憎しみの末

春生志乃

憎しみの末

僕は、うまくいっている人間を見ると、妙に腹立たしくなる。
何故僕ではいけないのかと言う疑問もあるし、何故彼らがうまくいく必要があるのかと思う。
僕だって、ある程度の人生経験は済んでいるし、むしろ彼らよりも過酷な家庭状況で生きて来た。
それでもなんとか夢を叶えようと努力したが、やはり名門大学だなんだと金のある学校に進学した奴らばかり名を馳せる。
そうだ。
生まれた環境が悪いのだ、と何度思った。
彼らは良い環境で、人間の汚い部分なぞ知りもしないから、あんな夢にも見たような映画やら小説を書くのだ。
僕は小さな時から大人の汚い部分も見てきた。
不倫、借金、見たくもない性行為、全て見てきた。
そんな僕だから、彼らの様に、美しい夢に耽ったり、そんな馬鹿馬鹿しいことなんてできないのだ。
どうしたら、僕は彼らの様に成功できる。
どうしたら、汚い大人を見ずに生きていける。
どうしたら、どうしたら、僕は、自分の力を見せつけられる。
どうしても、誰も、親も、友人も、社会も、僕なんかを見てくれるものは、誰もいない。

憎しみの末

憎しみの末

成功する人間に憎しみを持った「僕」の末

  • 小説
  • 掌編
  • 青年向け
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