦に出ようとすれば、SS魔剣を瀕死にせざる得ない。
お助けマスターとして活動するには、SS魔剣が瀕死では困る。
という、お助けを軸にしている、それを己の『正義』としているお助けマスターには、統一戦は辛いものでしかなかった。
そんな中で、ジョカちゃん(ラストリゾート=ジョーカー)は、自身のスキルとして、HPが少ない程攻撃力が上がるという
そんなまるで統一戦向きと言える、どころか、統一戦で使えと言わんばかりのスキルを持っており
また、他のSS魔剣とは異なり、他魔剣を支援するスキルを持たないが故に、通常のクエストで使う意義は然程ない子であった。
だからなのか、お助けマスターの手にすんなりと渡ったそれは、今でこそ端末格差などで辛くなっているものの
当時は順当に100位以内をコンスタントに取っていけるだけの「SS魔剣」として、活躍してくれていた。
ある種の運命的なものもある上に、キャラ的な好みも十分好みの要素があるジョーカー。
キャラ的な好みは無論あり、手にするまでの苦難の道という記憶、S魔剣降臨では非常に強力なイデア。
―――彼の者が推し魔剣を一本に絞れなかっただけの理由はここまでに書いたとおりである。
しかし、己が信念、その『正義』に曇りはなく、ただ好みというだけではなく、様々な事象が折り重なった結果
浮気性と言われても仕方がない状況に陥っていたのだと、釈明しておこう。
最終章
己の『正義』とは・・・
そして、少しの時間が流れ、ハッカドールのエンドカードやサイン色紙キャンペーンに詳細が明らかになっていない魔剣が
ポツポツと出てはいたものの―――その中に居た。初出ではそこまで気に留めていなかったというのもお恥ずかしい話ではあるものの。
Sランク光属性投擲魔剣【ライブラ】
種別は無論のこと名称さえも後に明らかになるライブラちゃんですが
これが彼の者をここまで揺さぶるとは誰も思わなかったであろう・・・
愛しいという言葉では足りない。
単純に愛しいというそれだけではない、その『正義』
彼の者についてほんの少しだけお話をしよう。
彼の者は、以前、所謂【正義の反対】に属していた人物であり、同時にそちらの世界での『正義』とも言うべき、掟破りを罰する立場の人間の一人であった。
そう、それはまるで
―――正義の反対はもう一つの正義
言葉のニュアンスこそ違えど、感じるものが確かにあった。
ジェネラルソウルのこのスキル名の時からこの言葉はあり、感じていたことではあったものの
同時に彼の者はまさに【天秤】の担い手であり、どちらが悪いか、良いか、それを判断することさえもあった。
―――これだけ刺激されて、最早興味を示さないわけがなかった。
知れば知るほど好ましくなり、知れば知るほど愛しくなり、気づけば虜
それまでの秘書魔剣さん達には申し訳ない気持ちがあるのも事実ではあったが、己が『正義』を示すために己が『正義』を曲げる程
浮気なんて知らない、そんなつもりではないとそう開き直る程に、壮絶な自分の中に宿る【魂の本音】と言わんばかりの『正義』
―――確かに、正義の反対はもう一つの正義だね。
そう思うほどに、狂おしく思考がぐるぐると回っていった・・・
それまでにも色々なイベントがあった。色々なイベントの度に、今まで入手してきたSS魔剣―――いずれもレベルマのLv255ではあるが
それらが役に立ち、自棄でマスターになったエアちゃんでさえも、役に立つほどに助けられてきた。
マスターになったのも、実用性半分ではあるものの、愛も勿論あった。愛でマスターになった子もいた訳である。
彼の者はそれに対して苦悩した。愛でマスターになった子を捨てるのか?と。
―――しかし、ふと思い返せば、原罪ちゃんの時に既に似た行為は行っていたのである・・・
―――そう、これは言い訳なんだと、気づくのに数秒。
本音は、他者の視線や評判を気にしてであり
SS魔剣マスターということを見せびらかしたいという感情も僅かではあるが入っていたことも認める。
同時に、ランキングイベントで個人上位に入ることは彼の者には身体的に不可能であることもあって
手に入れたいものは手に入れてきたその自分が手に入らない、そして手にしてはいけないからと
必死に、ライブラちゃんそこまで好きじゃない、と、自分を誤魔化していただけだったのだと。
苦悩から完全に吹っ切れたのはライブライベント最終日前日。
この時点で個人ランキングはもう不可能だとしても、ギルドランキング10位。11位が迫ってきている。
文字通りの意味で
―――この時恐らく初めてであろう
お助けマスターとしての権威を、人脈を、椅子取りを
その全てを駆使して、加速した。
その日までに稼いだ分を一日で稼ぎ、一日で貢献度を倍にするというレベルで、加速した。
最後は倒れるように眠りについたわけではあるが、個人貢献度一千万で、あとは頼んだという、その言葉と共に眠った。
正直、起きたときはまるで現実感がなかった。
それほどまでに疲れたのであろう。後にギルドから家出する程に疲れたのは間違いなかった。
それでも、その時は一心に祈って、集計結果を待った。
―――そして、結果はギルド10位入賞。
もう何も考えられなかった。もう何も喋れなかった。
ただ、やり遂げたのだと。
私がこの文章を書いているのも、ライブライベントの続き。
私は私の『正義』にそって、愛を証明するべく、文を書き連ねる。
―――この想いよ、届いてください!
私から書ける愛の証明、その形は、たったこれだけの文章という稚拙なもの。
ですけれども、誰にも負けない、その想いは込めたつもり。
私は今、あのライブライベントを駆け抜けた時と同じ疲労を感じている―――
魔剣ライブラと、とある魔剣使いの物語
はろーはろー☆彡
実際の所、こうしてまた公開するとは思ってなかったですけれども、再々公開なのですすー★
この作品が認められたのか、はたまたアクキーが強かったのか、未だに苦悩している面があったりするですけれども
なんであれ、この作品によってライブラちゃんユニーク称号は頂いたのです☆彡
りったんは確かに好きですけれども、りったんは所謂一般的な嫁キャラ的なものに対して、ライブラちゃんは共感とパートナー的な意識が強いという感じなのですねー☆彡
思い入れではどうやってもライブラちゃんが上回るですので、こんな感じになっているのかもなのです☆彡
大したものではなかったかと思いますが、読んでいただけて幸いなのです☆彡
これからも書いていくですので、その際はまた読んでいただければ幸いなのですすー☆彡