巨神

詩の巨人は眠っていた

(とこしえ)とも思しき時間
横たわっていた

いつの間にか彼の躰には森が出来
いつの間にか彼の躰に河が流れ

いつの間にか人々は彼の上で
暮らし始めていた

巨人はその事に気付いたけれど
大きな生物の優しさで
そっと見守っていた

ある時人間の一人が

自らが神の上に住んでいることに
遂に気付いた

人間は詩を読んだ
能う限りの祈りを込めて

詩と世界が永遠に平穏であるよう

巨人は祈りを聞き届け
目を閉じ、彼ら人間が一人もいなくなるまで
微動だにしないことを
決意した

それから数千万年が経つ

時々薄目を開けて様子を見る巨人の
瞳を
人間たちは水晶と呼んで

今でも敬い
詩を捧げている

巨神

巨神

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-03-07

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