一分の長さ

春生志乃

一分は案外思っているよりもずっと長い。
例えば、定期試験中に時間内よりも随分早くテストを終わらせてしまった時、一分一分が凄く長く感じる。
そして暇潰しに、試験官の似顔絵をテストの問題用紙に描いたりする。
上手く描けた、なんて思っている内に試験終了のベルが鳴る。
あー、やっと終わったと一息つくと、いきなり問題用紙を集めるなんて言う試験官も出て来る。
やってしまった、と思いつつももう回収されてしまい、後々無言で返されるそのテストの問題用紙と言ったらなんとも言えないほど複雑である。
そんな一分の長さもあるが、遅刻ギリギリのバスの待ち時間、この一分と言ったら異様に一分一分が長く感じる。
焦りと後悔の念で、余計に一分一分が長く感じてしまうのだ。
その一分の間に色々な考えを巡らせ、嗚呼あの時早く家を出れば良かったと、絶望する。
もしそれが、大事な要件のある日なら尚更である。
一分とは言っても、色々な長さを感じる一分があり、つまり人の心情によってその長さも変わってくると言うことなのだ。
自分に余裕がある時の一分と、自分に余裕が無いときの一分の長さは全く違う。
ならば人としてどちらの一分の方が良いか。
勿論、前者である。
後者になりたくなければ、自分に余裕がある一分を作れば良いのである。
バスの事に関してみれば、のっそりと朝食を食べているせいで一分いつもより家を出るのが遅かったせいでいつものバスが、偶々いつもより早く出て行ってしまい、後にその一分の地獄が待ち受けている。
こうなりたくなければ余裕を持て、なんて言われるけれど、それが簡単に出来ているのなら人はそんな一分なんて短時間の違いなんて考えやしないし、絶望の自体が起きることも無いだろう。
改善方法は、結局自分が余裕を作るしか無いが、余裕なんて毎日あるわけではない。
ただたまに一分という短い時間について想像して、それに上乗せしてその一分に絶望的な想像をし、恐怖すれば、その一分を大事にするという考えも湧いてくるのではないだろうか。

一分の長さ

一分の長さ

一分の長さについて

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted