太平洋、血に染めて ――公式ファンブック――

太平洋、血に染めて ――公式ファンブック――

全世界待望!! ついに「太平洋、血に染めて」のすべてが明らかになる!!
本編には直接登場しなかった小道具や裏設定のほか、各エピソードに登場したキャラクターや作中で使用したBGMなどを紹介するぞ!! また、本編のNGシーンや削除シーン、さらにファンブック限定読み切りエピソードを収録した超豪華版だ!!

 ※この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件などには、いっさい
  関係ありません……が、一部、現実世界の人物や出来事を参考に設定して
  いる部分もありますのでご了承くださいませ!!!


〈ルートメニュー〉
*BGM
 ・オン https://www.youtube.com/watch?v=j4k52TbPi3M
 ・オフ

*本編スタート

      *** 登場人物紹介 ***

      *** 登場人物紹介 ***

 
 

☆大五郎

 本作の主人公。
 フルネームは尾上(おがみ)大五郎(だいごろう)(作中で苗字を呼ばれるシーンはいちどもない)。年齢は不詳である。
 大五郎の父・尾上(おがみ)一十(かずと)は横須賀港のそばにある造船所に勤めていたらしい。最終戦争のはじまる一、二年まえから夜遅くに帰宅する日がつづいていたので、大五郎はいちど理由を尋ねたことがあった。すると父は「とても大きな船を造っているから忙しいんだよ」と、疲れているのに笑顔で優しく答えてくれたという(おそらく大五郎の父が手掛けていた船は空母「やまと」ではないかと思われる)。
 戦火が拡大しはじめると、いよいよ危機感を感じた大五郎の父は、家族とともに国外へ脱出することを決意する。しかし、横須賀港へ向かう途中、激しい空爆に遭い、乗っていた電車が大破。大五郎は両親とはぐれてしまった。
 病院船では、主にハリーや長老と行動していたが、空母に救助されてからはヨシオと一緒にいることが多かった。
 ヨシオのことは、さほど尊敬していたわけではないようで、ただ「一緒にいると面白いことが起きる」という理由で行動を共にしていた。
 コバヤシに対しては、あまり好意的ではない(軽蔑している)。
 空母でさまよっていたときは毎日不安を感じていたようであるが、ヨシオやハリー、そして長老のおかげで、それなりに楽しく過ごしていたようだ。軍の輸送船に救助されたときには、空母で過ごした辛く、しかし楽しかった日々を思い出し、涙していた。
 ちなみに彼と彼の父親の名前の由来は某時代劇で刺客稼業を生業としていた狼の親子から。

☆ハリー

 元俳優。
 モデルはハリウッド俳優のクリント・イーストウッドである。
 年齢は四十代半ばぐらい(大五郎の所見)で、いつも渋色(しぶいろ)のくたびれたカウボーイハットを被り、葉巻をふかしている(葉巻のストックがどれぐらいあるのかは不明)。
 眩しそうに目を細めた顔は生まれつきで、泣いているのか笑っているのかわからない。ゆえに、表情の演技は苦手である。そのためエキストラや死体役が多く、主役はおろか、セリフのある役をもらったことは一度もない。そういった状況を悲観してつぶやいた言葉「泣けるぜ」は、いつしか彼の口ぐせになってしまった。
 はじめはヨシオの無愛想な態度に不快感を抱いていたが、エピソード「ばるす!」から徐々にうち解けはじめ、エピソード「エキストラにさようなら」の一件でヨシオに対する信頼はゆるぎないものとなっていった。
 クリント・イーストウッドにそっくりなので本人とよくまちがえられるが、自分では「メル・ギブソン」に似てると秘かに思っている。ちなみにマルコやルチオは、どちらかというと「テッド・ダンソン」に似てると思っているらしい。

☆長老

 本名不詳(自称ジェームズ・ディーン)、年齢は九十歳(大五郎の所見)ぐらいである。
 中東の、とある小さな村の長老(村長も兼任)だったようである(作中では具体的に語られていないが、長老の故郷はナメック共和国のポルンガ自治区にある「アジッサ村」という小さな村だったらしい)。
 村人たちと共に病院船で脱出した直後、大陸は核の炎に包まれ、長老の村も消滅してしまった。村人の脱出には国連軍の輸送機がつかわれたようで、定員の問題から主に子供連れの若い夫婦が優先されたため、長老を含む年配グループはべつの輸送機(半日遅れ)で脱出した(長老の乗る病院船に若い夫婦連れがいなかったのはそのためである)。
 熱狂的なUMA(ユーマ)マニアで、この手の話をいったん始めるとなかなか終わらない。ゆえに、村人たちからはさりげなく距離を置かれている。たびたびUMAを発見しては狂喜しているが、そのほとんど(あるいは全て)は誤認である。
 また、秘かにUFOの調査にも力を入れているようで、とりわけ「ロサンゼルスの戦い」には非常に強い関心を示しており、熱心に研究をしているらしい。
 熱中しやすい性格なのか、何かに夢中になってるときは話しかけられても気がつかないことが多い。
 あくまで脇役だが、その存在感は主役を食うほど強烈なものであった。

☆羽佐間 九郎(ドクター・ブラックジョーク)

 エピソード「太平洋、血に染まる!」、「13日は何曜日?!」、「紅の棺」、「死闘! 海上決戦!!」、「最終回スペシャル」に登場。
 世界的に有名なヤブ医者である。
 大五郎を空爆から救いだし、一緒に病院船で脱出する。
 本名は羽佐間(はざま)九郎(くろう)。世間からはブラックジョークと呼ばれているが、本人はその名で呼ばれることを嫌っている(理由は不明)。年齢はヨシオとおなじ三十代半ばぐらい(大五郎の所見)で、顔に大きな手術の痕があり、感情が凪いだような冷たい眼をしている。
 服装は全身黒尽くめで、つねに黒いマントを羽織っている(それゆえ大五郎からは死神呼ばわりされている)。また、感性も若干ズレており、深夜午前二時にまっ暗な部屋でひとり、血のようにまっ赤なワインを口の中で転がしながらホラー映画を鑑賞するのが至福のひと時とのこと。
 外科医としての腕は天才的で、どんなに困難なオペでも完璧にこなすが、いつも必ずどこか一ヵ所ミスっている。ただ、ときどき馬鹿をやりたくなるクセがあるらしく、自らの意思で奇行に走ることもある(ポーキーの件)。
 血のつながりはないが、娘がひとりいる。ピーコという小さな女の子である。ピーコは、もともと双子の姉「オスギ」の体にできた奇形腫(きけいしゅ)の中にバラバラの状態で収められていたらしい。九郎はこれを摘出し、組み立てることに成功する。
 しかし、ある日のこと。ピーコは三つ目族の小僧「ホウスケ」と駆け落ちしてしまう(※1)。が、ふたりは追いかけてきた九郎にあっけなくつかまってしまう。ホウスケは必死に許しを請ったが九郎の怒りはおさまらず、ホウスケに両目を摘出するオペを強行し、報復する。ホウスケは「一つ目小僧」にされてしまった。それからピーコを再びバラバラに分解し、培養液の入った水槽に封印した(いちおう生きている)。作中での描写はなかったが、このピーコの入った水槽は空母の医務室に置いてあり、ときどき大五郎に話しかけることもあったらしい。ただ、培養液の中なので、話すと声がこもって聞き取りづらく、なにをしゃべっているのかわからない。その声の様子から、大五郎はピーコを「デストロン」と呼び恐れていた(※2)。
 ちなみにピーコの顔は「ガチャピン」にそっくりらしい。

 じつは、最終戦争が勃発する十数年まえ、彼の元に「ジョン・タイター」が訊ねてきたことがあったらしい(患者として)。しかし、タイターには九郎の要求する法外な手術料を用意することは不可能だった。そこでタイターは、手術料のかわりに未来の出来事を少しだけ提供することを提案する。
 だが、そんな荒唐無稽な話を九郎が信じるはずもなく、そもそもタイターのいうタイムトラベルの理論にも懐疑的だった。すると、タイターは九郎に一枚の写真を差しだした。どうやら九郎の診療所を映したもののようだが、よく見ると雰囲気が若干ちがっている(一部改築されているなど)。それに、映っている人物といえば見慣れない老婆がひとりだけ。この入り口のドアのまえに立っている老婆はだれなのか。九郎が訊ねると、タイターは写真を指差しながら「それはあなたの娘です」と答えたのだ。おどろいたことに、写真の老婆は未来の「ピーコ」の姿だというのだ。ばかばかしい。この男は自分をからかっているにちがいない。手術料を払えないから、自分をペテンにかけようとしているのだろう。もし、この老婆が本物のピーコであるならば、体中に自分が施した手術の痕があるはずだ。九郎は写真を詳しく分析した。その結果、ピーコの腕や足にあるオペの痕は九郎が施したものにまちがいないことが確認された。
 タイムトラベルを真実として受けいれはじめた九郎に、タイターは「ある重要な出来事」を打ち明けた。近い未来、いよいよ最終戦争が勃発する。世界は核の炎に包まれ、ほとんどの文明は失われるだろう、と。
 なんてことだ。いくら病気を治して人の命を救っても、けっきょくは戦争でみんな死んでしまうというのか。これでは、なんのために医者をやっているのかわからないではないか。あまりにも暗い未来に九郎は深く絶望した。しかし、そんな九郎を励ますようにタイターはつづける。この戦争によって多くの命が失われるが、完全に人類が滅びるというわけではない。生き残った人々には笑顔もある。力強く、希望をもって生きている。だから、あなたもこのまま医者として生きてほしい。ひとりの医者として、彼らのちからになってもらいたい。そして最後に「横須賀に病院船が寄港するはずだから、それに乗って脱出するように」と、そう言い添えた(※3)。それからタイターはこんなことも言った。「タイムトラベルをすることによって世界線が分岐し、元の世界と並行した別の世界が生まれる。つまり、あなたと自分が出会わない歴史、時間系列の異なるまったく別の世界も存在するのだ。ひとりの人間が行動を選択するたびに世界線は無限に分岐していく。なので、自分もまったくおなじ元の世界に戻ることは、おそらく不可能であろう。たとえ元の世界に戻れたとしても、微妙にちがう世界なのだ。まだ確認されていないが、おそらく最終戦争が起きない未来も存在していると思う。私が来たこの過去が平和な未来につながっていることを願うばかりである」と。
 だが、そんな彼の願いもむなしく、最終戦争は予定通りに勃発してしまうのであった。

 ※1・・・手塚治虫のマンガ「三つ目がとおる」の主人公(写楽(しゃらく)
      保介(ほうすけ))。
 ※2・・・https://www.youtube.com/watch?v=mbg0SdYOVto
 ※3・・・タイターの知る史実では、大五郎たちの乗った病院船はハワイを
      目指し出港。潜水艦に撃沈されることなく無事に到着している。

☆ヨシオ

 本名は不明だが「ヨシオ」と呼ばれている(詳しく知りたい方は「エピソード0.5」を読んでみてね!)。
 年齢は二十代後半(大五郎の所見)で、おそらく日本人と思われる。
 病院船には乗っておらず、大五郎たちが救助されたときには、すでに空母に乗っていた。
 いつもカタパルトオフィサーの格好をしているが、理由は不明である。ひょっとしたら日系人(日米ハーフ)で、実際に正規の空母乗組員なのかもしれない。少なくとも空母やカタパルトオフィサーの知識は確かなもので、単にコスプレを楽しんでいるわけではないようである。
 口数は少なく、会話も静かな口調で話す。
 あまり感情(喜怒哀楽)は表に出さない。
 他人には無関心で不愛想だが、長老のようにUMAや超常現象の類などを安易に信じてしまうほど非常識な人間ではない。しかし、そんな彼にも少しは他人を憐れむ心はあるようで、過去に病気で脳死状態になった友人を不憫に思い、ドクター・キコリに依頼、安楽死させていた。
 本編で語ることはなかったが、ヨシオの言った「ある友人」というのは、どうやら男性ではないらしい。余談だが、最終回スペシャルのエンディングテーマはヨシオの心境をイメージしたものとなっている。
 第四話「トリトン」以降から、若干ではあるが心境に変化があらわれる(相変わらず不愛想のままだが)。
 基本的に孤独を好み、馴れ合いに参加するタイプではない。しかしながら意外と仲間は多く、マルコやルチオからは「ヨッシー」と親しみを込めて呼ばれている(ハリーや長老からは「大将」と呼ばれている)。
 最終回では軍の輸送船に乗ることを拒否し、ひとり空母で旅立っていった。
 ちなみに彼の名前は大石(おおいし)良雄(よしお)(大石内蔵助(くらのすけ))に由来する。

☆チャーリー

 エピソード「金曜はカレーの日!!」、「蒼穹の騎士」、「エピソード0.5」に登場。
 フルネームはチャーリー・グリーンである(エピソード0.5の序盤で自ら名乗っている)。
 戦闘機のパイロットで、年齢は三十歳前後(大五郎の所見)。気さくな性格で面倒見がいい。病院船から救助された大五郎たちと、その日のうちに知り合う。
 はじめは強襲揚陸艦に乗っていたようだが艦型や艦名は不明(作中での描写はないがチャーリーは〝ヒバリの巣〟と呼んでいたらしい)。
 本作に登場したキャラの中では比較的まともなほうだが、目立った活躍はしていない。
 彼が最後に登場するエピソードは「蒼穹の騎士」である。彼は蜃気楼に映った陸地を確認するためにハリアーで飛び立ったが、上昇中になんらかのトラブルが発生し、操縦不能に陥った。彼はやむなく機体を捨てて脱出。と、ここでもアクシデントが発生。パラシュートが開かず、彼はふたたび上昇をつづけるハリアーのコクピットに収められ、そのまま蒼天に吸い込まれて星になってしまうのでした。
 ちなみに「蒼穹の騎士」のエンディングテーマは彼の過去(最終戦争時の出来事)をイメージした内容になっている。

☆ムツゴロー

 第一話「炎のサムズアップ」、エピソード「太平洋、血に染まる!」に登場。
 表向きは動物研究家だが、本業はプロの雀士(じゃんし)である。
 年齢は八十歳(大五郎の所見)で、常に無邪気な笑顔をたたえている。
 温厚な性格だが、理不尽な戦いを挑んできた長老をボコボコにして返り討ちにするなど、いちおうケンカも強いようである。
 たすけたアオウミガメの背に乗って海を漂っているところをサメに襲われ、飲み込まれてしまう。しかし、ヨシオと大五郎が去ると同時に入れちがいでやって来たトーマスじいさんが、サメの背にまたがるムツゴローの姿を目撃したという証言もある。だが、酒であたまがイカレたジジイの話なので、だれも本気で聞く者はいなかった。もし、トーマスの話が事実なら、ムツゴローはどこかで生きているのかもしれない。

※名前や設定をほぼそのまま使いましたが、ムツゴロウさん本人とはなんの関係もありません!!

☆アオウミガメ

 第一話「炎のサムズアップ」に登場。
 大五郎がレオナルドと命名する。ムツゴローを背に乗せたまま、サメ(おそらくメガロドンの生き残り)に食われた。
 ちなみに「レオナルド」とは、忍者ター〇ルズに登場するキャラクターのことである。

☆トーゴー

 エピソード「太平洋、血に染まる!」に登場。
 人種、年齢、本名など、すべて不詳。
 プロの殺し屋だが、あまりにも困難な依頼を受けた場合は、依頼主に対し報酬の上乗せを要求し、おまけに請け負った仕事を下請け業者に丸投げして金を持ち逃げすることも日常茶飯事であった。
 悪運が強く、生存不可能な状況から幾度となく生還を果たしてきた。しかし、その運もとうとう使い果たしたようで、あっけなくサメに食われてしまった(黒い背ビレの犠牲者第1号)。

☆スミスじいさん

 パイロット版および第一話「炎のサムズアップ」に登場。ただのエキストラだが、死にざまで目立とうとする彼の姿勢は福本清三を彷彿とさせるものがあった。

☆トーマスじいさん

 第二話「ぐっどらっく!!」、エピソード「大五郎の思い出(劇場版ではカット)」に登場。
 酒であたまがイカレたジジイ(モデルは「トム・ソーヤーの冒険」に登場するマフ・ポッター)。
 いつも酔っぱらって顔が赤いので「夕陽のトム」と呼ばれている(が、作中で実際に呼ばれるシーンはない)。
 尾翼に白い一角獣が描かれたF/A-18戦闘機の射出座席で飛びあがり、そのまま海に落下(一角獣はトーマスじいさんに懐かなかったらしい)。大五郎とヨシオが甲板を去ったあと、運よくトリトン(クジラ)に助けられて空母にもどることができた(が、以降のエピソードに彼が登場することは二度とありませんでした)。

☆ガーランド・ブラウン

 幻のプチエピソード「大五郎の思い出」に登場。
 彼のモデルはハリウッド俳優のスティーヴ・ブシェミである(彼の名前は映画「コン・エアー」にてスティーヴが演じたキャラからヒントを得たもの)。
 戦闘機の残骸でつくったイカダで空母からの脱出を試みるも失敗。サメ(おそらくメガロドン)に喰われて退場した。

☆トリトン

 大きなクジラ。
 初登場は第二話。第四話では空母の進路上にただよう大破した軍艦を退けるという活躍を見せる。
 種類は不明だが、おそらくその大きさからシロナガスクジラと思われる。ただ、シロナガスクジラの体長は最大で三十メートルほどであるが、トリトンはその二倍近い大きさだった。
 なお、長老によると、トリトンは幻のUMA「モンゲーホエール」にほぼまちがいないらしい。
 ちなみに、最終回で大五郎たちを救助した輸送船を空母まで案内してきたのはトリトンである。

☆大統領(自称)

 第三話「黒い背ビレ」に登場。
 サメに食われて退場した。

☆スネーク

 エピソード「ばるす!」に登場。
 モヒカングループ(モヒカンあたまは世紀末ファッションの定番である)のリーダー。いつから空母に乗っていたのかは不明だが、突如、空母を乗っ取ろうと反乱を企てる。しかし、その野望はヨシオによってあっさりと打ち砕かれた。
 作中では描写はしていないが、おそらくサメに食われたものと思われる。

☆コバヤシ

 エピソード「ばるす!」、「エキストラにさようなら」、「紅の棺」、「死闘! 海上決戦!!」、「最終回スペシャル」に登場。
 モヒカングループのナンバー2にしてスネークの腹心。
 赤いモヒカンあたまの日本人で、丸い黒縁メガネをかけている。ちなみに服装については作中で詳しい描写はないが、背中に「すべて熟知」の文字がプリントされた白いTシャツに黒いカーゴパンツという格好をしている。正確な歳は不明だが、おそらく三十前後ではないかと思われる(大五郎の所見)。
 空母を乗っ取ろうとスネークをそそのかしたのも彼であるが、完全に人格が屈折していたわけではないようで、スネーク亡き後はモヒカングループを解散させておとなしくなった。
 エピソード「エキストラにさようなら」では、ハリーの才能を覚醒させるため人身御供にされる。そしてエピソード「死闘! 海上決戦!!」では、巨大化したポーキー(アカカブト)を成敗しようと鉄パイプ片手に果敢に突撃するも、顔面に〝プープ弾〟の直撃を受けて返り討ちにされた。
 モヒカングループに加入するまえは無名のロックバンドグループ「らんらんるー」で活動していたらしく(ギタリスト)、作中でもその才能を生かし、エピソード「ばるす!」のエピローグで歌声を披露したり(バイバイスネーク)、エピソード「エキストラにさようなら」のエンディングテーマ「気まぐれな天使たち」を作曲するなど、ごく稀にだが活躍することもあった。

☆マエダ

 エピソード「13日は何曜日?!」に登場。
 鉄拳(てっけん)高校の番長。
 格納庫でチアキ(おなじ高校に通う同級生の彼女)とデートをしているところへ乱入してきた長老の顔面に鉄拳をメリ込ませて鼻をへし折った。
 ちなみに、このふたりのモデルは「ろくでなしBLUES」に登場するキャラ「前田(まえだ)太尊( たいそん)」と「七瀬(ななせ)千秋(ちあき)」である。

☆マルコ/ルチオ/ローザ

 プチエピソード「戦士たちの夜」、エピソード「13日は何曜日?!」、「最終回スペシャル」に登場。
 モデルはスーパーマ〇オブラザーズである。
 長男のマルコと次男のルチオは正規の空母(モビー・ディック)乗組員、そしてふたりの妹であるローザは別の空母(ペガサス級航空母艦一番艦「ペガサス」に所属)の戦闘機パイロット。
 マルコは火器類を担当する赤い作業服、ルチオはカタパルトやアレスティング・ワイヤーを担当する緑色の作業服、ローザはオリーブドラブの(たい)Gスーツを着用している。
 マルコとルチオは料理が得意で、その腕前はプロのシェフも認めるほどである。ところがローザには料理の才能がまったくないらしく、以前にスクランブルエッグを作ったとき、出来上がったらなぜかポップコーン(らしきもの)になっていたこともあったという(不思議に思ったマルコとルチオが逆にレシピを尋ねたほどである)。料理の腕前は絶望的だが、そんなローザにもこだわっている味がある。それは、母の焼いたビスコッティ(ブルッティ・マ・ブォーニ)である。マルコは以前、自分と母が焼いたそれぞれのビスコッティ(見た目はおなじ)をローザに出したことがあったのだが、ローザは母の焼いたものを一発で当てたらしい(マルコとルチオには味の違いがわからなかった)。マルコ(いわ)く「料理は下手だが、あいつの味覚はオレたち以上に優れている」とのこと。ちなみにマルコとルチオはブルッティ・マ・ブォーニよりもムリーノビアンコのビスケットのほうがお気に入りとのこと。
 最終戦争がはじまるまえは、3人ともよくアンティコ・カフェ・グレコに足を運んでいたようである。
 両親は健在だが、最終戦争の混乱で安否不明になっているらしい。最後に家族全員がそろったのはローザの誕生日をみんなで祝った日の夜、最終戦争がはじまるちょうど一年まえのことだった。
 プチエピソード「戦士たちの夜」では徹夜でトーイングカーの改造やカタパルトの修理を手伝い、ヨシオたちに協力した(チキンレース当日は三人とも部屋で爆睡していた)。

☆ジュリアス

 エピソード「紅の棺」、「最終回スペシャル」に登場。モデルは元ハリウッド俳優のアーノルド・シュワルツェネッガーである(ジュリアスという名は映画「ツインズ」にてシュワちゃんが演じたキャラの役名から拝借)。
 年齢は四十代半ば(大五郎の所見)ぐらいである。子供のころは、いじめられっ子で虚弱体質だった。そのコンプレックスからか、異常なまでに強さを求め、体を鍛えまくっている。しかし、彼にはどうしても鍛えられない場所があった。それは人体の急所、つまり股間である。ジュリアスは自分に弱点があるのを許せなかった。そこで彼は、股間を石のように固くする薬(永久的に効果が持続する)をつくるよう、世界的に有名なヤブ医者・羽佐間(はざま)九郎(くろう)に依頼したのだ。彼は薬の効果を実証するため、カタパルトのシャトルを股間で受け止めるという、とてつもなく危険な実験を提案、周囲の反対を押し切り強行。予定通り(文字通り)玉砕した。
 ちなみに彼は正規の空母乗組員で、安全監視員(白い作業服のデッキクルー)として任務に就いていたらしいが、自分(股間)の安全までは確保できなかったようである。

☆ポーキー(アカカブト)

 エピソード「死闘! 海上決戦!!」にて登場した子ブタで、本作における事実上のラスボス。
 体は黒く、鼻のあたまから頭頂部にかけて逆三角形型の白い模様がある。
 食糧不足を補うため九郎に妙な薬を注射されて巨大化してしまう(九郎いわく「ときどき馬鹿をやりたくなるんだ」とのこと)。その際、あたまの白い模様がとつぜん赤く変色。その巨大化したポーキーの姿は、伝説の人食い熊「アカカブト」を彷彿とさせるものがあった。
 長老の対UMA(ユーマ)用の必殺技「(レッツ)滅流豚(メルトン)」を受け、星になった(生死不明)。

*ボツBGM「決戦! アカカブト!」・・・ファイナルファンタジーIV
                     ボス戦BGM
 【Ver.1(DS版)】https://www.youtube.com/watch?v=fYdeVDstS4Q
 【Ver.2(SFC版)】https://www.youtube.com/watch?v=FQYEF_TShPU

☆ゴロツキ

 プチエピソード「あの夕陽が憎い」に登場した黒いバンダナの男。
 モデルはロッキーもしくはランボーの類である(本名は大五郎がうっかり聞くのを忘れたため不明)。
 エイドリアンという恋人のもとへ帰るため、泳いで太平洋を渡ろうとするも失敗。黒い背ビレの餌食となり、静かに退場した。
 なお、本エピソードは削除シーンを若干手直ししただけの、いわゆる「ボツネタ」である。そのため、太平洋シリーズの正式なエピソードとしては認められておらず、「劇場版」や「完全版」に収録されることはなかった。
 ちなみに本エピソードと「大五郎の思い出」、「エピソード0.5」は完全版DVDセットの初回購入特典ディスク(限定)にて視聴可能となっている(劇場版に収録の「大五郎の思い出」はトーマスじいさんのシーンがカットされている)。

☆マイク・サイモン

 幻の秘話「エピソード0.5」に登場。
 モデルは「エリア88」に登場するメインキャラのひとり「ミッキー・サイモン」である(※)。
 ペガサス級航空母艦3番艦「モビー・ディック」に所属するF/A-18戦闘機のパイロットで階級は大尉。
 最初にヨシオの名を呼んだのはサイモンであるが、人違いだった可能性がある。ただ、ヨシオ自信は否定もせず肯定もしないので、本当に彼の本名なのかどうかは不明である。
 愛機は尾翼に一角獣が描かれたF/A-18戦闘機である(転属になる際チャーリーに譲り渡す)。
 ちなみにサイモンの転属先は、ペガサス級航空母艦10番艦「ビッグ・ブルー」である(作中では転属先までは明かしていない)。なお、転属後は新鋭機を与えられている(機体のデザインはマクロスシリーズに登場する架空の戦闘機「VF-22」に酷似している)。

 ※・・・https://www.nicovideo.jp/watch/sm3289151

☆小ネタ(SFC版エリア88)
 赤い敵を倒すと現れるパワーアップアイテムは赤が1ポイントで青が3ポイントの2種類があり、出現するアイテムの色はあらかじめ決まっている。しかし、ある条件を満たすことで赤いアイテムの色を青に変化させることができるのだ。無論、どの敵でもいいというわけではなく、特定のステージの特定の敵だけで、変化するアイテムは合計で3つしかない。ちなみに、この色を変えたものを含めてすべてのパワーアップアイテムを入手するとアイテムポイントのトータルが「88」になる(コンテニューやリトライなしで)。
 ただ、この裏ワザはあまり知られていないせいか、ネットで探しても攻略法を見つけるのはむずかしいかもしれない。それゆえ、野良猫も詳しいやり方は知らないのである(笑)。といっても、野良猫は実際にこのゲームをプレイしたことがあり(もちろんゲーマーモードでもクリアしたニャンよ!)、この裏ワザも何度か成功させているので、今回は野良猫のやり方を紹介したいと思います。
 まずはそのステージと敵の位置を説明する!

 1.前線基地(オープニングステージ)の二番目の赤い
   対空機銃(https://www.youtube.com/watch?v=M-DCk3FyRdMの
   2:22あたり)
   ※動画はユーチューブで見つけたものをお借りしました!
 2.地上空母ステージ序盤の最初の赤いミサイルランチャー
 3.洞窟ステージ(天井のボス)中盤の火炎放射地帯を過ぎて
   縦穴を上にスクロールしたエリアの最初の赤い対空
   機銃(1の動画の22:53あたりの岩に逆さまに設置
   されているやつ)

 つぎに、アイテムの色を変化させる方法を説明する!
 まず、特定の赤い敵(色の変化する敵はすべて地上の固定目標)が現れたらすぐには倒さず、画面中央近く(あるいはやや左側)までスクロールするのを待ってから機銃でたたけ! ミサイルやボムといった特殊兵装で破壊すると色が変化しない可能性があるぞ!
 なお、オプションモードで「GAME LEVEL」にカーソルを合わせ、2コンのAとXを押しながら1コンでレベルを選択すると「HARD」より難しい「GAMER」モードが出現する模様!

☆サメ(メガロドン?)

 たびたび登場し、太平洋を血に染めている。
 各エピソードに登場するものが同一の個体なのかは不明であるが、ムツ
ゴローやガーランド・ブラウンをのみ込んだ個体はメガロドン級の大物で
あった。
 なにげにこの作品のタイトルがよく似合っている。

☆クラーケン(作中未登場)

 エピソード「死闘! 海上決戦!!」にてアカカブトを倒した直後、格納庫に落ちていた九郎の注射器(中にはまだ微量のオオザロイドDⅩがのこったままであった)をコバヤシがひろって海の中へ投げすてた。そして、その注射器は偶然そこを泳いでいた一匹のイカのあたまに落ちてしまう。
 イカの体は見る見るふくれ上がり、空母の半分ちかくの大きさにまで巨大化してしまったのである(全長約百五十メートル)。が、巨大化したイカ(クラーケン)は何事もなかったかのようにその場から泳ぎ去り、ヨシオたちもクラーケンに気がつくことはなかった(戦闘にはならなかった)。

*おまけ(クラーケンのテーマ)
 「大海の覇者」・・・決戦(ファイナルファンタジーVI)
  https://www.youtube.com/watch?v=8ksnA3Qjx5Q

☆ギガロドン(作中未登場)

クラーケンの足に噛みついてしまったためにオオザロイドDⅩの影響で巨大化してしまったメガロドン(全長およそ百三十メートル)。巨大化後もクラーケンを追撃し、ソロモン諸島近海で死闘を演じた(勝敗は不明)。

*おまけ(クラーケンとギガロドンの戦い)
 「海神(うながみ)の戦い」・・・ゴルベーザ四天王(ファイナルファンタジーIV)
 【Ver.1】https://www.youtube.com/watch?v=9fBOQdbWcRY
 【Ver.2】https://www.youtube.com/watch?v=lp9KlIeA-8Y
 
 
 

       *** ギャラリー ***

       *** ギャラリー ***

 
 

☆年表 【最終戦争勃発から終結までの推移】

☆年表 【最終戦争勃発から終結までの推移】

  
  < 20XX年 >

1月3日・・・世界最大の共産主義国家「レッドリボン共和国」が支配する
       複数の自治区(チベ自治区やイーグル自治区など)において
       一斉に反乱がおこる。
       レッドリボン共和国は軍を動員し鎮圧に乗りだす。

1月5日・・・反乱軍が降伏。
       レッドリボン共和国は生き残った反乱軍の捕虜を一か所に
       集めて虐殺。事件そのものを隠ぺいしようと画策するも、衛星
       写真により世界の知るところとなる。この非人道的行為に
       対し、世界各国から非難の声が上がりはじめる。
       しかし、レッドリボン共和国のモウ・タクサン主席は事件を
       否定。この衛星写真は敵対する自由主義陣営が捏造したもので
       あり、事実無根だと主張する。

1月6日・・・虐殺を逃れて隣国の「シンシテ・キナ民国」へ亡命してきた
       反乱軍の兵士数名が証拠となる現場の映像(携帯機器で撮影
       した動画)を公開。しかし、人権意識が皆無で自らに対する
       批判や反抗を決して許さない独裁者が素直に認めるはずも
       なく、すべてシンシテ・キナ民国のでっち上げであると苦し
       い言い訳をする。

1月9日・・・レッドリボン共和国、ヘベレケ連邦共和国、ナンチャッテ
       民主主義人民共和国が三国同盟を結ぶ。
       これら三国の無知で好戦的な独裁者たちは精神年齢が一桁
       で止まっているため対話が不可能であり、ゆえに周辺国との
       政治問題はすべて暴力(武力と脅迫)で解決していた(国家
       というより某世紀末マンガに登場する野盗集団そのもの
       だった)。
       なお、日本国ではレッドリボンやナンチャッテ、キャンドル
       アイランドのスパイが蔓延っており、違法献金で政治家を
       買収して間接的に政治に介入(内政干渉)していた(じつは
       党首を含め党員すべてがスパイという政党も存在する)。
       また、権謀術数が得意な彼らは手練手管を弄してほぼすべて
       のマスコミを便衣兵などのスパイ集団によって組織ごと
       乗っ取り、露骨な印象操作や世論誘導で政治や経済を混乱
       させていた。

1月13日・・・レッドリボン共和国の国境線内にシンシテ・キナ民国の
        戦闘機が一機、墜落する。レッドリボン共和国は、この
        戦闘機が領空侵犯したため撃墜したと発表。しかし、シン
        シテ・キナ民国は自国の戦闘機が撃墜されたという事実は
        ないと否定。
        ところが、レッドリボン共和国のモウ・タクサン主席は
        この行為を宣戦布告と認定。シンシテ・キナ民国に対し
        軍事行動を開始する。

1月14日・・・戦闘機撃墜事件はレッドリボン共和国によるでっち上げで
        あることが判明(開戦のための口実)。
        世界の民主主義国家はレッドリボン共和国を批判し、すみ
        やかに戦闘を停止するよう呼びかける。しかし、レッド
        リボン共和国は「これは自衛戦争である」と侵略行為を
        正当化。もはや対話による平和的解決は不可能だった。

1月15日・・・日本国においてスパイの取り締まりが強化される。
        なお、すべてのマスコミは一度解体して刷新
        された(公平公正な報道理念を徹底させた)。

1月27日・・・共産主義陣営のスナック人民共和国で反乱。大統領の
        ゲーシャ・ドブロクスキーが退陣に追い込まれる。

1月30日・・・スナック人民共和国で新政権が誕生。シラフ・ゲコノビッチ
        が大統領に就任。専制主義から民主主義へ移行し、国号も
        スナック共和国に改称。

2月4日・・・ヘベレケ連邦共和国がスナック共和国に侵攻を開始。国境付近
       の村や町を次々と襲い、民間人を無差別に虐殺する。

2月7日・・・ナンチャッテ民主主義人民共和国のチン・ピラーダ総書記が
       持病の悪化により国政をはなれる。彼の病状が改善するまでの
       間、一時的にイ・チャモンが代行を務めることとなる(国政
       全般にわたり委任統治する)。
       チャモンは二年まえに病死したチン・ピラダ総書記の側近
       「イ・カクサイ」の長女であった。

2月9日・・・自由主義陣営のトラブルメーカー「キャンドルアイランド」の
       ミサイル駆逐艦がナンチャッテの領海内で不審船と秘かに
       接触。おそらくナンチャッテに武器弾薬や核兵器の材料などを
       横流ししていたものと思われるが、そこへ運悪く一機の航空機
       が飛来。テロ支援国家であるナンチャッテとの抜け荷の現場を
       目撃されたミサイル艦の艦長はパニックに陥り、火器管制レー
       ダーを照射して威嚇し、航空機を追い払うよう乗員に指示を出
       した。
       ところが、さらに運が悪いことに、その航空機はオーベイ合衆
       国のエアフォース・ワンであることが判明。ミサイル艦はナン
       チャッテの不審船と共に護衛の戦闘機から反撃を受けて撃沈さ
       れた。
       この事態を重く見たオーベイ合衆国は同盟を解消する旨を
       キャンドルアイランドに通告した。

2月12日・・・キャンドルアイランドの独裁者ジャドー・ムーン大統領が
        「創世王(そうせいおう)」を名乗り、共産主義陣営に寝返る。
        なお、ムーン大統領は念願の共産主義陣営に仲間入りした
        ものの、ほかの共産国からは同盟を拒否された模様。

2月15日・・・キャンドルアイランドのムーン大統領、ホットラインを
        使ってイ・チャモンをデートに誘うが話の途中で電話を
        切られる。

2月19日・・・ムーン大統領、こんどはイ・チャモンに高級外車を
        献上し、熱い秋波を送る(ちなみに助手席側のシートは
        取り外されており、代わりにムーン大統領を模した等身大
        の銅像が搭載されている。むろん、この銅像はシャシと
        一体構造になっているので取り外しは不可能だった)。
        じつは、ムーン大統領は以前からイ・チャモンに好意を
        寄せており、いずれキャンドルアイランドを手中に収めた
        暁には(きさき)に迎えようと秘かに企んでいたらしい。そして
        彼は、彼女との縁談を進めるきっかけとして高級外車を
        贈ったのである。

2月20日・・・ナンチャッテ民主主義人民共和国のイ・チャモンから
        ムーン大統領宛てに返礼品(小包)が届く。中身はUSB
        メモリがひとつだけで、手紙などのメッセージは添えら
        れていなかった。そのUSBメモリには新型戦車の射撃
        訓練の様子が記録された動画が保存されていた。しかも
        的として使われているのは、見覚えのある一台の高級
        外車であった。
        なお、初弾は助手席に命中した模様。

2月21日・・・キャンドルアイランドでクーデター。
        以前からナンチャッテのスパイとウワサのあったムーン
        大統領が秘書兼愛人の「リ・フジン」と共に逮捕される。
        ムーン大統領は外交や軍事に関する重要な国家機密を
        ナンチャッテに提供していただけでなく、頻繁に公金を
        使い込んでいたことが判明(イ・チャモンに献上した
        高級外車など)。さらに自国をナンチャッテに明け渡す
        計画(ナンチャッテ主導で併合)まで企てていたことが
        明らかになった。
        なお、大統領不在の間はキン・ボッキ首相が臨時に大統
        領権限を代行する。

2月24日・・・ナンチャッテ民主主義人民共和国のチン・ピラーダ総書記
        が国政に復帰。

2月25日・・・ナンチャッテの国境警備隊が空爆を受け、兵士数名が死傷
        する。ナンチャッテ側はこれをキャンドルアイランド軍の
        攻撃によるものと主張し、同国への侵攻を開始。国境付近
        を防衛するキャンドルアイランド主力部隊は不意を突かれ
        てパニックに陥り潰走。
        ナンチャッテ軍は進撃開始から半日たらずでプンスカ工業
        地区を制圧。
        さらにキャンドルアイランド北東部のフジュンナ地方最大
        の都市「ゾゾ」を占領した。
        なお、ナンチャッテ軍国境警備隊への空爆は自作自演、
        つまり侵攻を正当化するための口実であった。

2月26日・・・破竹の勢いで進撃をつづけるナンチャッテ軍はキレル川を
        渡河し、ついに首都「ゴルゴムシティ」の北七キロにまで
        迫る。

2月27日・・・ナンチャッテ軍、ゴルゴムシティを制圧。もともとひとつ
        の国であった両国はナンチャッテの勝利という形で統一を
        果たし、国号も「大ナンチャッテ帝国」に改称。
        この日をもってキャンドルアイランドは事実上消滅した。
        ちなみにキン・ボッキ首相はナンチャッテの情報工作部隊
        隊長「キン・インポ」の弟だった(ムーン大統領と同じく
        ナンチャッテのスパイだった)。

3月1日・・・共産連合軍と自由主義同盟軍の戦闘は拡大の一途をたどり、
       中立を保っている第三国にも被害が及びはじめる。
       事態を重く見た自由主義陣営各国は、共産主義陣営各国に
       対し挙兵を決断。第三次世界大戦が勃発する(共産主義陣営
       と自由主義陣営の全面戦争)。
       日本国は中立の立場を維持しつつも領海内において海上戦力
       を展開し、警戒態勢を整える。
       二年まえに横須賀の造船所で起工した空母「やまと」の建造
       はつづけられる(進捗(しんちょく)率70パーセント)。

3月2日・・・ナンチャッテ軍、キャンドルアイランド軍の捕虜および逮捕
       した反体制活動家をナンチャッテの首都「フグリ」郊外の
       ゲドー収容所に移送。
       なお、ムーン元大統領は二重スパイの嫌疑をかけられ同収容
       所に収監された模様。

3月13日・・・欧州連合軍の支援を受けたスナック共和国軍がヘベレケ軍
        に反撃開始。占領された複数の地域の奪還に成功する。

4月10日・・・共産主義陣営が自由主義陣営に対して核攻撃を開始。
        この愚かな行為により、ナメック共和国のポルンガ
        自治区(長老の故郷「アジッサ村」を含む)やクメン王国
        など、多くの国や都市が一瞬にして消滅した。
        一方、核には核で反撃すると事前に警告していた自由主義
        陣営も共産主義陣営に対して核攻撃を実施。
        レッドリボン共和国はレーダーサイトやミサイル基地が集中
        する東南地区(ヒンガーナイデ省)を中心に甚大な被害を
        受ける。
        ヘベレケ連邦共和国も同様に飛行場(主に空軍基地)や軍事
        施設などが集中的に狙われ、全兵力の約四十パーセントを
        失った。
        なお、大ナンチャッテ帝国は一瞬にして消滅した。

4月12日・・・自由主義陣営と共産主義陣営の間に核兵器の使用を禁止する
        条約が締結される。

5月7日・・・日本本土に向けてレッドリボン共和国のものと思われるミサ
       イルが多数飛来。海上自衛隊のイージス艦が新型ミサイル
       「よいち」で迎撃。すべてのミサイルの撃墜に成功する。
       しかし、これを自国に対する攻撃と解釈したレッドリボン
       共和国は、日本国に対して一方的に宣戦布告を宣言。いよいよ
       日本国も戦火の渦へまき込まれることとなる(ミサイル攻撃は
       宣戦布告の口実をつくるための罠であった)。
       空母「やまと」の建造は続行(進捗率75パーセント)。

5月16日・・・シンシテ・キナ民国軍がレッドリボン南西のマフーバ海岸に
        上陸、軍港都市ポコペンを占領する。また、シンシテ・キナ
        民国の同盟国であるワトル公国軍も呼応し、レッドリボンの
        西側から進撃を開始。
        オーベイ合衆国を中心とした自由主義連合軍もレッドリボン
        最南端のキコー(ほう)に上陸。さらに空挺師団が内陸部に降下
        し、進撃ルートの確保に成功する。
        一方、スナック共和国を中心とした欧州の自由主義陣営も
        ヘベレケ連邦共和国に対し攻勢をかけ、進撃を開始する。

5月18日・・・欧州連合軍、ヘベレケ連邦のニコチン少将率いる機甲師団を
        撃破。ヘベレケ連邦北西部のコール地区を制圧。

5月20日・・・ヘベレケ連邦の同盟国「ヘリクツ人民共和国」が降伏。
        ワトル軍、国境に隣接するチベ自治区とイーグル自治区を
        開放。さらにレッドリボン西部最大の都市「ジャークシ
        ティ」を占領した。
        なお、レッドリボン西部方面軍は戦意を喪失し降伏。司令官
        のゴ・ステロ中将は指揮を放棄しヘリで基地を離れるも、
        途中で友軍の地上部隊から地対空ミサイルで誤射され撃墜。
        乗員の生存者はなく、ゴ・ステロ中将も戦死した。

5月25日・・・自由主義陣営軍、レッドリボン南部の要塞都市「アクトー
        ダ」を占領。
        シンシテ・キナ民国軍、ジャークシティでワトル軍と合流。

5月29日・・・ワトル、シンシテ・キナの両軍はビター製油所の攻略に
        成功。そのままレッドリボンの首都「レッドラム(※)」を
        目指して東進。翌三十日の夕刻までにレッドラムの西五十
        キロ地点を流れるレッドリバー(紅河(こうが))まで前進する。

5月30日・・・ロックリバー西岸のヘベレケ軍を撃破した欧州連合軍は
        攻勢軸をふたつに分け、ひとつはドライグラード近郊でナマ
        ヌルイ河を渡り、オリョーリ地区を通過し、ミンシュクを
        目指して進撃。ひとつはツラーラを通過してコーリサス地方
        を南下、ロースト油田を占領した。この作戦の目的は世界
        最大級であるロースト油田からの石油供給を断ち切ること
        で、ヘベレケ連邦の戦争継続能力に打撃を与え、降伏に追い
        込むことが狙いだった。

6月3日・・・自由主義連合軍がワトル、シンシテ・キナの両軍とレッド
       リバーで合流。

6月6日・・・レッドリバーに集結した自由主義連合軍がレッドラムを
       目指して進撃開始。

6月7日・・・自由主義連合軍、レッドラムの西三十キロに位置する工業
       都市「ブラッドシティ」でレッドリボンの精鋭部隊と遭遇。
       上陸後、もっとも激しい市街戦となる。

6月9日・・・ヘベレケ連邦の首都に近い都市「ワキガクセーエフ」で反乱。
       さらに一部のヘベレケ軍がクーデターを起こし、欧州連合軍
       に合流した。

6月10日・・・ブラッドシティにレッドリボンの増援部隊(二個師団)が
        到着。なお、軍団長はモウ・タクサン主席の長男でレッド
        リボン陸軍上級大将のモウ・ケッコー将軍であった。

6月12日・・・欧州連合軍、北部と南部からヘベレケの首都「オートラ」を
        包囲する作戦を計画(フージル作戦)。
        オートラの北方では欧州連合第三装甲軍と第四装甲軍がヘベ
        レケ連邦ググレカスカヤ方面軍と対峙し、同時に
        オートラ・サンマタベテルブルク鉄道を切断。オートラの
        南方ではトーユの南でヘベレケ西方面軍が欧州連合第二装甲
        軍と対峙している一方、欧州連合第一装甲軍は直接西から
        オートラへ進軍していた。

6月15日・・・ブラッドシティの戦いはレッドリボンが一時的に優勢を奪う
        が自由主義連合側が劣勢を巻き返す。
        それでもレッドリボンは降伏を拒み、建物一つ、部屋一つを
        奪い合う激しい市街戦はつづいていた。
        なお、これまでの戦闘でレッドリボン増援部隊の師団長
        コウ・ガクレキ大佐、そして副官のヨウ・カイエキ大尉が
        戦死。自由主義連合側もオメー・ラモダ大佐、モーシラン
        少佐、ユーカン大尉らが戦死している。

6月19日・・・ブラッドシティの市街戦が終了。この大規模な市街戦を制し
        たのは自由主義連合軍だった。しかし、自由主義連合側の
        損害も大きく、残存する戦力だけではレッドラムの攻略は
        不可能であり、増援が到着するまで一旦作戦を中断せざる
        を得なかった。
        なお、モウ・ケッコー将軍は戦闘終了後に投降し、捕虜と
        なった。

6月22日・・・ブラッドシティに自由主義連合軍の増援部隊が到着。

6月26日・・・沖縄方面にレッドリボン共和国の大艦隊が向かっている
        との情報が入る。海上自衛隊は航空機搭載型護衛艦を中心
        に部隊を編成、沖縄に向け出撃する。

6月27日・・・欧州連合軍、オートラの包囲を完了。

6月29日・・・ペガサス級航空母艦1番艦「ペガサス」が潜水艦による
        核攻撃(低出力戦術核)を受けて撃沈。護衛の艦船も
        まき込まれて全滅する。ちかくで作戦行動中のペガサス級
        3番艦「モビー・ディック」も爆風によりデッキサイド式
        エレベーターが故障するなどの被害を受ける(この数時間
        後に「ペガサス」に所属するパイロットのローザが3番艦
        「モビー・ディック」に緊急着艦)。
        これは明らかな条約違反であるが、レッドリボン共和国は核
        を使用した事実はないと否定している。
        なお、後の調査でこの潜水艦はヘベレケ連邦共和国のヴォー
        トカ級2番艦「バラライカ(艦長はゴロツキー中佐)」で
        あることが判明している。

6月30日・・・自由主義連合軍、レッドラムの包囲を完了。
        ペガサス級3番艦「モビー・ディック」が補給のため
        横須賀港へ入港する。しかし、補給中に激しい空襲を
        受け、ほとんどの乗員を地上にのこしたまま洋上へ脱出
        する(直後にチャーリーのハリアーⅡが緊急着艦)。
        戦爆混合の大編隊による激しい空襲は数時間つづき、各地域
        で甚大な被害が発生する。
        このとき、共産主義陣営がふたたび核を使うというウワサが
        一部の地域で流れ、パニックを起こした市民が港に殺到し、
        漁船や客船などで一時本土をはなれる(大五郎たちも病院船
        で本土を脱出する)。
        なお、沖縄へ向かっていたレッドリボン共和国の大艦隊は囮
        であることが判明。本土の守りが手薄になった隙に横須賀や
        呉などの自衛隊基地、そして在日オーベイ合衆国軍基地を
        攻撃するための陽動作戦であった(レッドリボン海・空軍
        最後の全力出撃)。
        また、この空爆により横須賀の造船所も被害を受けたため、
        空母「やまと」の建造は一時中断されることとなった(進捗
        率83パーセント)。

7月1日・・・マイク・サイモン大尉が「モビー・ディック」からペガサス
       級10番艦「ビッグ・ブルー」に転属。

7月2日・・・レッドリボン共和国の一部勢力がクーデターとみられる動きを
       起こし、チセツ省の第十四方面軍司令官コウ・ケツアツ陸軍
       少将(ブラッドシティで戦死したコウ・ガクレキ大佐の兄)、
       そしてナイセーカン省の第五方面軍司令官テイ・ケットー陸軍
       中将らの部隊が自由主義陣営軍に合流する。さらに「イン
       センス特別行政区」、「西の都」、「ペンギン村」、「サタン
       シティ」などで民衆が蜂起。同日夕刻、首都レッドラムの守備
       隊が降伏。各戦線のレッドリボン共和国軍は一部を除いて戦闘
       を停止し、自由主義連合軍に投降した。
       なお、モウ・タクサン主席はレッドラムを脱出。自由主義連合
       軍の降伏勧告を拒否し、レッドリボン共和国最大の拠点
       「リューケツ砦」に籠城した。

7月3日・・・自由主義陣営が大攻勢。日の出とともにリューケツ砦への
       激しい空爆がはじまる。
       一方、ヘベレケ連邦共和国の首都オートラでも欧州連合軍と
       ヘベレケ連邦軍の激しい攻防戦(市街戦)がはじまる。
       この戦闘でオートラ守備隊司令官のガーガ・ドナルブスコエ
       将軍、親衛隊長官のゲロスキー・ノマネンコ、情報参謀の
       バカーチン大佐が戦死。対する欧州連合軍も第一装甲軍第三
       師団の師団長カール・フォン・オレブレルヒト大佐、第四
       装甲軍第一師団第十五連隊の連隊長フリードリヒ・ニート
       少佐が戦死した。
       オートラに最初に突入したスナック共和国軍第五戦車大隊に
       所属するシドロ・モドロフ大尉は単独で三十両以上の敵戦闘
       車両を撃破。そして欧州連合第一装甲軍第十二戦車連隊の
       ヨーデル・ゲップマン大尉も同様に単独で五十両の敵戦闘
       車両を撃破し、大きな戦果を上げていた。
       なお、虐殺王ことシッチャカ・メッチャカ大統領は秘密の
       地下トンネルからオートラを脱出し、事前に用意していた
       大型の軍用ヘリで港へ向かい、そこから大統領専用の艦艇に
       移乗して国外へ逃亡した模様(逃亡先は不明)。
       大五郎たちの病院船が潜水艦(ヘベレケ連邦共和国のハング
       オーバー級4番艦「ニコラシカ」と思われる)の魚雷攻撃を
       受けて撃沈される。
       大五郎たちは空母「モビー・ディック」に救助される。
       トーゴー、サメに食われる。

7月4日・・・レッドリボン、ヘベレケの両国が無条件降伏(第三次世界
       大戦終結)。
       なお、モウ・タクサン主席は敗北直前にリューケツ砦を脱出。
       しかし、そこへ絶妙のタイミングで寿命を終えたレッドリボン
       の軍事衛星が制御不能な状態で地球に落下し、燃え残った残骸
       が彼の搭乗する軍用ヘリを直撃。敵のミサイルではなく自国で
       打ち上げた〝粗大ゴミ〟に撃墜されるという、なんとも皮肉な
       最期を迎えたモウ・タクサン主席なのであった。

7月5日・・・チャーリー、星になる。

7月6日・・・スミスじいさん、マリアナの海に散る。
       ムツゴロー、サメに食われる。

7月7日・・・トリトン現る。
       ガーランド・ブラウン、サメに食われる(早朝)。

7月9日・・・大統領(自称)、サメに食われる。
       なお、ハリーの証言によれば、この人物はヘベレケ連邦共和
       国のシッチャカ・メッチャカ大統領によく似ていたとの
       こと。

7月10日・・・トリトン、空母「モビー・ディック」をピンチから救い
        出す。

7月11日・・・謎のモヒカン軍団現る。ヨシオ、モヒカン軍団のボスで
        あるスネークからチキンレースの挑戦を受ける。
        ランボー(ゴロツキ)、サメに食われる。

7月12日・・・空母「モビー・ディック」にてチキンレース開催。
        なお、スネークはサメに食われた模様。

7月13日・・・長老、切れ痔になる。

7月17日・・・ハリー、エキストラを卒業する。

7月18日・・・ジュリアス、玉砕ス。

7月21日・・・ポーキー、星になる。

7月23日・・・大五郎たちが軍の補給艦に救助される。
        ヨシオは自分の運命を見極めるため、ひとり
        「モビー・ディック」に残り、旅立っていった。


 ※・・・・・「レッドラム」をローマ字に直す(REDRUM)。
       そして逆から読むと・・・
 
 *空母「モビー・ディック」の初陣(3月1日の戦闘)
  https://www.youtube.com/watch?v=6uFmZxjK-X0(英語版)
  https://www.youtube.com/watch?v=PHPacPurDUU(日本語版)
 
 *おまけ(独裁者の挽歌)
 【地球は赤かった】・・・・・デストロン讃歌
  https://www.youtube.com/watch?v=b7usewDkdr0
 
 

☆ペガサス級航空母艦 3番艦「モビー・ディック」

☆ペガサス級航空母艦 3番艦「モビー・ディック」

 大五郎たちが乗っていた空母(オーベイ合衆国海軍所属)。
 本作に登場したペガサス級航空母艦3番艦「モビー・ディック(伝説の白い巨鯨)」の外観は、上の写真の「ロナルド・レーガン(CVN-76)」によく似ている。乗員からは「モカ・ディック」とも呼ばれていた。ペガサス級はネームシップのCVN-86「ペガサス」からCVN-95「ビッグ・ブルー(シロナガスクジラ)」までの計10隻が建造されている。また、艦首に3基のカタパルトを装備したCVN-96「ロナルド・マクドナルド」も建造中であったが、けっきょく本大戦には間にあわなかった。なお、ロナルド・マクドナルド級はオーベイ合衆国と日本国、そしてダイエー連合王国の共同開発であるため、ブリッジの形状以外は共通のデザインになっており、海上自衛隊は「やまと型」、ダイエー連合王国海軍は「キング・アーサー級」で、それぞれ二隻ずつ建造予定である。
 ペガサス級3番艦「モビー・ディック」は大五郎たちを救助した直後に潜水艦の攻撃を受け、航行不能に陥った(このとき、艦長のC・パイク大佐は戦死している)。艦載機は主にF/A-18戦闘機であるが、すでにそのほとんどを失っていた。甲板に残されたわずかな機体も、潜水艦のミサイル攻撃によりすべて飛行不能に陥った(のちに一機のみ無傷であることが確認されたが、けっきょくトーマスじいさんが壊してしまった)。
 エピソード「死闘! 海上決戦!!」にて、ヨシオが「核爆発の影響で無線の調子がわるい」と言っていたが、実際の空母や戦闘機などの軍事兵器や軍事施設には、ある程度の核爆発対策が施されているので、ほとんど核爆発の影響は受けないようである。したがって、彼らが乗る空母の無線が通じなかったのは、核爆発の影響ではなく潜水艦によるミサイル攻撃のダメージ(ブリッジ上部にあるアンテナが失われたこと)が原因ではないかと思われる。
 設定自体はオフィシャルだが、作中で艦名および艦長名などは、いちども登場していない。
 
 
 < ペガサス級航空母艦 >

【1番艦】
 *CVN-86「ペガサス」
  ・デッキサイド式エレベーター:計4基(艦首右舷に2基、後部右舷・左
                     舷に1基ずつ)
  ・カタパルト:蒸気式(艦首に2基、左舷後方に2基の計4基)
  ・艦長:パオロ大佐(戦死)
      この「ペガサス」はローザが所属していた艦である。
      最終戦争末期に潜水艦の対艦ミサイル攻撃(核弾頭搭載型)を
      受け、部隊ごと消滅した。幸い、このときローザは沖縄の嘉手納
      空軍基地にいたので無事だった(作戦行動中に被弾して緊急着陸
      していた)。


【2番艦】
 *CVN-87「ホワイトビーチ」
  ・デッキサイド式エレベーター:計4基(艦首右舷に2基、後部右舷・左
                     舷に1基ずつ)
  ・カタパルト:蒸気式(艦首に2基、左舷後方に2基の計4基)
  ・艦長:ブライト大佐


【3番艦】
 *CVN-88「モビー・ディック(伝説の白い巨鯨)」
  ・デッキサイド式エレベーター:計4基(艦首右舷に2基、後部右舷・左
                     舷に1基ずつ)
  ・カタパルト:蒸気式(艦首に2基、左舷後方に2基の計4基)
  ・艦長:C・パイク大佐(戦死)
      大五郎たちを救助した直後に戦死する(作中には登場しない)。
      この「モビー・ディック」は蒸気式カタパルトを採用した最後
      の空母である(以降の艦からは電磁式が主流となる)。
      本編では大五郎たちを救助した直後、ブリッジと舵(スクリュー
      など)に被弾し操艦不能に陥る。さらにカタパルトの圧力装置
      にもダメージを受け、4基あるカタパルトはすべて使用不能と
      なる(のちにマルコとルチオによって修復される)。


【4番艦】
 *CVN-89「ノーファル(イッカク)」
  ・デッキサイド式エレベーター:計4基(艦首右舷に2基、後部右舷・左
                     舷に1基ずつ)
  ・カタパルト:電磁式(艦首に2基、左舷後方に2基の計4基)
  ・艦長:クルーガー大佐


【5番艦】
 *CVN-90「グランパス(シャチ)」
  ・デッキサイド式エレベーター:計4基(艦首右舷に2基、後部右舷・左
                     舷に1基ずつ)
  ・カタパルト:電磁式(艦首に2基、左舷後方に2基の計4基)
  ・艦長:マーシュフィールド大佐(黒人)


【6番艦】
 *CVN-91「ホークスビル(タイマイ)」
  ・デッキサイド式エレベーター:計4基(艦首右舷に2基、後部右舷・左
                     舷に1基ずつ)
  ・カタパルト:電磁式(艦首に2基、左舷後方に2基の計4基)
  ・艦長:ジャーディアン大佐
      ニックネームは「ポパイ」である(ポパイにそっくりなため)。

【7番艦】
 *CVN-92「レガレクス(リュウグウノツカイ)」
  ・デッキサイド式エレベーター:計4基(艦首右舷に2基、後部右舷・左
                     舷に1基ずつ)
  ・カタパルト:電磁式(艦首に2基、左舷後方に2基の計4基)
  ・艦長:レアリー大佐(ペガサス級では唯一の女性艦長)


【8番艦】
 *CVN-93「スティングレイ(アカエイ)」
  ・デッキサイド式エレベーター:計4基(艦首右舷に2基、後部右舷・左
                     舷に1基ずつ)
  ・カタパルト:電磁式(艦首に2基、左舷後方に2基の計4基)
  ・艦長:イーランド大佐


【9番艦】
 *CVN-94「カシャロット(マッコウクジラ)」
  ・デッキサイド式エレベーター:計4基(艦首右舷に2基、後部右舷・左
                     舷に1基ずつ)
  ・カタパルト:電磁式(艦首に2基、左舷後方に2基の計4基)
  ・艦長:アンダーセン大佐


【10番艦】
 *CVN-95「ビッグ・ブルー(シロナガスクジラ)」
  ・デッキサイド式エレベーター:計4基(艦首右舷に2基、後部右舷・左
                     舷に1基ずつ)
  ・カタパルト:電磁式(艦首に2基、左舷後方に2基の計4基)
  ・艦長:ミッチェル大佐
 
 
 < ロナルド・マクドナルド級航空母艦 >
 
【1番艦】
 *CVN-96「ロナルド・マクドナルド」
  ・所属:オーベイ合衆国海軍
  ・デッキサイド式エレベーター:計7基(艦首右舷に3基、後部右舷・左
                     舷に2基ずつ)
  ・カタパルト:電磁式(艦首に3基、左舷後方に2基の計5基)
   開戦直前に起工、未完成のまま終戦を迎える(戦後に完成)。
   ちなみにロナルド・マクドナルド級は「ビッグマック級」とも呼ばれて
   いる。


【2番艦】(起工予定)
 *CVN-97「カーネル・サンダース」
  ・所属:オーベイ合衆国海軍
  ・デッキサイド式エレベーター:計7基(艦首右舷に3基、後部右舷・左
                     舷に2基ずつ)
  ・カタパルト:電磁式(艦首に3基、左舷後方に2基の計5基)
 
 
 < キング・アーサー級航空母艦 >
 
【1番艦】
 *キング・アーサー
  ・所属:ダイエー連合王国海軍
  ・デッキサイド式エレベーター:計7基(艦首右舷に3基、後部右舷・左
                     舷に2基ずつ)
  ・カタパルト:電磁式(艦首に3基、左舷後方に2基の計5基)
   開戦直前に起工、未完成のまま終戦を迎える(戦後に完成)。


【2番艦】(起工予定)
 *アルビオン(ブリテン島の古名)
  ・所属:ダイエー連合王国海軍
  ・デッキサイド式エレベーター:計7基(艦首右舷に3基、後部右舷・左
                     舷に2基ずつ)
  ・カタパルト:電磁式(艦首に3基、左舷後方に2基の計5基)
 
   ※艦名や艦長は設定のみで、本編には登場しません!
 
 

☆病院船

☆病院船

 大五郎やハリー、長老らが最初に乗っていた病院船。ただ、どこへ向かって航行していたのか具体的に語られるシーンなど作中には登場しないが、おそらくハワイへ向かっていたのではないかと思われる。
 マリアナ海域にて潜水艦に遭遇、魚雷攻撃を受けて沈没した。
 ちなみに、本作に登場した病院船は若干小さめに設定してあるので、上の写真のものほど大きくはない。
 

☆ヨシオの服装 

☆ヨシオの服装 

 ヨシオの服装はいつもおなじで、つねにカタパルトオフィサーのイエロージャケット、そしてヘルメットを身につけている(上の画像のような格好)。
 なお、小説版ではメガネをかけているが、実写版(?!)では上の画像のようなゴーグル姿で登場している(いずれもヘッドフォンはつけたままである)。
 彼がなぜそのような格好をしているのかはわからないが、その姿はどことなくロッ〇マンにそっくりである(笑)。

☆大五郎の服(1)

☆大五郎の服(1)

 大五郎のTシャツ。
 柄は「キャッ()忍伝(にんでん)てやんでえ」である(作中では描写してません!)。

 余談だが、空母に救助された避難民のなかに、腕に「キャッ党忍伝てやんでえ」のタトゥーを入れた若い女性がいたらしい(大五郎が目撃している)。ひょっとしたら、その女性はモデルのルビー・ローズだったのかもしれない。
 

☆大五郎の服(2)

☆大五郎の服(2)

 こちらはエピソード「ばるす!」、「死闘! 海上決戦!!」のみで着用(作中では描写していません!)。
 

☆大五郎の服(3)

☆大五郎の服(3)

 こちらはエピソード「蒼穹の騎士」、「トリトン」のみで着用(作中では描写してません!)。
 

☆大五郎の服(4)

☆大五郎の服(4)

 こちらはエピソード「13日は何曜日?!」のみで着用(作中では描写してません!)。
 

☆大五郎の服(5)

☆大五郎の服(5)

 こちらはエピソード「エキストラにさようなら」のみで着用(作中では描写してません!)。
 

☆大五郎の服(6)

☆大五郎の服(6)

 こちらはエピソード「紅の棺」のみで着用(作中では描写してません!)。
 

☆大五郎の服(7)

☆大五郎の服(7)

 こちらは「最終回スペシャル」のみで着用(作中では描写してません!)。
 

☆大五郎の服(8)

☆大五郎の服(8)

 こちらはパイロット版のみで着用(作中では描写してません!)。
 

☆コバヤシのTシャツ

☆コバヤシのTシャツ

 初登場から最終回までコバヤシが着ていたTシャツ(作中では描写していません!)

☆ニャゴキング

☆ニャゴキング

 大五郎の気に入っていたおもちゃ。
 横須賀港へ向かう途中に紛失した(作中では描写していません!)。
 

☆はっけよい! ねこ力士

☆はっけよい! ねこ力士

 大五郎がいつもポケットに入れて持ち歩いてる猫のおもちゃ(作中では描写していません!)。
 ちなみに大五郎より「太刀風(たちかぜ)」という四股名を命名されたらしい(笑)。
 

☆コンボイ司令官

☆コンボイ司令官

 大五郎のおもちゃ。
 エピソード「ばるす!」、「あの夕陽が憎い」、「13日は何曜日?!」などに登場。
 人型からトレーラートラック形態に変形する。大五郎は「いぼんこ」と呼んでいる(逆から読んでみてね!)。
 

☆エージェント ナイト

☆エージェント ナイト

 大五郎のおもちゃ。
 コンボイ司令官の部下。ポンティアック・ファイヤーバード・トランザム(ナイト2000)に変形する。
 作中には登場しなかったが、じつはコンボイのコンテナの中でずっと待機していた。

☆メガトロン

☆メガトロン

 エピソード「ばるす!」に登場した大五郎のおもちゃ。
 人型から拳銃形態に変形する。
 大五郎の手によってマリアナの海の底に沈められてしまった。
 

☆キングゴジュラス

☆キングゴジュラス

 医務室の九郎のデスクの上に飾ってある電池で動くおもちゃ(作中では描写していない)。
 もともとは大五郎が艦内の娯楽室で見つけたものだが、咆哮音(スーパーサウンドブラスター)が超うるさいのでお気に召さなかったらしい(笑)。
 

☆ゲリンジャーS

☆ゲリンジャーS

 エピソード「13日は何曜日?!」にて長老の肛門を爆発させたプロ用の下剤。
 見た目や色はロキソニンによく似ている(大きさもおなじ)。
 服用してから効果があらわれるまでの時間は通常の下剤(酸化マグネシウムなど)とほぼおなじだが、その威力はすさまじく、肛門はおろか便器すら破壊(爆破)してしまうほどである。
 いったん服用したが最後、たとえロペミンなどの下痢止めでも決壊をはじめた腸を修復することは不可能である。むしろ下痢止めは逆効果で、町内もとい腸内マラソン状態になってしまうらしい(下痢だけにゲリラ豪雨状態になる)。
 とくに副作用はないが、まちがいなく〝切れ痔〟になるので使用の際はそれなりの覚悟が必要であります!
 

☆タマランY ゴールド 

☆タマランY ゴールド 

 エピソード「紅の棺」にてジュリアスが使用した薬。
 ジュリアスの依頼により、ブラック・ジョークこと羽佐間九郎が特別に調合したものである。服用すると股間(睾丸)がダイヤモンドのように硬くなるらしいが、作中で効果が確認されることはなかった(効果は永久的に持続する予定であった)。
 なお、効果が表れるまでには最低でも1時間ほどかかるので、使用の際は注意が必要である(九郎はそのことをジュリアスに説明するのをうっかり忘れていた)。
 

☆オオザロイドDⅩ

☆オオザロイドDⅩ

 エピソード「死闘! 海上決戦!!」にて九郎がポーキーに使った薬。サイヤ人のホルモン成分などから作られているらしい。
 この薬を使用した者は、まるで大猿のように体が巨大化し、理性が完全に失われる。
 なお、効果は永久的に持続するため、使用の際はそれなりの覚悟が必要である。
 

☆シャトル 

☆シャトル 

 シャトル・スプレッター。航空機の前脚部分にある射出バー(ローンチ・バー)を接続させる場所。
 エピソード「紅の棺」にてジュリアスの股間に噛みついた。
 

☆トレール・バー 

☆トレール・バー 

 前脚のうしろの部分に取りつける保持棒。
 機体を射出時まで拘束しておくためのストッパーのようなもの。ホールド・バック・バーとも言う。
 本編ではエピソード「ばるす!」にモヒカンたちの凶器として登場(チャプター2の冒頭)。ただし、作中では「長さ百センチほどの白い鉄パイプ」という表現のみで、正式な名称では呼ばれていない。
 

☆デッキサイド式エレベーター

☆デッキサイド式エレベーター

 艦首右舷(うげん)(ブリッジ前方)に2基、後部右舷・左舷(さげん)に各1基ずつ装備する。
 本編では主に左舷後部のものを使用していた。
 なお、モビー・ディックの艦首右舷のエレベーターは空母「ペガサス」が核攻撃を受けたときの爆風で破損していた(作中では故障の原因についての説明や描写は一切ない)。

 【!】太平洋、血に染めて(3)・第三話「黒い背ビレ」のチャプター2の
    「甲板の淵の足場にあるエレベーターを動かすための操作盤」です
    が、これは作者のオリジナル設定でございます。そこまで野良猫は
    空母に詳しくありませんので「エレベーターの操作方法がちがう」
    とか、そういうツッコミはご遠慮くださいませ!!
 

☆縄梯子

☆縄梯子

 エピソード「太平洋、血に染まる!」にて大五郎たちの救助に使用された縄梯子。
 作中では描写していないが、潜水艦の攻撃を受けたときに焼失してしまった。
 

☆格納庫

☆格納庫

 艦尾側から。
 作中では左側のエレベーター用の搬出入口の右脇(格納庫内部から見て)に大五郎が遊んでいた戦闘機の残骸(コクピットの部分のみ)が転がっていた。
 

☆統合カタパルト管制室 

☆統合カタパルト管制室 

 空母の艦首部分、二本のカタパルトラインの間にある構造物で、航空機の発艦作業を行う場所である(半地下になっている)。普段使用しないときは甲板の下に収容されている。
 なお、この位置に管制室(バブル)があるのはモビー・ディックが最後で、以降の艦からはブリッジ内に設置されるようになった(ロナルド・マクドナルド級、キング・アーサー級、やまと型もブリッジ内に設置されている)。
 

☆トーイングトラクター(トーイングカー)

☆トーイングトラクター(トーイングカー)

 エピソード「ばるす!」、「死闘! 海上決戦!!」、「大五郎の思い出」に登場。
 最大速度は三十キロ程度。航空機を駐機場まで運ぶための車両である。
 プッシュバックとも言う。
 

☆マクドネル・ダグラス AV-8BハリアーII

☆マクドネル・ダグラス AV-8BハリアーII

 チャーリーが乗っていた戦闘機。垂直離着陸が可能。
 

☆マクドネル・ダグラス F/A-18戦闘攻撃機 

☆マクドネル・ダグラス F/A-18戦闘攻撃機 

 空母「モビー・ディック」の艦載機で、通称〝ホーネット〟と呼ばれるマルチファイター。
 本編ではローザやチャーリー(マイク・サイモンから譲り受けた機体)の乗機として登場した(いずれも大破もしくは故障していた)。
 

☆F/A-18E マイク・サイモン仕様

☆F/A-18E マイク・サイモン仕様

 尾翼にラビットヘッドがマーキングされたマイク・サイモン大尉の旧搭乗機。
 のちに風間のパーソナルマーク(炎の鬣のユニコーン)と交換した。
 

☆ルイス・アンド・クラーク級貨物弾薬補給艦

☆ルイス・アンド・クラーク級貨物弾薬補給艦

 最終回に登場した補給艦。
 本艦と同型の補給艦一隻のほか、四隻のズムウォルト級ミサイル駆逐艦とサン・アントニオ級ドック型輸送揚陸艦が一隻の計七隻で航行中に空母「モビー・ディック」を発見する。
 なお、作中では単に「輸送船」と語られるだけで、(ふね)の種類や数までは明らかにされていない。
 ちなみに、この二隻のルイス・アンド・クラーク級は二番艦の「T-AKE-2 サカガウィア」、六番艦の「T-AKE-6 アメリア・イアハート」である。
 
 
 

     *** 幻の空母「やまと」 ***

     *** 幻の空母「やまと」 ***

【やまと型航空母艦】

 海上自衛隊としては初となる原子力空母。
 カタパルトは蒸気式ではなく電磁式を採用。
 本艦のブリッジ(艦橋)は旧日本海軍の戦艦「大和」のそれに酷似しており、他に類を見ないものとなっている。
 本艦は「ロナルド・マクドナルド級」および「キング・アーサー級」とブリッジ以外は共通の設計になっている〈ただし電磁式カタパルトは日本独自に開発を進めている改良型を装備する予定)。
 大きなトラブルもなく順調に建造は進んでいたが、進捗率83パーセントのところで最終戦争が勃発し、一時中断。けっきょく完成しないまま終戦を迎えることになった(艦橋は完成していた)。
 なお、沖田(おきた)重造(じゅうぞう)1等海佐が初代艦長として着任することが正式に決定していた。
 ちなみに本艦の設計には沖田艦長も携わっている(艦橋のみ)。
 また、「やまと」を中心とした空母打撃軍の編成も計画されていたようで、その主力となる新型ステルス護衛艦「むさし型」はすでに就役しており、最終戦争では大陸間弾道ミサイルの迎撃など、本土防衛の任務に従事した。ほかにも「はんぞう型」といった新型潜水艦や「まさむね型」汎用護衛艦なども活躍している。
 
 
 
    < 各艦データ >
 
 艦名は1番艦の「やまと」が旧国名、2番艦の「りゅうじん」は海神(わだつみ)(龍
 神)に由来する。

 1番艦「やまと」は最終戦争が終結した次の年(夏)に竣工(しゅんこう)

 *1番艦「やまと(大和)」
  ・カタパルト:電磁式(艦首に3基、左舷後方に2基の計5基)
  ・デッキサイド式エレベーター:計7基(艦首右舷に3基、後部右舷・左
                     舷に2基ずつ)
  ・所属:横須賀基地
  ・艦長:沖田(おきた)重造(じゅうぞう)1等海佐(五十七歳)
      最終戦争当時は「やまと」の完成が間に合わなかったため、
      りゅうおう型航空機搭載護衛艦3番艦「てんま」の艦長として
      参戦している。  


 *2番艦「りゅうじん(龍神)」(呉造船所にて起工予定)
  ・カタパルト:電磁式(艦首に3基、左舷後方に2基の計5基)
  ・デッキサイド式エレベーター:計7基(艦首右舷に3基、後部右舷・左
                     舷に2基ずつ)
  ・所属:呉基地(予定)
  ・艦長:(未定)

 ※やまと型航空母艦は「やまと」「りゅうじん」の2隻のみで、2番艦以降
  は建造される予定はなかった。
  なお、最終戦争後に自衛隊は国防軍に改組された。



【空母航空団】
 空母「やまと」所属の航空団。
 第01~08までの8部隊で構成される(2部隊ずつ3ヵ月交代で勤務
                    する)。
 
  〈 部隊編成 〉

 *早期警戒飛行隊
  ・E-2C

 *対潜ヘリコプター飛行隊
  ・MV/SA-40J「海猫」
  ・SH-60改

 *艦載輸送飛行隊分遣隊
  ・C-2(R)

 *電子攻撃飛行隊
  ・EA-18GJ

 *戦闘攻撃飛行隊
  ・F/A-18J
  ・F-35CJ(航空機搭載護衛艦ではB型を運用している)
  ・F-0(F/A-18Jに代わる主力機として配備予定)



  〈 試作・計画兵器 〉

【F-0 ステルス戦闘攻撃機】
 やまと型航空母艦に配備する目的で計画された艦載機。
 F/A-18戦闘攻撃機とおなじく対地・対空攻撃に優れたマルチファイター
 で、単座型のF-0A、複座型のF-0Bの二種類が計画された。
 先進技術実証機「X-2」の改良型で、外観は100式空間偵察機とF-22
 を足して2で割ったようなデザインである(もちろん沖田艦長も設計にかか
 わっている)。
 開発は順調に進められ、試作機「XF-0A」が完成(1機のみ)。しかし、
 直後に最終戦争が勃発し、計画は一時中断される(最終戦争終結後に量産さ
 れた)。
 また、少子化などの影響で自衛官の確保が困難になってきたため、AI搭載
 型の無人戦闘機「ヤタガラス」の開発もすすめられていた(航空自衛隊仕様
 が「AIF-01A」、海上自衛隊の艦載機仕様が「AIF-01M」)。
 さらに、将来的には陸・海・空の各自衛隊が装備するすべての有人兵器を
 AI化する計画も検討されていた。
 ちなみに、やまと型航空母艦1番艦「やまと」及び2番艦「りゅうじん」に
 も試験的にAIシステムを導入することが決定していた(主に自動操縦シス
 テムなど)。
 ただ、実際にそういったAI兵器が登場すれば、戦場で生身の人間同士が
 戦わなくて済むというメリットがある一方、戦争に対する抵抗感が薄れる
 危険性もあるため(武力行使のハードルを下げてしまう)、防衛省内でも
 否定的な意見が多かった。もともと自衛隊内でもAI兵器には懐疑的で、
 とくに沖田艦長に至っては「カラクリなんぞに国防を任せられるか」と
 鼻先で笑い飛ばし、まるで取り合わなかったという。
 
 
【FFRS-015M ふうじん/FFRS-015G らいじん】
 アグスタウェストランド社製の電気モーターを動力源とするティルト
 ローター技術実証機「プロジェクトゼロ」を参考に設計された無人偵察機
 で、M型の「ふうじん」が海上自衛隊仕様、G型の「らいじん」が陸上
 自衛隊仕様となっている。
 主翼中央にダクテッドファン(左右の翼に一基ずつ)を装備する点は「プロ
 ジェクトゼロ」とおなじだが、この「ふうじん/らいじん」にはブレード
 (プロペラ)がなく、エアマルチプライアーの技術を応用した推進装置に
 よって飛行する。
 M型、G型の試作機がそれぞれ一機ずつ作られ、テスト飛行にも成功。
 しかし、最終戦争が勃発したため量産されることはなかった。
 
 
【SH-60改】
 空間汎用輸送機SC97「コスモシーガル」をイメージしてデザインされた
 ヘリコプター。
 
 
【MV/SA-40J(海猫)】
 MV/SA-32J「海鳥」(※)の後継機で、ティルトウイング方式を
 採用した最新鋭の垂直離着陸機(対潜哨戒機)。
 MV/SA-33J~MV/SA-40Jまでの計8機の設計案から
 MV/SA-38J、MV/SA-40Jの2機が実際に試作され、最終的に
 MV/SA-40Jが採用された。
 主に航空機搭載型護衛艦などに配備された。
 なお、本機のデザインはベル・ヘリコプター社製の
 「ベル イーグル・アイ」の影響を強く受けている。

  ※かわぐちかいじの漫画「ジパング」に登場する架空の兵器。
 
 
     *   *   *   *   *
 
 
     〈 最終戦争時の主力部隊編成 〉

 ☆自衛艦隊司令官(海上幕僚長)
  日下(ひのした)開山(かいざん)(五十八歳)

【りゅうおう型航空機搭載護衛艦(軽空母)】
 艦名はそれぞれ将棋の駒に由来する。

 *1番艦「りゅうおう(竜王)」
   艦長:勝津(かつ)怪舟(かいしゅう)1等海佐(五十三歳)

 *2番艦「りゅうま(竜馬)」
   艦長:明田(あけた)徹夜(てつや)1等海佐(五十三歳)

 *3番艦「てんま(天馬)」
   艦長:沖田(おきた)重造(じゅうぞう)1等海佐(五十七歳)

 *4番艦「ふうま(風馬)」
   艦長:桐子(きりこ)久兵衛(きゅうべい)1等海佐(五十四歳)

 *5番艦「みょうじん(猫刄)」
   艦長:村雨(むらさめ)船十郎(せんじゅうろう)1等海佐(五十歳)

 *6番艦「ひよう(飛鷹)」
   艦長:松島(まつしま)めぐみ1等海佐(四十歳)
      この「ひよう」には艦載機仕様にカスタマイズされた漆黒カラー
      の松島艦長専用機F-15JⅡMS「ストーム・イーグル」も
      搭載している(MSは松島スペシャルの意)。
      この機体は「F-15 S/MTD」を改良したもので、F-22
      とおなじ平板型の推力偏向ノズルを採用しており、通常のF-15
      とは機体の形状が大きく異なっている(見た目は機動警察パト
      レイバー2the Movieに登場するF-15改イーグルプラスに酷似
      している)。
      パーソナルマークは稲妻模様に重なる鷲の横顔で、黒い尾翼に
      白く染め抜かれている。
      松島1佐は艦長としても優秀だがパイロットとしての技術も一流
      で、(ちまた)では「溟海(めいかい)の黒鷲」や「漆黒の荒鷲」などと呼ばれ恐れ
      られている(TACネームは「マッド・ドッグ」とのこと)。
      なお、この艦にはF-0戦闘攻撃機の試作1号機「XF-0A」も
      一機、配備されている(パイロットは浦木(うらき)宏一(こういち)2等空尉)。
      ところで、この「りゅうおう型護衛艦」の外観は「いずも型
      護衛艦」とほぼおなじだが、本艦のみ艦首中央に電磁式カタパ
      ルトを1基、艦尾にアレスティングワイヤーを3本装備して
      おり、機関もガスタービンエンジン(COGAG)ではなく
      A4W原子炉(小型化して性能アップしたもの)を搭載して
      いる。これらの装備は空母「やまと」に搭載するものと同一の
      タイプである(主に使用するのはストーム・イーグルと
      XF-0Aぐらいなのだが)。
      つまり、この「ひよう」は「やまと」用カタパルトおよび原子炉
      の性能テストをするための艦載兵器実験艦でもあるのだ。

 *7番艦「すいりゅう(水龍)」
   艦長:隼瀬(はやせ)龍丸(たつまる)1等海佐(四十歳)

 *8番艦「ひりゅう(飛龍)」
   艦長:高過(たかすぎ)新作(しんさく)1等海佐(四十二歳)

 〇搭載機
  ・MV/SA-40J「海猫」
  ・SH-60改
  ・F-35BJ
  ・XF-0A(6番艦「ひよう」のみ)
  ・F-15MS(6番艦「ひよう」のみ)



【まさむね型汎用護衛艦】
 艦名はそれぞれ日本刀に由来する。

 *1番艦「まさむね(正宗)」
   艦長:松方(まつかた)洋鬼(ひろき)2等海佐(三十八歳)

 *2番艦「こてつ(虎徹)」
   艦長:鬼嶋(きじま)桃侍(とうじ)2等海佐(四十歳)

 *3番艦「くにしげ(国重)」
   艦長:七五三(しめ)(はじめ)2等海佐(三十七歳)

 *4番艦「まさくに(正国)」
   艦長:三船(みふね)年老(としろう)2等海佐(四十五歳)

 *5番艦「やすつな(安綱)」
   艦長:胃歯(いば)痔労(じろう)2等海佐(四十九歳)

 *6番艦「かねさだ(兼定)」
   艦長:肘肩(ひじかた)年増(としぞう)2等海佐(五十一歳)

 *7番艦「はせべ(長谷部)」
   艦長:大谷(おおたに)涼子(りょうこ)2等海佐(三十七歳)

 *8番艦「つるまる(鶴丸)」
   艦長:鶴田(つるた)亀男(かめお)2等海佐(四十二歳)

 *9番艦「くにつな(国綱)」
   艦長:長谷川(はせがわ)鬼太郎(きたろう)2等海佐(四十五歳)

 *10番艦「かねひら(包平)」
   艦長:高平(たかひら)三平(さんぺい)2等海佐(四十歳)


【はんぞう型潜水艦】
 外観は超巨大クジラ型輸送艦ゾイド「ホエールキング」とほぼおなじ
 である(船体色はインディゴブルー)。
 なお、艦名はそれぞれ忍者に由来する。

 *1番艦「はんぞう(半蔵)」
   艦長:加山(かやま)雄一(ゆういち)2等海佐(三十八歳)

 *2番艦「さいぞう(才蔵)」
   艦長:中谷(なかたに)弥七(やしち)2等海佐(四十三歳)

 *3番艦「さすけ(佐助)」
   艦長:柘植(つげ)将希(まさき)2等海佐(四十三歳)

 *4番艦「じんない(甚内)」
   艦長:川合(かわい)大漢(だいかん)2等海佐(四十四歳)

 *5番艦「だんぞう(段蔵)」
   艦長:市村(しむら)(けん)2等海佐(五十一歳)



【りゅうのう型護衛艦(イージスシステム搭載ミサイル護衛艦)】
 艦名はそれぞれキク科の植物に由来する。

 *1番艦「りゅうのう」
   艦長:(はやし)菊蔵(きくぞう)1等海佐(五十三歳)

 *2番艦「あずま」
   艦長:菊池(きくち)昭雷(あきら)1等海佐(三十八歳)

 *3番艦「いわこま」
   艦長:米倉(よねくら)弾歩(はずむ)1等海佐(三十八歳)

 *4番艦「あざみ」
   艦長:河口(かわぐち)海路(かいじ)1等海佐(三十九歳)

 *5番艦「やぐるま」
   艦長:(くるま)男吉(だんきち)1等海佐(五十歳)

 *6番艦「しらやま」
   艦長:徳田(とくだ)新助(しんすけ)1等海佐(四十七歳)

 *7番艦「おおしま」
   艦長:磯野(いその)洋平(ようへい)1等海佐(四十一歳)

 *8番艦「はなわ」
   艦長:花沢(はなざわ)活夫(カツオ)1等海佐(四十三歳)



【くしろ型輸送艦(おおすみ型輸送艦の改良型)】
 艦名はそれぞれ湿原に由来する。

 *1番艦「くしろ」
   艦長:黒板(くろいた)(しょう)1等海佐(五十五歳)

 *2番艦「おぜ」
   艦長:瀬形(せがた)三四郎(さんしろう)1等海佐(五十三歳)



【しんりゅう型補給艦(ましゅう型補給艦の改良型)】
 艦名はそれぞれダム湖に由来する。

 *1番艦「しんりゅう」
   艦長:千葉(ちば)舟作(しゅうさく)1等海佐(五十五歳)

 *2番艦「はとり」
   艦長:石坂(いしざか)工事(こうじ)1等海佐(五十三歳)

 *3番艦「たかしま」
   艦長:西郷(さいごう)片盛(かたもり)1等海佐(五十三歳)

 *4番艦「あさひな」
   艦長:大石(おおいし)匠海(たくみ)1等海佐(四十七歳)



【わかまつ型潜水艦救難艦】
 艦名はそれぞれ日本国の城に由来する。

 *1番艦「わかまつ」
   艦長:浦島(うらしま)甲太郎(こうたろう)1等海佐(五十五歳)

 *2番艦「ひめじ」
   艦長:箱川(はこがわ)乙姫(いつき)1等海佐(四十一歳)

 *3番艦「あづち」
   艦長:竜宮院(りゅうぐういん)城之助(じょうのすけ)1等海佐(五十三歳)



【むさし型ステルス護衛艦】
 新型艦対空ミサイル「よいち(与一)」を装備した次世代型ステルス護衛
 艦(ズムウォルト級ミサイル駆逐艦を参考に設計されたイージス艦)。
 なお、艦名はそれぞれ剣豪および戦国武将に由来する。

 *1番艦「むさし(武蔵)」
   艦長:宮本(みやもと)武士(たけし)1等海佐(五十五歳)

 *2番艦「こじろう(小次郎)」
   艦長:佐々木(ささき)勇雄(いさお)1等海佐(五十五歳)

 *3番艦「ゆきむら(幸村)」
   艦長:山本(やまもと)鉄舟(てっしゅう)1等海佐(四十八歳)

 *4番艦「のぶなが(信長)」
   艦長:織田(おだ)勇耳(ゆうじ)1等海佐(四十六歳)
      妹の「織田まり」も陸上自衛隊の総務課(広報班)に勤務して
      いる。
      ちなみに父の織田俊作(しゅんさく)は元湾岸署の刑事(刑事課強行犯係巡査
      部長)で、某刑事ドラマの主人公のモデルにもなっている。



【カタパルトオフィサー】
 戦後に発見された「やまと」の乗組員名簿のなかに、「亀井(かめい)美男(よしお)」というカタパルトオフィサーの名前が記されていた。
 ただ、この美男が「ヨシオ」と同一人物なのかどうかは不明である。
 なお、最終戦争当時は「やまと」の建造が間に合わなかったため、美男は
 航空機搭載型護衛艦「ふうま」に甲板要員として乗艦している。
 ちなみに、亀井美男という名前は「カミーユ・ビダン」をむりやり
 (もじ)ったものである(笑)。


    ※すべて設定のみで、本編には登場しません!
     ちなみに、野良猫は自衛隊についての知識がほとんどないため
     艦長の設定(階級と年齢)に誤りがあるかもしれません(たとえば
     「三十八歳で1等海佐にはなれないだろう」みたいな)。
     なにぶん素人の書き物なので、その辺は大目に見てやってください
     まし(笑)。

*おまけ
 https://www.youtube.com/watch?v=wAuWUvC8b2w

【空母「やまと」のテーマ】・・・男たちの大和 メインテーマ
 https://www.nicovideo.jp/watch/sm21453022
 
 

☆第08空母航空団(空母「やまと」所属)

☆第08空母航空団(空母「やまと」所属)

 
 < 第08空母航空団所属パイロット >


風間(かざま)真路(しんじ)1等空尉(三十歳)

 モデルは外泊証明書とまちがえて外人部隊の契約書にサインしてしまった某航空会社に入社予定のパイロット候補生。
 三沢基地に所属するF/A-18Jのパイロット。
 体力には自信があるようで、どんなに激しい訓練でも汗ひとつかかないらしい。
 尾翼のパーソナルマークは炎のようなまっ赤な(たてがみ)をもつ一角獣。
 3時のおやつはカップスター(しょうゆ味)。
 半年ほど空母「モビー・ディック」で訓練(離艦・着艦)を受けたこともある。
 ベルーガで一緒に訓練したマイク・サイモン大尉(ベルーガ所属のパイロット)と親しくなり、互いの機体の尾翼(パーソナルマークの描かれた)のみ交換して付けかえた。
 ちなみにサイモン大尉のパーソナルマークは「ラビットヘッド(プレイボーイのロゴマークにそっくりな)」だったらしい。
 最終戦争がはじまると、風間はF-35CJのパイロットとして「りゅうおう」型航空機搭載護衛艦の3番艦「てんま」に配属される(最終戦争後は予定通り空母「やまと」に配属された)。

 ・風間機のガンカメラの記録映像(アーケード版エリア88)
  https://www.youtube.com/watch?v=uNenJ4UbUIs



浦木(うらき)宏一(こういち)2等空尉(二十七歳)

 モデルはモビルスーツオタクの某地球連邦軍少尉(テストパイロット)である。
 百里基地に所属するテストパイロット(試験飛行操縦士)。
 乗機はF/A-18Jで、尾翼のパーソナルマークは淡紫(たんし)色をした一輪のデンドロビウム。
 以前はF-2戦闘機(XF-2A 試作1号機とおなじカラーリング)を乗機としていたが、着陸の際に右後輪のロックが外れるという不慮の事故を起こして機体を大破さてしまった。
 ブルーインパルスにあこがれて航空自衛隊のパイロットになったらしい。
 腕は悪くないのだが、いささか自信過剰なところが玉に瑕。
 食べ物の好き嫌いも多く、とくにニンジンが大の苦手である。好きな食べ物はカレーなのだが、やはり嫌いなニンジンが入っていることが多いので、そこに大きなジレンマを抱えている。
 風間が「モビー・ディック」での訓練を終えて戻ってきた直後に三沢基地へ転属、空母「やまと」配属(候補)となる。同時に、完成したばかりの試作機「F-0戦闘攻撃機(試作コードXF-0)」のテストパイロットに任命される。
 最終戦争がはじまると、浦木は「りゅうおう」型航空機搭載護衛艦の6番艦「ひよう」に配属された。
 なお、最終戦争後は空母「やまと」に配属された。



加藤(かとう)明夫(あきお)1等空佐(四十二歳)

 モデルは「ソロモンの悪夢」の異名をもつ某ジオン軍少佐である(ガトーもとい加藤)。
 浦木2等空尉の元上官で、百里基地に所属するF-2戦闘機(尾翼のパーソナルマークは不動明王)のパイロット。
 銀髪のポニーテールがトレードマーク。
 室町時代からつづく寺の長男で、家業を継ぐのが嫌で空自のパイロットになったらしい(寺は弟の星辰(せいしん)が継ぐことになった)。
 好きな食べ物はコンペイトウ(そろもん製菓)で、毎日欠かさず食べている。しかし、以前食べすぎて虫歯になったことがあり、そのときかかった歯科医院がとんでもないヤブでひどい目にあったらしい(そろもんの悪夢)。
 寺育ちだが無神論者で、どちらかといえば武士道を重んじている(持田(もちだ)盛二(せいじ)を尊敬している)。
 空母「やまと」にはパイロットではなくエアボス(CAG)として就任する予定だったらしく、風間とおなじ時期にペガサス級航空母艦2番艦「ホワイトビーチ」に研修のため派遣されている。
 最終戦争後は空母「やまと」に配属され、エアボスとして勤務している。



安室(あむろ)零次(れいじ)1等空尉(三十一歳)

 モデルは「ニュータイプ」とかいう某地球連邦軍の新人類。
 浜松基地に所属するF-2戦闘機のパイロット。
 機体のカラーリングはサンダーバーズとおなじで白、青、赤のトリコロール配色となっている(ただし機体下部にはフェニックスのペイントは施されていない)。尾翼のパーソナルマークは黄色い(いかり)
 沖縄出身だが「小島よ〇お」のファンではない。
 幼いときからメカに興味があり、非番の日は部屋にこもって自作のパソコンに夢中になっている(あまり人付き合いはいいほうではない)。爪を噛むのクセがあり、注意されてもなかなかなおらない。
 ごく稀にだがジョークを飛ばすこともある。しかし、沖縄の方言のためだれにも理解されず、逆に場が白けてしまう(ふだんは標準語で話すのだが、キレたときなどよく沖縄の方言になる)。
 戦闘機の操縦技術はアグレッサーパイロットを凌駕するほどの腕前である。また、異常なまでに勘が鋭く、相手の未来位置を予測するのが得意で、射撃においても百発百中の命中率を誇る。
 Gにも非常に強い体質らしく、12Gという強烈なGに3分以上耐えたこともあるという(耐G訓練にて)。あまりGの影響を受けないせいか、頻繁に無理な機動をくり返すので部品の劣化が激しく、整備員から苦言を呈されることもしばしばある。
 空母「やまと」への配属が決まると、訓練のため空母「ペガサス」へ派遣される(このときの艦長はパラオ大佐であった)。そのとき知り合った女性パイロットのローザに心を惹かれていたようだが、けっきょく想いを伝えることはできなかった。
 空母「やまと」着任の際は風間と同様、機種をF-35CJに変更する予定だった(最終戦争後は予定通り空母「やまと」に配属された)。



赤居(あかい)一晴(かずはる)3等空佐(三十三歳)

 モデルは「赤い彗星」とかいう某ジオン軍のロリコン大佐。
 小松基地のアグレッサー部隊(飛行教導群)に所属するF-15JⅡ (俗にF-15改「イーグルプラス」と呼ばれている機体)のパイロット。
 つねにサングラスをかけている。
 パーソナルマークはA(赤居の頭文字)の文字上に翼を広げた白い八咫烏。
 異常なほど赤い色にこだわっており、普段着はもとよりスマホや車、家電製品など、すべて赤一色で統一されている。
 彼の赤は、イタリアの赤(国旗)とおなじく「愛国者の血・熱血」をイメージしたものである(赤は赤でも共産主義の赤は好きではないとのこと)。
 耐Gスーツはピンク(部分的に赤いところもある)で、ヘルメットもバイザーの収納部分(額の部分)のみ赤く、全体的にピンクである。
 愛機のF-15 S/MTDもピンクとレッドのツートンカラーである(塗装のパターンはブルーエンジェルスとおなじで、ブルーの部分がピンク、イエローの部分がレッドとなっており、全体的にピンクの部分が多い)。
 また、「3」という数字にも異常なまでのこだわりをもっており、ラーメン屋など飲食店を訪れると、決まって「通常の三倍で」と、ついつい大盛を注文してしまうが、たいてい食べきれずに残す模様(認めたくないものだな。自分自身の若さゆえの過ちというものを)。
 普段着は、どちらかというとピンクのものが多い(上下とも)。そのためか、よく街を歩いていると「林家ぺー」にまちがえられるという(私もよくよく運のない男だ)。ちなみに好きな芸能人は「世界のナ〇アツ」である。
 戦闘機の操縦技術は天才的で、腕利きの集まるアグレッサー部隊の中でもダントツである。しかも、安室と同様、非常にGに強い体質らしい。
 じつは、以前に一度だけ安室と模擬空戦をしたことがあり、自分と互角(もしくはそれ以上)に渡り合えることに驚きを隠せなかったという(私にプレッシャーを与えるパイロットとは、いったい何者だ?!)。
 赤居は「やまと」配属(編隊長クラス)が決まった時点で機種をF-35CJに変更している(最終戦争後は予定通り空母「やまと」に配属された)。



  *おまけ
  「第08空母航空団のテーマ」
   キャプテンハーロック(宇宙海賊キャプテンハーロック)
   https://www.youtube.com/watch?v=PRiMJHV8cBQ
   https://www.nicovideo.jp/watch/sm13846390


     ※すべて設定のみで、本編には登場しません!
 
 
 

☆間宮羊羹

☆間宮羊羹

 沖田艦長お気に入りの羊羹。
 空母「やまと」の艦内売店で販売する予定だったらしい。
 

―― メイキング・オブ「太平洋、血に染めて」 ――

―― メイキング・オブ「太平洋、血に染めて」 ――

【構想の段階から手詰まり】
 この「太平洋、血に染めて」という物語が動きだすまでには、少し時間がかかりました。さいしょにパイロット版のストーリーをあたまの中でイメージしたとき「この話はおもしろくならないだろう」って思ったんです。物語の舞台は核戦争後の世界なんですが、登場人物たちが活躍する場所は一隻の(ふね)(空母)の上、しかも、周りは見渡すかぎりの大海原。太平洋のド真ん中なんです。こんな限られた小さな空間の中で、いったいなにができるのか。いくら考えても否定的な結論しか出てきませんでした。このプロットでは話はつくれないだろう、と。
 でもまあ、とりあえずパイロット版だけは書いてみようということで、適当(あらすじ程度)に書いてみたんです。どんな感じになるのかと思いながら、ね。で、やっぱり「これはダメだ」って改めて思いました。舵が故障して漂流してる、って設定だけは使えるんだけども、やっぱり空母という限られた空間の中だけでは、なんにもやることがないんですよね。それに、空母といっても、あるのは戦闘機の残骸だけだし。これでは普通の物語はおろか、とてもコメディなんて書けるわけがない、と思ったんです。いや、これをコメディで書こうっていうほうが、むしろどうかしてるんです(笑)。物語のステージ(舞台)となる空母は舵が故障して航行不能、おまけに食糧も残り少ないという、かなり切羽詰まった状況なんです。ふつうなら、残り少ない食料をめぐって乗員同士で殺し合いがはじまってもおかしくない状況なんです。設定(状況)はシリアスで、しかし内容はコメディで。散々あたまをなやませたあげく、とうとう野良猫は「太平洋、血に染めて」の制作中止を決定したのです。


【執筆開始】
 いったんはあきらめたものの、なぜかいつもあたまの片隅には「太平洋、血に染めて」がありました。べつに書きたいわけじゃないんだけども、どういうわけか気になってしかたがなかったんですよね。で、なんとなく試しに書いたのが、第二話の「ぐっどらっく!!」だったんです。パイロット版を書き上げてから、じつに半年が経過していました。そして、第二話を書き上げたとき「いけるかも」って思ったんです。ヨシオなどの大人のキャラは、ある程度ふつうに書いて、逆に大五郎は子供ならではの無邪気さを前面に出して書いてみよう、と。そして三話目にどこかでみたことのあるキャラ(ハリー)を登場させ、四話目では試作キャラの長老を登場させて、最終話(最終回スペシャル)には羽佐間九郎(モデルはブラックジャック)をゲストとして招き、ヨシオを除く全員が救助されるという結末で物語の幕を下ろしたのです。


【広がるストーリーの展開】
 第一話(大統領と総理大臣)から最終回スペシャル(第五話)、そしてオマケのエピソード「蒼穹の騎士」の全六話で「太平洋、血に染めて」はいったん終了しました。でも、なにか物足りなさを感じていたんです。空母が舞台なのに、ぜんぜん空母を書いていないじゃないか。これは、べつに空母が舞台である必要はなかったんじゃないのか、と。そこで急遽執筆することになったのが「ばるす!」だったんです。このエピソードではじめてカタパルトを使用するシーンが登場するわけです。ただ、飛行可能な戦闘機がないことは、すでに「蒼穹の騎士」で明らかになっているので、戦闘機は小道具として使えません。じゃあ、カタパルトを使ってなにをするか。ここはたいして悩みませんでした。飛行機が使えないならトーイングカーにしよう。すぐに決まりました。
 カタパルトでトーイングカーを海にたたき落とす。しかし、だれも乗っていないトーイングカーを、それもなんの理由もなくただ海に落としても、なにもおもしろくありません。まず、だれを海に落とすか。これもすぐに決定しました(スネーク)。つぎに考えたのが、スネークを海に落とす方法です。罰ゲームで落とすことも考えましたが、結果がはじめから予想できてしまうのでボツにしました。もちろん、ムリヤリ乗せてたたき落としても、やはりおもしろくなるはずがありません。そこで閃いたのが「チキンレース」だったというわけです。落ちる際にスネーク役の俳優さんが叫んだセリフはアドリブだったんですが、ことのほかおもしろかったのでOKをだしました(笑)。


【配役】
 スネークの出番はそれっきりないんですが(たぶんサメに食われたので)、彼の右腕だったモヒカンあたまの男「コバヤシ」は大五郎たちの新しい仲間として加わり、いくつかのエピソードに登場しています。このコバヤシというキャラは、ある有名なマンガに登場するモブキャラがモデルなんですが、なかなかいい味をだしてくれました(野良猫が期待した以上に)。ちなみにコバヤシ役の俳優さんは「ハイボール」でマサ(沢田マサオ)を演じています(笑)。そして、スネークは「八咫烏」で烏平次(うへいじ)を演じてくれた俳優さんです(!)。みんな野良猫プロに所属する俳優さんだったんですね、じつは。え? ヨシオ役はだれだって? 気づかなかったですか? 彼も「ハイボール」に出演してましたよ。それも主役でね。そう。ケンジ役の方です。意外でしたね(笑)。もちろん、大五郎も野良猫プロに所属する子役ですよ。あのぼうずは「太平洋、血に染めて」の数年後、「八咫烏 最終回特別編!!」に隼助(しゅんすけ)役(幼少期)で出演してます。
 あとは、このまえ引退してしまったんですが、長老役の俳優さんは名優でしたね。非常に魅力のある演技で楽しませてもらいました。ただ、あのじじいのセリフはほとんどアドリブだったんですよ(年のせいでセリフがおぼえられなかった)。おかげで相手の俳優さんは合わせるのに苦労したらしいです(笑)。ほかのメインキャラ以外はエキストラ(バイト)や駆けだしの無名俳優さんを起用しました。
 え? ハリー役の俳優さんは本物のクリント・イーストウッドかって? まさか。あれは、ただのそっくりさんです。野良猫がスカウトしたんです。見た目はキャラハン刑事にそっくりなんですが、好きな映画は「ダーティ・ハリー」シリーズより「ビバリーヒルズ・コップ」や「リーサル・ウェポン」シリーズらしいです(笑)。ただ、いちばんのお気に入りは「ラスト・ボーイスカウト」とのこと。


【物語の舞台】
 物語は最終戦争末期からはじまるのですが、それがいつの時代なのかは、あえて明確にしていません。ただ、「近い将来」ということを意識しながら書いてましたね。まあ、実際に起きてもらっては困るんですが(笑)。
 さて、この「太平洋、血に染めて」に登場するキャラは、だいたい作品内でどういう人物なのか語られているわけなんですが、唯一さいごまで過去や経歴が語られなかったのがヨシオです。日本人(あるいは日米ハーフ)である彼が、どうしてデッキクルーの格好をしていたのか。彼は、本当に正規の空母乗組員だったのか。不思議なことに、モビー・ディック(大五郎たちが乗っていた空母)の乗員たちは、だれひとりとしてヨシオのことを知っている者はいなかったのです。
 ヨシオが最初に登場したのが、事実上の第一話となる「太平洋、血に染まる!」だった(そのまえに「エピソード0.5」にも一瞬だけ登場してるのだが)。ただ、この時点では、まだヨシオの名前は明らかになっていませんでした。はじめて彼の名が登場するのはエピソード「蒼穹の騎士」なのですが、これはヨシオが自ら名乗ったわけではなく、チャーリーがヨシオの名を呼んだからわかったものなのだ(チャーリーは「エピソード0.5」でマイク・サイモンからヨシオの名を聞いていた)。いずれにせよ、彼がなにを考え、どんな人生を歩んできたのか。それを知る者はだれもいないのです。
 ところで、彼はなぜスミスじいさんを助けようとしなかったのか。傍らで大五郎も「じいちゃんがおぼれてる!」って言ってましたよね? じつは、あのときヨシオはスミスじいさんがおぼれていることに気がついていなかったのです。腕組みをして夕陽を見つめながら考え事をしていたのです。もちろん、アオウミガメとムツゴローにも気がついていませんでした(視界には入っていたと思うのだが……)。なので、べつにスミスじいさんを見殺しにしたわけではないんですよ(笑)。そこまで非情なキャラではないです。たぶん……。
 あとは、なにかあったかな……。なに、トーゴー? ああ、彼は殺し屋じゃないですよ? ハリーは勘ちがいしていたみたいですが、あれはただのそっくりさんです(笑)。
 そっくりさんといえば、ハリーも某ハリウッド俳優のそっくりさんなのですが、野良猫がいちばん気に入ってるそっくりさんは「ガーランド・ブラウン」ですね(笑)。彼はエピソード「大五郎の思い出」に登場します。まあ、このエピソードは、じつはひどいものでしてね。これも知ってる方は知ってると思うんですが、彼(スティーヴ)は、けっこう「最悪な死に方(殺され方)」をすることが多いんですよね(映画の中で)。たとえば「ファーゴ」とか(笑)。で、野良猫はふと思ったんです。そういえば、サメの出番がちょっと少なすぎやしないか、と。せっかくだから、もうひとりぐらい〝エサ〟になってもらおうかなあ、って(笑)。
 じゃあ、だれをエサにするか。考えるまでもない。答えはもう決まっている。この役をこなせるのはただひとり。ヤツ以外にはいないのだ。野良猫監督は迷うことなくナイトテーブルの上の携帯に手を伸ばした。
「やあ、スティーヴ。調子はどうだい?」
「まあまあさ。キミはどうだい、監督」
「こっちもまあまあさ。ところで、さっそく仕事の話になるんだが、スケジュールはどうなってる? 空いてるか?」
「ああ。半年先まで空いてるよ」
「そりゃあよかった。じつは、ぜひあんたにやってもらいたい役があってね。いや、あんたじゃなきゃダメなんだ。もちろんギャラもはずむよ。そっちの言い値でかまわない」
「おいおい、ムリすんなよ。あんたはいちどだってこっちの言い値通りに払ってくれたことなんてないじゃないか。いいさ。こんどもマケとくよ」
「じゃあ、出てくれるのか?」
「ああ、ОKだ。やってみるよ。それで、どんな役なんだい?」
「なあに、たいした役じゃないんだがね」
「それはわかってるよ。オレは脇役専門だからね。で、オレの役は?」
「サメのエサだ」
「なんだって? よく聞き取れなかったぞ。すまんが、もういちど言ってくれないか?」
「だから、サメのエサだよ。ただギャーギャーわめきながら〝フカ〟に食われればいいのさ。どうだい、楽なもんだろ?」
 ってな具合さ(笑)。まあ、肝心のエサになるシーンは満足いくものではなかったけど、彼の演技は素晴らしかったね。ただ、いまさら言うのもあれなんだが、やっぱりあのエピソードは必要なかったかもしれないね(笑)。
 必要なかったエピソードといえば、もうひとつ。あの「紅の棺」も、あんまり意味のない話だったかもしれないね(笑)。あの話は、ヨシオ役の俳優さんがね、空母なのにカタパルトの出番がほとんどないじゃないか、っていうから、仕方なく作ったエピソードなんですよ。まあ、意味はないけど、けっこう面白く仕上がったので満足しています(個人的に)。ただ、ジュリアス役の俳優さんは、あまり乗り気じゃなかったみたいなんですよね。脚本を読みはじめてすぐに難色を示したんです。あたりまえですけど(笑)。でも、九郎役の俳優さんは「なかなか面白そうですね」って、けっこう前向きでしたね。あの人はプライベートでもあんな感じなんです(笑)。ちなみに、いちばんNGをだしたエピソードは、この「紅の棺」だったんです。撮影が終わっていざ編集してみると、なんかオチがイマイチかな、って思えてきたんです。それで撮り直しになって、みんなでNGだしまくって、しまいには大五郎もやる気がなくなってね。で、野良猫が「もうちょっとだから頑張ろう」って、やさしく励ましたんです。そしたら、あのぼうずは「うっせデブ!! ブタ!!」って反抗しやがったんですよ。だから野良猫もね、ついカッとなって「ブタじゃなくて〝ぬっこ〟ニャンよー!!」って、おデコに猫パンチ食らわしたんです。すると、あのガキ……(咳払い)ぼうずは、こともあろうにペットボトルでなぐりかかってきたんですよ?! 何度も何度もあたまをたたかれました。ついでにヒゲも2、3本引っこ抜かれました。そりゃあ、もう現場の雰囲気は最悪でね。
 しかたがないから、この撮影のときだけ、ちょっと休憩時間を長めにとることにしたんです。おかげで、本番ではみんないい演技を見せてくれました。もちろん、大五郎も素晴らしい演技をしてくれましたよ。休憩時間に野良猫と一緒にテレビゲームで遊んだおかげで、彼との信頼関係をとりもどすことができたんです。野良猫、そして俳優さんたちにとっても、本当にいい経験ができたと思っています。
 さて、ちょっと話をもどして、もう少しヨシオについて説明したいと思います。
 ヨシオは他人に無関心だが、決して非情な男ではないのです。スミスじいさんの件は先に述べた通り、ただ気がつかなかっただけです。じゃあ、例の「黒い背ビレ」で自称大統領にとった態度はどう説明するのか。じつは、あのとき大五郎やハリーは気がついていなかったんです。大統領の背後にせまる黒い背ビレに。ヨシオが救命ロープを海に投げすてたのは、もう手遅れだと思ったからなんです。ただ、直後のエピソード「トリトン」でヨシオは少し変わります。彼がトリトンからなにを感じ取ったのかは分かりませんが、若干心境に変化があったようです。とはいえ、彼はああいう性格ですから、内面を表にだすことはありません。以降のエピソードも、立ち居振る舞いはそれまで通りです。しかし、過去に〝ある友人〟を安楽死させていたことが最終回で彼の口から語られます。それまでいちども自分のことを一切語ろうとしなかったヨシオが、九郎との会話の中でとつぜん打ち明けたのです。トリトンは空母の進路に立ちふさがる軍艦の残骸を押し退け、どんなに絶望的な状況であろうと、決して最後まであきらめてはいけないことをヨシオたちに示しました。ですが、ヨシオは〝ある友人〟を安楽死させてしまった。もう助からないだろう、とあきらめてしまったのです。ヨシオはトリトンから「最後まであきらめてはいけない」ということを学んだのかもしれません。そして、最終回で九郎に過去を打ち明けたのは、たとえ良かれと思ってやったことにせよ、やはり安楽死という手段は間違っていたのだろうか、というのを確認するためだったのかもしれません。ヨシオの問いに九郎は曖昧な返事をしましたが、ヨシオのやったことを遠回しに否定したのかもしれませんね。自分で作ったキャラとはいえ、ヨシオだけは野良猫にもわかりません。
 ちなみに、ヨシオ役の俳優さんは「ファイナルファンタJ-Ⅵ」に登場するキャラ「シャドウ」を参考に役作りをしたみたいです。むずかしい役だったとは思いますが、ご苦労様でした(笑)。
 
 
 

  *** プロローグ(各話冒頭) ***

  *** プロローグ(各話冒頭) ***

 一九九九年七の月。天空より舞い降りし恐怖の大王によって人類は滅ぼされるだろう。かつて、ある偉大な預言者はそう断言した。そして運命の一九九九年が訪れ、いよいよ人類滅亡のカウントダウンが始まった。核戦争、あるいは巨大隕石の衝突か。根拠のないデマが飛び交い、パニックに陥る人々。だが結局、何事もなく一年が過ぎ、さらに一年、また一年と月日は流れ、やがて恐怖の大王の名は人々から完全に忘れ去られるのであった。
 しかし、人の心から完全に悪が消えることはない。恐怖の大王は独裁者の弱き心に宿り、世界征服という巨大な野望に目覚め、ついに動きだした。
 欲望。憎悪。狂気。冥府の鬼ならぬ、人が自らの手によって造り上げた地獄。大地は火の海となり、海は血の朱に染まる。恐怖の大王が、世界を焼き尽くす。終わりのない戦いに、人々は絶望する。そして、大五郎たちも太平洋をさまよいながら希望の光を探しつづけているのであった!!

【全体の流れ】
 プロローグ ➡ オープニングテーマ ➡ 本編 ➡ 次回予告 ➡ エン
 ディングテーマ
 
 
 

    *** 次回予告(全エピソード) ***

    *** 次回予告(全エピソード) ***

【太平洋、血に染めて】
 20ⅩⅩ年。世界は核の炎に包まれた。だが、人類は、しぶとく生き残っていた!!
 次週、新番組 「太平洋、血に染めて」 おたのしみに!!



【太平洋、血に染まる!】 
 見渡すかぎりの蒼い海。陸地の影は、どこにもない。青い空を見上げ、哀しげな眼でほほ笑むチャーリー。大五郎のまぶたに甦る両親の優しい笑顔。大五郎の思い出が、涙で歪む。両親は無事なのだろうか。陸地は、故郷は、みんな核で消滅してしまったのだろうか。大五郎たちに、それを知るすべはなにもなかった。
 生き残ったわずかな乗組員と避難民たちをのせたまま、あてもなく太平洋を漂う一隻の航空母艦。はたして、行きつく先は天国か地獄か?!
 次回 「金曜はカレーの日!!」 おたのしみに!!

              きみは、生き延びることができるかな?!



【金曜はカレーの日!!】
 鳥か?! 飛行機か?! いや、UMA(ユーマ)だ!! 水平線の向こうに現れたのは、陸地ではなく蜃気楼だった。しかし、チャーリーは確信する。近くにかならず陸地がある、と。蜃気楼の向こう側をたしかめるため、チャーリーがハリアーで飛び立った。
 はたして、チャーリーは陸地を見つけることができるのだろうか。そして、大五郎たちは無事に太平洋を渡ることができるのだろうか?!
 次回 「蒼穹の騎士」 おたのしみに!!

              きみは、生き延びることができるかな?!



【蒼穹の騎士】
  龍宮城へ来て見れば~絵にもかけない美しさ~♪
 アオウミガメの背に跨るのは、白髪あたまの老人・ムツゴロー。もはや玉手箱の出番はない。だが、彼はひとり、竜宮城を目指して旅立った。そして、スミスじいさんも血の海に沈み、地獄へと旅立っていった。
 夕陽が海を朱に染める。黒い背ビレが朱に染める。空と海が朱に染まる。今日の夕陽は血の色だった。あしたは……あしたの夕陽は、なに色だぁ!?
 次回 「炎のサムズアップ」 おたのしみに!!

             きみは、生き延びることができるかな?!



【炎のサムズアップ】
 突如、海に浮かび上がった巨大な黒い影。その正体は、一頭の大きなクジラであった。
 まっ白な潮を噴き上げて、青い空に虹の橋を架ける大きなクジラ。間近で飛び跳ね、優雅に泳ぐその姿に笑顔ではしゃぐ大五郎。しかし、ヨシオの表情は冷めていた。
 はたして、この男はいったい何者なのだろうか。そして、トーマスじいさんの運命やいかに?!
 次回 「ぐっどらっく!!」 おたのしみに!!

             きみは、生き延びることができるかな?!



【ぐっどらっく!!】
 きさまあ!! きさまらあァ!! おれの名を言ってみろおオオィ!!
 空母に助けを求めてきたボートの男は名乗りを上げる――私は大統領だ!! 大五郎はハリーと共に男を助けようとする。だが、ヨシオは救助ロープを海に投げ捨ててしまった。無言でその場を立ち去るヨシオ。はたして、自称大統領の運命やいかに?!
 次回 「黒い背ビレ」 おたのしみに!!

             きみは、生き延びることができるかな?!



【黒い背ビレ】
 空母の行く手を阻む巨大な影。それは、沈没しかけた軍艦だった。このままではぶつかってしまう。だれもが絶望しかけたそのとき、巨大な黒い影が海の中から現れた。
 シーサーペントじゃああ!! 長老が叫ぶ! だがしか~し! 現れたのは、いつぞやの大きなクジラであった! クジラよ。おまえは、いったいなにをしようとしているのか。そして、みんなが流す涙の理由とは?!
 次回 「トリトン」 おたのしみに!!

             きみは、生き延びることができるかな?!



【トリトン】
 突如現れた謎のモヒカン軍団に大五郎たちは戦慄した!
 彼らは、いったいどこからやって来たのか? いったい、彼らはいつからこの空母に乗っていたのか? モヒカンが暴れる! モヒカンが吠える! ヨシオのメガネが燃え上がる! 空母の支配権をかけて、モヒカン軍団のリーダー・スネークがヨシオにチキンレースを挑んできた!!
 熱き男たちの血で空が、海が朱に染まる!! はたして、ヨシオたちに明日は来るのだろうか?!
 次回 「ばるす!」 おたのしみに!!

               きみは、死兆星(しちょうせい)を見たことがあるか?!



【ばるす!】
 金曜といえばカレーだろう! いやいや、金曜ロードショーだろう! いやいや、ジェイソンだろう! いやいや、仕事帰りにその辺で一杯だろう! さて、こんどの金曜は何日かな?! 
 次回 「13日は何曜日?!」 おたのしみに!!

             きみは、生き延びることができるかな?!



【13日は何曜日?!】
 出演した映画は数知れど、いつもきまって死体役! 生きてる役でも通行人! もちろんセリフはもらえない! 挙句の果てにノンクレジット! 泣けるぜぇぇ!! 羽ばたくことを忘れた無名の映画俳優。ハリーは、すっかり自信を失っていた。そんな彼の背中にふたたび翼をさずけるべく、ヨシオたちが立ち上がった! はたして、ハリーの背中に翼は甦るのか?!
 次回 「エキストラにさようなら」 おたのしみに!!

             きみは、生き延びることができるかな?!



【エキストラにさようなら】
 男が求めるもの。男が信じるもの。男が愛するもの。それは、己の肉体だった! 男にとっての正義。それはパワー! ちからこそがすべてだった。しかし、彼の強靭な肉体にも、まだ弱点が残されていた! そこは、絶対に鍛えることが不可能な場所。だが、彼は自分に弱点があることを許せなかった。そこで彼は、世界的に有名なヤブ医者であるブラック・ジョークの協力のもと、ある危険な実験を強行しようとしていた!! はたして、夕焼け空にひびくのは男の悲鳴か雄叫びか?!
 次回 「紅の棺」 おたのしみに!!

           きみは、生き延びることができるかな?!



【紅の棺】
 巨大な黒い体! 真っ赤な(たてがみ)! それは、まぎれもなく伝説の人喰い熊「アカカブト」の姿であった!!
 突如、空母に舞い降りた巨大な黒い悪魔。しかし、男たちは怯まない。果敢に立ち向かうコバヤシ。冷静に戦うハリー。UMAの出現に血沸き肉躍る長老。まるで他人事(ひとごと)のように無関心なヨシオ。そして、大五郎の頬を横ぎる流れ星の意味とは?! 
 次回 「死闘! 海上決戦!!」 おたのしみに!!

             きみは、生き延びることができるかな?!



【死闘! 海上決戦!!】
 果てしなく広がる蒼い海。どこまでもつづく青い空。そして、燦々と輝く太陽。しかし、彼の目に映るのはただひとつ。それは、己の宿命(さだめ)。真っ赤に燃える夕陽の炎だけだった。
 空が、海が、朱に染まる。大五郎がこぼした涙が、夕焼け空に輝いた。さらばヨシオ!! いつか、また逢う日まで!!
 次回 最終回スペシャル 「黒いヤブ医者」「さらばヨシオ」 おたのしみに!!

                       君は、(とき)の涙を見る……


   ナレーション ちばしげる
 
 
                                                              

  *** NG集(一部本編にて採用) ***

  *** NG集(一部本編にて採用) ***

 
 いったい、なにが起こってるんだ?!
 野良猫監督も思わずズッコケてしまった〝迷シーン〟が、いまここに甦る!!
 

     【第一話「炎のサムズアップ」 チャプター2の後半】

 葉巻をふかしながら、ハリーが左舷のタラップを降りていった。長老もハリーの後につづき、ゆっくりとタラップに向かってゆく。両手で杖をにぎりしめ、寄りかかるように歩いている。まだ、あたまがハッキリしていないのだろう。その足取りはふらふらとおぼつかず、なんだかゾンビが歩いているようで気味が悪かった。
 はたして、長老は無事にタラップを降りることができるのだろうか。
「あっ……!」
 あぶない、と大五郎は叫ぼうとした。長老がタラップを踏み外したからだ。だが、もはや手遅れである。
「ぅわらッ……バ!」
 断末魔と共にタラップを転げ落ちる長老。その様子は、まるで山の斜面を勢いよく転がる落石を彷彿とさせるものがありました。
「なけるぜ」
 大五郎は大きなため息をつくと、ハリーの真似をして肩をすくめるのでした。
『はい、キャ~ット』
 野良猫監督は笑いながらカメラを止めた。
「これ使おう」
 監督のよこでヨシオが言った。
『そうだな。台本よりおもしろいし』
「これがホントのケガの功名ってやつだな」
『だな』
 とかなんとかいいながら高笑いをするヨシオと野良猫監督なのであった。



【最終回スペシャル 「さらばヨシオ!」 冒頭・ジュリアス登場シーン】

「ハア~イ、ダーリン」
 おちょぼ口でまぶたを(しばた)くジュリアス。
『キャーット!!』
 野良猫監督はブチ切れながら叫んだ。
「あらやだ。だぁ~れ? トチったの」
『おめーだよ』
「うっそぉ。なにがいけなかったのかしら?」
『キモい』
 この日の野良猫監督は終始ごきげんナナメなのでした。



【エピソード「エキストラにさようなら」 ビール瓶のシーン】

 コバヤシが長老の胸ぐらにつかみかかった。
「それともなにかい? アッシがイカサマをやったってェ証拠でもあるのかい?」
 相手の目を睨んだまま長老がテーブルの上に転がるビール瓶に手をのばす。
「くせえ息を吐くのは、それぐらいにしておけや!!」
 そしてコバヤシのあたまに勢いよくふりおろした。
 粉々に砕け散ったビール瓶の破片が、キラキラと床の上に降り注ぐ。
「――ラリッ!!」
 まるで首ふり人形のようにあたまをフラフラさせながらよろめくコバヤシ。
「ホー……」
 赤いモヒカンあたまが、まっ紅な血の花を咲かせながらエビ反る。
「……マ」
 まるで伐採された大木のように、コバヤシはゆっくりと仰向けに倒れるのであった。
『キャット!!』
 野良猫監督は親指を立てると、満足そうに大きくうなずいた。
『いや~、実に見事な演技だったよ、ふたりとも。すばらしい!』
 野良猫監督は上機嫌だが、長老のリアクションは微妙である。ヨシオも長老のよこで首をかしげている。そして、コバヤシもなかなか起きあがってこない。
『どうした? なにかあったのか?』
 すると、ヨシオがビール瓶の破片を見せながら呆れた顔で笑った。
「監督、これ〝アメ〟じゃねーわ」
『うそ?』
 野良猫監督も半笑いを浮かべて固まった。
 コバヤシのあたまで砕けたのは小道具の飴ガラスではなく、どうやら本物のビール瓶だったらしい。
「まあ、ねえ。おかげでいい()も撮れたことだし」
 さすがにヨシオは心得ている。
「さよう。不可抗力……いや、ケガの功名というやつじゃな」
 そしてポジティブ(無責任?)な長老。
『そうそう、ケガの功名』
 決して事故とは言わない三人なのであった。



【エピソード「エキストラにさようなら」 ハリーとコバヤシの対決シーン】

「ハリー!!」
 そうはさせまいと、ヨシオが銃を蹴る。
 床の上を回転しながら、銃が滑っていく。ハリーの足元。ホットドッグを頬張りながら、ハリーが銃を拾う。
 ヨシオから素早くはなれて、コバヤシがポケットに手をつっこむ。
「ばかめ! 銃は一丁だけじゃねえ!」
 コバヤシがハリーに銃口を向ける。
「……」
 ハリーは頬をパンパンに膨らませてホットドッグを咀嚼(そしゃく)している。
「……」
 コバヤシはハリーのセリフを待っている。
「……」
 ハリーはまだしゃべれない。
「……」
「……」
「……」
「……」
『しゃべれよ!!』
 突っ込まずにはいられない野良猫監督なのであった。



  【エピソード「紅の棺」 チャプター2の後半、ダンベルのシーン】

『それじゃ、そろそろ本番いこうか』
 野良猫監督は俳優たちをスタンバイさせると、傍らのヨシオにこうささやいた。
『ところで、きみ。あのダンベルは、何キロあるのかね?』
 コバヤシの足に落とすダンベルのことである。
「ひとつ5キロですが……それがなにか?」
『いや、ちょっとね』
 野良猫監督は思案顔をして足元に目を落とした。
『ジュリアスが使うには、ちょっと軽すぎるかなあ、なんて思ったりして……ね』
「いわれてみれば、たしかに」
『5キロでは……やっぱ軽いよね?』
 野良猫監督はチラリとヨシオの顔を横目でうかがった。
 すると、ヨシオは野良猫監督の意向を理解したかのように口もとで薄く笑った。
御意(ぎょい)
 ヨシオは迷うことなく10キロのダンベルを手に取り、ゆっくりとセットのほうへ歩いて行った。
『ヨシオくんは、よく働いてくれる』
 いつも汚れ役を押しつけてすまない。おのれの浅ましさを恥じるように、ぐっと(まぶた)を閉じる野良猫監督なのであった。



   【エピソード「死闘! 海上決戦!!」 コバヤシVSアカカブト】

       https://www.youtube.com/watch?v=vkmf3Hbnh_4



   【エピソード「13日は何曜日?!」 チャプター4の下剤の真実】

『よし、10分休憩』
 カメラを止めると、野良猫監督は傍らのヨシオにこう尋ねた。
『ところで、きみ。私はこんなモノをもっているんだが、どう思うかね?』
 野良猫監督はポケットから本物の下剤を取りだし、掌(肉球)にのせてヨシオに見せた。
「と、おっしゃいますと?」
『見ての通り、これは人間用の下剤……つまり、猫である私には使うことができないモノなのだ。このまま捨てようかとも考えたが、それもなんだか惜しいと思ってね。そこで、きみにこうして相談したわけなんだが……』
 そう言って足元に目を落とすと、野良猫監督は薬を乗せた掌をだまってヨシオに差し出した。
「……御意」
 ヨシオは野良猫監督の心情をくみ取ると、下剤をにぎりしめて九郎のデスクへと歩いて行った。
『グッドラック。ヨシオくん……』
 罪悪感が涙を誘う。それでも笑顔でヨシオを見送る野良猫監督なのであった。



【エピソード「太平洋、血に染まる!」 チャプター3後半・魚雷のシーン】

『キャット! 10分休憩!』
 病院船に魚雷が命中したシーンの撮影がおわった。
 つぎは、爆発の衝撃で長老が床に倒れ込むシーンだ。もちろん、ただ床を転がるわけではない。股間に〝あたたかい〟コーンスープをこぼしてもがきながら転がるのである。
『ところで、ヨシオ君。コーンスープの鍋はどれかね?』
「それですよ。そこの小さい鍋」
 ヨシオが長テーブルの上を指さした。
 長テーブルのまん中に置かれたカセットコンロの上に、銀色の小さな鍋が乗っている。
「腹が減ったんなら、オレがなんか作りますよ?」
『いや、そうじゃないんだ。ちょっと確認しておきたくてね』
 野良猫監督はコーンスープの温度をチェックするため、鍋のフタを開けて指先(の肉球)をつっこんでみた。
『……ぬるい……』
「……なにか、問題でも?」
 不思議そうにマユをひそめるヨシオに思わずため息がもれる。いささか失望した野良猫監督は失笑を浮かべると、腰のうしろで手を組み、そっと足元に目を落とした。
『いいかね、ヨシオ君。私はね、いかにも〝演技してますよ〟っていうわざとらしい芝居はキライなのだよ。演じるのではなく、キャラになりきる。そういうリアルな芝居をするためには、どうしたらいいか。きみも役者なら、わかるはずだろう。ヨシオ君』
「……御意」
 静かだが、力強いヨシオの返事。彼は、迷うことなく鍋を火にかけはじめた。
 カタカタと踊る鍋のフタ。そしてグツグツと歌うコーンスープ。ヨシオは口元に不気味な笑みを浮かべながら、じっと鍋を見つめていた。
 ヨシオ君は、本当にいい役者になった。
 野良猫監督も、長老のもがき苦しむ姿を想像しながらグツグツと煮えたぎる鍋を見つめていた。ヨシオとふたりで、しずかに口もとでほほ笑みながら……。



   【エピソード「金曜はカレーの日!!」 シビレエイのシーン】

 本番10分まえ。
 つぎは長老がシビレエイで感電するシーンだ。
『ところで、ヨシオ君。釣り糸に流れる電流の強さは、いったいどれぐらいなのかね?』
 野良猫監督は傍らのヨシオに訪ねてみた。
「電流は流れませんよ。長老の〝演技〟だけです」
『なるほど。演技……ねえ』
 腰のうしろで手を組むと、野良猫監督はうつむきながら鼻先で笑った。
「なにか、ご不満でも?」
『いや、べつに不満というほどのことでもないんだけどね。ただ……』
「ただ……なんですか?」
『わかるだろう、ヨシオ君。私はリアリティのない演技はキライなのだよ』
 野良猫監督はポケットから強力なスタンガンを取りだすと、だまって机の上に置いてヨシオに背を向けた。
「……御意」
 しずかに返事をすると、ヨシオは入り口のドアに向かってゆっくりと歩きはじめた。
 野良猫監督が肩越しに机をふり返る。机の上からスタンガンが消えている。
『セットの地下は、立ち入り禁止にしてある』
 ヨシオの足音が止まる。
 ドアのほうに背中を向けた格好で野良猫監督がつづける。
『少し暗いところだから、足元にはじゅうぶん気をつけるように』
 ヨシオは返事をしない。野良猫監督も、彼をふり向こうとしない。再びヨシオが歩きだす。そして、ドアが閉まる音。
 野良猫監督は、腰のうしろで手を組んだまま目を閉じた。
 老人虐待――いや、これはスタントなのだ。スタントに事故はつきもの。役者の世界は、映画のように甘くはないのだ。これは、乗り越えねばならん試練なのだ。許せよ、長老。
 ……と、心の中で懺悔しつつも本番が待ち遠しい野良猫監督なのであった。


  ―― じ・えんど ――


 
 
 

   *** 削除シーン ***

   *** 削除シーン ***

   【エピソード「太平洋、血に染まる!」 チャプター3の後半】

 突然、船首のほうで大きな爆発が起こった。船全体が大きく揺れる。大五郎は椅子から投げだされ、床に尻もちをついた。
 長老は熱いスープを股間にこぼしたようだ。股の間に両手をはさんで、唸り声をあげながら床の上を転がっていた。
「ギャーッ!!」
 食堂の入り口のほうから女性の悲鳴が聞こえてきた。いまの爆発でケガをしたのだろうか。大五郎は尻もちをついた格好のまま悲鳴のしたほうをふり向いた。
「げげっ?!」
 ひとりの女性が床にあおむけの状態で倒れている。ウーピー・ゴールドバーグにそっくりな、太った黒人の女性だ。そして、その女性の上に折り重なるように倒れている、ひとりの男。トーゴーである。
「ちょっとあんた、どこさわってんのさ!!」
 ウーピーが強烈な張り手をぶちかます。
「チィッ!」
 トーゴーが鋭い目つきでウーピーをキッとにらみつけた。左の頬を手で押さえながら、ギリギリと歯ぎしりをしている。
「いやらしい目でジロジロ見るんじゃないよ、このヘンタイ!!」
 ものすごい剣幕でウーピーがまくしたてる。怯んだトーゴーは、ヨロヨロとおぼつかない足取りで入り口を出ていった。
 しかし、すごいおばちゃんである。あのトーゴーを張り手一発で撃退してしまったのだ。
 それにしても、あのトーゴーという男は本当にプロの殺し屋なのだろうか。大五郎は通路を去ってゆくトーゴーの背中を疑わしい目で見送っていた。
「あっ」
 大五郎は思わず声を上げた。トーゴーが通路でつまづいたからだ。
 ――ガンッ
 トーゴーの顔面がカベにめり込んだ。
 全員の目がトーゴーに注がれる。トーゴーはプルプルと肩をふるわせながら口元を押さえている。非常ベルが鳴っている。トーゴーが肩越しにふり向く。指の間から、まっ赤な鼻血がしたたり落ちている。カミソリのような鋭い眼で、トーゴーが食堂の中をキッとにらみつける。
「もういい!! かえれ!!」
 大五郎が叫ぶと、トーゴーは非常ベルが鳴りひびく通路をフラフラとよろめきながら去ってゆくのでした。
 
 
     【エピソード「蒼穹の騎士」 チャプター1の冒頭】

 AM8:00。艦内は静かである。朝食を済ませると、ハリーは「散歩をしてくる」と言って甲板へ上がってしまった。長老も、村の仲間たちと一緒に甲板に上がっている。なにもやることがないので、ほかのみんなも甲板に上がっているらしい。大五郎もヒマなので、みんながいる甲板で遊ぶことにした。
「あっ?」
 通路をタラップのほうへ駆けていると、ふと子供の声が大五郎の耳に聞こえてきた。大五郎は立ち止まってふり返った。子供の声は、すぐちかくの休憩室から聞こえてくる。大五郎は入り口のよこに立つと、部屋の中をそっとのぞいてみた。
「いたっ!」
 部屋の奥に、子供がひとり。栗色の髪の毛の男の子だ。おそらく二才前後だろうか。四つ這いの格好になって、二台の車のおもちゃを両手で走らせながら遊んでいた。
「いくらちゃんだ!」
 大五郎は確信した。イクラちゃんだ。このボウズはイクラちゃんにちがいない。しかし、部屋にいるのはイクラちゃんだけだ。両親の姿は、どこにも見当たらない。ノリスケさんとタイコさんは、この空母に乗っていないのだろうか。
 大五郎が心配していると、イクラちゃんがこちらに気づいて手をふってきた。
「ハーイ、ハーイ」
 イクラちゃんが笑顔でなにか言っている。だが、大五郎にはイクラちゃんの言葉がわからない。
 大五郎は恐る恐る部屋の中に入ると、イクラちゃんと向き合う形であぐらをかいた。
「ハーイ」
 イクラちゃんはうれしそうに笑いながら、車のおもちゃをひとつ、大五郎に差しだした。
「おいらと、あそびたいんだな?!」
 大五郎は戸惑った。いつもハリーたちのような大人に遊んでもらってる大五郎には、年下の子供とどうやって遊んでいいかわからないからだ。
「チャーン」
 イクラちゃんが大五郎をチャンと呼んだ。
「おいらは、ちゃんじゃない。だいごろー!」
 大五郎は胸を張って自己紹介をするのであった。
「ハーイー」
 イクラちゃんは両手を上げて喜んでいる。
 大五郎はイクラちゃんに名前を尋ねようとしたが、どうやらまだ言葉が話せないようなので、今度また会ったときにあらためて訊くことにした。
「バーブ、バーブ!」
 イクラちゃんがおもちゃで遊ぼうと催促している。大五郎は仕方がないので、軽くカーチェイスごっこをしてやることにした。
「ハーイ、ハーイ」
 イクラちゃんの車が大五郎の車を追いかける。大五郎は座ったまま車を走らせる。イクラちゃんは四つ這いの姿勢で大五郎の車を追いかける。
「どりふと!!」
 大五郎は高等テクニックでイクラちゃんの車を振り切った。
「バーブ!!」
 イクラちゃんがほっぺたをふくらませながら小さなこぶしを頭上で振り回している。どうやら、へそを曲げたらしい。
「しゅぎょうがたりん!!」
 大五郎がきびしくイクラちゃんを突き放すと、イクラちゃんは「ワァッ!!」と大声で泣き出した。もちろん、イクラちゃんが憎いから意地悪をしたのではない。大五郎も両親を思いだすたびに挫けそうになる。だが、大五郎は決して涙など流さない。両親は、きっとどこかで生きている。そう信じているからだ。だから、イクラちゃんにも強く、健やかに育ってほしい。大五郎は、切にそう願っていた。
 しかし、イクラちゃんはまだ泣き止まない。床の上を転がりながら、手足をバタバタさせて駄々をこねている。
「こんどは、おそとであそぶです!!」
 大五郎はタラちゃんのマネをしてなだめようとした。
 だが、イクラちゃんは一向に機嫌を直そうとしない。
「バブ!!!」
 大声でブーブー泣き喚くイクラちゃんに、大五郎の怒りが爆発する。
「ブタはブタごやへいけ!!」
 大五郎はブチ切れながら部屋を飛びだすのであった。
 
 
 【エピソード「13日は何曜日?!」 チャプター4と5の間のシーン】

 長老は大五郎のうしろを歩きながら、さっきからずっとブツブツひとり言をつぶやいている。
 ――鉄拳(てっけん)のマエダだな?
「え?」
 長老の声じゃない。ふたつ先の部屋からか。いや、そこを過ぎたところ、通路の角の奥から聞こえてくる。
「じいちゃん」
 大五郎がふり向くと、長老は人差し指を自分の鼻に当てて「声をたてるな」と目顔で合図した。
 長老は、そっと通路の角から顔をして奥の様子を探っている。大五郎も、長老と顔を並べて奥の様子をうかがった。通路のカベ際にいるのは、マエダとチアキだ。そして、ふたりのまえに立ちはだかるふたりの男。ひとりはサングラスをかけた短髪の男、もうひとりはリーゼントの男だ。どちらもマエダとおなじく不良らしい。
「探したぜ、マエダ」
 サングラスをかけた短髪の男が言うと、マエダはマユを寄せて不機嫌そうな顔になった。
「あん? だれだ、おまえら」
青銅缶(せいどうかん)だよ。池袋の」
 リーゼントの男が言った。
「せーどーかん? しらねーな」
「いいから、ちょっと顔かせよ」
「マエダくん、ケンカはだめだよ」
 チアキは不安そうな顔でふるえている。
「見ての通り、こっちは女連れなんだ。いまはモメたくねえ。日を改めて出直してきな」
 そう言って立ち去ろうとするマエダの肩をサングラスの男がつかんで引き留めた。
「勘ちがいすんなよ。テメーに用があんのはオレたちじゃねえ」
 それにしても、このサングラスの男の顔は、どこかで見たことがあるような気がする。
「あっ」
 大五郎は思いだした。勉三(べんぞう)さんだ。勉三さんに似ているのだ。どおりで見たことがあると思ったわけである。
「カサイさんが呼んでんだよ」
 勉三さんが言った。
「カサイだぁ?」
「なに、手間は取らせねえよ。三分だ」
「なんだよ、三分て」
「三分以内にテメェは倒されるってことだよ」
 リーゼントの男がせせら笑うと、マエダはムッとした表情でにらみ返した。
「だめ、マエダくん!」
「チアキ。おめえは先に帰ってろ」
「マエダくん!」
 もはやチアキの声は届かない。勉三さんが「こいよ」とアゴで誘うと、マエダはだまってついていった。
 
 
 

 *** 制作秘話 「13日は何曜日?!」 ***

 *** 制作秘話 「13日は何曜日?!」 ***

 太平洋、血に染めてシリーズ最新作「戦士たちの夜」が無事にクランクアップした翌日。野良猫監督はヨシオと朝食をとりながら、つぎのエピソードの打ち合わせをしていた。
「今日は、いちごオレかね。ヨシオ君?」
「きのうは酪王のカフェオレだったんでね」
 コーンフレークを牛乳で食べるのは素人。野良猫監督たちのような玄人は、いちごオレやカフェオレで食べるのだ。
「監督は、いつも酪王のカフェオレなんですね」
「地元の名物だから、当然だろう」
 野良猫監督は福島県(県南)出身なのである。
「でも、日曜は、いちごオレと決めているんだ。日曜の朝は、さっぱりしたものが食べたいんでね」
「バニラアイスをトッピングすると、更にうまいですよ」
「なるほど。それはうまそうだ。こんど試してみよう」
 しばらく朝食をとりながら談笑していると、ふいにだれかがドアをノックする音が聞こえてきた。
「入りたまえ」
「失礼する」
 ドアを入ってきたのは長老である。
「やあ、ご隠居か。調子はどうだい?」
「はあ。まあまあ、ですかな」
「まあ、なにはともあれ掛けたまえ」
 野良猫監督はヨシオの向かいの席に座るよう促した。
「どうも。恐れ入ります」
「朝食はまだなんだろ。きみもどうだね?」
「あ、いや……」
「なあに、遠慮することはない。と言っても、大したものは出せないが」
「それじゃあ、お言葉に甘えて」
「そうかしこまるなよ。いつも通り、気を楽にして。ヨシオ君、ご隠居にも食事の用意を」
「はい。少々お待ちを」
「ところで、お孫さんは元気かね。もう年頃だろう?」
「はい。二十を三つばかり過ぎましたが、なにぶん、身持ちが固いほうでしてのう。いつになったら花嫁姿を見せてくれるのやら……」
 長老が寂しそうな顔でため息をついた。
 野良猫監督も、同情するようにうなずいた。
「孫の花嫁姿を見ないうちは死ねない、というわけか。まあ、おかげで長生きができるんだから、お孫さんに感謝したまえ」
「相変わらず前向きですな、監督どのは」
 長老はようやく笑顔をとりもどした。
 長老、ヨシオ、そしてハリーや大五郎たちは、みんな「野良猫プロ」に所属する俳優、いや、仲間なのだ。家族同然と言ってもいいだろう。彼らの悩みは野良猫の悩み。なにか相談を受ければ、親身になって話を聞く。それが一家の主たる野良猫の務めなのだ。
「お待たせしました」
 ヨシオがコーンフレークの皿をもって戻ってきた。
「カフェオレにするかね? それとも、いちごオレ?」
 野良猫が薦めると、長老はゆっくりと首をよこにふった。
身共(みども)はカルピスを」
 長老の眼が鋭く光った。
「なに、カルピスとな?!」
 野良猫監督は、思わずゴクリとつばをのみ込んだ。
「かっ、カルピスウォーター……?」
 うろたえた顔でヨシオが尋ねると、長老はもういちど首をよこにふった。
「原液で、お頼み申す」
 できる――野良猫監督とヨシオは戦慄した。まさかコーンフレークにカルピスの原液をかけて食べる強者がこの世にいようとは。
「おそれ……入りやした……」
 テーブルの上に両手(肉球)をついてガクリとうなだれる野良猫監督なのでした。
「とっ、ところでご隠居。今日はまた、どんな用向きで?」
 野良猫監督は気を取りなおして尋ねた。
「はい。じつは、例の〝あのエピソード〟の件なのじゃが、もういちど検討してはもらえんじゃろうかと思いましてな」
「〝あのエピソード〟?」
 野良猫監督がマユをひそめると、ヨシオが「ほら、例の〝13日は何曜日?!〟のことですよ」と耳元でささやいた。
「ああ、あれか」
 野良猫監督は腕組みをしてため息をついた。
「なあ、ご隠居。あれは、やっぱりまずいよ。やめたほうがいい」
「絶対クレームきますよ? 北斗の拳のファンから」
 ヨシオも長老を説得する。
「さて、それはどうかな」
 長老がコーンフレークをスプーンでかき混ぜながら不敵に笑った。
 まっ白な丸い器の中に湧きだした、ドロドロと白く濁った底なし沼。その波間に垣間見える、小麦色をした無数の小船。恐ろしい。この魔の海域に一歩足を踏み入れたが最後。たとえキャプテン・クックといえど、生きて抜け出す(すべ)はないだろう。
 〝白い底なし沼〟をかき混ぜながら長老がつづける。
「たしかに、見る人が見れば〝ああ、あのシーンのパロディなんだな〟と思うかもしれん。じゃが、まったく予備知識がなくても、ふつうに楽しめると思うのじゃ。そうは思わんかね?」
 長老はそう言うと、コーンフレークをひとくち頬張ってニコリと笑った。
 そんなものがよく食えるものだ――野良猫監督はテーブルの外に視線を逸らしてイカ耳になった。
 ヨシオも白い眼をテーブルに落としながらズズッ、とコーヒーをすすった。
「ご隠居の気持ちはよくわかった」
 野良猫監督は暖かいコーヒーの入ったマグカップを前足の肉球で包み込んだ。
「だがね、ご隠居。中には、原作を侮辱していると考える人も、少なからずいると思うのだよ。そこが問題だ」
 野良猫監督はつづける。
「北斗の拳はまずい。あまりにも有名すぎる。それゆえ、ファンも多い」
 そうつぶやいて、まだかすかに湯気をはなつコーヒーに目を落とす。
「やはり、危険だ」
 野良猫監督はあたまを振るしかなかった。
 しかし、長老は引き下がらない。
「なにを弱気なことを。よいか、監督どの。この作品に登場するキャラの多くは他作品からの流用。オリジナルのキャラなど、ほとんどおらぬではないか。それこそ、いままで訴えられなかったのが不思議なくらいじゃ。それを、たかだかパロディで怖気づくとは笑止千万。もし、この程度のジョークが許されないというのなら、世の物書きたちは、みな失業してしまいますぞ?」
 たしかに長老の言うことも尤もだ、と野良猫監督は思った。
 だが、はたして、あの作品を世に送り出していいものかどうか。野良猫監督は椅子から立ち上がって窓際に進むと、外から差し込む朝陽に目を細めながら腕組みをした。
「監督」
 ヨシオがそばに駆け寄ってきた。
「やりましょう、監督」
 いつのまにかヨシオも長老に賛同しはじめていた。
「監督どの」
 長老も駆け寄ってきた。
「監督!」
「監督どの!」
 ふたりの強い眼差しをうけ、野良猫監督は意を決したようにうなずく。
「正攻法で行こう」
 かくして、世紀の駄作「13日は何曜日?!」の制作は正式に決定された。撮影は思ったより順調に進められ、無事に公開されることになる。もちろん、公開直後に大量の「カミソリの刃」がダンボールで送りつけられたのは言うまでもないことなのだが(しかも全部着払いで)。
 興行的には完全な失敗だった。大赤字である。だが、満足そうによろこぶ長老の顔を見ると、やっぱりやってよかったな、と野良猫監督は思うのであった!!

   ※野良猫はコーンフレークに「カフェオレ」や「いちごオレ」をかけて
    食べたことがないので、実際にどんな味がするのかわかりません。
    なので、ぜひ試したいという方は自己責任でお願い致します!!
 
 

 *** 制作秘話 「あの夕陽が憎い」 ***

 *** 制作秘話 「あの夕陽が憎い」 ***

 野良猫プロに所属する俳優たちは、お芝居だけでなく自ら脚本を手掛けることもある。とくにジュリアスは本業そっちのけで執筆に没頭していた。ただ、どちらかといえば才能よりも情熱のほうが強く、彼の脚本はどれも微妙なものばかりだった。
「うーん、どうでしょう?」
 野良猫監督がテーブルの上に脚本をもどすと、向かいの席に座るジュリアスが複雑な表情になった。
「お気に召しませんでしたか?」
 気に入るも気に入らないも、これはだいぶまえにボツになった物語(はなし)ではないか。まあ、少しは手直ししたようだが、元が元なのでやはり微妙である。
「これどうでしょう?」
 野良猫監督は腕組みをしながらソファの背にもたれかかって首をかしげた。
 ジュリアスも腕組みをしながらテーブルの上に置かれた脚本をきびしい表情でにらんでいる。そしてジュリアスのとなりでは赤いモヒカンあたまの男、コバヤシがいびきを立てて居眠りをしている。野良猫監督のつぎの相手はコバヤシの脚本だった。
「これどうでしょう?」
 野良猫監督はもういちどおなじ仕草でくり返した。
「長嶋監督のモノマネがでたら諦めるしかないですよ、ジュリアスさん」
 野良猫監督のとなりでヨシオがコーヒーをすすった。
「そんな! なぜです? いったい、どこがいけなかったのです?」
 ジュリアスは少し興奮しながらテーブルの上に身を乗りだしたが、すぐに冷静さを取りもどしてソファに座り直した。
「すみません。つい取り乱してしまって」
 ジュリアスは自らの行為を恥じるように何度か小さく首をふった。
「なあ、ジュリアス君」
 野良猫監督は腕組みを解いてヒザの上で手を組んだ。
「たしかに面白いよ。きみの書いた脚本は。しかし、〝読者になにを伝えたいのか〟がよくわからないのが問題なのだよ。きみはこの物語(はなし)を通してなにを伝えようとしているのかね?」
「まあ、ひとことで言えば〝運〟ですかね」
「運?」
 野良猫監督はマユをひそめた。
 淡々とした口調でジュリアスがつづける。
「運も実力の内とはよく言いますが、それは逆に言えば運がないのは実力もないということになるのではないか。と、まあ、簡単に言えばそんな話なんですよ。これは」
 と、簡単に言い切ったジュリアスに違和感を感じつつも、野良猫監督は「あー、なるほど」と適当に相槌を打った。
「ランボーがサメに食われたのは、彼の泳いでいたコースがたまたまサメの通り道だった。つまり、運が悪かった。そう言いたのだね? きみは」
「さすがは監督。御明察、おそれいります」
 さて、どうしたものか。野良猫監督はテーブルの上のコーヒー・マグに手を伸ばした。そしてひと口すすったとき、コーヒーがすっかり冷めてしまっているのに気がついて顔をしかめた。
「ああ、ヨシオ君。すまんが、コーヒーを淹れなおしてくれないかね」
 ヨシオがコーヒー・マグを四つ乗せた盆を持って席を立ちあがると、ちょうどコバヤシが永い眠りから目を覚ました。
「あれ? まだいたんスか、ダンナ。で、どうだったんスか? やっぱりダメだったんスか?」
「きみはもう少し寝ていたまえ」
 ジュリアスはテーブルに目を落として不機嫌そうになった。
 となりの部屋からヨシオがもどってきた。そして、それぞれの席に湯気の立つコーヒー・マグを差しだすと、ヨシオは野良猫監督のとなりに腰をおろした。
 コバヤシはジュリアスの脚本がボツになったと思っているようだが、野良猫監督の出した答えはその逆だった。
「なあ、ジュリアス君。きみの言いたいことはよくわかったよ」
 野良猫監督は熱いコーヒーを慎重にすすった。
「監督、では……」
「うむ。前向きに検討しておこう」
「あ、ありがとうございます。監督」
 ジュリアスは安堵の笑みを浮かべて背筋をピンと伸ばした。そしてコーヒー・マグに手を伸ばしたとき、となりに座るコバヤシがジュリアスの脚本を読みながら鼻を鳴らしてほくそ笑んだ。
「なんだ。ホモネタじゃねーのか」
 コバヤシがテーブルの上にジュリアスの脚本を乱暴に放り投げた。
「なんだって?」
 ジュリアスがコバヤシの顔をギロリとにらみつけた。コバヤシはとぼけた顔を天井に向ける。
「アッシは、てっきり『紅の棺』の続編かと思ってやしたんでね。とんだ期待ハズレでやした」
「キミは不愉快だ!!」
 ジュリアスが激昂しながらコーヒー・マグをテーブルの上に叩きつけると、その反動でマグの中からコーヒーが勢いよく飛びだした。
「なっ?!」
 野良猫監督は目を丸くしておどろいた。天井ちかくまで飛び上がったコーヒーは、マグに入ったままの形状を保っているのだ。
「ヨシオ君。きみは彼のマグにコーヒーゼリーを入れたのかね?」
 野良猫監督が訊ねると、ヨシオは天井を見たまま無言で首をよこにふった。ジュリアスはマグの取手をにぎりしめたままコバヤシの顔をにらみつけている。茶色い液体の塊が天井からもどってくる。形を変えることなく、まっすぐもどってくる。そして、ふたたびジュリアスのマグの中へと吸い込まれてゆくのでした。
「監督。そろそろお昼になりますけど、メシどうします?」
 ヨシオが手首を回して腕時計を見ながら言った。
「そうだな。マックにするか?」
「いいですね。オレはかまいませんよ」
 ヨシオが賛成すると、ジュリアスとコバヤシも同意するようにうなずいた。
「じゃあ、魚肉ハンバーグの特製チーズバーガーと、それを胃に流しこむためのスプライトを」
 野良猫監督が希望のメニューを告げると、ヨシオが「いつもの〝ジュールスセット〟ですね?」と確認してニヤリと笑った。
「あ、私はサイドサラダ、それとソーセージマフィンを」
「ソーセージマフィンは昼のメニューにはないですよ、ジュリアスさん」
 ヨシオが言うと、ジュリアスは「じゃあ、チキンフィレオにしよう」と訂正した。
「ソーセージならテメエのがあるだろ。もっとも、ついていればの話だがよ」
 コバヤシが悪乗りして茶化した。
「きみ、口を慎みたまえ」
 野良猫監督は渋い顔をしてコバヤシを注意した。
 ジュリアスは無言のまま沸々と怒りをたぎらせている。そして、鋭い目つきをしながらゆっくりとコバヤシのほうをふり向く。コバヤシはジュリアスを無視して「あ、オレはハッピーセットで」とチャラチャラした態度でヨシオに言った。その瞬間だった。とつぜんジュリアスがソファから立ち上がり、コバヤシの襟首を乱暴につかんでもち上げた。
「なっ……テメエ、いきなりなにしやがる! 放せ、放しやがれ!!」
 ジュリアスがコバヤシを背中から抱きかかえるように手をまわした。
「こっ、この構えは、もしや……?!」
 ヨシオの表情が恐怖で引きつる。
「バックドロップか! バックドロップだな?!」
 そして野良猫監督も戦慄した。
「きさまにはアンハッピーセットをくれてやる」
 ジュリアスがコバヤシを抱えたまま大きく海老反った。
「アらぁ~ッ!!」
 うわずった声でコバヤシが悲鳴を上げたその瞬間、野良猫監督の体をすさまじい衝撃波が突き抜け、爆風で窓ガラスが粉々にくだけ散った。気がつくと、野良猫監督はソファごとうしろにひっくり返っていた。
「こっ、これほどまでとは……!!」
 野良猫監督はヨロヨロと床から立ち上がって辺りを見回した。部屋中に舞い上がるまっ白な粉塵で、視界はあまり良くない。すぐちかくの床に、ジュリアスとコバヤシが座っていたソファが〝かまいたち〟に切り裂かれたようにずたずたになって転がっているのが見える。そして、そのソファの奥に目を凝らすと、さっきまで野良猫監督たちが囲んでいたテーブルが、まっぷたつに折れた状態で床の上にひっくり返っているのが確認できた。
「か……監督……」
 ヨシオの声だ。
「どこだ、ヨシオ君? 無事なのか?」
「監督……こ、ここです」
 部屋の端のほうから聞こえてくる。
「まってろ。いま助けに行く」
 野良猫監督はガレキの積もった床を慎重に進みながらヨシオの救助に向かった。白く立ちこめる粉塵の中を、部屋の奥へと向かって進んでゆく。するとと、やがて大きなガレキの山がぼんやりと見えてきた。
「どこにいるんだ、ヨシオ君! 返事をしたまえ!」 
 野良猫監督はヨシオの名を呼びながらガレキの中を探しまわった。
「う……監督……」
 少しはなれたところのカベ際に積もったガレキの中からヨシオが這い出してきた。
「おお、無事だったか! ヨシオ君」
 野良猫監督はヨシオのそばへ駆け寄った。
「な……なんてパワーだ。ちくしょう……」
「しっかりするんだ、ヨシオ君。さあ、私の肩につかまりたまえ」
「だ……大丈夫。ひ、ひとりで立てます」
 ヨシオは痛みをこらえながらムリヤリ笑顔をつくると、なんとか自力で立ち上がった。
「きみ、足を怪我してるんじゃないのかね? あまり無理しないほうが……」
「大したことありませんよ。ちょっと挫いたたけです。監督こそ、どこもお怪我は?」
「ああ、この通り。なんとか生きてるよ」
 野良猫監督は肩をすくめて苦笑した。
 部屋の中はまだ少し埃っぽいが、だいぶ視界が開けてきた。
「監督」
 気まずそうな表情を浮かべながらジュリアスがやってきた。
「すみません。その、つい興奮してしまって……」
「まあ、コバヤシの態度にも問題はあるから、きみだけを責めるつもりはないのだがね。暴力はいかんよ、ジュリアス君」
「はい、監督。申し訳ありません。以後、改めます」
「うむ。ところで、ジュリアス君。こんど実写版ファイナルファイト(※)やってみないかね? ハガ―市長の役で」
 なんとなく野良猫監督が薦めると、ジュリアスは「いいですね。じつは、以前からやってみたいと思ってたんですよ」と、さわやかな笑顔で応えた。
「きみならいけると思うよ。それから、脚本もきみにたのみたいんだが、書いてみるかね?」
「それはもう、よろこんで。ぜひ、お願いします」
「うむ。すべてきみに任せよう。それじゃ、よろしくたのむよ」
「はい。では、さっそく執筆にとりかかりますので、私はこれで失礼します」
「ああ。ご苦労だったね」
「では」
 ジュリアスは一礼してドアに向かい、床の上をチラリと見てから部屋を出て行った。
「じゃあ、オレはマックに行ってきます」
「ああ。気をつけてな、ヨシオ君」
 ヨシオも片足を引きずるようにしてフラフラとドアを出て行った。
 野良猫監督は綿の飛びだしたボロボロのソファを起こして腰かけると、逆さまの格好で床に突き刺さっているコバヤシにチラリと目をやった。床の上に見えているのは、小刻みにピクピクと痙攣する二本の足だけだ。
「うーむ」
 野良猫監督は腕組みをして呻った。はたして、この状況をどう説明したらいいのか。あえて例えるなら〝打ちそこなった釘〟とでも言うべきか。いや、これは――。
佐清(すけきよ)……か」
 いっそのこと、こいつをこのまま沼に沈めてこようか。そう本気で考える野良猫監督なのであった。


  ※・・・・・https://www.youtube.com/watch?v=10oqMA5W-gs
        https://www.youtube.com/watch?v=5gbt3hSggN0

  *おまけ
   https://www.youtube.com/watch?v=7BdJ1ieBedQ
 
 

  *** 激録・野良猫プロ密着24時!! ***

  *** 激録・野良猫プロ密着24時!! ***

 【オープニングテーマ】・・・・・トムとジェリー大行進
  https://www.youtube.com/watch?v=vi_7HkuiK60
 
 野良猫プロに所属する俳優たちは、お芝居だけでなく自ら脚本を手掛けることもある。もちろん、彼らの脚本をそのまま使うことはない。専属のプロの脚本家が大幅に手直しをするのだ。もっとも、そのまえに野良猫監督がボツにしてしまうこともあるのだが……。

 ――野良猫プロの社長室。
 野良猫監督は社長室でDVDを観ながら、あたらしい作品のアイデアを考えていた。
「うーむ。探偵もの……か」
 テレビのモニターに映るコロンボ警部を見ながら野良猫監督は呻った。
「また『髪隠(かみかく)し』のような〝迷探偵〟でも書こうか。いや、しかし、推理小説は苦手だしなあ。かといって、もう『太平洋、血に染めて』は書きたくないしなあ……」
 野良猫監督が途方に暮れると、ふいにドアをノックする音が聞こえてきた。
「入りたまえ」
「へい、失礼しやす」
 ドアを入ってきたのはコバヤシである。
「なにか用かね?」
「へい。じつは、ちょいとシナリオをふたつばかり書いてきやしたんですが」
「そうか。まあ、とにかく掛けたまえ」
 野良猫監督はテーブルをはさんで向かいのソファへ座るよう促した。
「へい、おそれいりやす」
 コバヤシがテレビのモニターに顔を向けながら腰をおろした。
「刑事コロンボでやすね?」
 野良猫監督によこ顔を向けたままコバヤシが言った。野良猫監督もモニターを見ながら「ああ。『断たれた音』だよ」と答えた。
「ええ、知ってやす。アッシも全部観やしたからね、このシリーズは」
「ほう。きみは西部劇のファンだと聞いたが、探偵ものにも興味があるのかね?」
「まあ、少しは」
「では『シャーロック・ホームズの冒険』は?」
「いや、そいつはまだ観てやせんね」
「ならば、ぜひおすすめするよ。おなじ探偵ものでも、コロンボとはまたちがった面白さがある作品だからね」
「――それから名探偵ポワロもお忘れなく」
 野良猫監督のあとをつづけたのはヨシオである。
「コーヒーを淹れてきました」
「ありがとう、ヨシオ君。あ、ちょうどいい。きみもそこに掛けたまえ」
「はい」
 ヨシオがコバヤシのとなりに座った。
「では、拝見しようか」
 野良猫監督がコバヤシにうなずいた。
「へい。お(ねげ)ぇいたしやす」
 コバヤシが角形2号の封筒をふたつ、野良猫監督に差しだした。
「うむ。こっちはヨシオ君がたのむよ」
 野良猫監督は封筒をひとつヨシオに手渡した。
「脚本ですか?」
 封筒を受け取りながらからヨシオが言った。
「ああ。彼の原稿だ」
 野良猫監督は封筒から原稿を取りだしながらコバヤシにチラリと目をやった。
「あ~……」
 と、そっけない返事をしながらヨシオが原稿に目を落とした。
 まあ、コバヤシ君の原稿だから期待はしないほうがいいだろう。あまり気は進まないが、野良猫監督はとりあえず冒頭だけ読んでみることにした。
「ん……?」
 野良猫監督は原稿のタイトルを見て思わずマユをひそめた。
「じ、ジョジョの微妙な冒……険……?」
 微妙な冒険なら太平洋でさんざんやってきたじゃあないか、コバヤシくん。
 野良猫監督はふいに原因不明の頭痛に見舞われた。もしやカフェイン酔い――いや、私のコーヒーはカフェインレス。酔うはずはない。第一、私はまだコーヒーに口をつけていない。したがって、カフェイン酔いであるはずがないのだ。では、この頭痛の正体は、いったいなんなのか?
「ど、どうかしましたか? 監督」
「い、いや。なんでもない。それより、そっちはどうかね? ヨシオ君」
 野良猫監督は原稿で顔を隠しながら恐る恐るヨシオに訪ねた。
「うっ?! こ、これはいったい……」
「どうやらかなり手ごわそうだね、ヨシオ君」
「……おっ、大江戸救世主伝説……水戸黄門……マーク……Ⅱ……」
「……つづけたまえ」
 野良猫監督は原稿で視界をさえぎったままスッと眼を閉じた。
 まるで念仏でも唱えるように口の中でつぶやきながらヨシオがつづける。
「すっ、助兵衛(すけべえ)角兵衛(かくべえ)は悪党どもをちぎっては投げ、ちぎっては投げ、まさに血沸き肉躍る激しさで暴れまくった。御老公は足元に転がるならず者の口の中に杖を突き立てながら、晴々とした穏やかな笑みを浮かべた顔で戦況を見守っていた。もはや悪党どもに抵抗する余力はのこされておらず、悪代官も地面に突き立てた刀に寄りかかってひざをガクガクさせていた。そのときである。『助兵衛! 角兵衛!』御老公のきびしい声が天にひびきわたる。いよいよ印籠の出番かと思いきや、ふいに御老公が冷酷な笑みを浮かべてこうつづけた。『もうすこしだけ遊んでやりなさい』御老公の言葉に助兵衛と角兵衛は狂喜し、さながら地獄絵図のような光景が――」
「もういい」
 野良猫監督はヨシオの声をさえぎって重いため息を吐き出した。
「コバヤシくん。これはいったいなんなんだね? もうすこしまじめに――」
 こんどはヨシオが咳払いをしてさえぎる。
 野良猫監督がふと顔のまえから原稿をさげる。そしてヨシオがコバヤシにチラリと目をやる。
 ……zzz……
「おまえは……」
 野良猫監督はウンザリした顔でキレながらソファを立ち上がると、モヒカンあたまをちからいっぱい肉球でぶんなぐった。
「しゃきっとするニャンよー!!」
「……z……?!」
 鼻ちょうちんがパチン、と弾けると同時にコバヤシが目を覚ました。
「あ、もう読み終わったんでやすか? で、撮影はいつから――」
「するわけねーだろハゲ! 顔を洗ってクソして寝ろ!!」
 野良猫監督は部屋のドアからコバヤシを叩きだした。
「やれやれ。貴重な時間をムダにしてしまったよ」
 野良猫監督が原稿をゴミ箱にぶち込んでソファにもどったときである。
「――?!」
 曲者か――殺気を感じた瞬間、野良猫監督の肉球はテーブルの上に伸びていた。
「何奴!!」
 野良猫監督はテレビに向かって素早くリモコンを構え、一時停止ボタンを押した。
「かっ、監督。どうしたんですか、いきなり」
「あれを見たまえ、ヨシオ君」
 野良猫監督はテレビのモニターをリモコンで指し示した。
「え?」
 ヨシオが怪訝そうな目をモニターに向ける。
「……あっ!!」
 ヨシオが弾かれたようにソファから立ち上がる。
「監督、これは……!!」
「うむ」
 モニターの静止画面に映っているのは、この「断たれた音」の犯人であるエメット・クレイトンだ。ちょうど被害者のデューディックの「だれもいない部屋」に侵入した瞬間のシーンである。
「撮影スタッフ……ですかね?」
 ヨシオがモニターに顔をちかづけた。
 チャプター7の55:46のシーン。画面の左下、クレイトンの奥の鏡に映り込んだふたつの顔(※)。
 野良猫監督はソファに座ってリモコンをテーブルの上にもどした。
「プロといえど、所詮は人間だよ。ヨシオ君」
 しみじみとコーヒーをひとくちすすり、ふーっと吐息をつく。
 遠い眼をしながら野良猫監督はつづける。
「完璧を目指して努力するのはいいことだ。しかしね、ヨシオ君。そもそも完璧という言葉は、その意味自体が矛盾してるのだよ」
「監督……」
 ヨシオもソファにもどって野良猫監督の話に耳をかたむける。
「形あるものは、かならず壊れる。生きとし生けるものには、やがて死が訪れる。つまり、『完璧』という文字は存在するが、『完璧な物』は存在しない、ということなのだよ」
「なるほど。そう考えると、なんか努力するのがばかばかしく思えてきますね」
「いや、それはちがうぞ、ヨシオ君。なにごとも失敗を恐れずに全力で取り組む。そういう心構えは、やはり大事だと思うのだよ。失敗を恐れて逃げ回ってばかりいるようでは、いつまでたっても一人前にはなれないんだ。そもそも、楽していい作品が作れるなら、私はとっくにアカデミー賞を受賞しているよ」
「監督も向き合ってるんですか? 自分の弱点と」
「もちろんさ。私はキャラの表情や仕草の描写が苦手でね。いろいろと自分なりに研究はしているが、なかなかうまく書けなくて悩んでるんだ」
「地の文もさほどうまいとは思いませんけどね」
 ヨシオがボソリとつぶやいた。
「うん? なにか言ったかね、ヨシオ君?」
「え? いや、べつに。あっ、ちょっと急用を思いだしたんで、オレはこれで失礼します。それじゃ」
 そそくさとドアを出てゆくヨシオをよこ目で見ながら野良猫監督はこっそりと笑った。
「うまく逃げおって」
 冷めかけたコーヒーをすすり、ふとテレビの静止画面に視線を流す。
「……努力、か」
 しかし、人には向き不向きがある。才能ばかりは、努力で身につくものではない。人間、己を知ることも大事なのである。だが、才能がないからといって夢をあきらめるのはまちがっている、と野良猫監督は思う。できる、できないの問題ではなく、やるか、やらないか、ということが重要なのだ。才能に勝る情熱。夢をつかめるかどうかは、本人の努力次第なのである。
 野良猫監督はソファのよこのゴミ箱からコバヤシの原稿を拾い上げた。
「……でも、やっぱ才能も大事なんだなぁ……」
 コバヤシの原稿を読めば読むほど自分を否定したくなる野良猫監督なのであった。


 ※・・・また、「シャーロック・ホームズの冒険(ジェレミー・ブレッド
     主演)」のエピソード「踊る人形」のエンディング直前のシーン
     (DVDの「完全版メニュー」かデジタルリマスター版の
     50:32のところ)にも、遠くのほうを白いコンテナのトラック
    (車体の色は赤)が坂道を下ってゆく姿が映り込んでいる(画面の
     いちばん上のやや左側)。
 
   *おまけ(コバヤシが忘れていったゲーム)
    https://www.youtube.com/watch?v=8jnS1hyZiP4
    https://www.youtube.com/watch?v=CHbJGLsZe5g
 
 

 *** 野良猫監督、自らの作品を語る! ***

 *** 野良猫監督、自らの作品を語る! ***

 
【ハイボール】
 デビュー作ですね。はじめて書いたやつ。しかも、最初は原稿用紙に書いたんですよ。たしか百枚ぐらい。それを、こんどはPC(ワードパッドかなにか)に書き写して、それから大幅に手直しを加えたんです。主人公(ケンジ)の出身地を岩手県に設定したのは、野良猫の母が岩手出身だからです。ちなみに作中に登場する「泉田自動車整備工場」は母の旧姓(泉田)から取って付けました(笑)。ただ、最後に手直ししたのはここ(星空文庫)に掲載してすぐのころだから、ほとんど執筆直後のままなんですよね。いま掲載されてるやつは。なので、ちょっと読みにくいと思います(ヘタクソってこと。いまもヘタだけど)。
 ところで、作中で使った「Autumn Leaves(枯葉)」という曲は、じつを言うとタイトルだけテキトーに選んで曲自体は一度も聴いてなかったんです(笑)。音楽とか歌の知識は皆無でしたからね、そのろは。だから、ジャズかなにかの有名な曲をPCで検索して、なにも考えずに「これでいいや」みたいな感じで選んだんです。なので、たぶんそのシーンの雰囲気には合ってないかもしれませんね。ただ、若林の「ルパン音頭」は何度か聴いたことがあったので、さほど手間はかかりませんでしたね。アニソンというよりは演歌みたいな曲だし、チンピラにはピッタリかな、と思って採用しました(笑)。  
 さて、つぎはこの作品のタイトル「ハイボール」についてですが、これは作中で若林が愛飲しているお酒から取ったものなのです。ただ、さいきん久しぶりに読み返してみますと「〝炭酸入りオレンジジュース〟で割ったハイボール」と描写されていました。まあ、ハイボールというよりは「スクリュードライバー」にちかいかもしれませんが、野良猫はお酒を飲まないので、お酒のことはよくわからないのですよ。なので、たぶん当時もよく考えないで書いていたんだと思います。しかも、よく見ると描写をミスってるところもありました。この「炭酸入りオレンジジュースで割ったハイボール」って、なんかヘンですよね。これは「炭酸入りオレンジジュースで割ったウイスキー」が正解だと思います。まあ、どっちにしろあまりうまそうな酒には見えないのですが(笑)。じゃあ今から書き直せばいいじゃないかと皆さんはお思いでしょうが、野良猫はもうこの作品をいじるつもりはないのです。だから、ここで正式に訂正します。

 『若林のハイボールは〝炭酸入りオレンジジュースで割ったウイスキー〟ではなく〝ふつうのハイボール〟です』

 ということで、今更ですが、これを公式設定といたします!
 つぎはプロットについて語ろうと思います。まあ、野良猫はあんまりプロットとかは作らないんですが、そのときもほとんど作りませんでしたね。いや、まったく作らないわけじゃないんだけど、たとえば「ケンジの出勤シーン。ここで涼子と出会う」「花火大会のシーン。ここで若林が自分の過去を語る」「居酒屋(昼行灯)のシーン。ケンジと涼子と若林が三人でトランプ(ババ抜き)をする。後半に涼子が若林にプレゼントを渡す」「ラストシーンは病院の屋上。ケンジが母親とケータイで会話する。ケンジと涼子が夜景を眺めながら会話する。最後は雪が降って〆」みたいにね、かなり大雑把ではあるけど、いちおうそんな感じで設計図は作りました(笑)。あとはすべてキャラ任せですね。書きながらキャラに会話をさせてストーリーを進めるんです。だから、いま書いてるシーンがどんな風に出来上がるのか、それは野良猫にもわからないんですよ。もちろん、キャラ同士の会話の内容も、実際に書くまでは全然考えてないんです。ただ、最初にどのキャラの言葉ではじめたらいいか、その場合、どういうセリフで切り出したらいいか、ということだけは少しだけ考えますね。あとは全部成り行きに任せるだけですね。それで完成したものが気に入らなければ、もういちどそのシーンのはじめからやり直すこともあります(セリフだけ一部変更したり)。なにげに大変だったのが、ポーカーのシーン。じつは、野良猫はポーカーのルールがわからないんです(笑)。なので、ポーカーのシーンで盛り上げることはできませんでしたね。吉行はパチンコばかりしてますが、野良猫はギャンブルなどには興味がないのでやりません(宝くじはときどきやりますが)。なので、パチンコの話は作中ではほとんど出てきませんね。
 ところで、この物語は、個人的にはあんまり納得していないんですよ。「この終わり方でいいのか?」みたいな。それは当時(2014年の11月ごろ)から思っていたことなんです。もっと別の結末でもいいんじゃないのか、って。ただ、素人ですからね、野良猫は。しかも、最初の作品でこのテーマは重すぎるし、やっぱり無理があったかな、と。まあ、もともと野良猫には文才がないですからね。そのうちちゃんと書き直そうと思ってたんですが、もうあきらめました!

 *いちおう主題歌の予備を貼っときます!
  【OP】 https://www.nicovideo.jp/watch/nm3851576
  【ED】 https://www.nicovideo.jp/watch/nm4128952
  【チャプター3の「たんぽぽ」の店内に流れる曲】
   https://www.nicovideo.jp/watch/sm6228138
 
 
髪隠(かみかく)し】
 これは二作目だったかな。たぶん。基本的に暴れん坊将軍や水戸黄門なんかでよくある話をベースに書きました。いちおう冒頭(プロローグ)は掲載後に手直ししたんですが、あれは御家人斬九郎の冒頭のナレーションを改造したものです(笑)。
 ちなみに「ヅラびと」という言葉は野良猫が考えた造語なので、たぶん一般的には使われていないと思いますので注意してください!
 それから、キャラの名前はすべて髪に関係するダジャレになってるんですよ。たとえば「床山(とこやま)和泉守(いずみのかみ)忠光(ただみつ)」は床山(髪結い)と忠光(ただ光る。つまりハゲ)、そして杉田(すぎた)洗頭坊(せんずぼう)は、あたまを洗いすぎてハゲた、という意味になってるんです。主人公の名前は長七郎っぽいですが、顔は桃太郎侍をイメージしながら書いてました(笑)。あと「濃毛屋(こいけや)」は某お菓子メーカーからいただきました(笑)。
 
 
(きょう)之助(のすけ)の日常】
 これは「髪隠し」の番外編ですね。それぞれ四つのエピソードの中で四季を表現しつつ書いた物です。ただ、作中では具体的な季節は出てこないですね。あえてそこは書かずに「ああ、いまは冬なんだな」と思わせるような描写を入れて書いたんです。たとえば「鬱陶(うっとう)しい梅雨も終わり、街では冷水(ひやみず)売りや風鈴を売り歩く棒手振(ぼてふ)りの姿が目立ち始めた」というように。これだけで読者は「ああ、夏なんだな」ってわかりますよね? この作品は、個人的にそういう描写(表現)の練習をした作品なんです。あとは、とくになにも言うことはないです(笑)。
 
 
【インロック!】
 みなさんも車のインロックにはご注意ください!
 
 
【クラムボンについての考察】
 エッセイか? まあ、よくわかんないけど、ただ思ったことを書いてみただけです!
 
 
八咫烏(やたがらす)
 この作品はね、じつは「ハイボール」と同時期に構想を練っていたやつなんですよ。八咫烏というのは三本足のカラスなんですが、登場人物もそれにちなんで三人組の盗賊(義賊)という設定にしたんです。この一味のカシラは烏平次(うへいじ)という「ヅラびと」で、かならず盗みに入った先でヅラのことでトラブルを起こす、という設定だったんです。たとえば、第一話の終盤で隼助(しゅんすけ)と烏平次が見せた掛け合いみたいな感じにね。ちなみに、あのシーンは映画「グッドフェローズ」を参考にしたんですよ。酒場でトミー(ジョー・ペシ)が〝デカ〟につかまったときの武勇伝をジョークを交えながら面白おかしく語ってるシーンです。みんなでトミーの話を笑いながら聞いていると、ふいにヘンリー(レイ・リオッタ)が「おまえはおかしなヤツだ」と言うんですが、トミーはその言葉が気に障ったらしく「なにがおかしいんだ」とヘンリーにつっかかります。一気に場の空気が凍りつき、ヘンリーは戸惑いながら「ただ、おかしいんだよ。話し方とか、何もかも」と答えますが、やはりトミーは納得せず「わからねえな。いったい、オレのどこがおかしいってんだ」と、くだを巻きます。そのとき、仲間のだれかが「トミー、あんたは誤解している」と取り繕いますが、トミーはまったく聞く耳をもちません。でも、それはトミーの「芝居」だったんですよね。トミーはヘンリーの怯える様子を楽しんでいただけなんです。
 しかし、烏平次はちがうんです。彼は本気でゴネるんです(笑)。それをどうやって面白く解決するか、というのをやりたかったですよ。でも、いざ書いてみると、思った以上に書きにくくてね(笑)。ほとんどヅラの設定を生かせずに打ち切りにしてしまいました。なので、第六話「雨」のラストで、なぜ烏平次があんなに寂しそうに描かれているのか、そこの部分が謎のまま終わってしまったんですよ。本当は、あの話のあとに「特別読み切りスペシャル(※)」を書こうと思ってたんです(烏平次の過去の話)。そして、第二弾では雷蔵(らいぞう)の過去をやるつもりだったんです。でも、本編のほうがイマイチ盛り上がりに欠けるし、すでにネタ切れの状態だったんで、予定を早めて隼助の過去の話を最後に打ち切りにしたんです。ちなみに、彼らの名前はすべて鳥類が由来になってるんです。烏平次は「烏」、雷蔵は「雷鳥」、隼助は「隼」というようにね。
 ところで、作中で彼らが頻繁に使っていた〝烏の(いびき)〟という話術なんですが、これは岡本(おかもと)綺堂(きどう)の「半七捕物帳」に登場する盗っ人たちの話し方を参考にしたものなんです。聞き取りにくい、くぐもった低い声。どのエピソードかは忘れましたが、たしかそんな話し方をする盗っ人がでてくるエピソードがあったと思います。それから、これはちょっとした小ネタなんですが、刑事コロンボの「うちのカミさんがね」の翻訳で知られる額田(ぬかだ)やえ子さんの父・額田六福(ろっぷく)さんは、岡本綺堂のお弟子さんです。
 話を少しもどしますが、「グッドフェローズ」は個人的にかなり好きな映画で、いまでも定期的に観てますね(DVD)。ただ、原作(小説)はまだ読んだことはないんですよね。なので、映画と原作のどちらが面白いのかは分かりませんが、おなじマフィアものの映画「フェイク」は原作(ジョゼフ・ピストーネ著「フェイク マフィアをはめた男」)のほうが面白かったですね。個人的には。 まあ、映画のほうはアル・パチーノとジョニー・デップのダブル主演という豪華な顔ぶれなんですが、内容はイマイチ納得できませんでしたね。たぶん、原作を読んだことがある方なら、なんとなく物足りなさを感じると思います。
 じつは、野良猫も「ボニャンノファミリー」のワイズガイなんですよ。組織内での呼び名は「ラッキー・ルチニャーノ」または「サルヴァトーレ・ルカーニャン」で通ってます(コードネームは「ごぬこ13」)。もしルチニャーノに〝仕事〟を依頼したい場合は、まずラジオ番組「オールナイトニッポン MUSIC10」に「山寺の和尚さん」をリクエストしてください。「山寺の和尚さん」が流れると、「夕焼け新聞」にて「22年式C型(キャットのC)トラクター売りたし」という広告と連絡先が掲載されるので、そこに連絡する。報酬は小判で百両(一件あたりの相場)。指定の口座(ゆうちょ)に入金が確認され次第、仕事に取りかかります(余談だが、ルチニャーノに関する情報は日本の公安一課特殊処理班に「植物図鑑C-22 またたび」という暗号名でファイルされている)。
 と、いうわけで、だいぶ話が変な方向に行ってしまいましたが(笑)、この作品(八咫烏)のいちばんの反省点は、やはり烏平次のヅラ設定をうまく活かせなかったところでしょうか。

 ※・・・・・オチの部分のプロットのみ「完全版」の巻末に収録してありま
       す!
 
 
野良(のら)(いち)物語】
 座頭市だよね(笑)。これはね、タイトルをどうしようかってね、少しだけ悩んだんですよ。「野良市物語」にするか、あるいは「野良の市物語」にしようか。で、けっきょく後者にしたんですがね。まあ、内容はそのまんま座頭市です(笑)。しかも、時代劇なのにオープニングテーマが派手なロックという(笑)。でも、実際のテレビの時代劇でも使えると思うんですよね。オープニングの映像に本編のハイライトシーンとか役者さんを入れずに、この「野良の市物語」の表紙のような浮世絵を使えば違和感ないと思います(たぶん)。
 ところで、この作品の中には、いろいろ隠されてる物があるんですよ。読者の皆さんには、おわかりいただけたかな? そう。桃太郎に登場するキャラが入ってるんです。ヤクザ(地回り)は狂犬、つまり犬です。そしてヤクザ(赤鬼一家)の親分の〝笑鬼(しょうき)〟は鬼。赤鬼一家が経営する口入れ屋の名前は「きじ屋」、つまり雉。そして、お千加の煙草入れについてる根付の細工は「猿」というようにね。ただ、「野良(のら)(いち)」だけは桃太郎とは何の関係もないんですよね。彼は矢坂(やさか)剣四郎(けんしろう)という名前なんですが、これは「三匹が斬る!」の矢坂(やさか)平四郎(へいしろう)と「北斗の拳」のケンシロウが由来になってるんです。ただ、ラストを見ればわかる通り、メインは「ケンシロウ」になってます(笑)。
 それから、この作品にはもうひとつの楽しみ方があるんです。この物語の主人公は目が不自由なので、情景描写や人物描写がほとんどありません。なので、作中に登場するキャラたちがどんな姿をしているのかわからないのです。だから、自由に想像していいんです。べつに人間じゃなくてもいいんです。表紙のままのイメージでもかまいません(ネコやタヌキやイタチのバケモノ)。ただ、「ハゲあたまに柿が落ちてきた」という描写があるので、そこで強制的に「人間」に戻される可能性はありますが(笑)。
 まあ、個人的にはそこそこバランスの取れた作品だとは思ってるんですが、あえて欠点を述べるとすれば、主人公が一度も仕込み杖を抜かなかったところですかね。いずれにせよ、殺陣(たて)の描写はむずかしそうだから、たぶん書けなかったと思いますが(笑)。
 
 
【モモカニ合戦】
 大岡越前(三方一両損)に某妖怪アニメと桃太郎侍を足して2で割ってみました!!
 
 
【野良猫のダイエット講座】
 ダイエットしました!!
 
 
【おしえて! ぬっこ先生!!】
 たまにはおもしろいよね。こういうのも。
 
 
【クイズ! ニャンじゃらホイ!!】
 テレビのクイズ番組っぽいけど、最近はもうテレビは観てませんね(笑)
 
 
【太平洋、血に染めて】
 いまじゃ野良猫の代表作とも呼べる作品ですね。はじめはそんなつもりで書いたわけじゃないんですが(笑)。そして、これが最初に主題歌を採用した作品でもあるのです。ただ、第一作目の「パイロット版」を書いた時点では、まだ主題歌はなかったんです。どのエピソードからはじめたのかは覚えていないのですが、たしか完全版(最初は収録エピソードが少なかった)のすぐあとぐらいだったかな。たぶん。もう何年もまえのことなのでよく覚えてないです(笑)。
 まあ、主題歌を採用しようと思ったきっかけは「主題歌とBGM」の項で述べた通りなのですが、最初は苦労しましたね。野良猫は映画は好きなのだが(主に七十年代から九十年代の洋画)、音楽や歌の知識はまったくなかったんですよ。そのとき流行っていた曲とかアーティストもわからないし。ただ、かろうじて知っていたのが「聖飢魔II」ぐらいかな。少し古いけど(笑)。
 それで、どうやって曲を探したかというと、まずウィキペディアで八十年代と九十年代のテレビアニメ作品一覧を調べたんです。そして、そこにあるタイトルの主題歌を片っ端から聴き漁ったんですよ(笑)。もちろん、テキトーに選んだわけじゃありません。選考基準の設定も厳しくしました。ひとつは、歌詞の内容が作品のイメージに近いこと。もうひとつは、曲の雰囲気が作品のテーマに合ってるかどうか。ちなみに、やたらとアニメ作品のタイトルとか主人公の名前が歌詞に登場するものは規格外なので、最後まで聴かずにボツにしました! ただ、頻繁に「トランスフォーマー」のフレーズが登場するトランスフォーマーの主題歌は一時採用した時期もありましたが(笑)。
 と、いうわけです。もともとね、野良猫の作品は映画というよりマンガにちかいんでね。ふつうのドラマの主題歌よりはアニメの主題歌のほうがしっくりくるんですよ。試しにアニソン以外の曲を選んだこともあるんですが、やっぱり違和感ありましたね(笑)。
 ところで、この作品にはどこかで聞いたような名前のキャラとか固有名詞がたくさん登場するんですよね(笑)。キャラについては、まあ、わざわざ説明するまでもないので触れませんが、たとえば長老やコバヤシの上げる悲鳴が某ロールプレイングゲームに登場する呪文(魔法)だったりね。もちろん、この呪文も闇雲に選んだわけじゃありません。釣りのシーンで長老が感電したときにはサンダー系の呪文(ギガデイン)を唱えさせました(笑)。つまり、受けた攻撃の属性の呪文を悲鳴に変換してキャラに叫ばせたんです。あとは、モデルになったキャラの口ぐせみたいなやつも、そのキャラが直接口にするのではなく、ほかのキャラに言わせたりもしました。たとえばトーゴー(ゴルゴ)の「用件を聞こう」というセリフは、彼ではなく大五郎に言わせました(エピソード「太平洋、血に染まる!」にて)。そうすると、本人(モデルのキャラ)が言うより面白くなるんですよね。「それオレのセリフじゃん!」みたいな(笑)。その辺は自分なりに工夫しましたね。ただキャラをパクったのではつまらないので(笑)。あと、地の文なんかは、けっこう「セブン(モーガン・フリーマンとブラッド・ピット主演の映画)」の影響を受けてるところが所々にありますね(小説版の文体)。しかも、一部の描写はそのまま流用してるし(笑)。たぶん読んだことがある方はピンと来たはずです。「ああ、これはあのシーンの描写だな」と。まあ、描写とか表現というのは、とくに意識しなくても、ほかの作品(小説)のそれと似てしまうことがたびたびあるんです。料理で言えば、カレーとシチューのちがいみたいなものですかね(どちらも具はおなじ)。そこは仕方ないと思います。
 それから、ヨシオのキャラなんですが、これは少し失敗したかもしれませんね。最初のころはよかったのですが、後半のほうになると、設定(ヨシオのキャラの)に違和感を感じるようになったんです。たとえば射出座席で飛んでいったトーマスじいさんに対して親指を下に向けながら「グッドラック!」などと冷たい態度を見せたり、そういう意味のわからないことをする「イカレたキャラ」と後半の「クールなキャラ」のギャップが目立ちはじめたのです。まあ、彼の心境(やや荒んだ心)が変わったのは、おそらく第四話「トリトン」の出来事が影響しているとは思うのですが。個人的に。それから、初期の設定(大統領を目指すという設定)はナシにしました(笑)。
 あとはメイキング・オブ「太平洋、血に染めて」の項で述べた通りなので、とくに言うことはありませんね。以上です!
 
 

    2022年  野良猫
 
 
 

     ☆☆☆ 燃える職人魂 ☆☆☆

     ☆☆☆ 燃える職人魂 ☆☆☆

 *OP・・・おっとどっこい日本晴れ(キャッ党忍伝てやんでえ)
       https://www.youtube.com/watch?v=dujzhTv05QA
       https://www.nicovideo.jp/watch/sm36699589

 
 その脚本は電話帳ほどの厚さはあった。早めのペースでも、読み終えるのに数日はかかりそうだ。ふつうに読むだけでも時間がかかるのに、内容も吟味しなくてはならないのである。そして、その脚本が採用になったら配役を決めて撮影に取り掛かる。撮影が終わったら編集し、主題歌をつけてようやく完成である。監督は、その一連の作業をほとんど一人でこなしているのだ。とてもじゃないが、自分には真似のできないことだ。ヨシオは、つくづくそう思う。
 しかし、職人気質の野良猫監督は、滅多にやる気を起こさない。
「あー、疲れた。ヨシオ君、コーヒーたのむよ」
 野良猫監督はほんの数行読んだところで〝電話帳〟と閉じ、センターテーブルの上にドスンと大きな音をたてて置いた。
「それ、コバヤシさんのですか?」
 コーヒーを淹れながらヨシオが訊いた。
「ああ。困ったもんだよ。毎回毎回、こういうゴミを持ち込まれると、ホント迷惑なんだよねえ。ゴミ袋だってタダじゃないんだよ?」
「このところ、値上げラッシュがつづいてますからねえ」
 ヨシオはセンターテーブルに盆を置いて湯気の立つマグカップを野良猫監督に差しだした。
「キミも大変だろう、ヨシオ君。ウチは給料安いからねえ」
「あ、いえ、そんなつもりで言ったんじゃ……」
「べつに怒ってるわけじゃないよ。むしろ、安月給で頑張ってくれているキミには感謝しているくらいだ。私には、もうキミだけが頼りなんだからね、ヨシオ君」
「やめてくださいよ、監督。照れるじゃないですか」
 ふたりで笑っていると、だれかがドアをノックする音が聞こえた。
「入りたまえ」
 野良猫監督がノックに答えた。
「ごめん!!」
 威勢のいい声と同時に、すさまじい勢いでドアが開いた。
「ほう。でかくなったな、小僧!!」
 なぜか〝聖帝様〟の口調になる野良猫監督。ドアから入ってきたのは大五郎だった。
「ぬっこせんせー!! これ、なおして!!」
 大五郎が野良猫監督のそばに駆け寄ってきた。どうやら、壊れたおもちゃを直してほしいようだ。
「大ちゃん。監督はいま仕事中だから、邪魔しちゃいけないよ」
「いいんだよ、ヨシオ君。今日は超ヒマなんだから」
「はあ……」
 今日だけではない。いつもヒマなのだ。ヨシオはソファに腰を沈めると、重いため息をひとつもらした。
「どれ、小僧。直してやるから見せてみろ」
「ほんとうに、なおせるの?」
 疑いの眼差しを向ける大五郎に、野良猫監督は「もちろんさァ」と余裕の笑みを見せた。
「これ、うごかなくなっちゃったんだ」
 そう言って大五郎が差しだしたのは、牛のロボットのおもちゃだった。
「なるほど。ディバイソン、か」
 野良猫監督の目がキュピーンと光った。
「へえ。知ってるんですか、監督。そのオモチャ」
 感心しつつもヨシオはいささかおどろいた。
「ゾイド。キミも聞いたことがあるだろう、ヨシオ君」
「ああ、そう言えば監督の作品の映像特典にありましたね。家弓(かゆみ)さんがナレーションやってるやつ(※1)」
「あれはメカ生体ゾイド、通称『旧ゾイド』と呼ばれているんだが、80年代に発売されていたものなんだ。当然、いまではプレミアがついて入手困難だがね」
「じゃあ、それも高いんじゃあないんですか?」
「いや、これは再販版だから。といっても、やはり定価の数倍はするがね。未組立なら」
「どこでちがいがわかるんですか?」
「見分ける方法はいろいろあるんだが、このディバイソンで言うと、まずカラーリングのちがいかな。それから角と蹄に使われている金属パーツも多少質感が異なるし、再販版は後部対空砲の付け根にハードポイントが追加されているんだ。もちろん、パッケージの写真も変更されているから、初版と再販版を間違える心配はないよ。ちなみに海外版では角と蹄のパーツはプラスチック製に変更されてるんだよ。安全基準の問題でね」
「あー、なるほど」
 わかったような、わからないような、微妙な返事をするヨシオなのであった。
「ちなみに、いちばん高いやつとかは、いくらぐらいするんですか?」
「まあ、旧シリーズのものは、小型のゼンマイタイプでも一万前後はするし、モータータイプは普通に十万超えてるのもけっこうあるよ」
「そんなにするんですか?!」
「たとえばゴジュラスMk-II限定型とアイアンコングMk-II限定型は、滅多にお目にかかれない幻の品でね(※2)。野良猫も当時、いちどだけ友達の家で実物を見せてもらったことがあるんだが、まあ、未組立の状態なら、安くても250ccのバイクが新車で買えちゃうくらいはするかな」
「信じられないっス」
 冗談抜きでビビるヨシオ。
「この程度でおどろいてもらっちゃ困るね」
「まさか、さらに上があるんですか?」
「あるんだよ。プロトタイプキングゴジュラスってやつがな」
「プロトタイプ?」
「市販品の色ちがいバージョンで、平成二年にキングゴジュラス発売記念キャンペーンの景品として百個だけ限定生産されたんだ。たしか、ゾイドのパッケージのバーコードをハガキに貼り付けて応募すると抽選でもらえるやつだったと思うんだが、おそらく未組立のキットはもう存在していないだろうね。もしあったとしたら、買取価格で百二十万以上はするからね(※3)」
「ひゃひゃっ、百二十万?!!」
 思わずのけ反るヨシオ。
「まあ非売品だからね。ちなみに通常販売版のものは買取価格が八万ぐらいが相場かな。08年に再版されたものでも五万前後で買い取ってくれるよ」
「でも、買取価格で百二十万って、販売価格だとどれくらいするんですか?」
「たぶん、百五十万以上はいくんじゃないんスか。組立済みですら現存数はかなり少ないみたいだし」
「たかがおもちゃ、されどおもちゃ、ですね」
 思わずため息がでるヨシオ。
「じつは、野良猫もむかしゾイドのZ-POINTキャンペーンというやつでね。当たったことがあるんだよ(※4)」
「えっ、すごいですね。どんなやつですか?」
「レドラースペシャルカラーってやつで、たしかギルドラゴンとかデカルトドラゴンとおなじ成形色だったかな。あれは抽選で400名だったんだけど、まさか当たるとは思わなかったからね。応募したのが05年の秋ごろで、商品が届いたのが翌年の二月ぐらいか。いや、もう手放してしまったんだがね」
「手放した? 売ったんですか?」
「ああ。いまにして思えば、ちょっともったいなかったな。あれは、ちょうどリバースセンチュリーシリーズが始まったころだったと思うんだが、八千円ぐらいで売れたよ。組立済みだったんだがね」
 なお、店頭に並んで数時間で売り切れた模様!
「もし未組立てだったら、いくらで売れたんですかね?」
「さあ。当時の相場は忘れちゃったけど、いまの、令和六年の相場だと、だいたい六万から六万五千ぐらいかな」
「じゃあ、組済みでも二万ぐらいはいくんじゃないんですか?」
「たぶんね」
「損しましたね。一万二千」
「だね」
 ふたりで声を上げて笑う。
「ちなみに、その売ったお店は『ホビーランドぽち』っていうんだが、08年か09年ごろにそこで『レドラー スペシャルカラー』の組済みを買った覚えのある方!! それは野良猫の思い出の品なので、大切にするニャンよー!!」
 箱・説明書付き、シール未使用、販売価格は一万二千八百円ぐらい(うろ覚え)。キットの状態は良好で、日焼けも破損もありませんでした!!
「せんせー、はやくなおして!!」
 大五郎が急かすように言った。
「おお、そうだったな。どれどれ」
 野良猫監督はディバイソンの腹部の電池カバーをスライドして開けた。
「よし。電池は入っているな」
 電池ボックスには単三電池が一本収まっている。
「このディバイソンは電池カバーがスライド式なんだけど、これ以降に再版された電動タイプのゾイドは電池カバーがビス止め式に変更されたんだよ」
「どうしてです?」
「安全基準がきびしくなったんだよ。ただ、改修されたのは単三電池仕様のキットのみで、大型の単二電池仕様のキットはスライド式のまま再版されたんだ。もっとも、一部の大型のやつはライトユニットの電池カバーがビス止めにされたけどね。ちなみに初期の再販キット、たとえばシールドライガーやセイバータイガーもね、途中からビス止め式に改修されちゃったんだよ」
「じゃあ、途中から変更された物は、実際に箱を開けるまではわからないってことですか?」
「いや、わかるよ」
「パッケージが変わったんですか?」
「見た目はほとんど変わってないよ。ただ――」
「せんせ~~はやく~~!!」
 大五郎がお待ちかねである。
「わかったわかった。すぐ直してやるよ」
 野良猫監督はディバイソンの後部にあるスイッチを前方に倒してシッポの下あたりをコンコン、と指もとい肉球で叩いた。
「こうやってスイッチを入れた状態でモーターのちかくを軽く叩いてやるとね、コイルに付着した酸化被膜が剝がれるんだよ。そうすると、動くようになるのさ」
 野良猫監督は肉球で叩きつづける。しかし、ディバイソンは一向に動こうとしない。
「あれ、おかしいなあ」
 少し強めにバシ、バシ、と叩く。それでも動かない。大五郎は冷めた目でじーっと眺めている。気まずい沈黙が流れる中、野良猫監督は必死にディバイソンのケツを叩きつづけていた。
「シャキッとしろニャン!!」
 とうとうブチギレた野良猫監督は、ちからいっぱいディバイソンのケツを肉球でぶんなぐった。
「あっ!」
 思わずヨシオが声を上げる。
「うごいたーっ!!」
 そして大五郎も飛び上がって喜ぶのであった。
「まっ、まあ、こんなもんかな」
 ぜえぜえと荒い息をしながら野良猫監督が得意げに笑った。
「このディバイソンは保存状態もそれほど悪くなかったからね。端子に錆びもないし動力部もきれいだったし、動かない原因はすぐにわかったのさ」
 野良猫監督はコーヒーをひと口すすり、安堵したように大きく息を吐いた。
「ありがとー、せんせー!!」
 大五郎はうれしそうに飛び跳ねながら部屋を出て行った。
「ところで、さっきの電池カバーの件ですが……」
 改めてヨシオが訊ねると、野良猫監督はおもむろにソファから立ち上がった。
「口で説明するよりも、実物を見たほうが早いだろう」
 野良猫監督はエグゼクティブデスクの引き出しからゾイドの箱をふたつ取りだしてソファへ戻ってきた。
「さて。どこがちがうか、わかるかね?」
 ふたつともセイバータイガーの箱だ。しかし、どちらもおなじに見える。
「パッケージの形も写真もおなじだし……どこがちがうんですか?」
「そのTOMYのロゴマークをよく見たまえ」
「……あっ、マークの位置がちがう!」
「そう。99年~00年の初期のものはパッケージの表面の右下、01年~05年に再版された後期のものは右上に表記されるようになったんだよ。ただ、ロゴマークの位置はキットによって異なるんだがね。たとえば、コマンドウルフのアーバイン仕様なんかは初期のものは左下、後期のものは右上になってるんだ。でもね、ちがいはそれだけじゃないんだよ」
「と、いいますと?」
「文字の形をよく見たまえ」
「ああ、ちがいますね。初期のものは丸文字で、後期のものは角文字になってます」
「そう。この角文字が使われるようになったのは……いや、じつは私もよく覚えていないんだがね。たしか、00年の九月に発売されたライトニングサイクスからだったかな。ただ、ライトニングサイクスも後期に再版されたやつは、おなじ角文字でも文字の色と位置が変更されてたけどね」
「なるほどねえ。ロゴマークのちがいで見分けるんですか」
「まあね。でも、この安全基準ってやつのせいで、素晴らしいゾイドのデザインが台無しになってしまったのが、なんとも残念な話だよ。まったく。見たまえヨシオ君。この哀れな姿になってしまったセイバータイガーを」
 野良猫監督は三体のセイバータイガーをテーブルの上に並べて置いた。
「左から角文字版、丸文字版、旧版の順になってるんだが、まずは旧版を手に取ってみたまえ」
「なんか、ほかの二体と目の色がちがいますね」
 三体とも本体色は赤だが、角文字と丸文字のものは目がクリアグリーンである。しかし、旧版のものは目がクリアブラウンだった。
「色だけじゃないさ。プラの材質もちがうんだ。旧版のものはメイドインジャパンだから、クリアパーツの透明度も高いし、プラの質が良かったんだよ。まあ、後期の再販版は質の悪いシンガポール製が多かったけど、99年以降の新シリーズのものよりはマシだったかな。旧ゾイドは、日本製のキットは内袋の口がヒートシールされてるんだけど、シンガポール製のものは袋の口を一回折ってテープで張り付けてただけで密閉されてないんだ。あと、うわさでは、シンガポール製は金型が別物だって聞いたことがあるよ」
「金型が別物って、どういうことですか?」
「シンガポール製の金型は、主に海外版ゾイドで使われていたんだ(※5)。これは日本製の金型を元に新しく造ったものなんだが、日本製のと比べると精度がやや低く、全体的にモールドの甘さが目立ったり、パーツの合わせ目に若干隙間ができたりするんだ。野良猫が買ったツインホーンという小型ゼンマイゾイドも、コクピットハッチが少し斜めになっててピッチリ閉まらなかったよ。だから、中古品を購入するときは、できれば日本製のものを選んだほうがいいよ。パッケージ裏面のTOMYロゴかバーコードのところにmade in Japanの表記が入ってるから、気になる場合は確認するといい」
「なるほど」
「ちなみに、いまキミが手にしているのはセイバータイガーじゃなくて『サーベルタイガー』だよ」
「え、でも、ほかの二体とおなじキットですよね?」
「ああ、おなじだよ。というのも、再販するときに商標登録の問題が発生してね。サーベルタイガーの名前が使えなくなったから、商品名を変更したってわけさ」
「商品名も、自由には使えないってことですか」
「ま、名前ぐらいならまだいいんだがね。問題は中身だよ、中身」
「オレには三体とも同じにしか見えませんが、ビス止め以外に、なにかちがいがあるんですか?」
「〝キバ〟だよ。ヨシオ君」
「キバ?」
「その旧版のものと、ほかの二体のキバを見比べてみたまえ」
 ヨシオは旧版のキバをよく観察してみた。上顎の大きなキバの先端は適度に尖っている。下顎の小さなキバもおなじだ。上下に一本ずつ生える奥歯も鋭い。そして、ほかの二体は……。
「この上顎と下顎のキバですが、角文字版のやつは先端が太くなってますね。丸文字のほうは、先端が涙滴状にちょっとだけ丸みを帯びてる感じですか」
「それだけか?」
 野良猫監督が〝ケンシロウ〟の顔で言った。
「え?」
「それだけか、と訊いているのだ」
「……ああ、角文字版のやつは、上下の奥歯が削られてますね。まん中あたりからザックリと」
「そう。それは04年に発売されたセイバータイガーホロテックから改修されたんだよ。ひどいだろ? いくらなんでもやりすぎだろ? だってね、当時はそのキバでケガした子供なんていなかったんだよ? むしろ、組み立てるときに使うニッパーとかアートナイフのほうが危ないんだよ? キットで遊んでケガしました、なんて話は聞いたことなかったよ? わかるぅ? 野良猫は激おこぷんぷん丸なんだよ? わかるぅ?」
「まあ、言ってることは正しいと思いますよ。たしかに」
 なんとなく納得するヨシオ。
「てゆーか、むしろセイバータイガーよりもデスザウラーのほうがあぶねーんだよ。マジで。あれに嚙まれるとけっこう痛いよ? 指に痕のこるからね。野良猫も、思わず『食われる―!!』って叫んだくらいだから」
 指ではなく肉球だろう、とツッコミを入れたくなるヨシオ。
「それで、そのデスザウラーのキバは改修されなかったんですか?」
「どうだろうね。トミーがタカラと合併した後にも一度再販されたことがあったけど、キバが削られたって話は聞かなかったな。そもそも、あれのキバ削ったら、もう商品にならないからね(※6)」
「でも、わざわざ削らなくても、ゴム製のパーツにすればいいんじゃないんですかね?」
「そのほうがいいね。デスザウラーに限っては、ホントにそう思うよ。ただ、プラ製のやつと交換できるように、できれば両方セットにてほしいけどね。あるいは軟質プラにするとか」
「でも、セイバータイガーの奥歯は頭部パーツと一体化してるから、やっぱり削るしかないのかもしれませんね」
「うわさでは、旧ゾイドが再版されないのはメーカーが金型を失くしたとか言われてるけど(※7)、ひょっとしたらこの理不尽な安全基準のせいかもね。なら、対象年齢を高めに設定するなり工夫すりゃあいいと思うんだがね」
「オレも詳しくないのでなんとも言えませんが、対象年齢の表示って自由に決められないんですかねえ」
「どうなんだろうねえ。やっぱり、なんか基準とかあるんじゃないの? いずれにせよ、迷惑な話さ」
「金型がいじられたんじゃ、もう二度とおなじものは造れませんからね。なんか、もったいないですよね」
「その金型なんだが、さっき言ったように本当になくしたんなら、また新しく造り直すことはできないもんかねえ。全部とまでは言わないが、たとえばウルトラザウルスとかマッドサンダー、デスザウラー、ギル・ベイダー、キングゴジュラスといった超ド級ゾイドだけでもさ。それも、ただ造り直すんじゃなくて、オリジナルのままサイズダウンするんだ」
「つまり、電動の物をゼンマイにするんですか?」
「いや、そこは変更しないんだ。いま述べたゾイドはギル・ベイダー以外は動力に単二電池を二本使う仕様なんだが、サイズダウンしたものは動力に単四電池を、そして電飾用にはボタン型電池という仕様にするんだよ。もちろん、プラの成型色も旧カラーのままでね」
「それはおもしろそうですね。大型の旧キットをそのまま縮小して、パッケージも当時のデザインのまま小型化する。そうすれば、保管場所も確保しやすくなりますからね」
「そして値段も安く……は、ならないか」
「……ですね」
 ふたりで苦笑する。
「ただ、なかには当時とおなじパッケージと成型色で完全復刻されたものもいくつかあるんだがね」
 野良猫監督が部屋の隅から大きなダンボール箱を持ってきた。
「とは言ってもね。やっぱり、改修された部分はそのままだったよ。たとえば、これね」
 そう言って箱から取りだしたのは、黒いセイバータイガーだった。
「これは、トイズドリームプロジェクトから復刻されたサーベルタイガーの強化型でグレートサーベルってやつなんだが、電池カバーは当然ビス止めで、おまけに〝虫歯〟のままだったよ」
 たしかに、奥歯の先端が上下ともカットされている。
「でも、パッケージの写真はおなじですね」
 ヨシオは旧版と復刻版の箱を手に取って比べてみた。
「いや、微妙にちがうよ。パッケージの商品名『メカ生体ゾイド グレートサーベル』の白い文字なんだが、復刻版のやつは黒い縁取りがあるけど、旧版は縁取りがないんだよね。あと、復刻版は蓋の部分の写真が少し拡大されてるんだ。それに、パッケージの表面の中央付近に『Toy's dream project』のステッカーが張りつけてある。無論、このステッカーを剝がしても、TOMYのロゴマークがちがうので、簡単に見分けられる」
「おや? なんか、箱の蓋の形状がちがいますね」
「気がつきましたか」
 こんどは〝シュウ〟か。
「そうなんだよ。旧版の箱、主にモーター駆動タイプの箱の蓋は、爪を差し込んでロックするタイプだったんだよ。これは85年以降に採用された後期タイプの箱で、初期のころはまだ蓋に爪がついてなかったんだ。ちなみに初期の箱はボール紙で、後期のものはダンボールを使ってるんだ。つまり、85年以前に発売されたモーター駆動タイプのキットには箱の蓋に爪のあるやつとないやつの二種類が存在するということなんだよ。99年以降の再販物で爪のあるタイプを採用したのは、たしかウルトラザウルスとゴジュラス・ジ・オーガだけだったと思うよ」
 コーヒーをひと口すすり、野良猫監督がつづける。
「あと、これは実話なんだげね、あれは00年の夏ごろだったかな。セイバータイガーのキットを買ったんだけどね、説明書がレッドホーンのやつが入ってたことが、いちどあったんだよ」
「え、そんなことがあるんですか!?」
「ごく稀にあるんだよ。メーカーエラーってやつが。あのときはびっくりしたけど、思わず笑っちゃったね。まあ、そういうのはそれ一回だけだったんだが」
「それで、取り替えてもらったんですか?」
「あのね、ヨシオ君。野良猫ぐらいの腕になるとね、セイバータイガー程度のものなら説明書なんか見なくても組み立てられるんだよ」
「じゃあ、説明書なしで組み立てたんですか?」
「セイバータイガーは通算で三体ぐらいは作ったからね。説明書も全部とってあったんだけど、けっきょく使わなかったよ」
「おなじ猫科だから機体構造は熟知している、と?」
「まあ、そんなとこですかね」
 ふたりの笑い声がひびく。
「それにしても、旧版のパッケージって、なんか渋いですよね」
 ヨシオは〝サーベルタイガー〟の箱をじっくりと見ながら言った。
「ミリタリー色が強いよね。戦車とか戦闘機みたいな」
「パッケージのセンスもいいけど、キットのデザインも優れてますよね」
「そうなんだよ。とくに旧ゾイドは優れたキットが多いんだよ。見たまえ、この素晴らしいデザインを」
 野良猫監督はおなじ段ボールの中から、こんどはダチョウのような白いゾイドをふたつ、取りだした。
「チョコボ?」
 目で笑いながらヨシオが言う。
「黄色く塗ればチョコボになるよね」
 野良猫監督も冗談交じりに笑った。
「なんか、やけにパイロットフィギュアが大きいですね」
「この24ゾイドシリーズはほかのものとはちょっとスケールがちがうんだよ。まあ、キット自体の大きさは普通なんだけどね。ただ、パイロットフィギュアを大きくすることで、実際は超小型ゾイドなんだよ、てことを伝えようとしてるんだよ」
「なるほど。いろいろ工夫してるんですね」
「ところで、ヨシオ君。このふたつの箱を見てどう思うかね?」
「この赤い丸文字のほうが旧版ですよね?」
「そうだね」
「で、こっちの……え?」
 メーカーがちがう?
「……WAVE(ウェーブ)?」
「そうなんだよ。これはWAVEから発売された『装甲動物戦記パンツァーティーア』というゾイドのリメイク版のものなんだ。一応、TOMYのロゴも入ってるし、商品名もロードスキッパーのままだけどね」
「へえ。別のメーカーからもゾイドが発売されてたんですか」
「キットは全部で五種類。デスピオンの装甲強化型、ショットウォ-カー、ゴーレム、ドントレス、そしてロードスキッパー。すべて24ゾイドの帝国側の機体から選ばれたものなんだ。ちなみに共和国側の24シリーズはトイズドリームプロジェクトからバトルローバーとネプチューンの二種類が復刻、帝国側からもデスピオンだけが発売されたんだ」
「あれ? このWAVEの箱の中に、グレーのキャップとオレンジ色のクリアパーツが余ってますよ?」
「うん。このロードスキッパーは予約購入限定のもので、特典として旧キットとおなじブルーのクリアパーツと紫色のキャップが同梱されていたんだ」
「なるほど。でも、そうなると、見分けるのがむずかしいんじゃないんですか? 色も一緒だし、ゼンマイだから電池カバーもないし。監督も、どっちが旧版のものかわからないですよね?」
 すると、野良猫監督はやれやれというように苦笑しながら首をふった。
「ヨシオ君。私をだれだと思っているのだ?」
 赤い大佐です。
「いいかね、ヨシオ君。このふたつのロードスキッパーを真上から見てみたまえ」
「……あっ!」
「そうだ。ゼンマイのシャフトの長さがちがうのだよ。旧版のキットは、上から見るとリューズが本体の装甲にすっぽり隠れてしまう。一方、 WAVE版のものはシャフトがやや長いので、装甲からリューズがはみ出しているんだ。それに、キャップの材質も旧版のものは輪ゴムのような柔らかいものなんだけど、再販版のものは固くて弾力がないんだよ。キャップの形状も、若干ではあるけど変わってるし」
 野良猫監督がテーブルの上にキャップをふたつ並べた。
「このロードスキッパーに使用されているキャップは小型ゾイド用のものなんだけど、ちがいがわかるかい? ヨシオ君」
「そうですねえ」
 ヨシオは掌にキャップをのせて比べてみた。どちらもキャップの側面部分に縦方向の溝があり、正面から見るとギアのようなギザギザした形状になっている。ここに大きなちがいはない。大きさも、大体おなじだ。表面中央の丸い窪みも……ん?
「この窪みですが、旧版のものは底の円形状の部分の面積が小さいですね」
「そして再販版のものは円の面積が大きくなっているだろう? このタイプは角文字版から多く見られるようになったんだ」
「じゃあ、キャップも改修されてたってことですか」
「じつは、野良猫にもよくわからないんだよ。というのも、08年のリバースセンチュリーシリーズで復刻されたジーク・ドーベルやガル・タイガーのキャップは、どうもその旧版とおなじものらしいんだ。いや、野良猫も写真や動画でしか見たことがないから、なんとも言えないんだがね。でも、キャップとかのゴムの材質は旧版のほうが優れていることはたしかなんだ」
 野良猫監督がダンボールからトカゲのような黒いゾイドをふたつ取りだした。
「こいつは、旧版が『ヘル・ディガンナー』で再販版が『ヘルディガンナー』という、イグアナ型のゾイドなんだがな。まあ、声に出して発音すると区別はつかないんだけどね。ゼンマイで動く中型ゾイドだ」
 黒い体に蛍光グリーンのフレーム。そして、澄んだ湧き水のように透き通ったスモークのキャノピー。
「なんか、エイリアンみたいなデザインですね」
「シガ二―・ウィーバーのだろ? たぶん、あのエイリアンをモチーフにしたんだろうね。ちなみに、その蛍光グリーンのパーツは蓄光素材だから暗闇で光るんだよ。デッド・ボーダーやダーク・ホーンも蓄光パーツを使ってるんだが、再販版は素材が変更されたから光らなくなったんだ」
「あれ? これ、壊れてますよ」
 ヨシオは赤いキャノピーのヘルディガンナーを手に取った。おそらくゴム製と思われる蛇腹状のパイプが数本、ちぎれている。
「それは再販版のやつだよ。蛍光グリーンの部分がただの赤い成型色のプラに変更されていて、キャノピーの透明度も低い。プラ自体の材質もあまり良くないんだが、問題はその全身に張り巡らされたゴム製のパーツ、フェルチューブなんだ」
「と、おっしゃいますと?」
「フェルチューブとキャップは同じ材質なんだが、旧版のものは国内で製造してたから品質がいいんだ。直射日光を避けて暗所できちんと保管すれば、滅多にちぎれることはない。ところが、再販版はいくら丁寧に扱っても、数ヶ月でちぎれてしまうんだよ」
「そんなに差があるんですか」
「あるんですよねぇ。再販版のキットはすべて海外で製造してたから、品質管理がうまくいってなかったんじゃないかな」
「なるほどねえ」
「まあ、いずれにせよ、日の当たるところに飾るのは避けたほうがいいね。先に述べたように、直射日光を浴びると日焼けして変色したり、プラが劣化してボロボロになるからね。押し入れとか暗所に保管しておけば、いつまでも新品の状態をキープすることができるんだよ。とくに旧ゾイドはみんな値が張るから、壊さないように注意しないとね」
「なんか、値段を聞くと気軽に遊べなくなっちゃいますね」
「そういうことがあるから、プロはおなじキットをふたつ買っておくんだよ。保存用と組立用に。とはいえ、やはり旧ゾイドの未使用品は、もったいなくて作れないよね。現存数も、それほど多くないみだいだし(※8)」
「そうですよね。自分の所有しているものが最後のひとつだった、ってことも、ひょっとしたらあり得るかもしれませんからね。そう考えると、ちょっと怖くて作れないですよね」
「だから、ノーマル仕様に復元できないほど大きな改造をする場合は、再販版で試したほうがいいね」
「監督も、ただ作るだけじゃなくて改造したりするんですか?」
「もちろんさァ。見てみるかい? 野良猫が改造したゾイド」
「ええ、ぜひ」
「まあ、たいした改造じゃないんだがね」
 野良猫監督がダンボールに前足をつっこんだ。はたして、どんなゾイドが出てくるのか?
「ゾイドの改造例とかでは、よく重火器をゴテゴテと装備したやつが多いけど、野良猫はあまりそういうのは好きじゃないね。たとえば、高速型ゾイドにばかでかいキャノンなんて装備したら、スピードが出なくなってしまう。まさに本末転倒だろう? どうせ改造するなら、その機体の長所を伸ばしてやらなきゃね」
 そう言って彼が取り出したのは、小型のゼンマイタイプのゾイドだった。
「それは……ネコ型、ですか?」
 ヨシオが訊ねる。
「ちがうニャン! これはヒョウ、パンサー型ニャン!」
「はあ。そうですか」
 しかし、どこからどう見ても猫である。
「これは、ヘルキャットというゾイドでな」
「つまり、ネコなんですね?」
「だからパンサー型だって言ってるニャン! まあ、猫に見えなくもないけど。いや、むしろ猫にしか見えないよーな……てゆーかー、どっちも猫科だからどーでもいーみたいなー」
「で、どこを改造したんですか。パッケージの写真と比べても、とくに変わったところはないように思うのですが」
 ヨシオは少しイラついた口調で訊ねた。
「そりゃあそうさ。これは普通に組んだやつなんだから」
「……」
 無言で席を立つヨシオ。
「あ お客さま、どちらへ? もしもーし! おーい!」
「で、例のブツは?」
 ふたたび席に戻るヨシオ。
「へい。まちがいなく、ここに」
 野良猫監督がもう一体のヘルキャットをダンボールから取りだした。
「あのー、それもノーマルにしか見えないんですが……?」
「説明は後回しにして、とりあえず実際に動かしてみよう」
 野良猫監督がノーマルヘルキャットをテーブルの上で走らせた。
 ……カタカタカタカタ……
「けっこう速く歩くんですね」
「スローすぎてあくびが出るニャンよ。こんどは、ヘルキャット野良猫スペシャルの走りをみせてやるニャン!」
 野良猫監督はゼンマイを巻き終えると、ヨシオの顔を見てニヤリと笑った。
「見るがいいニャン!! これがオーガノイドのちからニャン!!」
 ――ズダダダダダ!
「なっ、走っただと?!」
 あまりのスピードにヨシオは度肝を抜かれた。
「ゼンマイのリミッターを解除したんだよ。ちなみに、こいつはライトニングサイクスよりも速いんだぜ」
「リ……リミッター?」
「そうだ。ゼンマイを見てもらえばわかるんだが、カバーの(へり)のところに、一か所だけ中の白いパーツが見えてる部分があるんだ。ギザギザのない小さなギアみたいなやつ。その白いパーツがリミッターなんだよ」
「つまり、そのパーツを外すんですか?」
「いかにも。でもね、ゼンマイを分解すると、中のギアが飛びだしてきてバラバラになってしまうことがあるんだよ。そうなると復元するのがむずかしい。だから、ゼンマイ本体の側面を指でしっかりと押さえながらニッパーで挟んで引き抜くんだ」
「じゃあ、壊れちゃうんじゃないんですか?」
「たしかに、リスクは高い。だから、素人はやらないほうがいいな。どうしてもやりたければ、再販版のキットでやったほうがいいだろう(※9)」
「上級者向けってことですか」
「まあ元にもどらなくてもいいならね。試してみてください。そんなにむずかしくもないし。ただ部品を引っこ抜くだけだから」
「これは、ほかのゾイドでもできるんですか?」
「できるけども、やめたほうがいいね。たとえば、ヘルディガンナーのような足の短いやつは、その場でジタバタするだけで前に進まないんだよ。コマンドウルフのような四足歩行で足の長いやつならいいのかもしれないけど、機体幅が狭くて全高が高いから安定性が低くそうだし。案外、ブラックライモスとかベアファイターならいけるかもしれないけど、やっぱり中型タイプのゼンマイはパワーがありすぎるから、地面を蹴った瞬間に弾かれて倒れちゃうかもね」
「ベアファイターって、これですか?」
 ヨシオがダンボールの中から取りだす。
「そいつは、ほかのゾイドとは一味ちがうんだ。ちょっと貸してみたまえ」
 野良猫監督がベアファイターの機体上部後方にある電磁キャノン砲の基部を前方にスライドさせた。すると、なんということでしょう。
「えっ?!」
 ヨシオは目を丸くしておどろいた。
「四足形態から二足形態に変形した!」
「そうなんだ。ベアファイターは四足歩行はもちろん、二足歩行も可能なんだよ」
「実際の熊も二本足で立ち上がりますからね。でも、そこまで再現するとは、恐れ入りました」
 ――コンコン――
「だれか来たみたいですよ」
 ヨシオがドアのほうを見た。
「入りたまえ」
 ――ガチャリ――
「む?」
 ドアが開くと同時に野良猫監督がイカ耳になった。
「ま……又鬼(マタギ)?」
 青ざめるヨシオ。
「カメラを……回してほしいのじゃが」
 村田銃を担いだ鹿撃ち帽の老人が低くつぶやく。
「そのまえに……この状況を説明してもらおうか。ご隠居」
 野良猫監督がトルコ葉のトレンドに火を点けた。その又鬼の格好をした老人の正体。それは、長老だった。
「じゃ、オレはこれで」
 ヨシオは腕時計を見てソファから立ち上がった。
「まちたまえ。どこへ行こうというのかね?」
 逃げようとするヨシオに銃口を向ける長老。
「いや、お家に帰ろうかなー、って……」
「おまえにも用があるんじゃ。そこにおとなしく座っていろ」
 これじゃあ、まるで立てこもりじゃないか――ヨシオは青い顔で冷めたコーヒーをすすった。
 長老が野良猫監督の傍らにやってきて、分厚い脚本をセンターテーブルの上にドスンと放り投げた。それは、コバヤシの〝電話帳〟とおなじくらいの厚さで、表紙には『奥羽血風録――逆襲の竹田(たけだ)五兵衛(ごへえ) 銀の弾丸編パート1――』というタイトルが入っていた。
「読むのは後でいい。とにかく、カメラを回すのじゃ」
「なぜ急ぐ?」
 脚本に目を通しながら野良猫監督が訊く。
「やつらの総攻撃が始まったのじゃ」
 長老がテーブルの上のベアファイターを村田銃で指し示した。
「アカカブト……だな?」
 葉巻を口にくわえたままフーッと紫煙を吐く野良猫監督。
「左様!」
 長老がドン、と銃床を床に叩きつけた。
「相手は野生の獣じゃ。もはや脚本など、なんの役にも立たぬ」
 だったら初めからこんな分厚い脚本書くなよ!!――ヨシオは心の中で叫んだ。
 野良猫監督は脚本を閉じると、灰皿の上で葉巻をもみ消した。
「四の五の言わず、だまってカメラを回せ……と?」
 野良猫監督の言葉に長老がニヤリと笑って答えた。
「……わかった。引き受けよう」
 野良猫監督がヨシオにうなずき、目で合図を送る。ふいに襲ってきた片頭痛に耐えつつ、ヨシオはカメラの準備にとりかかった。
「よし。じゃあ、いちどリハーサルしてみるか。アカカブト役は、私が務めよう」
 野良猫監督が自らアカカブト役を買って出た。無論、竹田のじっさま役は長老である。
 アカカブトが二本の前足を頭上に高く構え、じっさまを威嚇する。
「ニャアゴォォォン!!」
 そのとき、じっさまの眼がギラリと光った。
「そったらフニャフニャ鳴くクマがいっかー!!」
 じっさまはアカカブトの顔面に思いっきり銃床を叩きつけた。
「ブニャらっ……バ!!」
 アカカブトは床を転がりながらふっ飛んだ。
「監督!!」
 ヨシオはカメラを放り出してアカカブトもとい野良猫監督に駆け寄った。
「監督、しっかりしてください! 監督!」
 ヨシオは床にひざをついて野良猫監督を抱き起した。しかし、彼の意識はなく、顔面は血まみれで、白目をむいてピクピクと痙攣していた。
「どうした。回すんじゃなかったのか?」
 じっさまが冷酷な眼でヨシオを見下ろす。
「監督は死にかけてるんですよ。撮影なんかしてる場合ですか! はやく救急車を……」
 そのときである。
「ウィーッス!」
 ノックもしないで部屋に入ってきたのは、赤いモヒカンあたまの男。
「監督、アッシの脚本、読んでくれやしたか?」
 コバヤシである。
「ぬ? その赤い毛……きさま、アカカブトか!!」
 じっさまがコバヤシに向かって村田銃を構えた。
「おのれ! リキの仇!!」
 しかし、コバヤシは相手を挑発するようにヘラヘラ笑っている。
「おもしれえ。撃ってみなよ。どうせオモチャなんだろ? アッシがそんなもんでビビるとでも思っ――」
 ――ズドーン!!――
「どひゃーっ?!」
 コバヤシがペタンと尻もちをついた。じっさまの放った銃弾が、彼のモヒカンをキレイに剃り落したのだ。
「チッ。外したか」
「たたっ、たすけて!! ママー!!」
 じっさまが銃に弾を込めてる隙にコバヤシは逃げ去った。
「アカカブトめ、逃がさんぞ!!」
 じっさまもコバヤシを追いかけて部屋を出て行った。
「う……」
 野良猫監督が意識をとりもどしたようだ。
「監督!」
「ヨ……ヨシオ君……か?」
「監督、生きていたんですね」
「あ、あたりまえ……じゃない……か……。わ、私の心臓は、ビス止め……なの……さ」
 野良猫監督は血にまみれた顔でかすかにほほ笑み、親指を立てた。そしてヨシオも、優しくほほ笑み返す。
「そう……でしたね。わすれてましたよ。監督の血管には、ケロシンが流れているということを……」
 ここは野良猫プロ。脚本よりも薄い、給料袋。財布の厚さは、わずか数ミリ。
 

 *ED・・・ROCKMAN HOLIC 太陽はいつも君のそばに
  https://www.youtube.com/watch?v=Vz8-fzx0KLo

 *エンドロール・・・ALL ABOUT ZOIDS
           ゾイドのすべて エンディング
  https://www.nicovideo.jp/watch/sm11434870
 

   ※1・・・https://www.youtube.com/watch?v=RvLp-s3ERSA
   ※2・・・旧ゾイドのゴジュラスMk-IIやアイアンコングMk-II
        の限定型などに付属するゴムチューブはプラを溶か
        してしまう性質があるらしいので(ジ・オーガと
        PKのチューブは材質が異なるので付けたままでも
        問題ない)、遊び終わったら本体から外しておくの
        を忘れないようにしてね(保管するときはゴム
        チューブをビニール袋などに入れて本体に直接触れ
        ないようにしておくこと)。
   ※3・・・2023年に一体の未組立品が確認されている。
   ※4・・・ほかにもコロコロコミックの懸賞でレブラプターを
        当てたことがある(笑)。
   ※5・・・80年代中期ごろ、東京ディズニーランドのお土産
        売り場では海外版ゾイドが販売されていた(たと
        えば北米版の「ROBOSTRUX」など)。
   ※6・・・ひょっとしたらギルドラゴンやリバースセン
        チュリー版のギルベイダーのように先端部分が
        ほんの気持ち程度削られているのかもしれない。
   ※7・・・海外版のZOIDS2(93年)からタイに生産拠点が
        置かれたため、ほぼすべてのゾイドの金型が現地
        の工場に移され製造されることになった。
        しかし、2011年にタイで発生した大洪水により、
        現地のトミー工場が被災。このときに大半の金型
        が失われたというウワサがある。
   ※8・・・実際に野良猫が所有しているゾイド(2024年現在)
        は角文字版のコマンドウルフとダブルソーダ、丸
        文字版のセイバータイガー、コロコロコミック誌上
        限定のブラックライモス、ゾイドコア・ドットコム
        限定のジェノブレイカージェット、旧版のグレート
        サーベル(強化パーツ紛失により黒いサーベルタイ
        ガーになってしまった)、ダークホーンスペシャル
        エディション、ロードスキッパー(作中に登場した
        予約購入限定のもの)、ムゲンライガー、そして
        トイズドリーム版の装甲巨神Zナイトのわずか十体
        のみである(以前はディバイソンやシールドライ
        ガー、デスザウラー、ゴジュラス・ジ・オーガ、
        アイアンコングPK、ウルトラザウルス、マッド
        サンダー、ギルドラゴン、そしてキングゴジュラス
        などたくさん所有していたのだが、諸事情により
        整理してしまい、現在はキットの収集活動はして
        いない)。
        なお、作中の改造ヘルキャットは再販版で実際に
        作ったことがあり、作中で述べた通りの性能を
        発揮した。そしてヘルディガンナーにも同様の
        改造を施すが、こちらも作中で述べた通り失敗に
        終わった(笑)。
   ※9・・・ゾイドのゼンマイは「マイクロゼンマイ」と呼ばれ
        る玩具業界の規格品で、ゾイド以外の玩具にも使用
        されていた。
        ゼンマイの製造には専門の職人による高度な技術が
        要求される。熟練の職人が作った物は馬力が高く、
        持続時間も長い。一方、素人が作った物は馬力が
        弱い。
        じつは、その職人が年々減っており、高い品質を
        維持するのがむずかしくなっていた。とくに2000年
        代後半ごろのゼンマイは職人不足のためか質のわるさ
        が目立ち、なかでも2008年に発売された「月刊ゾイド
        グラフィックス」のゼンマイはバネが弱く、最後まで
        巻いても数歩で止まってしまう物が多かった。
        なお、「ゾイドワイルド」から新型ゼンマイが導入さ
        れるようになり、カバーの色が従来の黒から白に
        変更。性能も高く、旧ゾイドの物と同等の馬力が
        ある。このように、退()()きならない事情がある
        ため、できれば貴重な旧ゾイドのゼンマイの改造だけ
        は控えたほうがよろしいかと存じます!
       〇参考・間接引用:ZOIDS IGNITION
 
【トリビア 其の一】
 1988年発売の「EHI-05 ブラキオスNEW」には二種類のパッケージが
 存在する。これは、パッケージ用のキットの写真に本来は付属し
 ないパーツが取り付けてあるというミスが確認されたからで
 ある。(機体下部に「帝国側大型メカ用改造セット 特殊専用強化
 パーツ」に付属する全天候自己誘導ミサイルランチャーが取り付け
 てあった)。
 後に写真を差し替えて新しいパッケージに変更された。

【トリビア 其の二】
 2001年3月にコロコロコミック誌上通販限定で販売された
 「ベアファイター」は、パッケージの商品名が誤植により
 「ベア〝フャ〟イター」と表記されている(笑)。ちなみに販売
 終了まで修正されなかった模様(シャキッとしろニャン!!)。
 
 < おまけ >
  https://www.youtube.com/watch?v=05ZTqD0GTvY
  https://www.youtube.com/watch?v=SgaCwCb87bA
  https://www.youtube.com/watch?v=j0lbEewjuvc
  https://www.youtube.com/watch?v=yJ5aNzPR84c
  すべての関連動画をご覧になりたい方は下記のURLへ
  アクセスしてね!!
  https://www.youtube.com/@AllAboutZOIDS

 < 職人さんたちの仕事風景 >
  https://www.youtube.com/watch?v=SN4hP_soOUk
  https://www.youtube.com/watch?v=aVfri7Iir9M
 

     2024年  野良猫

     ☆☆☆  ヨシオの謎  ☆☆☆

     ☆☆☆  ヨシオの謎  ☆☆☆

 この「太平洋、血に染めて」に登場したキャラのなかでも謎の多い男。それがヨシオである。
 はたして、ヨシオはいったい何者なのか?! その正体を探るべく、いよいよ野良猫が動きだした!!
 
【仮説 その1(一部Wikipediaより引用)】
 空母「やまと」の乗員名簿にあった「亀井(かめい)美男(よしお)」の家系を調査したところ、太平洋戦争中に駆逐艦「天霧(あまぎり)」に乗艦していた「亀井(かめい)敏郎(としろう)」という海軍軍人がいることがわかった。
 1943年8月2日、駆逐艦「天霧」はソロモン諸島近くのニュージョージアの西で、一隻のアメリカ海軍の魚雷艇「PT-109」を撃沈する。じつは、このとき撃沈した「PT-109」の艇長こそ、後のアメリカ合衆国大統領であるジョン・F・ケネディ中尉だったのだ。
 1951年、アメリカ下院議員として来日したケネディは、交流のあった細野(ほその)軍治(ぐんじ)に「自分の乗っていた魚雷艇を撃沈した駆逐艦の艦長を探してほしい」と依頼する。調査の結果、当時「天霧」の艦長を務めていた花見(はなみ)弘平(こうへい)(福島県耶麻郡塩川町出身)にたどりつく。このときになって花見は「体当たり」で沈めた魚雷艇の艇長がケネディであったことを初めて知る(ケネディと親睦を深める)。
 1960年の大統領選において、花見は応援に来るよう求められたが都合がつかず、代わりに「天霧」の元乗組員らを派遣。このとき、敏郎はケネディと親しくなり、記念に腕時計を譲り受ける(これはヨシオが身につけている腕時計とそっくりなものである)。
 ケネディは敏郎を「トチロウ」と呼んでいたらしい(発音がうまくできなかった)。
 敏郎についての記録が残っているのはそこまでである。また、彼の孫である美男についても、父である「亀井(かめい)昇太(しょうた)」の七男(末っ子)であること以外はほとんどわかっていない。ただ、「美男」と「ヨシオ」の年齢が近いことや空母についての知識があることから二人が同一人物である可能性は大きい。



【仮説 その2】
 不思議なことに、空母(モビー・ディック)の乗員、それに病院船に乗っていた難民たちも、だれひとりとしてヨシオのことを知る者はいなかった。いったい、ヨシオはいつから空母に乗っていたのか。また、なぜ日本人である彼がデッキクルーの格好をしているのか。彼の名を知っていたチャーリーでさえ、名前以外はなにも知らなかったようである。ただ、マルコやルチオによると、ヨシオのヘッドフォン(ヘッドセットマイク)は自分たちが使っているタイプのものではない(旧式でも新型でもない)、というのだ(※1)。
 だが、ブラックジョークこと羽佐間九郎は、以前にそれとおなじものを見たことがあるらしい。では、いったい九郎はどこでそれとおなじものを見たのか。おどろくことに、それはジョン・タイターが時空移動に使っていた装置とおなじものだというのだ。つまり、ヨシオは我々とおなじ時代の人間ではなく、未来からのタイムトラベラーだった可能性が高いのだ!!
 九郎によると、そのヘッドフォンはサイヤ人が装備する「スカウター」にそっくりで(※2)、本体のボタンやつまみを操作すると、ゴーグル(これもデッキクルーのそれに近いデザイン)に文字や数字がデジタル表示されるらしい。操作方法は単純で、まずタイムトラベル先の時代を設定し、つぎにその時代の地図データを使って座標をセットする。最後に入力情報を確認して決定ボタンを押す(白い閃光をはなちながら消えてタイムトラベル完了)。
 はたして、本当にヨシオは核戦争を阻止するために未来からやってきたのだろうか。この仮説を裏付ける証拠として、九郎はタイターからこんな話も聞いている。
「この時代には、もう何度も来ているんだ。核戦争を阻止するために(※3)。でも、どうやってもダメなんだ。私のほかにも何人か来てるんだが、どうしても阻止できないんだ。戦争のきっかけを作る人物を権力の座につくまえに失脚させたり、いろいろ試したんだがね……。これはもう、宿命なのかもしれない。だから、もうみんなあきらめてるんだ。ひとりの男を除いて、ね」
 ……と。
 ちなみに、もし本当にヨシオがタイムトラベラーだった場合、彼の言った「ドクター・キコリ」はキコリ本人ではなく、キコリの息子または孫である可能性が高い。


 ※1.最終戦争時に海上自衛隊で採用していたものと非常によく似たデザ
    インである。

 ※2.九郎が出会ったタイターはネット上にあらわれた本人ではなく、べつ
    の時間線からやってきた〝もうひとりのタイター〟である。
    彼の世界でタイムマシンを開発したのは女性科学者で、彼女の夫は
    「サイヤ人」だというウワサもあった(タイムマシンのデザインが
    スカウターに似ているのはそのためである)。
    ちなみにエピソード「死闘! 海上決戦!!」にて九郎がポーキーに
    対し使用した薬「オオザロイドDⅩ」はサイヤ人のホルモン成分を元
    に調合されたもので、これはタイターが彼の診療所を訪れた際に治療
    費の対価として譲り受けたものである。
    余談だが、長老によるとサイヤ人は「伝説のUMA(ユーマ)」らしい。

 ※3.世界で最も広い国土を有する巨大な共産主義国家「レッドリボン共和
    国」による世界共産化計画を阻止するためにはじまった戦争(共産
    主義陣営と自由主義陣営の全面戦争)。
    この危機を回避する方法として独裁者の暗殺も計画されたが、さほど
    効果がないことが確認されたので中止された。仮に暗殺が成功したと
    しても結果は変わらないからである(たとえば暗殺は敵性国家の工作
    員によるテロであると断定し、武力行使の大義名分にされてし
    まう)。たとえタイムトラベラーでも、この最終戦争を阻止すること
    はほぼ不可能だ、とタイターも語っている。
    もちろん、細かい歴史の改変はある程度可能だが、その時代のターニ
    ングポイントとなる出来事はどうやっても変えることはできない
    らしい。この核戦争も、おそらくすべての時間線が交差するポイント
    上(空間と時の次元交差点)に用意されたイベントなのだろう、と
    タイターは言う(運命は変えることができても宿命からはどうやって
    も逃げることができない、ということ)。
    ちなみにタイムマシンを使用できるのはごく一部の関係者のみで、
    任務以外の目的で使用することは禁じられている。各国政府からの
    要請を受け、時空管理委員会の会議で依頼内容を慎重に検討した上で
    決定されるのだ(基本的に一般からの要請は受け付けていない)。
    無論、個人の都合による歴史の改変を目的としたタイムトラベルは
    時空法により禁止されている。たとえば大人になった大五郎が過去へ
    戻って両親を助ける、といった個人的な目的のための行為は違法で
    ある。そういったうかつな行動は、時として悲劇を招くこともある
    のだ。
    その例として、次のふたつのようなものがある。

   <例1>
    交通事故で夫を亡くした老婆がいる。少し過去へ戻り、その死ぬ
    はずの夫を助ける。しかし、その
    夫はやがて寝たきりになり、介護なしでは生活できない体になる。
    介護に疲れた老婆はとうとう体調を崩し、「本来の史実」よりも
    十年早く鬼籍(きせき)に入る。

   <例2>
    飛行機事故で死ぬはずのサラリーマンを助ける。数日後、サラリー
    マンは休暇をとり、家族で旅行に出かける。サラリーマンの運転
    する自家用車が事故に遭い、一家全員〈母親と幼い子供ふたり〉が
    死亡する。

     このように、たとえ人助けのつもりでも、かえって人を不幸に
    する結果を招いてしまうこともあるのだ。
     ただ、今回のような地球規模の危機(最終戦争)は例外である。
     この最終戦争のせいで地球上のあらゆる生き物は死滅し、さらに
    空気や水など、地球全体が核で汚染されてしまうのだ。たとえ戦争
    の阻止が不可能だとしても、核の被害を最小限に食い止めなくては
    ならない。それがタイムトラベラーに与えられた任務なのである!

     ちなみに西暦3800年ごろに始まるAI戦争も、この最終戦争の
    結果ではないかと言われている(詳細は下記の動画にて)。
      < https://www.youtube.com/watch?v=am1C7EMGgs0 >
     人間が立ち入ることのできない核で汚染された地域では、多くの
    作業用ロボット(AI)が活躍することになる。そして、慢性的な
    医師不足を補っているのも、やはりAIロボだという。そのロボット
    たちが、やがて独自に進化し、人間にとってかわって世界を支配しよ
    うと反乱を企てたのだ、とタイターは語っている。

  < 西暦3800年のAI戦争 >
 *開戦・・・https://www.youtube.com/watch?v=95ldaKUHSUE
       https://www.youtube.com/watch?v=9NMWvXfczRw(予備)
 *第一次AI戦争・・・https://www.youtube.com/watch?v=uYBtawJRDug
 *第二次AI戦争・・・https://www.youtube.com/watch?v=4HW4scbQZXg
 *第三次AI戦争・・・https://www.youtube.com/watch?v=1GAIZ-woRvY


【結論】
 上記で説明した通り、亀井美男と謎のタイムトラベラー、このふたりの内のどちらかがヨシオである可能性が非常に高いことがわかった。とはいえ、決定的証拠と言えるものはなにもなく、まだまだ憶測の域を出るものではない。また、これらの共通点は単なる偶然の一致にすぎず、このふたりの人物とヨシオはまったく関係のない別人である可能性もゼロではない。したがって、ヨシオの正体は「不明」と結論せざるを得ない。
 ただ、野良猫は個人的に謎のままでもいいと思っています。ヨシオは亀井美男であり、謎のタイムトラベラー(未来から来た大五郎?)でもある。つまり、ヨシオは〝クラムボン〟なのである。ヨシオは何者なのか。そこは読者諸君が自由に想像して読んでみてはいかがだろうか。きっと読むたびにヨシオのイメージが変わると思います。
 ……と、いうわけさ。
 
 
 

  ☆特別読切 「太平洋、血に染めて」番外編! 

  ☆特別読切 「太平洋、血に染めて」番外編! 

【はじめに】
 これはシャーロキニャン(人間の世界で言うシャーロキアン)であり名探偵でもある野良猫の推理、というよりも単なる推測なのだが、じつはヨシオはタイムマシンで未来からやってきた大五郎だったのではないか、と吾輩は考えている。まあ、やはりタイムトラベルが主題になってしまうんですが、九郎のまえに現れたジョン・タイターはネット上に出現した本人ではなく、べつの世界線からやってきた「もうひとりのタイター」であることは、すでに説明しましたね(登場人物紹介の「ドクター・ブラックジョーク(羽佐間 九郎)」を参照)。この物語は、その「もうひとりのタイター」の時間線でおこったお話なのです(小説ではなくただのあらすじですが)。
 物語の舞台は核戦争後の世界(終戦から約二十年後)で、やはりネット上に現れたタイターの世界と同様、核戦争による汚染がひどい、飲料水や淡水の確保が困難、出生率が低い、人間の平均寿命が六十歳に満たなくなる、といったことが大きな問題になっている、という設定です。その辺りのことは作中では一切ふれてませんが(笑)。ちなみに「ヨシオ」という名は、この番外編に登場する大五郎の彼女の父親の名前らしいです(おそらく亀井(かめい)美男(よしお)ではないかと思われる)。
 まあ、あまり面白いものではありませんが、どうぞゆっくりと最後までテキトーにお楽しみくださいませ!



     ―― 「太平洋、血に染めて」番外編! ――

 ・オープニング・・・The people with no name(仮面ライダー555)
  https://www.nicovideo.jp/watch/sm4704116
  https://www.youtube.com/watch?v=THg4h_5vaD4


 大五郎たちは空母に出会うことなく、そして病院船も潜水艦に撃沈されず、無事にハワイに到着。最終戦争を生き延びた大五郎は、ブラックジョークこと羽佐間(はざま)九郎(くろう)の養子として平穏な生活を送っていた。やがて成長した大五郎は、幼いときよりあこがれていた船乗りになるため海上自衛隊に入隊する。そして戦後に完成した空母「やまと」にカタパルトオフィサーとして勤務することとなる。もちろん両親の行方も八方手を尽くして探してはいたものの、これといった有力な手がかりはつかめず、半ばあきらめかけていた。だが、大五郎は独りではなかった。大五郎の傍らには、いつもひとりの女性の笑顔があった。じつは、彼女も最終戦争で両親を失った過去をもっていたのだ。
 九郎の元をはなれて生活していた大五郎には、彼女の存在はとても心強かった。そして彼女にとっても大五郎は必要な存在だった。
 ところがある日、彼女は事故に巻き込まれ、脳死状態に陥ってしまった。彼女の意識は、もう二度と戻らないだろう、と医師は言った。おそらく、九郎でもおなじ診断を下しただろう。長年九郎のそばで医療現場を見てきたのだ。それぐらいのことは大五郎にもよくわかっている。九郎に知らせる必要はない。大五郎は、ただただおのれの無力さを呪うばかりであった。

 彼女は死んだ。ドクター・キコリに依頼し、安楽死させたのだ。彼女を失った大五郎は笑顔を忘れ、そして人生を見失っていた。しばらく、酒場に入り浸る生活がつづいた。だが、アルコールは大五郎をなぐさめてはくれない。
 所詮、神など存在しないのだ。仮にいたとしても、神は人間の味方ではないのかもしれない。ただ、まちがいなく死神は存在している。大五郎は九郎の冷笑を思いだし、皮肉な笑みを口もとに浮かべた。
 ある日、いつものようにカウンター席でグラスを傾けていると、大五郎のよこにひとりの男が静かに座り、「彼とおなじものを」とバーテンに注文した。聞き覚えのある声に「はっ」とふり向くと、見覚えのある凪いだ瞳が冷たくほほ笑んでいた。九郎である。
空母(ふね)を降りたそうだな」
「……」
 大五郎はだまってグラスに口をつけた。
 九郎もグラスを傾けながらつづける。
「彼女のこと、聞いたよ。馬鹿なことをしたな。なぜ私に相談しなかった?」
 大五郎は口の中でゆっくりとアルコールを転がした。それから「ふーっ」と静かに吐息をついてコースターの上にグラスを乗せた。彼女の笑顔を脳裏に浮かべながら、大五郎は哀しい色をしたふたつの瞳をグラスの中に映しだした。
「……カルテは、見たんだろ?」
「ああ」
「なら、聞かなくてもわかるだろう」
 小声で吐き捨てると、大五郎は〝哀しい瞳〟を一息に飲み干した。
「医者は神ではない。あんたはいつも、そう言っていただろう?」
「医者は患者の手助けをするだけで、病気を治すのは患者自身だ。勝手に治らないと決めつけて患者の命を奪ったりはしない。ばかなことをしたもんだよ、おまえさんは」
「これ以上、彼女を苦しめたくはなかったのさ。ほかに方法がなかったんだ。ああするしかなかったんだよ」
 そして最後に「彼女もきっと、感謝してるはずさ」と、捨て鉢な態度で鼻を鳴らした。
 すると、とつぜん九郎が立ちあがり、大五郎の胸ぐらにつかみかかってきた。
「思い上がるんじゃない! 神にでもなったつもりか!」
「どうせ助かる見込みのない命だったんだ。それとも、神に祈れば助かったとでもいうのか?」
「いいかげんにしろ!」
 九郎の鉄拳が大五郎の顔をめがけて飛んできた。そばにあった椅子をなぎ倒しながら、大五郎は豪快に吹き飛んだ。
「め……めずらしいな。あんたが感情的になるなんて」
 大五郎は木の床に体を起こして口元をぬぐい、ニヤリと笑った。スローテンポのジャズが流れる店内が、俄かにざわめき立つ。バーテンが仲裁しようと九郎に近づくが、鋭い眼で一瞥されるとすぐに掌を見せてうしろに下がった。
「なぜだ。無駄だとわかっているのに、なぜあきらめない? どうして無理に生かそうとする? 神になったつもりでいるのは、あんたのほうじゃないのか」
「おまえにとって、彼女はその程度の存在だったのか?」
「え?」
「私なら、たとえ意識がもどらなくとも生きていてほしいと思うがね。彼女も、おまえさんを本当に愛していたのなら、きっと生きていたいと思っていたはずだ。いまさら言っても、もう手遅れだがね」
 憐れむような瞳でそう言うと、九郎はバーテンに勘定を払って店を出て行った。
「ちくしょう!」
 大五郎は拳を強く床にたたきつけた。馬鹿だ。オレは大馬鹿だ。彼女を愛していたのに、それなのに――
「ちくしょう」
 しぼりだすような声でもういちど呻く。大五郎は床に手をつき、後悔の涙を流すのであった。

 大五郎は九郎の診療所に戻り、人生をやり直していた。しかし、彼女のことは、いつになっても忘れることはできなかった。
「……あのころに、もういちど戻れたら……」
 窓の外を眺めながら、大五郎はポツリとつぶやいた。
「戻りたいか?」
 カルテにペンを走らせながら九郎が言った。
「え?」
 大五郎はデスクにかける九郎の背中をふり向いた。
「戻りたいのか、と訊いたんだ」
 カルテの上にペンを置き、九郎も肩越しにふり向いた。あまりにも馬鹿げたことを言ったので気分を害したのであろうか。いつもの凪いだ瞳ではない。しかし怒っているようでもない。
 九郎がイスから立ち上がり、大五郎のそばへやってきた。
「戻ってみるか?」
 九郎が繰り返し尋ねる。
「よ、よしてくれよ。例えばの話だよ。本気で言ったわけじゃないさ」
 大五郎は、いささか戸惑いながら苦笑した。
「じゃあ本気で聞くんだ。もし、過去に戻ることが可能だとしたら、どうする?」
 真剣な眼で九郎が言った。
「ばかな。どうかしてる。冗談は顔だけにしてくれよ、先生」
 大五郎は呆れたようにため息をつくと、九郎に背を向けて窓際のテーブルに向かった。
「……もし、戻りたい……といったら?」
 自分のマグカップにコーヒーを注ぎながら、大五郎は冗談半分に尋ねてみた。
 すると、九郎はテーブルの上に一枚のカルテを置いて大五郎のよこを通りすぎ、窓のまえに立ってガラス越しに空を見上げた。
「ずいぶん古いカルテだな」
 大五郎はマグカップの淵からちらりとカルテを覗いた。日付は核戦争のはじまる数年まえ、いまから二十年以上もまえの古いカルテである。
「クランケの名はジョン・タイター。正真正銘、本物のタイムトラベラーだ」
「な なんだって?!」
 大五郎は、思わずコーヒーを噴き出した。
「史実通りなら、今年中にタイムマシンが完成するはずだ」
「ま、まってくれ。そんなSF小説みたいな話を本気で信じろというのか?」
「事実は小説より奇なり、とはよく言ったものでな」
 仰天する大五郎をよそに、九郎は淡々と説明をはじめた。大五郎は混乱しつつも九郎の話に耳をかたむけていた。
 九郎の話によると、タイムマシンの研究がはじまったのは二十世紀の末ごろからだという。研究は順調に進み、数年で試作機第一号を完成させる。しかし、性能テスト寸前になって核戦争が勃発。研究は一時中断される。研究が再開されたのは核戦争が終わって数年後のことだった。幸運にも研究所は戦災を逃れ、試作機も無傷であった。なんどかテストを重ね、不具合を修正。そして時空管理委員会の認可を受け、正式に採用された。
 九郎が窓に背を向け、まっすぐな眼を大五郎に向ける。
「もし、おまえさんが本気なら、彼を紹介してやってもいい。彼女、いや、あの核戦争で失われた多くの命を救いたいと思っているなら、な」
「核戦争を……阻止する……」
 大五郎はイスに腰をおろしてテーブルの上でマグカップを両手で包み、コーヒーに目を落とした。
「そんなことが、本当に可能なのか?」
「むずかしいだろうな。現に彼も、あらゆる手段を駆使して核戦争の阻止を試みたようだが、何度やっても結果は変わらないらしい」
「それを、オレにやれというのか?」
 大五郎は視線を少しよこに動かし、ちらりとカルテに目をやった。
「できる、できないの話じゃない。やるか、やらないか、だ。べつに無理にとは言わんがね。決めるのは、おまえ自身だ」
 そう言って大五郎の肩をたたくと、九郎はデスクのほうへ戻っていった。
 大五郎は冷めかけたコーヒーに顔を映してため息をついた。自分が過去を変える。それこそ神に対する冒涜なのではないか。神が造った世界に、宇宙に、自分が手を加えるなど許されることではないはず。しかし、両親や彼女、そして核戦争で犠牲になるはずの多くの命を救えるなら、やる価値はある。そして、それが罪になるというのなら、自分ひとりが背負えば済むことなのだ。
「……やってみよう」
 大五郎は決心したようにイスから立ち上がった。
「それが、オレの運命(さだめ)ならば」
 大五郎の返事に無言でうなずくと、九郎はデスクの上の黒い電話に手を伸ばした。


     ―― じ・えんど ――

*エンディング・・・VANITY(機甲猟兵メロウリンク)
 https://www.youtube.com/watch?v=HFzrZhhgeHE
 https://www.nicovideo.jp/watch/sm1053392

*おまけ
 ヨシオのキャラクターソング1・・・Freesia(ロックマン ゼロ4)
 (どちらかといえばヨシオではなく彼女のキャラクターソングかも?)
 https://www.nicovideo.jp/watch/nm3582536
 https://www.youtube.com/watch?v=cUw9nRNAAd0



【後書き】
 御覧の通り、小説というよりはプロットですね(笑)。
 まあ、本格的に書くとなれば、けっこうな長さになるとは思うのですが、あいにくと野良猫はこの手の話(SF)は苦手なものでして(汗)。と、いうことで、プロットでおしまいにしときます!
 ちなみにですが、本編の最終回のつづきも、いちおう考えてはあるんです(ほんのちょっとだけ)。
 みんなが輸送船(補給艦)に救助されたとき、ヨシオ(未来から来た大五郎?)だけが空母にのこりました。彼がその後どうなったのかは知りませんが、救助される直前、九郎は彼から一通の手紙を受け取っていました。その手紙には、自分が未来から来た大五郎であること、それから未来の自分(つまり大五郎)と「彼女」に起こる悲劇が詳しく語られていました。そう。ヨシオが安楽死させてしまった彼女のことです。手紙には、彼女が事故に遭う日時と場所、そして事故を防ぐ方法(できるだけ自然な形で)も記されていました。なんとか〝あの悲劇〟を九郎の手で防いでほしい、と。すでに九郎はタイターと接触していたので、未来の情報の扱い方はじゅうぶん心得ているはずだ、とヨシオは判断したのでしょう(本来、このような行為は時空法により禁止されているのだが)。
 ヨシオはずっと自分のしていることに疑問を抱いていた。何度タイムトラベルをくり返しても、けっきょく最終戦争を阻止することはできなかった。この世に人類が存在する限り、戦争はなくならないのかもしれない。そもそも、本来死ぬはずの人間を救うことは、時空法で禁止されている。ならば最終戦争の犠牲者を救うことも、過去へ戻って歴史を変える行為も違法なのではないか。なによりも、タイムトラベルはリスクが大きすぎる。危機を未然に防ぐどころか、想定外の危機を招きかねない。それに、過去を変えたからといって必ずしも明るい未来になるとは限らないのだ。
 散々悩んだ末、ヨシオは決意する。タイムマシンがある以上、この地獄(最終戦争)は永久に存在しつづける。ならば、この時代(過去の)にとどまり、時空管理委員会の設立を阻止し、そしてタイムトラベルに関する研究およびタイムマシンの開発データをすべて抹消するしかない。それ以外に、この地獄を終わらせる方法はないだろう。もちろん、実行すれば、もう「あの未来」へ帰ることはできなくなる。もう二度と「彼女」に会うことはできなくなるのだ。だが、悔いはない。もう一人の自分(大五郎)がいるからだ。それに、九郎もついている。彼女のことは、九郎に任せてある。あの未来を変えるために。自分がタイムトラベラーに志願したのは、最終戦争を回避し、多くの命を救うためだった。しかし、最悪の事態は防げなかった。だれ一人、救うことができなかった。でも、彼女なら救えるかもしれない。彼女、そして大五郎の未来を、小さな幸せを守ることならできるかもしれない。ヨシオは時空移動装置(いつも身につけているカタパルトオフィサーのヘルメット)を外し、夕陽の海へ向かって投げすてるのであった。
 ……なんて話もあったとかなかったとか(笑)。
 ところで、このこと(手紙の内容)は大五郎には伏せておかなくてはなりません。もし未来の出来事を話してしまったら、大五郎は彼女を救うために「想定外」の行動をとってしまうかもしれないからです。そうなった場合、大五郎のまわりの人間も「本来とは異なる行動」をとることになります。そういう些細な出来事が、やがて大きな誤差へとつながってゆくのです。たとえば、彼女が助かる代わりにべつの誰かが犠牲になる、もしくは、彼女を含む大勢が犠牲になる、そして最悪の場合、大五郎までが犠牲になってしまうこともありえるのです(ゆえに、このような行為は時空法で禁止されている)。
 無論、すべてが悪い結果につながるわけではない。たとえば、手塚治虫先生のマンガ「ブラック・ジャック」に「ある老婆の思い出」というエピソードがあります。あるひとりの看護婦が路上で倒れている妊婦を発見します。このまま放っておけば、母子ともに死んでしまう。そこへブラックジャックが現れます。妊婦は彼の手術により、無事に出産する。そして、このとき生まれた子供は、やがて大統領にまでなったのです。
 このように、ひとりの人間の生死が歴史を左右してしまうことも起こりえるのです。
 はたして、ヨシオのとった行動が吉と出るか凶と出るか。それは、だれにもわかりません。が、できれば本編の大五郎には「ある老婆の思い出」のようなハッピーエンドを迎えてほしいものです。
 
 
 

  *****  野良猫ファイル  *****

  *****  野良猫ファイル  *****

 
 

☆太平洋、血に染めて <全タイトル>

☆太平洋、血に染めて <全タイトル>

     
      【発表順】

 ① 太平洋、血に染めて【パイロット版】
 ② 太平洋、血に染めて(2)
 ③ 太平洋、血に染めて(4)
 ④ 太平洋、血に染めて(3)
 ⑤ 太平洋、血に染めて 最終回スペシャル          
 ⑥ 蒼穹の騎士
 ⑦ ばるす!
 ⑧ 太平洋、血に染まる!
 ⑨ 太平洋、血に染めて(1)
 ⑩ 金曜はカレーの日!!
 ⑪ エキストラにさようなら
 ⑫ 死闘! 海上決戦!!
 ⑬ 紅の棺
 ⑭ 大五郎の思い出
 ⑮ 戦士たちの夜
 ⑯ 13日は何曜日?!
 ⑰ エピソード0.5(公式ではなく、おまけのエピソード)
 ⑱ あの夕陽が憎い
 
      【時系列順】

 ① 太平洋、血に染まる!
 ② 金曜はカレーの日!!
 ③ 蒼穹の騎士
 ④ 太平洋、血に染めて(1)
 ⑤ 大五郎の思い出 
 ⑥ 太平洋、血に染めて(2)
 ⑦ 太平洋、血に染めて(3)
 ⑧ 太平洋、血に染めて(4)
 ⑨ ばるす!/あの夕陽が憎い/戦士たちの夜
 ⑩ 13日は何曜日?!
 ⑪ エキストラにさようなら
 ⑫ 紅の棺 
 ⑬ 死闘! 海上決戦!!
 ⑭ 太平洋、血に染めて 最終回スペシャル


   ★ザ・インタビュー「太平洋、血に染めて」
   ★太平洋、血に染めて ――公式ファンブック――
   ★太平洋、血に染めて【劇場版】
   ★完全版(時系列順に収録。ただし「パイロット版」、「大五郎の思い
        出」、「あの夕陽が憎い」、「エピソード0.5」は未収録)


 *各エピソードの主題歌(オープニング・エンディング)は、それぞれの
  エピソードの内容に合ったものを使用。
  なお、本作のタイトルは某ロボットアニメのサブタイトル(第28話)を
  ほぼそのまま流用したものである(笑)。
 

☆関連作品の紹介

☆関連作品の紹介

 *ハイボール(2015年)
 *髪隠(かみかく)し(2015年)
 *(きょう)之助(のすけ)の日常(2015年)
 *インロック!(2015年)
 *クラムボンについての考察(2016年)
 *野良猫のダイエット講座(2016年)
 *八咫烏(やたがらす)(2016~2017年)
 *野良(のら)(いち)物語(2017年)
 *八咫烏【完全版】(2018年)
 *おしえて! ぬっこ先生!!(2020年)
 *クイズ! ニャンじゃらホイ!!(2021年)
 *モモカニ合戦(2022年)
 *最終作(執筆予定)

 <執筆中止>
 *ハイボール【改稿版】
 *続・八咫烏
 

☆主題歌とBGM

☆主題歌とBGM

 映画やドラマなどの主題歌は作品のタイトルとおなじぐらい重要なものだと野良猫は考えています。それとBGMも大事ですね。ドキドキしたり、哀しくなったり、楽しい気分になったり、そういうものをBGMで表現しているんですよね(主人公の心情とか)。当然、小説ではそういうことはできません。小説は文章だけで、すべてを表現しなくちゃなりませんから。でも、ネット小説ならユーチューブやニコニコ動画のURLをうまく使うことにより、映画やドラマのような雰囲気を再現できるはずなんです。野良猫がやろうとしているのは、まさにそれなんです。映画やドラマとおなじことを、文字で表現された作品でやってみようという実験なのであります!!
 とはいえ、野良猫は音楽についてはまったくの素人。どんな曲を選んだらいいのか、最初はわかりませんでした。じつを言うと、この「太平洋、血に染めて」を執筆するまで、野良猫は音楽や歌にはそれほど関心がなかったんです。なので、はじめのうちは、かなりしんどかったですね(やるからには中途半端はしたくなかったのでがんばりました!)。おかげで今は作品を書くよりも音楽を聴いてる時間のほうが多くなってしまいました(笑)。いわゆる食わず嫌いってやつだったのかもしれませんね。あんなに苦手だった音楽なのに、毎日聴いてるうちにだんだんと好きになっていったんです。この作品の内容に近い曲はどれか。作品の世界観をイメージしつつ、曲と歌詞の両方を真剣に聴いて選ぶという作業を重ねるうちに、自然と音楽(歌)の魅力に取りつかれていったんです。なかでも「和楽器バンド」との出会いは衝撃を受けましたね(和楽器でロックとな?! みたいな)。そして、改めて野良猫は思いました。やっぱり、普通のことを普通にやってるだけでは新しいものを生み出すことはできないのではないか、とね。ちなみに、歳はちがうけど野良猫の誕生日は「和楽器バンド」の鈴華ゆう子さんと一緒の六月七日です(笑)。
 と、いうわけです。
 まあ、小説用の主題歌が実際に映像化されたときでも違和感なくマッチするかどうかは別として(もちろんありえないことなのだが)、これもネット小説ならではの楽しみ方なんじゃないかなあ、と野良猫は思うのでありました!!

 *一部ザ・インタビュー「太平洋、血に染めて」より抜粋、構成。
 

☆野良猫作品主題歌OP・ED使用曲

☆野良猫作品主題歌OP・ED使用曲

 
・野良猫劇場 OP・・・空からこぼれたStory(名探偵ホームズ)
 
・クラムボンについての考察 OP・・・空へ…(ロミオの青い空)
              ED・・・To be Yourself(キャッ党忍伝てや
                   んでえ)

・野良猫のダイエット講座 OP・・・ONE MORE TIME(PS/SS版
                  ロックマンX3 OPテーマ)
             ED・・・流離人~さすらいびと~ TVサイズ
                  (ゾイド新世紀スラッシュゼロ)
 
・おしえて! ぬっこ先生!! OP・・・トムとジェリーOP
               ED・・・(新トムとジェリー)
 
・クイズ! ニャンじゃらホイ!! OP・・・Be Somewhere
                     (Buzy)
                 ED・・・ONE LIFE(the pillows)
 
・ハイボール OP・・・Monkey(ロックマンX5)
       ED・・・僕は毎日、夢を見る(ロックマンX6)
 
・インロック! OP・・・「F」TVサイズ(F - エフ)
        ED・・・「気まぐれムーンライト」TVサイズ
                         (らんぽう)
 
・髪隠し OP・・・要求ウォッチ(妖怪ウォッチ/水戸黄門 MAD)
     ED・・・お江戸 -O・EDO-(カブキロックス)
 
・鏡之助の日常 OP・・・やる気のない水戸黄門OP(水戸黄門 MAD)
        ED・・・なかなか始まらない結果何もしない水戸黄門
 
・野良の市物語 OP・・・SEVENTH MOON(マクロス7)
        ED・・・邪魔はさせない(F - エフ)
 
・モモカニ合戦 OP・・・照國神社の熊手(妖怪ウォッチ)
        ED・・・ベノム (和楽器バンド Cover)
 
・八咫烏(1)~(8) OP・・・「Tank!」TVサイズ(カウボーイ
                  ビバップ)
            ED・・・インスピレイション(鬼平犯科帳)
 
・八咫烏(9)最終回直前
       2時間スペシャル!! OP・・・紅の華(天誅 紅)
                  ED・・・CHASE
                      (DEVELOP FRAME)
 
・八咫烏(10) 最終回特別編!! OP・・・宿命 ~SADAME~
                      (天誅 参)
                  ED・・・紅一葉
                       (和楽器バンド)
                  エンドロール・・・立体忍者
                        活劇「天誅 弐」ED
 
・八咫烏 ―完全版― OP・・・Innocence(ロックマンゼクス PV用
                イメージソング)
           ED・・・錆びついたマシンガンで今を撃ち抜こう
                (ドラゴンボールGT)
 
 
             < 太平洋、血に染めて >
 
・太平洋、血に染めて(1)~(4) ОP・・・記憶の君へ
                    (ブラック・ジャックOVA)
                 ED・・・「INTO YOURSELF」TV
                      サイズ(ゾイド -ZOIDS-)
 
・太平洋、血に染まる! ОP・・・愛を眠らせないで(機動警察パトレイ
                 バー)
            ED・・・PRAISE BE TO DECEPTICON
                (TRANSFORMERS EVO.)
 
・大五郎の思い出 ОP・・・いつか空に届いて(機動戦士ガンダム
              0080)
         ED・・・われらの旅立ち(宇宙海賊キャプテン
                      ハーロック)
 
・金曜はカレーの日!! ОP・・・STEP(魔神英雄伝ワタル)
            ED・・・Clover(ロックマンゼロ2)
 
・蒼穹の騎士 ОP・・・水の星へ愛をこめて(機動戦士Ζガンダム)
       ED・・・夜鷹の夢(ゾイドジェネシス)
 
・ばるす! ОP・・・戦士よ、起ち上がれ!(魔装機神サイバスター)
      ED・・・「Human Touch(ウォーレン・ウィービー)」
           (ガンダムX)
 
・あの夕陽が憎い ОP・・・Take The Wave(ゴルゴ13)
         ED・・・Speed of flow(銀魂)
 
・戦士たちの夜 ОP・・・羅針盤(ジパング)
        ED・・・「夜曲(英語版/日本語版)」(悪魔城
             ドラキュラX 月下の夜想曲) 
 
・13日は何曜日?! ОP・・・Just Before The Sunrise
                (ブラック・ジャックOVA)
           ED・・・Dry your tears(北斗の拳 第4部)
 
・エキストラにさようなら ОP・・・メロスのように(蒼き流星SPT
                  レイズナー)
             ED・・・LIGHT THE LIGHT(マクロス7)
 
・紅の棺 ОP・・・君を見つめて(機動戦士ガンダムF91)
     ED・・・TOMORROW(銀牙 -流れ星 銀-)
 
・死闘! 海上決戦!! ОP・・・魂のエヴォリューション(ビースト
                 ウォーズメタルス)
            ED・・・男たち・仲間たち
                (銀牙 -流れ星 銀-)
 
          ОP 前編・・・SILENT SURVIVOR(北斗の拳
                  第4部)
・最終回スペシャル ОP 後編・・・Rebirth
                (ブラック・ジャックOVA)
          ED・・・The Real Folk Blues
               (カウボーイビバップ)
 
・エピソード0.5 ОP・・・炎のさだめ(装甲騎兵ボトムズ)
         ED・・・It's a Long Road
             (映画「ランボー」主題歌)
 
・太平洋、血に染めて ―パイロット版― ОP・・・WINNERS FOREVER
                         〜勝利者よ〜(機動
                         戦士Vガンダム)
                    ED・・・オネアミスの翼
                    (王立宇宙軍オネアミスの翼)
 
・太平洋、血に染めて 劇場版 ОP・・・Z・刻をこえて(機動戦士
                          Ζガンダム)
               ED・・・(PS/SS版ロックマン
                     X3 EDテーマ)
 
・太平洋、血に染めて ―完全版― ОP・・・Wild Flowers
                     (ゾイド -ZOIDS-)
                 ED・・・(エースコンバット5
                       ED)
 
・ザ・インタビュー 太平洋、血に染めて ОP・・・WAR WAR! STOP IT
                        (ビーストウォーズ)
                    ED・・・そのままの君でいて
                      (機動警察パトレイバー)


  ※「太平洋、血に染めて」のエピソード「エキストラにさようなら」の
   EDは、作中では「気まぐれな天使たち」というタイトルで、ヨシオ
   たちがハリーのために作った曲という設定になっている。
 
 

☆野良猫作品主題歌 <ボツOP・ED集>

☆野良猫作品主題歌 <ボツOP・ED集>

 
 <クラムボンについての考察>
・ОP1・・・https://www.youtube.com/watch?v=4G5_XSfcyVo
       まっくら森の歌(谷山浩子)
・ОP2・・・https://www.youtube.com/watch?v=_QtFbTkCCCc
       まっくら森の歌 ロングバージョン
・ED・・・https://www.youtube.com/watch?v=5zzvV22Gr5E
      優しい友達(とんがり帽子のメモル)
 
 < 鏡之助の日常 >
・ОP・・・https://www.youtube.com/watch?v=HPo5yTbpcKs
      だれかが風の中で(木枯し紋次郎)
・ED・・・https://www.youtube.com/watch?v=azJC0EpfWfM
      あゝ人生に涙あり(水戸黄門)
 
 < インロック! >
・ОP・・・https://www.youtube.com/watch?v=ik0pfeblNT0
      ハートブレイク Crossin'(ふたり鷹)
 
 < 八咫烏 (1)~(8) >
・ОP・・・https://www.youtube.com/watch?v=oKJTR51_AkE
      IZAYOI(天誅千乱)
・ED・・・https://www.youtube.com/watch?v=j2XNT4-_zdw
     「 Song for...」TVサイズ(ゾイド -ZOIDS-)
 
 
      *** 太平洋、血に染めて ***
 
 < パイロット版 >
・ОP1・・・https://www.youtube.com/watch?v=7Tc23Hj_lhA
       大いなる海へ(宇宙空母ブルーノア)
 
 < エピソード0.5 >
・ОP・・・https://www.youtube.com/watch?v=SowhxMT3dzE
      How far to paradise(OVA版エリア88主題歌)
 
 < ばるす! >
・ОP1・・・https://www.youtube.com/watch?v=w05E8ZYvU8Y
       砂漠のイリュージョン(エリア88)
・ОP2・・・https://www.youtube.com/watch?v=3Y1gs_au4ZU
       鉄のララバイ(装甲騎兵ボトムズ
              ペールゼン・ファイルズ)
 
 < 戦士たちの夜 >
・ED・・・https://www.youtube.com/watch?v=Tm5z5wnZu2I
      仲間を求めて(ファイナルファンタジーⅥ 公式歌Ver)
 
 

☆太平洋、血に染めて BGM・挿入歌 原曲タイトル

☆太平洋、血に染めて BGM・挿入歌 原曲タイトル

 
 ※公式ファンブックの「サウンドトラック」に収録してあるものです!

・公式ファンブック ルートメニュー・・・復活の胎動 / Emergency
                   (ゾイド -ZOIDS-)(※1)

1朝焼けと大五郎/青いバラ」・・・仲間を求めて/仲間を求めて 公式歌
                 Ver(ファイナルファンタジーVI)

2「空母(モビー・ディック)のテーマ」・・・ネオ・アルカディア・マーチ
                   (ロックマンゼロ4)

3「スクランブル!」・・・鋼鉄の慟哭(ゾイド -ZOIDS-)(※2)

4「マリアナの夕陽」・・・戦闘「みらい」(ジパング)

5「病院船からの脱出」・・・幻獣を守れ!(ファイナルファンタジー
              VI)

6「燃える水平線」・・・(※3)恐怖の戦慄(ゾイド -ZOIDS-)

7「フィッシュオン!!」・・・American Money(カウボーイ
               ビバップ)

8「スネークの眼」・・・狂乱の殺人鬼(北斗の拳)

9「赤いモヒカンあたま」・・・Digging My Potato Extended
               Version(カウボーイビバップ)

10「目覚める筋肉」・・・戦闘(北斗の拳)

11「空母格納庫」・・・魔導研究所(ファイナルファンタジーVI)

12「黒いヤブ医者」・・・黒い甲冑ゴルベーザ(ファイナルファン
             タジーIV)

13「ポーキーのテーマ」・・・モグのテーマ(ファイナルファン
               タジーVI)

14「アカカブト降臨!」・・・In The Trap(銀牙 -流れ星 銀-)

15「決戦! アカカブト!」・・・Nothing Beats〝Extended〟
                (ロックマンゼロ4)

16「必殺! 烈・滅流豚!」・・・赤い彗星(機動戦士ガンダム)

17「さらば! アカカブト!」・・・Sad Memory Of Father
                 〝Sorrow〟
                 (銀牙 -流れ星 銀-)

18「ガーランド・ブラウン」・・・スラム・シャッフル(ファイナル
                 ファンタジーVI)

19「夕陽と葉巻とカウボーイハット」・・・シャドウのテーマ(ファイ
                     ナルファンタジーVI)

20「長老のハゲあたま」・・・カイエンのテーマ(ファイナルファン
               タジーVI)

21「大五郎のテーマ」・・・STEP(魔神英雄伝ワタル)(※4)

22「それは本当か、コバヤシ!?」・・・危機触発(北斗の拳)

23「ヨシオ登場」・・・ゼロのテーマ(ロックマンゼロ)

24「暁の三銃士」・・・Battle in Flash(キャッ党忍伝てやんでえ)

25「ダイヤモンドマッスル」・・・We Fight for Love
                (映画「コマンドー」主題歌)

26「戦士の魂」・・・Justiφ's(仮面ライダー555)

27「恐怖! 黒い背ビレ!」・・・モビルスーツ戦〝激戦の果て〟
                (機動戦士Ζガンダム)

28「くわれた!」・・・(※5)Emergency(ゾイド -ZOIDS-)

29「目覚める本能」・・・一撃必殺(北斗の拳)

30「ポーカー」・・・Ask DNA(カウボーイビバップ)

31「チャーリーの空」・・・遠い記憶(機動戦士ガンダム0080)

32「UMAを求めて……」・・・Pot City(カウボーイビバップ)

33「絶体絶命!!」・・・閃光の中のMS(機動戦士Ζガンダム)

34「さらばヨシオ」・・・Everlasting(ロックマンゼロ
             エンディングテーマ)

35「トリトン」・・・おおぞらをとぶ(ドラゴンクエスト8)

36「ヨシオの夕陽」・・・Holy Land 公式アレンジ
            (ロックマンゼロ4)

37「闘気と殺気」・・・GOLAN(北斗の拳)

38「ばるす!」・・・ストライクレーザークロー(ゾイド新世紀
           スラッシュゼロ)

39「バイバイスネーク」・・・バイバイブラザー(装甲騎兵ボトムズ
               ペールゼン・ファイルズED)

40「夕焼け雲と飛行機雲」・・・風にひとりで(機動戦士ガンダム)

41「愛しのエイドリアン」・・・夢色チェイサー(機甲戦記ドラ
                グナー)

42「蜷局(とぐろ)の十字架」・・・砂の十字架(劇場公開版
                  「機動戦士ガンダム」主題歌)

43「アイキャッチ・1」・・・ロックマンゼロ2 OPタイトル

44「アイキャッチ・2」・・・ブリッジ・コレクション 1-M33
               (装甲騎兵ボトムズ)

45「次回予告」・・・エスペラント - Mythos Ver. -
           (ロックマンゼロ4)

46「潮風にむせる」・・・ギャラクシー・ナイト 1-M56
            (装甲騎兵ボトムズ)

47「蒼い砂漠(エンドロール)」・・・仲間を求めて ピアノ
                   バージョン(ファイナル
                   ファンタジーVI)


  ※1・・・デスザウラーのテーマ。
       「復活の胎動」はゾイド オリジナル・サウンド
       トラック+2~復活の鼓動~「2.復活の胎動」
       の2曲目に収録。
      (https://www.youtube.com/watch?v=p_KB_pTyTA4)
       「Emergency」はゾイド オリジナル・サウンド
       トラック +3 ~Mission~「2.Emergency」
       の1曲目に収録。
      (https://www.youtube.com/watch?v=0YvPqfL7Yao)

  ※2・・・ゾイド オリジナル・サウンドトラック+ 〜鋼鉄の
       慟哭〜「2.鋼鉄の慟哭」の2曲目に収録。
       (https://www.youtube.com/watch?v=V3g0mjfoIcI)

  ※3・・・ゾイド オリジナル・サウンドトラック+2~復活の
       鼓動~「4.恐怖の旋律」の2曲目に収録。
       (https://www.youtube.com/watch?v=-VVo-J8LkDc)

  ※4・・・エピソード「トリトン」および「炎のサムズアップ」
       などで使用したのはTVサイズバージョンである。
       (https://www.nicovideo.jp/watch/sm28933362)
       ちなみにCD収録版はTV版と歌詞の一部が異なって
       いる(TV版の「こんなはずじゃなかったドリーム
       ハンター」の部分がCD版では「こんなはずじゃ
       なかったプロローグ」となっている)。

  ※5・・・レイヴンのテーマ。
       ゾイド オリジナル・サウンドトラック +3
       ~Mission~「2.Emergency」の2曲目に収録。
      (https://www.youtube.com/watch?v=0YvPqfL7Yao)
 
 
      *** BGMの使用箇所 ***

・3「スクランブル!」
   主にエピソード「太平洋、血に染まる!」の潜水艦から攻撃を
   受けるシーンなどで使用。

・4「マリアナの夕陽」
  第一話の終盤「大きな戦争があった」のくだりで使用。

・6「燃える水平線」
  エピソード「ばるす!」のチャプター4の冒頭など。

・7「フィッシュオン!!」
  釣りのシーン(主に長老の)で使用。
  第二話でトーマスじいさんが射出座席で飛び上がるシーンでも
  使用。

・10「目覚める筋肉」
   長老がムツゴローに戦いを挑むシーンや「ばるす!」の
   チャプター4(長老の真剣白刃取りのシーン)で使用。

・19「夕陽と葉巻とカウボーイハット」
   エピソード「エキストラにさようなら」のチャプター2の序盤
   などで使用。

・21「大五郎のテーマ」
   エピソード「金曜はカレーの日!!」の主題歌。
   なお、作中で使用したのはTVサイズである(第一話の小便で
   虹を架けるシーンおよび第4話の終盤)。

・22「それは本当か、コバヤシ!?」
   エピソード「ばるす!」のチャプター2(食堂のシーン)で
   使用。

・23「ヨシオ登場」
   エピソード「ばるす!」のチャプター3のヨシオ登場シーンで
   使用。

・24「戦士の歌(マルコ三兄弟のテーマ)」
   エピソード「紅の棺」でヨシオがカタパルトの準備をしている
   シーンの挿入歌。

・29「目覚める本能」
   エピソード「エキストラにさようなら」のチャプター2で使用
   (長老がコバヤシのあたまをビール瓶で割るシーン)。

・30「ポーカー」
   夕食後、ヨシオたちは食堂でポーカーやってます(笑)

・31「チャーリーの空」
   エピソード「蒼穹の騎士」の挿入歌(チャーリーと大五郎が
   ハリアーを修理しているシーン)。

・32「UMAを求めて……」
   主にムツゴローのシーン(アオウミガメに乗って空母を去る
   ところ)などで使用。

・33「絶体絶命!!」
    第四話で使用(空母進路上に横たわる軍艦の残骸にうろ
    たえる乗員と難民たち)。

・34「さらばヨシオ」
   最終回の挿入歌(終盤でヨシオが医務室を去っていくところ
   からラストまで)。

・35「トリトン」
   第二話、第四話のトリトン(クジラ)登場時に使用。

・36「ヨシオの夕陽」
   パイロット版(冒頭からラストまで)、第一話(チャプター
   3)やエピソード「あの夕陽が憎い」で使用。

・37「闘気と殺気」
   エピソード「ばるす!」のチャプター3(ヨシオが登場した
   直後にスネークと対峙するシーンなど)で使用。

・38「ばるす!」
   エピソード「ばるす!」のチャプター5の冒頭からスネーク
   退場までのシーンで使用。

・43/44「アイキャッチ」
      CM放送前後に使用(アイキャッチ・2は
      「ばるす!」と「エピソード0.5」のみで使用)。

・46「潮風にむせる」
   最終回スペシャルのヨシオと九郎の会話シーン(ヘリ
   爆発後の)などで使用。
 
 

☆おまけBGM・提供クレジット

☆おまけBGM・提供クレジット

  
       *** おまけBGM ***

・金曜ロードショー(一部作品のオープニング直前で
          使用したBGM)・・・Friday Night Fantasy
 
・ハイボール
 「チャプター3」・・・約束の土地へ(機動警察パトレイバー
            the movie イメージソング)
 「チャプター6」・・・永遠の想い(笠原弘子)
 
・八咫烏(9)
 挿入歌「おれたちゃ八咫烏!」・・・BLACK FIGHT
                 (キャッ党忍伝てやんでえ)
 
・野良の市物語
 「野良の市が行く!」・・・艶姿メカCat!
             (キャッ党忍伝てやんでえ)
 
・モモカニ合戦
 「晴れときどき鬼」・・・Lycoris(蜷川べに Music Video)
 
・インロック!
 「ラジオの音楽」・・・Old Rock(作曲:Piero Umiliani)
 「クリスマスソング」・・・Let It Snow(フランク・シナトラ)
 
・おしえて! ぬっこ先生!!
 「シンキングタイムBGM」・・・ロックマンⅹ
                 (ステージセレクト)
 
・クイズ! ニャンじゃらホイ!!
 「シンキングタイムBGM」・・・DRIVER~潜入!カーチェイス
                 大作戦~
 
・太平洋、血に染めて(最終回)
 「黒い天使」・・・悲境の貴公子(悪魔城ドラキュラX 月下の
                 夜想曲)
 
・大五郎の思い出
 「ロックオン!」・・・ストーム・フクロウルステージBGM
            (ロックマンX4)
 
・紅の棺
 「ザ・パワー」・・・インフィニティー・ミジニオンステージ
           BGM(ロックマンX6)
 
・13日は何曜日?! 
 「赤い満月」・・・Clock Tower
          (キャッスルヴァニア 〜暁月の円舞曲〜)
 
 
    *** 提供クレジット(BGM) ***

【太平洋、血に染めて DVD発売告知CM】
・千年のソルジャー(ビーストウォーズメタルス)

【太平洋、血に染めて(1)~(4)】
・Departure(ロックマンゼロ2)

【太平洋、血に染まる!】
・Esperanto Official site Ver.(ロックマンゼロ4)
・「Command Center(※)」(ゾイド -ZOIDS-)

【大五郎の思い出】
・Waltz for Zizi(カウボーイビバップ)

【金曜はカレーの日!!】
・バーナード・ワイズマン(機動戦士ガンダム0080)

【蒼穹の騎士】
・ZERO(エースコンバット ゼロ)

【ばるす!】
・ロックマンX3 オープニングステージBGM(PXZ2)
・ロックマンX3 オープニングステージBGM (Remix)

【あの夕陽が憎い】
・Escape From Torture(映画「ランボー」より)

【戦士たちの夜】
・ロックマン3 タイトルテーマ(ギターアレンジ)
・ロックマン3 ブルースのテーマ(アレンジ)
・ロックマン3 ブルースのテーマ(オルゴールVer)

【13日は何曜日?!】
・Vampire Killer(悪魔城ドラキュラ ハーモニーオブディスペアー)
・血の涙(悪魔城ドラキュラX 血の輪廻)
・死の詩曲(悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲)
・乾坤の血族(悪魔城ドラキュラX 血の輪廻)

【エキストラにさようなら】
・シャドウのテーマ(オーケストラアレンジVer)
・Magnum Force Theme(映画「ダーティハリー」より)

【紅の棺】
・Judgment Day Theme(映画「ターミネーター2」より)

【死闘! 海上決戦!!】
・ロックマンX5 零空間ステージ2
・Epilogue -Near The Border-(エースコンバット ゼロ)

【最終回スペシャル】
・水の星へ愛をこめて(水曜日のカンパネラ)
 機動戦士ガンダム THE ORIGIN 第2弾エンディング
・みらい「戦闘」(ジパング)

【エピソード0.5】
・Lets Fight(OVA版エリア88)

【八咫烏 最終回特別編!!】
・天誅 紅 メインテーマBGM

【野良の市物語】
・秘密忍者隊ニャンキー参上!(キャッ党忍伝てやんでえ)

【酔虎伝!】
・Los Angeles Escape Song(DRIVER~潜入!カーチェイス
              大作戦~)
・ドライバー:サンフランシスコ メインテーマ


   ※・・・ゾイド オリジナル・サウンドトラック+2~復活の
       鼓動~「10.挑発」の2曲目に収録。
      (https://www.youtube.com/watch?v=j4D_J4Q1Eko)
 
 

☆本編放送時のCM集

☆本編放送時のCM集

 *TVアニメ「太平洋、血に染めて」の本編放送期間中に流れたCMです!

1 https://www.youtube.com/watch?v=X-QuxQr9x5Q
2 https://www.youtube.com/watch?v=tbyjJUOS6PE
3 https://www.youtube.com/watch?v=jsWNKTqMQeE
4 https://www.youtube.com/watch?v=9rrXTCc3HQY
5 https://www.youtube.com/watch?v=LkSjqeP1L5s
6 https://www.youtube.com/watch?v=fhbZ3MLmbhU
7 https://www.youtube.com/watch?v=SsYfggKy_fQ
8 https://www.youtube.com/watch?v=94ee5P0d05k
9 https://www.youtube.com/watch?v=6xtCAJm7itE
10 https://www.youtube.com/watch?v=kfI6tay88X4
11 https://www.youtube.com/watch?v=rI1-M86CeNQ
12 https://www.youtube.com/watch?v=R5GHgE6TTlE
13 https://www.youtube.com/watch?v=DGGV6qh6aHc
14 https://www.youtube.com/watch?v=Dz33vyuxSrM
15 https://www.youtube.com/watch?v=UcPrSu43-7A
16 https://www.youtube.com/watch?v=a8M2AdTaW3k
17 https://www.youtube.com/watch?v=XgShp7P5B94
18 https://www.youtube.com/watch?v=Mr797KuXdRw

 

☆役を演じるのではない。役になりきるんだ!

☆役を演じるのではない。役になりきるんだ!

 休憩中は和やかな雰囲気だが、いったん撮影がはじまると現場は緊張感に包まれた。
 上の写真は気合を入れてキャット(カット)をかける野良猫監督。

 

☆野良猫監督の名刺

☆野良猫監督の名刺

 「あ、申し遅れました。わたくしこういうモノです。どうぞ夜露死苦(よろしく)おねがい
  いたします!」

    株式会社 野良猫プロダクション
         代表取締役社長 ラッキー・ルチニャーノ
 

    *** 野良猫の足あと ***

    *** 野良猫の足あと ***

 みなさんこんにちは!!! 作者の野良猫です!!!
 まずは前代未聞の喜劇(奇劇)と言われた迷作「太平洋、血に染めて」を最後までご覧いただき、まことにありがとうございました! みなさん、楽しんでいただけたでしょうか!
 まあ、よくわからないうちに終わってしまったわけですが、野良猫はそれなりに楽しめましたね。ただ、後半はさすがの野良猫も書いててすこし疲れました(いろんな意味で)。
 それにしても、よくこれだけつづいたものだ、と自分でもおどろいてます(本当はパイロット版で終わるつもりだったのに)。
 学生時代、野良猫は作文が苦手でした。原稿用紙一枚書くのに二、三時間は普通にかかってましたね。正直言って苦痛でした。どちらかというと、野良猫は小説より映画に興味があるので、書くのはそれほど得意ではないのです。ろくに小説も読まないし、小説の書き方(基礎)すら知らない浅学菲才な野良猫がここまで書けたのは、まさに奇跡ですね(笑)。
 と、いうことで、「太平洋、血に染めて」を応援してくださったファンのみなさまに心からお礼を申し上げます(はたしてファンがいるかどうか知らんが)。
 長い間、応援ありがとうございました!!
                                                     

この物語を人種や国籍などを問わず海に散ったすべての男たちと船乗り猫に捧ぐ!

【鎮魂歌】・・・悲しいときはいつも(松田博幸)
 https://www.youtube.com/watch?v=7f7PCryRO2Q

   *上の写真はチャーチル首相と船乗り猫のブラッキー
 
 
 

 

太平洋、血に染めて ――公式ファンブック――

【映像特典】
 https://www.youtube.com/watch?v=U6XyECDSS4I
 https://www.youtube.com/watch?v=KnsQiGXNAXM
 
*** サウンドトラック(作中で使用した挿入歌&BGMです!) ***
 
1「朝焼けと大五郎」
  https://www.youtube.com/watch?v=XEO7RCD7jVg

2「空母(モビー・ディック)のテーマ」
  https://www.youtube.com/watch?v=qGWAjxkbLlo

3「スクランブル!」
  https://www.youtube.com/watch?v=cOT0Ax-dESw

4「マリアナの夕陽」
  https://www.youtube.com/watch?v=mf5vFCzccCM

5「病院船からの脱出」
  https://www.youtube.com/watch?v=o2b4DMy8Xhk

6「燃える水平線」
  https://www.youtube.com/watch?v=LJFlN25CGIs

7「フィッシュオン!!」
  https://www.youtube.com/watch?v=M5HOXfo-UO0

8「スネークの眼」
  https://www.youtube.com/watch?v=afbWGyIpp3U

9「赤いモヒカンあたま」
  https://www.youtube.com/watch?v=O0JB4wxtSJk

10「目覚める筋肉」
  https://www.youtube.com/watch?v=wq71PKsjq0g

11「空母格納庫」
  https://www.youtube.com/watch?v=Iq0ntBagBQY

12「黒いヤブ医者」
  https://www.youtube.com/watch?v=6Ljuo_3w4y0

13「ポーキーのテーマ」
  https://www.youtube.com/watch?v=yS5IxNLkI5M

14「アカカブト降臨!」
  https://www.youtube.com/watch?v=qnEOdu5QBDs

15「決戦! アカカブト!」
  https://www.youtube.com/watch?v=arUH29YgyLU
  https://www.nicovideo.jp/watch/sm26698342

16「必殺! 烈・滅流豚!」
  https://www.youtube.com/watch?v=He3erTGnbaQ

17「さらば! アカカブト!」
  https://www.youtube.com/watch?v=HamWMR2f52s

18「ガーランド・ブラウン」
  https://www.youtube.com/watch?v=gUDqUozYYKg

19「夕陽と葉巻とカウボーイハット」
  https://www.youtube.com/watch?v=WSGpg777M0M

20「長老のハゲあたま」
  https://www.youtube.com/watch?v=SRq67UE40WQ

21「大五郎のテーマ」
  https://www.youtube.com/watch?v=7ltf7ZHupC0
  https://www.nicovideo.jp/watch/sm29724264

22「それは本当か、コバヤシ!?」
  https://www.youtube.com/watch?v=BaXMfvbOYzQ

23「ヨシオ登場」
  https://www.youtube.com/watch?v=-yzYlzFdu4U

24「暁の三銃士(マルコ三兄弟のキャラクターソング)」
  https://www.youtube.com/watch?v=CR25ZhxMLjA

25「ダイヤモンドマッスル」
  https://www.youtube.com/watch?v=tl92wiSMHXk

26「戦士の魂(アカカブトに立ち向かった戦士たちの歌)」
  https://www.youtube.com/watch?v=_iPzeLM0K7g

27「恐怖! 黒い背ビレ!」
  https://www.youtube.com/watch?v=3OLtVqpNq5U
  https://www.nicovideo.jp/watch/sm8894550

28「くわれた!」
  https://www.youtube.com/watch?v=i77E6e8PqAU

29「目覚める本能」
  https://www.youtube.com/watch?v=VoDImN7Rbr8

30「ポーカー」
  https://www.youtube.com/watch?v=3rYYzKo6S9g

31「チャーリーの空」
  https://www.nicovideo.jp/watch/sm10777622

32「UMAを求めて……」
  https://www.youtube.com/watch?v=wN7x4DlfuCY

33「絶体絶命!!」
  https://www.youtube.com/watch?v=kU7pbqQX3k8

34「さらばヨシオ」
  https://www.youtube.com/watch?v=e_uMyW77mpU

35「トリトン」
  https://www.youtube.com/watch?v=Vk7Lxi4lya0
  https://www.nicovideo.jp/watch/sm5306956

36「ヨシオの夕陽」
  https://www.youtube.com/watch?v=i4B_yPWZRdU
  https://www.nicovideo.jp/watch/sm27433471

37「闘気と殺気」
  https://www.youtube.com/watch?v=4Sz8BMdSNyo

38「ばるす!」
  https://www.nicovideo.jp/watch/nm17293191

39「バイバイスネーク」
  https://www.youtube.com/watch?v=1i0GHciPy0g

40「夕焼け雲と飛行機雲」
  https://www.youtube.com/watch?v=ha7XRwrt-bQ

41「愛しのエイドリアン」
  https://www.youtube.com/watch?v=km14YBrIKCE

42「蜷局の十字架」
  https://www.youtube.com/watch?v=cpYOIUw6Pkg

43「アイキャッチ・1」
  https://www.youtube.com/watch?v=_JN1Ifsc_Ss

44「アイキャッチ・2」
  https://www.youtube.com/watch?v=QFi9eVySv34

45「次回予告」
  https://www.youtube.com/watch?v=zRAjiv23A3M
  https://www.nicovideo.jp/watch/sm11018692

46「潮風にむせる」
  https://www.youtube.com/watch?v=sNoqBKwjuD8

47「蒼い砂漠(エンドロール)」
  https://www.youtube.com/watch?v=cO0Ke3rGpwo

  *25、26、40、41は作中未使用です!
 
 
 
太平洋、血に染めて

野良猫
©NORANEKO 2017

2017年3月9日 第一刷発行

発行者――野良猫
発行所――株式会社 ガット・エランテ
野良県クジラ市マグロ町一丁目2番22号 〒222-2222

電話 出版部 5656-22-××××(ゴロゴロ・ニャーニャー)
   販売部 5625-22-××××(ゴロニャーゴ・ニャーニャー)
   業務部 2020-22-××××(ニャオニャオ・ニャーニャー)

デザイン――ストレイ・キャット
本文データ制作――ガット・エランテ プリプレス制作部
印刷――珍獣印刷株式会社
製本――珍獣印刷株式会社
 
printed in japan

太平洋、血に染めて ――公式ファンブック――

「太平洋、血に染めて」に登場したキャラクターや作中で使用(?)したBGMなどを紹介します!!

  • 随筆・エッセイ
  • 長編
  • 冒険
  • アクション
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-03-09

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted
  1.       *** 登場人物紹介 ***
  2. ☆大五郎
  3. ☆ハリー
  4. ☆長老
  5. ☆羽佐間 九郎(ドクター・ブラックジョーク)
  6. ☆ヨシオ
  7. ☆チャーリー
  8. ☆ムツゴロー
  9. ☆アオウミガメ
  10. ☆トーゴー
  11. ☆スミスじいさん
  12. ☆トーマスじいさん
  13. ☆ガーランド・ブラウン
  14. ☆トリトン
  15. ☆大統領(自称)
  16. ☆スネーク
  17. ☆コバヤシ
  18. ☆マエダ
  19. ☆マルコ/ルチオ/ローザ
  20. ☆ジュリアス
  21. ☆ポーキー(アカカブト)
  22. ☆ゴロツキ
  23. ☆マイク・サイモン
  24. ☆サメ(メガロドン?)
  25. ☆クラーケン(作中未登場)
  26. ☆ギガロドン(作中未登場)
  27.        *** ギャラリー ***
  28. ☆年表 【最終戦争勃発から終結までの推移】
  29. ☆ペガサス級航空母艦 3番艦「モビー・ディック」
  30. ☆病院船
  31. ☆ヨシオの服装 
  32. ☆大五郎の服(1)
  33. ☆大五郎の服(2)
  34. ☆大五郎の服(3)
  35. ☆大五郎の服(4)
  36. ☆大五郎の服(5)
  37. ☆大五郎の服(6)
  38. ☆大五郎の服(7)
  39. ☆大五郎の服(8)
  40. ☆コバヤシのTシャツ
  41. ☆ニャゴキング
  42. ☆はっけよい! ねこ力士
  43. ☆コンボイ司令官
  44. ☆エージェント ナイト
  45. ☆メガトロン
  46. ☆キングゴジュラス
  47. ☆ゲリンジャーS
  48. ☆タマランY ゴールド 
  49. ☆オオザロイドDⅩ
  50. ☆シャトル 
  51. ☆トレール・バー 
  52. ☆デッキサイド式エレベーター
  53. ☆縄梯子
  54. ☆格納庫
  55. ☆統合カタパルト管制室 
  56. ☆トーイングトラクター(トーイングカー)
  57. ☆マクドネル・ダグラス AV-8BハリアーII
  58. ☆マクドネル・ダグラス F/A-18戦闘攻撃機 
  59. ☆F/A-18E マイク・サイモン仕様
  60. ☆ルイス・アンド・クラーク級貨物弾薬補給艦
  61.      *** 幻の空母「やまと」 ***
  62. ☆第08空母航空団(空母「やまと」所属)
  63. ☆間宮羊羹
  64. ―― メイキング・オブ「太平洋、血に染めて」 ――
  65.   *** プロローグ(各話冒頭) ***
  66.     *** 次回予告(全エピソード) ***
  67.   *** NG集(一部本編にて採用) ***
  68.    *** 削除シーン ***
  69.  *** 制作秘話 「13日は何曜日?!」 ***
  70.  *** 制作秘話 「あの夕陽が憎い」 ***
  71.   *** 激録・野良猫プロ密着24時!! ***
  72.  *** 野良猫監督、自らの作品を語る! ***
  73.      ☆☆☆ 燃える職人魂 ☆☆☆
  74.      ☆☆☆  ヨシオの謎  ☆☆☆
  75.   ☆特別読切 「太平洋、血に染めて」番外編! 
  76.   *****  野良猫ファイル  *****
  77. ☆太平洋、血に染めて <全タイトル>
  78. ☆関連作品の紹介
  79. ☆主題歌とBGM
  80. ☆野良猫作品主題歌OP・ED使用曲
  81. ☆野良猫作品主題歌 <ボツOP・ED集>
  82. ☆太平洋、血に染めて BGM・挿入歌 原曲タイトル
  83. ☆おまけBGM・提供クレジット
  84. ☆本編放送時のCM集
  85. ☆役を演じるのではない。役になりきるんだ!
  86. ☆野良猫監督の名刺
  87.     *** 野良猫の足あと ***
  88. 88
  89. 89