秋の蝉


ある秋の日のことだった

季節は秋なのに残暑が続いた日のこと


私は落ちて行った

季節は秋。

落ち葉が舞い降りてゆく平凡な日々

私は落ち葉のように落ちて行った

「行ってきます」

私は素早く靴を履くとそそくさに呟いて家を出た

片道10分半の高校に私は通っている。
家庭は高校三年の兄一人、母、高校一年の私という形で父親は離婚。

その父親は兄が当時中3の頃に離婚。
その日から結構立つが私達は別にショックではなかった。

ちなみに兄と私は同じ高校に通っている

学校の校門が徐々に見えてくる

校門の前には懸命に挨拶をする人が毎日立っている
私はその挨拶を聞こえるか聞こえないかぐらいの声で返し玄関へ入る

靴箱を開けると虫やとかげの死骸がいくつも入っていた

最初は心の底から憎しみが溢れそうになった。
もう慣れたと言うのだろうか。

靴箱は閉め靴下のままスリッパを取りに行く。
勿論このことは母は知らない

知られたくない
同情なんてものはいらなかった。

その時後姿で誰かが分かった
スリッパのところに兄がいた。
   
   ユウ
「あ 優。」
一度兄は笑顔を見せ私の名前を呼んだ

だがそれは一瞬だけ。
「優!?お前内履きは?」

言いたくなかった
「今日忘れたの。そこどいてスリッパ取りたいから」
そそくさに言い訳をのこし兄はそそくさに場所をどいた

兄といるとロクな事がない。

いるだけで兄のファンが偽りの噂を流しそれから私のいじめも始まった。
兄は美形な方と言われている。私も中学生の頃は意識したが高校に入りいじめが始まったらそんなことなどどうでもよかった。

「何かあったら言えよな。じゃ」
言ったらこの悩みを解決してくれるの?どうにかしてくれるの?
兄には何の権力もないのに軽々しく言わないでほしい

私は急いで教室へ行った


ドアを引くと一瞬で教室が静まり返った
聞こえるのは嘲笑・侮辱・嫌悪の声。

嫌だった。こんな空間いたくなかった。

秋の蝉

ああ

秋の蝉

ああ

  • 小説
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  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-07-25

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