強人弱神 2

第2章 神の力

あいつが来てから1週間が過ぎた。
この1週間でいろいろなことが分かった。
例えば、自分のことを『神』だと言い張るヤツの名前は『早乙女 運』
そして、この戦いは神の頂点を決める戦いだということ
そして、負けたら存在自体が消えること…

「おい運、メシ」
「ちょっと待ってもう少しでできるから」
何をしてるかって?
運に飯を作ってもらってるんだが…
「はい、ご飯できたよー」
「おう、今日は…」
ご飯に味噌汁に卵か…
「いただきます」
うん、うまい
こいつ家事はできるのに闘うことはできないなんてな
「闘いか…」
「ん? 何? カミヤ」
「いや、ほんとに俺があいつを倒したなんてっと思ってな」
「そうだね、神獣と言っても初めての戦いなのにまさか倒しちゃうなんてね」
運のヤツ、それじゃあ俺が負けると思ってたみたいじゃないか
「ホント最初は負ける気で闘わせたのに…」
「ちょぉおおっと待て、じゃあ何か? 俺は負けてもよかったのかよ!」
「そんなことないよ、ただあの時は引き分けが精いっぱいかなぁって」
なんだそりゃ
まあ、自分でも勝てたのが不思議なんでけどさ引き分けってのは俺を甘く見すぎじゃないか?
「さすが、人類最強西条カミヤね」
「その呼び方やめろって、俺はそんなものになりたくない」
しっかし人類最強ねぇ、こいつ曰く俺は一万年に一人の武道家の天才の中の天才らしい他の神は俺を一生懸命探しているそうだが、こいつが俺に近づいたのは別の目的があるそうだ……教えてくれないが
「なあ、神様って何人いるんだ?」
「分からない…けど、たくさんいるよ」
「分からないねぇ」
まったくホント情報に乏しいなぁこいつ
「なあ、もう一つ聞いていいか?」
「?」
「お前って運命をつかさどる神なんだろ?」
「うん、そだよぉ」
「ならさ、運命変えられないのか?」
「変えたよ? 一回だけ…」
「一回?」
何を変えたんだ?
「あなたの運命を変えたよ?」
は? そんなことあったっけ?
「……あ、あのバスの時か」
「そうそう」
ああ、あの時そういえば俺、死んだんだっけ
「じゃあ、もう一回変えて見せてくれよ、運命」
「できないよ、運命はそう簡単に変えられない」
はい? 変えられないってどういうことだよ
「な、なんでだよ」
「あなたがまだ弱いから…かな?」
俺が…弱いだと?
「俺は…」
「確かにカミヤは人類最強だけど神から見ればまだ弱い」
「神はもっと強いのか?」
「強いなんてもんじゃないよ」
ホントに神は強いのか? こいつからはそんな強さは感じないけど…
「カミヤ、なんか失礼なこと考えてない?」
うわー、こいつエスパーかこの前も感づかれたし
「それよりいいの?」
「? 何が?」
「学校…」
「あ、あぁあああああ⁉」
すっかり忘れてた!
「マズイ早く行かなきゃ」
現時刻は8時30分
そして、学校の授業が始まるのは8時45分、ちなみに家から学校まで走って30分
「完璧、遅刻だぁああああ」
「私が送ってってあげようか?」
「マジ⁉」
「うん、私なら瞬間移動もできるし」
「サ○ヤ人か⁉」
「それとも、どこ○もドアがいい?」
「秘密道具⁉」
す、スゲーこいつなかなか使えるぞ
「じゃあ、早く行こう? カミヤ、あなたの学校っていうのにも興味があるし」
「お、おう」
そうして俺たちは俺の通う高校、総塩山高校へと向かうのだった

「それはいいんだが、なんでお前が隣で勉強しているんだぁああああ」
「だって、楽しそうなんだもん」
た、楽しそうって
「それに、カミヤといたかったし」
「え? なんだって?」
「ううん何でもない」
なんだ? こいつ、おかしいヤツ
「…ねぇ、さっきから後ろの視線が怖いんだけど」
そうなのだ、さっきから後ろで「何でカミヤなんかに…」とか「美少女がぁ、美少女がぁ」極め付けは「僕ムラムラしてきちゃったよ」などと言って…てか、最後のはかなり怖い気がする……
「き、気にするなきっと気のせいだ」
そう、気のせいだ…きっと
「ホント? 私には後ろでムラ…」
「きききき気のせいだ、そんなこと言うヤツがここにいるわけないじゃないか」
こいつなかなか耳がいいぞ
「さっきから早乙女さんと話してるけどどうしたの? カミヤ」
「ん? なんだ、美紀か」
話しかけてきたのは、獅神美紀
美紀はクラスに必ず1人はいる美少女で俺の……幼馴染みなのだ
「聞いてくれよ、こいつが俺から離れないんだ」
「へー、それはあたしへの自慢? カミヤ」
やっちまった、またこいつを怒らしちまったかも…
この前怒らせたときは学校のグランドがめちゃくちゃに……
「ああ、すまんちょっと用事を思い出した、じゃあな美紀」
「あ、ちょっと待ちなさい、カミヤぁ」
待てと言われて待つ人間がいるかぁ、それに止まったら地獄にレッツゴーだぞ
「よく気付いたねぇカミヤ」
「は? 何が?」
「え? だって神がいるのに気づいたんじゃ…」
「はい? 何のことだ?」
神がこの学校にいるだと?
「神がこの学校に本当のにいるのか?」
「うん近い、ここから500メートルくらいのところにいる…と思う」
思うって、あいまいだなぁこいつも
「まあ、いいやとりあえず行きゃなきゃな」
また、あんなヤツが暴れたら美紀どころの話じゃないからな
「とりあえずここから離れないと」
「もう遅いよ」
「は?」
遅いってなんだよ
「もう後ろにいる」
後ろだと? それは何でも早すぎるだろ!
「さすが神様、感知能力がすごいね」
この声はどこかで聞いた気が
「カミヤがこの神様の契約者だったなんてねぇ」
「み、美紀なのか?」
「だったら?」
俺の後ろにいたのはなんと美紀であった、でもどうして美紀が……
「まだ、気づいてないみたいだから教えてあげる、私もあなたと同じく神と契約してるんだよある理由からね」
美紀が神と契約だって?
「で、でも……」
「でもじゃない、さあ戦いなさい、カミヤ」
美紀、でも俺は…
「カミヤ、この子死神と契約してるみたい」
と何やら困った顔をして言う運
「死神だと⁉ ホントか美紀」
「へーそんな能力もあるんだ、その神様」
関心している美紀
「カミヤ早くあいつを倒して」
焦る神様、運
「え? は? はい?」
そしてパニクル俺
「でも、まだ闘う時じゃないね、今日の夜この学校の屋上で待ってるよカミヤ」
「お、おう、わかった」
ふふっ、と笑って美紀は姿を消した…
「うごふっ」
別に好きでこんな声を出したわけでじゃない運に殴られたのだ
「あんたバカ? 何で今倒さなかったの?」
はい?
「何で殴るんだよ!」
「死神は夜が一番強くなるのよ、だからさっき闘えば勝機はあなたにもあったのに…それをカミヤ、あんたはみすみす見逃したのよ!」
何も泣き目にならなくても…
「別にいいよ、誰がいつ強くなろうが俺には関係ない」
「もう、カミヤなんて知らない、勝手にそこらへんで蚊に刺されて全身かゆくなっちゃえばいいんだ、ベー」
何とも気味な嫌がらせだな、てか蚊に刺されろって……
「お、おい運どこ行くんだよ」
「どこでもいいでしょ?」
まったく、なんで怒ってんだよあいつ

あれから俺たちはちゃんと授業を受けて家に帰ってきていた
現時刻は20時ジャスト、間もなく美紀との約束の時間だと思うのだが
「やっぱり時間聞いておくんだったぁああああ」
美紀が死神だと分かった時の後何度かあいつに会ったのだが1番重要な時間を聞くのを忘れていたのだ
「ずいぶんと早いね、カミヤくん?」
ふふ、と笑顔で空から降りてきた美紀
その背中には悪魔みたいな羽根が生えていて、手には死神が持っていよう大鎌を持っていた。
「…時間を聞いていなかったからな、早めに来たんだ」
ヤバいなぁあの炎がたぎってきた…
運と契約してからの俺の体は、勝負ごとになると体に眠る紅の炎がたぎるようになっていた。それが命に係わる勝負になると爆発的に燃え上がる。
「さあ始めよう、カミヤ?」
嬉しそうに尋ねてくる美紀
「分かった。どの道これは避けられないらしいな」
そこで俺は重大なミスを犯したことに気付いた。美紀は大鎌を持っているに対して俺は刀を持ってくるのを忘れたのだ。
「じゃあ、いくよぉ」
猛スピードで突進しながら鎌を振り回してくる美紀、対して俺はそれを寸前で避けることしかできなかった。
「チッ、刀さえあれば……」
懸命に鎌を避けていると美紀が一旦退いた理由は簡単だった。
「痛っ、何だこれ……刀か?」
いきなり後ろから刀が飛んできたのだ。
「カミヤ何で戦いに武器を持って行かないの?」
後ろを振り向くとそこには半ば呆れ顔運がいた。
「お、お前……何で……」
来たんだよと言おうとしたらその言葉は運の言葉によって止められた。
「パートナーの戦いに来ない理由があるの、カミヤ?」
ない胸を張って言う運、そんな運のことが今の俺にはとても頼もしかった。
「は、あははは!」
たまらず俺は笑ってしまった。
「楽しいところ悪いけど、第二ラウンドといかない?」
闘わなかった時間がとてもつまらなかったのか美紀は少し怒ったような顔をしてこっちを見て言った。
「ああ、続きを始めよう」
ここからが本気だと言わんばかりに俺は刀を抜いた。
そこからの戦いは刀と鎌の、鉄と鉄の当たる音しかしなかった。力量差はなかったまったくの互角であった。
「なんで女の子がこんなに強いんだよ……」
「あんたこそ……」
たぶん次が最後の攻撃になるかもしれない、美紀も俺も…
だから次の攻撃に俺は全ての力を込めて美紀を迎え撃とうと…
「次が最後の攻撃いなりそうだねカミヤ」
美紀もそれを感じ取ったようで力を溜める。俺の中の炎が刀に注がれる。
「行くぞ美紀!」
来いと言いたそうに笑顔を向ける。美紀の鎌からも黒いオーラがにじみ出てくる。
「うおぉおおおおおおおおぉぉぉぉぉ」
俺の刀から紅の斬撃が飛び、美紀も同様の黒い斬撃が飛ぶ。俺と美紀の斬撃がぶつかった時爆発した、大爆発だった。
全てをぶつけた俺の体は力なく倒れ意識が飛んだ……

強人弱神 2

強人弱神 2

最強の人間、西条カミヤと最弱の神様、早乙女運 この二人が今、神の頂点を目指す

  • 小説
  • 短編
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  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-07-26

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