嘘の世界
初めて小説を投稿いたします。
もしよろしければ読んで評価を頂きたいです。
誘拐犯と誘拐された女。
クビになった。だから誘拐した。
なぜこんなことになったのか僕自身もわからない。ただ、最初は軽い気持ちだった。謝罪の言葉を聞きたかった、ただそれだけだったんだ。これが犯罪になるなんてその時は深く考えてなかった。
僕は刺された腹を抑えながら地面に倒れる。真冬の雨で濡れたコンクリートが冷たい。背中は凍るように冷たく刺された腹は燃えるように熱い。
僕の名前を叫ぶ声がする。ソプラノのよく通る声。彼女だ。
視界の端にみえる彼女の顔が悲痛に満ちている。はじめてみる顔だ。
なんだよ、そんな顔もできるんじゃないか。やっぱり美人は泣いてても美人だ。でも、でもやっぱり君は笑顔が一番いい。
なんて、そんなことを考えている場合じゃないか…。
薄れゆく意識の中で、僕の元に必死で走ってくる彼女を尻目にあの日々のことを思い出す。
はじまりは僕が会社をクビになったことからだった。
嘘の世界
まだプロローグ部分だけですが続きも書きたいと思っています。