微睡み
Kの散歩
散る魚は深緑
ちる ちる ちる
森林の中を泳ぐ
スコールの中を泳ぐ
ちる ちる ちる
あちら こちら に 散る 魚
「何の夢を見ているのか」
それは元素記号 ?
それは教科書 ?
ちる ちる ちる
「つ ま ら な い」
散る魚
追いかけて
追いかけて
わたしの ゆびさき は
ほ ど け て ゆ く
ちる ちる ちる
追いかけて
…追いかけて
世間話
心ゆくまで消失せよ
「とうめいを許されました」
「それは良かった」
「それはお気の毒」
これは消失の喜び?
(消えゆくは悲哀?)
「生きてゆけないの?」
「あと すこし !」
肉体の歌?
(約束は昨日の夢?)
「消失せよ」
ゆるされたい。
Kの散歩Ⅱ
散ったものたちを集めてみた
硝子、釘、パン屑
足元には(昨日の彼の)本懐
散らしたのは 誰か ?
「犯人に告ぐ!」
「精神の行き先?」
おはじきあつめて
銀行ごっこ
いとけない指
あの日のかけ布団
夕日に照らされる
散った彼ら
「お当番ですよ」「夕飯ですよ」
本懐は土に埋める
いとけないものに涙を落とす
土のにおいがたちこめる
微睡み
君が笑うなら 春
君が笑うから 春
これが きせつ である。
ぼくの「先生」が言う。
今日のまどろみは水色をしている。
(昨日は桃色でしたね。)
君が笑う。
「今日は春です。」
眠くなって
君を見て
ぼくも笑う。
「今日は春です。」
微睡み