精製中
妥協点を探してます。削れるとこ削って、足したいヶ所をたして。
西日の照り輝く、学校からの帰路。
ぼくはスカートの裾を翻しながら早足で歩いてた。急いでいたんだ。遅くなったら、親に叱られる。
ソフトボールが続けられない。せっかくエースに選ばれたのに。親に辞めさせられてしまう。
――急ぎ続けるぼくの視界に、ちいさなピエロが映りだす。その影はだんだん大きく長ーくなってゆく。
パッと見てわかる、ダイヤモンドみたいな涙を頬に光らせて、滑稽の主張のやたら大きな赤っ鼻。白地に赤のスポッツ模様。遠くからでもわかる、くっきりとしたシルエット。
だれかの置き忘れかと思った。軽そうな体重、木にもたせかけて、首を垂れてる。
「変なの」
思って通り過ぎたらそれはむっくり起き上がり、最後に顔をこちらに向けて声をかけてきた。
「変なんかじゃないよ」
こっちは相手が人形だと思っていたからびっくりさ。ね、こんなことってあると思う?
「ねえ、遊ぼうよ」
彼は甲高い声音でそう言った。ぼくは言葉もなく走って逃げたよ。後も見ずに。人形がしゃべって歩きだしたんだからね。ほんとびっくりさ。
でもね、ぼくはつかまってしまったんだ。ぼくは鍛えたこの足で走って逃げたのに、彼を引き離したつもりだったのに、どうしてどうして、とんでもないよ。巨大化した真っ赤な手袋の腕がぐんと伸びてきてね、あせったぼくは悲鳴も出せずにひとつかみにされて吊り下げられてしまったのさ。ぼくが歯の根が合わずカチカチ震えながら見ると、奴は笑ってた。醜いらんぐいの歯をむき出しにして。汚いヨダレを降り注ぎつつ、生臭いにおいを振りまいて。野太い声で、
「ねえったら、遊ぼうよ……おじょうちゃん」って。
ぼくの話はここで終わり。だって……仕方がないじゃないか。作者が書きたくないって、だだこねるんだもの。シリアスで人がなごむものを書きたいなんて、ほんと勝手さ。なんてね、ぼくが感謝しているとでも思ってるんじゃないかな。まあ、ぼくにしてもこうしてまだ意識があって、おしゃべりできるんだからね。そこはだれしもが推して知るべきさ。
そう、これはジョークだよ。ややブラックだったかい? まあ、そういうなよ。君だって結末を思って憂鬱になるのはいやだろ? 作者がそういう人種なんだってことだよ。はは。笑っちゃうね。作者なのにね。ホラーは嫌だってさ。わがままで困ってるよ。とりあえずぼくは生きてたんだ。少なくともこの時点では、ね。
まあ、次の日にはぼくは用水溝から刻まれた死体で見つかるわけなんだけど……その次はね、えーと? なになに? え?
「しにんにくちなし」って何さ? まあ、わかるけど……わかっちゃいけない気がものすごくする……。
了
精製中
余分なところをざっくり落としました。まだあるかも。