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山田

野菜が食べたくて
スーパーに行った

ひとり暮らし用に切り分けられた
キャベツとほうれん草、大根を買って
なすを一本

野菜さえ買えばなにもしなくても
料理ができると思っていた

冷蔵庫の中
しまいこまれた野菜たち
食べてあげられなくて
ごめんね

お弁当に詰め込まれている彩りが
作られたものだったこと
わかっていなかった

わたしはなあんにも わかっていなかった

慣れない手つきで切り分けた
なすに大根 ゆでたほうれん草

洗うだけのトマトを食べて
なんでもできる気がしていた

そのおさなさをまるごと食べる
ちょっとだけなくわたしを
わたしは絶対に覚えていたい



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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-02-17

Copyrighted
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