ありがとう
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「あっ・・・教科書忘れちゃった!ごめん由佳貸して!!」
私は必死で友達の由佳に頼み込む。
「いいよーハイ」
由佳はいつものにっこりスマイルで教科書を貸してくれた。
「ありがとう!!!超助かったぁ~」
私は 心をこめて ありがとう という。
「ううんっ。また忘れたときはいつでも頼ってねー」
「うんっ」
私は夏川絵莉。
みんなからはエリって呼ばれている。
「エリー、移動教室だよ?」
「あっ、うんわかった!すぐ行く」
いつも仲良くしている友達、花園由佳。
前まで、すごくいやな雰囲気の子だったのに、今じゃ全然違う。
私と仲良くなり始めてから180度変わった。
今はすっごく優しい。
「あーあと3分!急がないと!!コンピュータールームは遠いしっ」
「うんっ走ろう!」
私と由佳は急いで教室を出た。
「きゃっ・・・ご・・・ごめんっ」
ドアを出たところで人にぶつかった。
すると、忘れものをとりに帰って来たのか、クラスメイトの勝山薫ちゃんがいた。
「・・・・人がいないことを確認してから走ってくんない?ぶつかったでしょ。」
こんな性格のため、クラスで一人、浮いている。
元は由佳もこんな性格だったんだけどな・・・
「ご・・・ごめん」
私は苦笑いをして謝る。
「はい」
「え?」
急に消しゴムを手渡された。
「えっ・・・と・・・この消しゴム・・・は何?」
「あんたが落としたんでしょ。自分の消しゴムもわからないの?」
表情の無い顔で言われた。
「あっ・・・・ありがとう!この消しゴムってけっこういろんな人持ってるからわかんなかった~・・・」
私は笑顔で答えた。
「・・・・遅れるよ。」
「あっ!!あと1分!!」
私は再度、教室のドアから走りだそうとした。
そのとき、急に呼び止められた。
「ねぇ、いつも、ありがとうありがとうって、言ってるよね。明るいね。」
少し寂しそうな目をして、言われた。
「え?!そうかなぁ・・・まぁありがとうっていうようには心掛けてるけど・・・」
急にそんなことを訊かれたので、びっくりした。
「へぇ・・・だからかな?いつもエリちゃんの周りに人が集まってくるのは」
また、少し寂しそうな目をしている。
「あっ、うん、えっとね、ありがとうって言うと、ハッピーになれるんだって。由佳もそれやってからだいぶ変わって・・・わかるでしょ?人が変わったの。」
「由佳ちゃんがすごく変わったと思ったらそのせいだったのかぁ」
溜息交じりに言う薫ちゃん。
「じゃあ私もありがとうって、言うようにしようかな」
視線は合わせてくれなかったが、少し笑って言ってくれた。
「絶対そうしたほうが・・・」
そこまで行ったとき、チャイムが鳴った。
「走ろう!!」
「うんっ」
私と由佳は、一緒に走り出した。
すると、私の隣には薫ちゃんが走っていた。
「私も一緒に行っていい?」
「いいよ!」
「もっちろん!」
「ありがとう」
3人で、無言の笑顔を見せ合った。
1ヶ月後。
「えーまじで?行っていいのー?」
「いいよ~薫ちゃんはいい子だから泊まりにおいで~ってうちのおかあさんが言ってた!なんかねーいつもちょっとしたことでもありがとうって言ってくれるとか言ってたよ~」
「え~そんなことないってぇ~」
「薫は確かにいつもそうだね~」
「違うって~」
「で、泊まりに来る~?」
「行くわぁ~ありがと~」
「由佳、薫変わったね」
「うん、エリのおかげでしょ」
「そんなこと・・・あははっありがと♪」
ありがとう
こんなくだらない作品なのに読んでくださった方に感謝。ありがとう!