幼き少女の小さな出会い[完結]
プロローグ
よく晴れた朝。カーテンを開けると暖かい日差しが窓を照りつけている。一人暮らしの女性・璃音(りのん)は眠い目をこすりながら着替えを済ませ、いつものように窓を開けると一匹の白猫が窓の向こうに座っていた。その白猫は、つぶらな瞳で私を見つめてきた。私は、庭に出て、白猫のいる場所に行った。私は当然、白猫はすぐに逃げるかと思った。白猫まで、2m、1m・・・。70cm・・・。50cm・・・。30cm・・・・・・・・・・・。つかまえた!
(あれ…なんで逃げないの?)
(けど、すごくかわいい~)
(可愛いから細かいことは気にしなくていっか。)
私は我ながら単純だと思ったが、その白猫をミール(庭に咲いているカモミールの花の香りが微かにしたから)と名付け、その白猫を飼うことに決めた。
第一章 白猫との一日
私はミールが汚れていたので風呂場へ持っていくと、シャワーで汚れを洗い流した。最初は嫌がったが、慣れてくると簡単に洗い流すことができた。私は、すごくお腹が空いていたがミールのご飯も買わなければいけないと思ったので、ミールの散歩がてら近くのペットショップにミールを連れて出かけた。私は小さい頃、動物を飼いたかったが親が厳しかったので飼ってもらえなかった。母親は米国の世界的女優なので海外で暮らしている。父親は私が生まれる前に死亡している。死因はネコアレルギーによるアナフィラキシーショックだ。兄弟姉妹はいない。だから今、白猫のミールがいるだけでとても幸せな気持ちになれた。ペットショップには色々な動物がいて、犬や猫からとても小さなハツカネズミ、ハムスターまでいた。もちろん、ミールのエサも売っていた。私は2ヶ月分のミールのエサを買った。その後、コンビニでおにぎりと緑茶、カロリーメイト、それから180円くらいのボールペンとノートを買ってから家に帰った。何故ボールペンとノートを買ったかというと白猫のことについて記しておきたいことがたくさんあるからだ。 ミールと向かい合わせにして少々遅い昼食を食べる。私の食事はいつも偏っている。だが、いつもとは違うことがある。それは誰かと一緒に食事をすることだ。私にとって久しぶりな出来事であった。食事が終わり、そのノートに色々なことを書いた。ミールのエサについて、ミールの身長体重、毛の色、目
の色、お風呂の入らせ方についてなど。あと、ミールの似顔絵も書いた。そしてだんだん瞼が閉じ、眠くなってきて........
ー中略ー
目が覚めてノートを見てみるとミールの似顔絵が消えていた。そしてミールの姿も消えていた。部屋中探したがどこにもいない。私がいすに座ったその時だった。部屋のドアがキィィィィと開いて、変わり果てたミールが扉の向こうに立っていた。その時のミールは血まみれで・・・・・・。私はミールを助けようとしたのだが、思わぬことに襲ってきたのだった。あのミールが。そして私はようやく気付いた。ミールはただの猫ではなく恐ろしい動物霊だったという事を。ミールは璃音の父親の死因だったのだ。夫の死により妻は狂気になり、ミールをひたすら殴り続け、とうとうミールは死んでしまった。そして今、娘である私に復讐を告げるためにミールは私を殺そうとしている。早くここから逃げなきゃと思ったのだがもう手遅れだった。《終》
幼き少女の小さな出会い[完結]