遺書

 人間が、この世の中で一番大切なのは?
と問われると家族、恋人、友人、同僚、権力、金銭とこの6つが大半を占めもっとも多数の回答が親類となる。

どちらにせよ自分よりも身内を過大評価し持ち上げる人間にろくな奴はいなくその者達を、偽善者と呼ぶ。

では賢い選択肢はどれなのかと問われると僕は、即答で答えるだろうそれはすなわち後者の[金銭]簡単な解答だ。

人は、金なくては生きていけず生活すらままならないからだ。

ゆとり教育を受けてきた僕[須田 正志]は、途方もなく渋谷のスクランブル交差点で人が入り交じる中、太陽とにらめっこをしていた。

通勤通学で電車に乗り遅れまいと速歩きで急ぐ会社員や学生
夢を追い求め遠方からやってきたバンドマン
朝帰りをするホストなどの水商売の人
路地裏の片隅に座っているホームレス

何かに取り憑かれたかのように人は、この街にはかかせない一つのパーツとして稼働していく。

僕は、その一つのパーツとして意味をなしているのだろうか。

3ヶ月前に、退職届を出し自分の人生は華やかな暮らしへと変わるのだとそう思っていたのが今ではこの有り様だ。
わざわざ無理をして生きていく意味を亡くしたのだ。

そこで、1つ良い提案を思いついた。
 それは自殺だ。
勤めていた会社の14階建ての屋上から飛び降り自殺をし脱ぎ捨てた靴を重石代わりに遺書を添えるのだ。
『   -遺書-
 生きる事に疲れました。
 日々のサービス残業
 上司からのパワハラ
 僕を入社当時からいじめ
 続けている〇〇さん、
 □□さん、〇□君
 本当にお世話になりました。
 地獄で待っています。  』
これは、「俺たちバブル時代を生き抜いて来たから偉い」などの勘違いをしている尊敬できる先輩に対しての宣戦布告だ。
「なあ聞いたかよ?」
「え?何を」
「須田が死んだらしい」
「嘘だ~(笑)また〇〇さんそうやって脅かそうとしてるんでしょ?(笑)」
「嫌、今日の新聞に………」
「おい!〇〇、□□、〇□、警察からお前らに話があるってよ何かしたのか~お前ら(笑)」
人間と絡むということは、苦しいものであり
唯一、僕が信じれるのはお金だけであった。

遺書

遺書

掌編の純文学になります。 近年、若者の死因が第一位に[自殺]となりこの作品を簡潔に書きました。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-02-15

Copyrighted
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