空が泣いた日。
空が泣いた、ある日のこと。
約束
ある日、空が泣いていた。
静かな部屋に一人。蹲った少女は泣いていた。
真っ暗な中、どこか光はないか、と。
顔を上げ、近くにあった携帯を見やる。
時刻は午前1時。
少女は徐ろにある人からの連絡を確認する。
─電話していい?
なんて狡い人だ、少女は息を吐く。
耳元で聴こえる愛しい声は、彼女の暗く濁った心を溶かしていった。
─ねぇ私、いつも仲の良い人を好きになるの。そして後悔する。
─じゃあさ、もうそんなのやめるって俺と約束してよ。
溶かされた心は瞳から溢れ出て零れた。
『あなたのことが好きなの』
そんな言葉は喉の奥で詰まって息苦しい。
少女の吐く息は震え、
─うん。
守れもしない約束をしてしまった。
空は未だ泣き続け、
その泣き声が暗闇に溶けていった。
空が泣いた日。
作者は約束を破る人が許せない人間です。
守れない約束は、するものじゃありませんね。