売れない作家の異世界録 1話
1話 この幼女クズにつき
拝啓、お父さん。お母さん。僕は死んでしまいました。先に旅たつ親不孝を許してください。
ですが安心してください。僕は新しい世界で上手くやっていきま、、、
「起きろやゴルァァァァ!!!」
ゴギン!!!
「痛ってぇ!?!?」
なんだなんだ!?なんで俺は幼女に馬乗りにされてタコ殴りにされてんだ!?
「起きた!起きたからやめろ!!パーとかじゃなくて本気のグーで殴るな!!」
「ふー、ふー、ようやく起きたかこの寝坊助が!よくもやってくれたなぁ!?」
「な、なんの事だよ!一旦落ち着けってば仮にも見た目は幼女なんだからそんな顔するな!」
マジギレした猫のように威嚇し続ける神様をどけて回りを見渡す。
だだっ広い草原のど真ん中にいるようだ。本当に異世界にやって来たってことでいいのか?
視界に異世界要素がまったくないんだが、、、
空を見上げると巨大な翼で空を飛ぶ生命体が視界に入ってきた
「おぉ!?あれってドラゴン!?すっげぇ本当に異世界に来たのか!いやぁありがとうな神様」
よく見れば見たこと無い植物や動物終いには山まで俺のいた世界とは完全に別物世界が広がっていた
「なに呑気な事言っとるんじゃ!私まで連れて来よって!どうすんじゃこれぇ!!」
俺が引っ付かんだままここに来たことが相当気に入らなかったらしい。確かに俺が悪い。
謝って帰ってもらおう。
「ごめんな神様。つい熱くなって連れてきちまった。とりあえず一人でも大丈夫だから帰って貰っていいぞ」
「だからそれが出来ないと言うとるんじゃ!あのゲートは片道切符なんじゃよ!一度通ったら魔王倒すかまた死にでもせんと帰れんのじゃ!」
そう言って俺の回りを叫びながらオロオロウロウロする。
むむ、それは困ったな。とりあえず近場の街まで移動してそこから考えてみるか
「そ、そうなのか?それは悪いことしたな。あれだ。とりあえずこの近くに町とか無いか?そこ行ってから考えようぜ?」
「街?そんなもん知らん。私は魂の管理が仕事でその他の事なんて興味もないわ」
嘘だろ。この神様もしかして役に立たない系の神様なのか?
「わ、わかった。街は頑張って探そう。空飛んでるあんな感じのモンスターとかいるんだろ?俺まだまともに戦えないんだが」
「あの部屋に神の力を殆ど置いてきたから今の私はただの幼女じゃ。モンスターとの殴りあいなんて出来るわけがないじゃろ」
、、、、は?
それじゃあ今の俺達って引きこもりの元作家と幼女の最弱パーティーってこと?
魔法も使えない。戦闘も出来ない。金もない。ここがどこだかもわからない。
「はぁぁぁぁ!!どうすんだこれぇぇぇ!?」
「ご、ごれがらどうすんじゃぁぁぁぁうわぁぁぁぁぁぁぁん!!」
二人で現在の絶望的状況にうちひしがれる。叫び、泣きわめき、暴れ狂いそして
「詰んだ、、、、」
頭を抱えて折れ込む
お父さん。お母さん。僕の異世界生活はもしかしたらもう終わるかもしれません。全然上手くなんて出来ませんでした。
途方に暮れて口から魂を出す俺とついに泣き出してしまった幼女。もう完全に地獄絵図とかしていた、、、もう帰りたくなってきた、、、
「よ、よし。とりあえず街を探そう。そうしないと何も出来ないまま俺達は共倒れだ。街に付きさえすればギルドとか騎士団とかそう言った機関が絶対にあるはずだいいな!」
「グスッ、うん。わがっだ、、、よろじぐのうロリゴン、、、グスッ」
なんとか現実を受け止めて泣きじゃくる幼女をなだめた俺は覚悟を決めて立ち上がった。
「ロ、ロリコンちがわい!アキラだよ!名乗ったろうが」
「私のことはユアでいい。一応名の知れた神じゃからバレると面倒なんじゃ。ちーん!」
「人の服で鼻かむんじゃねぇ!!!」
「よし、スッキリした!行くぞアキラ!、、、なんじゃその小汚ない服はまったく。仮にも神と歩くんじゃから身なりとか気にしてほしいもんじゃのう」
こいつ殴ってもいいだろうか。結構真剣に手が出かかったぞ今
こいつ街についたらどっかに置き去りにしてやろうか
「てか普通こういうのって最初から街についてるもんじゃねぇのかよ。なんでこんな中途半端な場所に飛ばされたんだ?心当たりないのかよユア」
「ん?そりゃ飛ばされた時私が必死に暴れたから軌道が大幅にずれ込んだに決まってあいたぁ!?」
今のは完全に脊髄反射で手が出た。むしろよくここまで耐えたな俺。偉いぞ俺。
「なにすんじゃ!いいのかお前言っておくが私は今正真正銘ただの可愛い可愛い幼女なんじゃからな!往来でベシベシ叩いてたら社会的に死ぬのはアキラのほうじゃからな!その辺覚悟しとけよ」
こいつ筋金入りのクズだ!なーにが可愛い幼女だ笑わせんな!
こいつ絶対街に置いてく。俺の意思は堅い!!
「本当にこっちでいいのかう~?私はガチガチのインドア派じゃからもうあんよが痛いんじゃがの~。あーあー誰かおぶってくれんかなぁ優しい根暗作家がおぶってくれんかなぁ」
「お願いしてんのかバカにしてんのかどっちかにしろチビスケ。これから俺にずっと敬語使うならおぶってやるよ」
「死んでも御免じゃな。論外じゃ」
土地勘なんて微塵もない俺達は考えなしに草原をねり歩いていた。せめて川とかあればそれをたどる事も出来るんだが
「なぁユア。本当になにも出来ないのか?近くの人の気配を察知するーみたいなやつさ」
「この世界に来た瞬間に私にも世界のルールが適用されてるんじゃ。じゃからここのルールに乗っ取って力をつけんとどうにもならんの。諦めろアキラ、楽をするのはよくないぞ?」
誰のせいでこんなハードモードで始まったと思ってるんですかね。段々言い返すのも疲れてきたから黙っとくが
「こんなことなら少しは運動しておけばよかったかのう。あぁヌクヌク空間が恋しい~おいアキラ無視するな!寂しいじゃろ!のう聞いとるのかわぷっ!?」
「うるせぇな俺だって疲れてんだよ!だいたいどこの誰のせいでこんなことになってると思って、、、、え?」
振り返るとユアがでっかいヘビに変身してた。というか頭から食われてた。片足だけギリギリ口からはみ出してる。
「ユアァァァァァァ!!??」
ヘビはユアを飲み込むのに集中してその場を動かないがこれ飲み込まれたらヤバイんじゃないか!?だ、だがレベル1の俺に戦闘なんてそもそも武器すら持ってないのにどどどどうしよう
「こ、これだぁ!ええいままよ!」
▽ アキラ は きのぼう を 装備した!
手頃な棒切れを掴んで構える。大ヘビは相変わらずユアを飲み込もうとモゴモゴしてる。チャンスは今しかない!覚醒の時は今だ!
「コナクソォォォォ!!!」
ぶん!という音と共に繰り出す渾身の一撃!
▽ アキラ の こうげき!
▽ おおへび に 0ダメージ!
ですよね!!
もうまったく動かない。びくともしない。音だけは立派なのに手応えがちっともない!
「うおぉぉぉぉユアを吐き出しやがれこのヘビ畜生がぁぁぁぁ!!!」
目にも止まらぬ(ような気合い)でヘビに斬撃を浴びせ続けるが俺の奮闘などお構い無しにモゴモゴしてるヘビ。こいつさては伝説の大蛇なのではないか!?
「ゼェゼィ、、、こ、こいつ強い!」
ギロリ
「ヒェッ」
ヘビと目があった!なんだこれ怖い!!目が捕食者だ!
ヘビに睨まれたカエルってこんな気持ちなの?
やば、漏らしそう、、、、
「、、、、フッ」
ペッ!
ヘビが俺を見下し鼻で笑いやがった。こんな小物もういいやと言わんばかりの目をしてユアを吐き捨てやがった!
格下相手だとわかった瞬間態度を変えヘビはその場を後にした。今の俺は魔王どころかその辺の野性動物にすら鼻で笑われる程の雑魚ということなのか、、、!
「ユア、大丈夫か!溶けたりしてないよな!」
ヘビの体液でべったべたになったユアを助け起こす。うわ、生臭っ!
「し、死ぬかと思った。私生きてる?のう生きておるのかアキラ、、、」
弱々しく伸ばすユアの手を強く握り元気付ける。すまないユア、俺がもっと強ければこんなことになんで、、、
「大丈夫だユア。お前は生きてる。確かにここにいるってくっさぁ!!離れろこのゲロリ!ベタベタしてんだよ!!」
我慢したけど無理でした。
ユアを突き飛ばして距離をとる。手がぬるぬるするんだけどどこかで洗えないかなこれ
「きっさまぁ!!それが神である私に対する態度かぁ!?あの程度の雑魚一匹倒せん軟弱作家がぁぁぁ!!!」
「音もなく食われた奴に言われたくねぇんだよ!死ぬ気で助けたんだからありがとうございますアキラ様くらい言えねぇのか」
「あの程度私が内側から引きちぎっておったわお前こそたかだかヘビにオロオロしおって腹の中まで声が聞こえてきたわ!!」
なんだとこんの、もう勘弁ならん街まで待てるかここで引導渡してくれるわ、、、!!!
「あの、お前さんがた旅の人かい?困ってるならヘベスの街まで乗っけてってやるけど、、、」
「「あぁん!?」」
、、、、、なんとか街までたどり着けそうです。
売れない作家の異世界録 1話
こんばんわ、山男です
幼女をひどい目に合わせていますが私にそのような趣味はございません。断じてございません
それから主人公の見た目はあまり決めてません、20代前半中肉中背くらいのイメージです