君と見た流れ星

中条蘭夢です。最初に言っておきます。それは誤字・脱字があることです。
結構あると思いますが、了解の上、お読みください。
あと、チャプター名のアイツは光輝さんの事です。

終業式

夏休み。いつもは暑くてとっても嫌な夏休み。
でも、そんな私の夏休みはまた来た。
最悪な夏休みが――― 
そう、あの最悪な夏休みが―――

最悪な夏休みの幕開け

私の名前は宮森奏。現在中学1年生。
そして私は今、1学期の終業式を行っている。
ただただボーっと立っているだけの話。
そして私の脳内は「最悪の夏休みが始まる」
しか、頭にない。
なぜかと言うと、どこにも出かけないからである。
私の友達の楠丘胡桃は、今年はオーストラリアに行くとか言ってたな。
胡桃の家はとても裕福だから、休みに入ると、かならず旅行に行くという所だからな。
私はそんな家がとても羨ましかった。
他の友達も、胡桃ほどではないけど、旅行に行っている。
そのたびに、私はお土産を貰う。
しかし、私はお土産をあげたことがない。
私の夢は『友達にお土産をあげる』事だった。
だから私は休みになると必ず、「どっか行こうよ~」と駄々を捏ねる。
しかし母親は「お金がないから無理です」と
かならず言う。
はぁ……なんでこうなんだろう。
私はとっても他の家が羨ましかった。
私はそんな事をボーと考えていると、隣にいた胡桃が話しかけてきた。
「奏の家は今回は旅行行く?」
「今回も無理だった」
「そっか……じゃあオーストラリアのお土産買ってくるね。
奏だけに」
「ありがとう」
と小声でこんな話をしていた。
私はそんな事を言える胡桃がとても羨ましかった。

そして終業式が終わり、荷物を持ち、学校を出た。

「奏じゃあーねー」
「うん~よい旅を~」
と私は胡桃に言い、そのまま自転車置き場へ直行した。
すると、私の自転車のある所に誰かが待ち伏せしていた。
「奏~」
「うわっ、最悪」
ソイツは渡辺光輝。
いっつもまとわり着いてくる。
でもソイツは幼馴染である
「今日帰ろー」
「やだ」
私は即答で答えた。
「え~なんで~」
「いやだったら嫌だ」
私は荷物をカゴに入れ、自転車にまたがり光輝に
「じゃあね~」と言うと、
「おい待てよ!」
と、光輝も急いで自転車にまたがり全速力で走りだした。


あぁ……また私の嫌な夏休みが始まる。

その帰り道

私は全速力で自転車を漕ぎ、途中で止まり、後ろを振り返った。
「よし!諦めたな!」
私はそう言うと、ゆっくり走り始めた。
私の帰り道の途中に、海がある。
私は海によって帰ろうかな。と思い、走り始めた。
そして、海に着き、行こうとした瞬間。
誰かがいる事に気がついた。
「誰だろう?」
私はそう思い、浜辺に行った。
その人は、私より身長は長く、とてもスラっとしている。
そして私はボンヤリその人を見ていると
「何見ているんですか?」
とその人が行った時はつい「ひゃ!」と言ってしまった。
そしてその人が振り返った時、私の胸の鼓動が速くなった。
その人の目はとても純粋で引き込まれそうな感じだった。
でも、どこか暗いような……
そしてその人はまた海を見、しゃべり始めた。
「ここの海はとても奇麗ですね」
「そりゃそうですよ!この町で自慢出来るのこの海だけですから」
と私はつい自慢げに言ってしまった。
するとその人は
「そっか……。羨ましいな」
とその人は言った。
でもやっぱりどこかさみしそうな感じがした。

私の願い事って何だろう?

私は悲しそうな彼の顔を見て、話を持ち出した。
「ここの海では、流れ星もよく見れるんですよ!」
そういえば私も幼いころよくここの海に来て、流れ星を見ようと
頑張ったっけ?
でも……
「でも……私は見たことがないんです」
というと彼は私の顔をみてニッコリと笑い
「僕も見たことがんないんです。絶対叶えたい願い事があるのに……
夜空って意地悪ですよね。絶対叶えたい願い事がある人には見せないで、
特に、これといって願い事がない人には流れ星が見える……
意地悪だと思いません?」
私はそう問いかけられて
「あぁ……確かに……言われてみれば……」
と、関心してしまった。
私と彼は静寂の中、海の景色を見ていた。
そしてちょっと経って彼が
「きっと見たことがないって事はあなたもきっと
絶対叶えたい願い事があるんですね」

私はそれを聞いた時、ふと思った。

……小さいころ、私は一体なんの願い事があったんだろう……?

私は自分の幼いころの願い事が分からなかった。

彼……

また静寂になった……。
そして私は変な質問をしてしまった。
「あの……あなたの絶対叶えたい願い事って何ですか?」
あぁ……絶対気分を害する質問だぁ……
すると彼は
「それは……………
波の音で聞こえない。
「今聞こえなかったでしょ?」
「はい。聞こえませんでした」
「だってわざと聞こえないように小さく言ったんだもん」
「ちょっ……!」
「あはは。かわいい」
その時の彼の笑顔が私の胸の鼓動を速くした。
そして彼は時計を見た。
「もう、3時か……」
え……3時?!
「私、あなたと1時間も喋っていたんですか?」
「うん。あれ?気付かなかった?」
「全然気づきませんでした」
「じゃあ僕帰るね」
すると私の口からは突然こんな言葉が出た。
「あの……名前は?」
「お……?僕は有田龍介。君は?」
「宮森奏です」
「いい名前」
「あの歳は?」
「13の中1」
「えっ?!同じ歳??!!」
私はとてもびっくりした。
正直言ってクラスの男子よりも背が高いからだ。
「引っ越してきたんですか?」
「いや。夏休みだけ」
「そうですか」
「あの……もう行っていい?」
「あ!すいません!呼びとめちゃって」
「いいよ。後さ、敬語やめて。同い年なんだから」
「あ……はい!」
「じゃあまた明日ここで」
「また明日」
と言って彼。いや、龍介さんは行ってしまった。


―――また明日。ここで―――

私はすっごい嬉しい気持ちで自転車にまたがり、家路を走った。

彼とアイツ

私は昨日と同じ時間に海へ行った。
―――ピッタリ2時に私は海に着いた。
すると龍介さんは浜辺に立っていた。
「あ。奏ちゃーん」
と、笑顔で私の方を向き、手を振った。
そして私も手を振り返した。
「早いですね」
「奏ちゃんこそ昨日の時間ピッタリに来て」
「あっ、そういえば何でこの時間に私が来ると、思っていたんですか?」
昨日はまた明日。とは言ったけど、時間までは約束していない。
すると龍介さんは
「奏ちゃんが、昨日と同じ時間に来ると、直感で思ったから」
「私も、昨日と同じ時間に来れば、龍介さんに会えると思っていました」
「すごいね。僕たち同じ事考えているんだね」
「本当ですね」
そして話ていると、後ろの方から聞き覚えのある声が聞こえた。
「奏ーーーーーー」
私は後ろを振り返ると、そこには私服の光輝が居た。
「はぁ?!何でここにいるの?!」
「ここにいるのって……お前がここに居たからだよ!ていうか
隣の奴だれ?!」
と光輝が指さすと、龍介は、
「初めまして。僕の名前は有田龍介。
奏ちゃんと同じ、中1です」
というと、光輝は少しふてくされた様に
「よろしく」
と言った。
すると、龍介さんが
「もしかして……付き合っているんですか?お2人は」
「そんな訳ないでしょ!」
体を張って全否定する私。
すると光輝も
「コイツと付き合うなんて嫌だよ」
良かった。同じ気持ちでと内心ホッとした。
「そうですか。それは良かったです」
と、龍介さんは言った。
すると光輝がいきなり
「俺、渡辺光輝。よろしく」
「よろしく」
と2人は言い、お互い握手した。
良かった……―――。私はそう思った。

しかし、その握手はとても力が入っていたと思うのは私だけ?

アイツとの帰り道

そして、私と光輝は龍介に別れを告げた。
「じゃあね。明日も会いましょ。奏ちゃん」
「うん!じゃあね~♪」
「光輝さんも~」
「…………………」
「光輝!なんか言ってよ」
「あ……あぁ……また今度」
コイツ、さっき龍介さんと握手してからおかしい。
そう思いながらも、私は光輝と一緒に家路を歩いた。
しばらくの静寂の中、光輝がいきなり喋り出した。
「お前……。アイツの事好きなのか……?」
私はいきなりその様な事を言われ
「な訳ないじゃん!第一、龍介さんは、夏休みだけ
この町にいるんだよ!」

――――――夏休みだけ?

私は自分で言ったくせに、この言葉が引っかかった。

「そうか……なら良かったよ」

なんで?なんで良かったの??
さっきはあんなに仲良くしてたのに……

家路の途中、私はあるポスターが目に留まった。
それは、『花火大会』のポスターだった
「今年も来たかぁ……」
私は光輝の言葉を聞いて、今年も来たんだ……と心の中でそう思った。
「今年も、2人で行く?」
「え~また2人~?!またクラスで勘違いされるよ~」
小学校の時も、光輝と2人で花火大会行って、それから始業式で
私と光輝が付き合っているという疑惑が上がったんだよな……
冬休みが始まるギリギリまで誤解解けなかったっけ?
「お前、また誤解されるのやだって思っただろう」
「うん。思った」
「やっぱし、でも俺は別にいいけど……」
「はぁ?今何て言ったの?!風の音で聞こえなかった」
「もう言わない」
「何さ~」
「言わないったら言わない。てゆーかもうお前んちの前だぞ」
あれま。私の家にあっと言う間に着いていた。
「じゃあな~」
「ばいば~い」
そして、私は光輝と別れた。

花火大会のお誘い

そして次の日。
私は自転車にまたがり、ペダルに足を掛けた。
「そういえば、最近一日が早く感じる……」
龍介さんに会ってから、私は結構変わったような気がする
特に変わったのは

   夏休みがとても楽しい

これだった。そんな事を思いながらも、ペダルを漕ぎ始め、
海へ向かった。
私は海へ向かう途中、また昨日見たポスターが目に留まった。
私はじっとそのポスターを見ていた。
そして
「あ!いいこと思いついた!」
私は急いで、海へ向かった。
そして、私は荒い息の中、海へ着いた。
そして
「龍介さーん!」
と私が大きい声で言うと、龍介さんは少しびっくりして、
私の方を向いた。
そして、私は急いで自転車を置き、龍介さんの所に走り出した。
「8月△日、花火大会行きませんかーーーー?」
と言った瞬間。私は転んでしまった。
「ぎゃあああ」
私の顔は浜辺の砂まみれだった。
すると、それを見ていた龍介さんが
「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!奏ちゃん面白い★」
「そんなに笑わないで下さい」
「ごめんね。ほら」
と言って、龍介さんは私に手を差し伸べてくれた。
「よいしょ!奏ちゃん。重いねぇ~」
「……私マジで怒りますよ?」
「もう、冗談だよ!冗 談★」
地味にムカついたがその気持ちを抑えようとしていたら
「花火大会……奏ちゃんと2人きりならいいよ」
「え……?」
私の予定では、光輝と龍介さんと私の3人で
行く予定だったのに……
「あの……光輝も一緒と考えていたんですけど……」
と言うと、龍介さんは黙りこくってしまった。
さざ波の音が聞こえるなか、龍介さんがやっと喋り出した。
「奏ちゃんと2人で行きたい」
「え……」
「もし、光輝君も一緒なら、僕花火大会行かない」
「そうですか……あ……私、夏休みの宿題やらなきゃいけないので
そろそろ帰りますね」
「そうですか。では、さようなら」
「さようなら」
私は自転車を漕ぎ始めた。

アイツとの電話

そして、私は家に帰り、携帯を開き『光輝』の携帯番号に電話を掛けた。
プルルルルルル、プルルルルル……
『もしもし?』
「あ!光輝?」
『そうだけど……何?』
「あ……あのさぁ~……
今日も暑かったよね~」
『何?いきなり?おばさん見たいな会話に持っていこうと
してるしょー?』
「ちちちち……違うよ!」
『……今日も、龍介さんに会ったの?』
「うん。会ったよ」
『そ……そっか』
私は光輝のさみしそうな声を聞いた時、心がチクンッと痛くなった。
『なんか悩み事?』
「へ?!何でそう思うの?」
『だって、奏が俺に電話掛けるときは大抵なんらかの
悩みをもってるから。
で、どうしたの?』

私は光輝の優しい声を聞いて、少し泣きそうになった

――――どうして、光輝の事こんな風に思ってるんだろ

私は不思議だったが、話そうと思ったことを話した。

「あのさ……。花火大会の事なんだけど、光輝は龍介さんと私との3人で
一緒に花火大会行ってもいいよね?」
と私が言うと、いきなり光輝は黙り込んだ。

あれ?このパターン……龍介さんと同じ……

そして40秒くらいして光輝の声が聞こえた。

『……だ』
「何?聞こえない」
『奏と2人で行きたい』
「……うん……分かった。じゃね」
『うん』
そして私は電話を切った。

どうしよう……

私はベッドに座ったまま、考え込んでいた。

花火大会のお知らせ

私は一日すごい考えていた。
「私は単なる、光輝と龍介さんとが
仲良くなってほしいだけなのに……」
私はものすごく悩んだ。
2人で行くなら、龍介さんとだけど光輝が……………………
龍介さんは、夏休みだけなんだから……
光輝とは来年も行けるよね♪
私はそう確信し、飲み物を持ってこようと、1階のキッチンに
向かった。
そして私は冷蔵庫を開け、コーラを取り、帰ろうとした時、
「ん?回覧板?」
回覧板の表紙に、『花火大会のお知らせが入っています』と
書いてあった。
私の父親は花火大会の主催者。
だから私は毎年、花火大会に光輝と一緒に見に行っているんだ。
私は『花火大会のお知らせ』を、見ようと開き、
お知らせのページを開いた。
「えっ……うそ!」
私はお知らせの内容を見た時、時が一瞬止まったような感じがした。
「花火大会が……今年で終了?」
うそ…………ていう事は、もう光輝と一緒に見れない。
要するに
「これが……最後の花火大会……」
私はそこに茫然と立ち尽くしていた。

迷い

私はまた悩んだ。
「今年で……最後」


―――――どうしよう。


ものすごく悩んだ。

今年ひと夏だけだから、龍介さんと行くか、
それとも今年で最後だから光輝と行くか……

あぁ……どうしよう。

悩んでいるさなか、携帯の着信音が鳴った。

「誰?こんな時に?」
私は通話ボタンを押した。
「もしもし」
『あぁ………俺だよ。光輝』
「何だ。光輝かぁ」
『お前見たか?花火大会今年で最後っていうお知らせ』
「あぁ……見た見た」
『今年で終わるんだもんなー』
「だね~」
『てか、俺と2人で行くんだろ?』
「え……あ……」
私があいまいな答えを言うと、光輝の声が聞こえなくなった。
「光輝?」
『花火大会は今週の土曜日だからな?』
「知ってるよ」
『んじゃ』

ブツッ―――――――

また私の心は揺れた。

「どうしよう」
私は迷いに迷って最終的には
決断できないまま、そのまま寝てしまった。

迷いと決断

―――――次の日。

私は起きてすぐ、海へ向かった。
母親が「朝ご飯はー?」と言ったのを
「すぐ戻るから」と、返事を返し、自転車を出して
急いで、海へと向かった。
「多分……来てないよね……?」
私は心の中でそう祈り、いつも以上に
自転車の速度を上げた。
そして、海へ着いた。
「ぜぇ……ぜぇ……」
私は周りを見回した。
「誰も来ていない」
そして私は自転車を置き、浜辺に立った。
私はそこに座り込み、昨日の事を考え始めた。

波の音が聞こえ、心が落ち着く。


私は朝の海空を見上げた。

そして、何かの思いが込み上げてきた。



――――そして決断した。

私は自転車に乗り家路を走り出した。

そして、家に着き急いで玄関の扉を開け、
2階へ駆け上がった。

「奏ー朝ご飯はー?」
「ちょ!後で~」
と言い、自分の部屋へ入った。

そして、携帯を開き、私は誰かにメールを送り
送信した。

「きっと、光輝も分かってくれるはず……」

そう、私が送った先は光輝だった。

一緒に行こう

私は、龍介さんに会いに行く為に、海へ行った。
海に着いた時、龍介さんは居た。

「龍介さーん!」
「おっ!奏ちゃん♪」
私は急いで、龍介さんの所へ走って行った。

「奏ちゃん……あのさ……」
「花火大会」
「え?」
「花火大会。一緒に行きましょう」
「え?でも光輝君は?」
「断りました」
「……本当に……いいの?」
「はい!今週の土曜日です♪
行きましょう」

と私が言うと、龍介さんはいきなり私を抱きしめ

「ありがとう」
と、私の耳元で呟いた。

私の胸には龍介さんでいっぱいだった。
そして私はこう言った。

「花火大会の帰り、流れ星も見るために
ここの海にも行きましょう」

「うん……2人で見ようね」

と、互いに約束をし合った。

花火大会の日

花火大会の日

私は浴衣選びに時間が掛っていた。

「あ~んも~どれにしよう~」

色々迷った結果、私は今回青の浴衣にした。

「よし。これが良いかな?」

私はバッグに携帯などを入れ、下に降りた。
それを見た母が
「あら?奏今回随分選ぶのに時間掛ったね?
いつもなら、ササーと選ぶのに……」

「いいの~じゃあ行ってくるね~」
「楽しんどいで」
「うん」
と言い、玄関を出ると、そこには龍介さんが居た。

「え?!何でいるの?!」
「フフーン♪光輝さんに奏ちゃんの住所
教えてもらいましたー」
「へぇ~そうなんだぁ~」
「じゃあ行きましょうか?」
「うん」
と言い、私と龍介さんは花火大会へと
向かった。

河原

私と龍介さんは、花火大会が行われる河原に着いた。
「いっぱい人いるね」
「うん。人酔いしないでね。奏ちゃん」
「し~ま~せ~ん~」
「あはは」
と、話していると「奏?!」と、聞きなれた声が聞こえた。
私はその声が聞こえた方を振り向くと
「へ?!胡桃?!」
「奏……その隣の人誰?!」
「あ……どうも。有田龍介です。自称奏ちゃんの
彼氏です」
「ちょっと……」
「うそーー!奏いつの間に、こんなイケメンの彼氏
できたのー?!」
「だから彼氏じゃありませんー!」
と言う私を胡桃は無視し、龍介さんと話していた。
すると龍介さんが
「別の所行きましょう」
「へ?!ここじゃないの?」
「特等席があるらしいですよ」
龍介さんは、私の手を掴み、歩き出した。
  
後ろからは「よいひと時をー!」と言う
胡桃の声が聞こえた。
 
胡桃が何か言ったんだな。と思いながらも
私は引っぱらされるままに歩いていた。

特等席

私は引っぱらされるままに着いていくとそこは
「いつもの浜辺?」
「ここでも、花火大会の花火は見れると、胡桃さんが言ってましたよ」
へー。初めて知った。
「ついでに、ここで流れ星も見れますしね」
「あぁ……確かに」
私は胸がドキドキしてた。
そして、花火大会が始まった。

「わぁ……綺麗!!」

すっごい綺麗だった。

「始めてみた……」
「え?!花火……始めてみたんですか?」
「え……あうん」

私と龍介さんは花火に夢中になっていた。

すると龍介さんが急に喋り出した。

「奏ちゃん?」

「何?」

「俺……実はね……

彼の真実

「実はね……もう長くないの……」
「え……?どういう事?」
「僕、病気なの」
「…………」
私は頭の中が真っ白になった。

―――長くない? 病気?――――

「死んじゃうの?」
私が喋った言葉は声が震えていた。
すると龍介さんはこう答えた。
「今年の……9月が……」

暗くなった。

私は体が震えていた。

「そんな…………」



「なんで、そんな事早くに言わなかったの?」

「だって……」
「もっと早く言ってくれても良かったじゃん!
何?私の事が嫌いだったから?」

私の目からは涙が出ていた。

すると龍介さんは私の事を強く抱き
「僕は……僕は奏ちゃんの事が……好きだから
言わなかったんだよ!」

へ…………?好き?

「奏ちゃんの悲しむ顔を見たくなかったから……
だからぎりぎりまで言わなかったんだよ!」

へ…………ギリギリ?

もしかして……

「もしかして……もう帰るの?」
「……来週……」

そんな…………

「そんなの突然過ぎるよ!」
私は龍介さんを強く押し、走った。

「奏ちゃん!」

私は聞こえないフリをして、家路を走った。

悲しみ

私は泣きながら、家路を歩いていた。

「何で……何であんな事いったんだろう……」

私はとぼとぼ歩いていた。
すると後ろから
「奏…………?」

後ろを振り向くとそこには光輝が立っていた。

「お前……何で泣いてんだよ」

「……泣いてないよ」

「お前……龍介となんかあったのか?」

「何もないよ」

私は歩き出そうとした時、いきなり腕を引っぱられ
光輝の胸の中に入った。

「離してよ!」

「俺は……俺は龍介見たいにお前を泣かせたりしない!
俺だったら……お前を幸せにできる!だから…………
   もう泣くなよ」

私は、その言葉を聞いた時、涙がピタリと止まった。

そして私は言った。

「ありがとう……でも私、龍介さんの事……
好きだから……」

「……分かった」

そして私は光輝と別れた。

罪悪感と自分のホントウノキモチ

次の日。

私は、また海へ行った。

「はぁ……何であんなこと言ったんだろう」

でも、私は自分の本当も気持ちに気がついた。

「私は……龍介さんの事……好きなの……かな?」

その気持ちに気がついた。

――――これが……恋?

もしこれが恋なら……

あの日……会ったときから、私はきっと彼に恋していた。

だから、今までずっと会っていたんだ。

そうか……今気付いた……
私の……ホントウノキモチ。

でも彼は来週で、帰ってしまう。

なら彼に何か出来ることはないか?

私はすごく考えた。

そして、思いついたのは

「流れ星……?」

私はそう思った。

「流れ星を……見せてあげること……
それが彼のため?」

今の私にはそれしか思い浮かばなかった。

彼が……

私は一旦家へ帰り。また、海へ行き龍介さんに
会いに行こうとした。

そして私が行くと…………



龍介さんはいなかった。



「やっぱり私がヒドイ事言ったから……」

私は一人で浜辺と立っていると

「宮森……奏さん……ですか?」

私はビックリした。

「はい。そうですけど?」

私は後ろを向き、その人を見ると、誰かにソックリだった。

「私、有田美夏。龍兄の妹」

「え?妹さん?」

「龍兄がよくここに来て、奏さんっていう人に
会っているって毎日聞いていたから」

「へぇ……でどうしたの?」

「あの……実は……本当は言うなって言われたんですけど」


「龍兄……倒れたんです」

「え……嘘……」

「あの!昨日の花火大会の帰りの途中に
倒れて」

花火大会の……帰り……?

「あの!私が言ったってこと、絶対言わないで下さい!」

「どこの病院?」

「○△病院」

私は急いで、その病院に向かった。

苦しそうな彼

私はその病院へ急いで走った。

――――龍介さん!  龍介さん!

私の心には龍介さんでいっぱいになっていた。

そして私はその病院に着いた。

「ぜぇ……ぜぇ……」

私はその病院へ入り、受付の人に

「あの……有田龍介さんの部屋はどこですか?」

「3階の302号室です」

「ありがとうございます」

私は急いで、階段を駆け上り、3階に着き302号室に着いた。

そして私はドアを開いた。

すると、そこには龍介さんのお母さんと……

――――酸素マスクをつけ、苦しそうな顔をしている龍介さんが――――

「あ……あなたが奏ちゃん?」

「はい……」

「初めまして。龍介の母です。
あなたの事は龍介から聞いています」

「どうも。あの……
龍介さん……9月までは大丈夫じゃないんですか?」

「え?聞いていなかったんですか?龍介は、夏休みいっぱいが
余命です。ここまで何も異変がなく、生きていたのが不思議なくらいです」

――9月までって……言ってたのに

「そんな……」

私は座り込んでしまった。

もう、長くない。
死ぬのは明日かもしれない。

そして私は彼の方へ駆け寄り

「流れ星、一緒に見るんじゃなかったの?
ねぇ……ねぇったら!」

「奏さん!」

私は泣いてしまった。

この時、私の口からはこんな言葉が出ていた。

「明日も……来ていいですか?」

「いいですよ。その方が龍介も幸せだと思うし」

そして私は病院を後にした。

流れ星の写真

私はトボトボ家路を歩いていた。

私の頭の中を駆け巡っていたのは

―――龍介さんが……死んじゃう―――

そんな事を思っていると、さざ波の音が聞こえた。
それと同時に、龍介さんとの思い出がよみがえってきた。

あの時の出会い。花火大会。

彼の笑顔。

私はそんな事を思っていると

「私は龍介さんに出来ることをする」

私はそう思い、家に帰った。

そして私はカメラを棚から持ち出し、また海へ向かった。

そして、海へ着いた。
あたり一面は真っ暗だったが、それを照らすように、星がとても綺麗に輝いていた。

私は浜辺に座り込み、カメラを待ち構えていた。

流れ星の写真を撮るために……

そしてその写真を龍介さんに見せるために……

お見舞い

結局流れ星の写真は撮れなかった次の日。

私は龍介さんのお見舞いに行った。

私は302号室に行き、ドアを開けた。

まだ龍介さんは寝たきりの状態だった。

そして私は龍介さんの所へ行き、話しかけた。

「龍介さん。私、流れ星の写真。絶対撮りますね」

と、言い私は病室を後にした。

そして私は家に帰り、暗くなるのを待った。

そして夕暮れから夜空に変わったな。と自分で確信し、
カメラを持ち、家を出た。

浜辺に着き、座り込み流れ星が来るのを待つ。



私はそんな事を3日間続けた。

お見舞いに行って、流れ星の写真を撮ろうと頑張る。

そんな事の繰り返しの中の4日目。

4日目の奇跡

私は龍介さんの、お見舞いに行った。
龍介さんの前には美夏ちゃんがいた。

「あ……美夏ちゃん」
「奏さん!」
「奏でいいよ」
と言うと、「お隣どうぞ」と言ってくれた。
私はその言葉に甘え、隣の椅子に座った。
「奏……さん?」
「またさんって言った。何?」
「お兄ちゃん。海から帰ってくると、ずっと奏ちゃんの事話してて
どんな人かな?って思ったら、やっぱりものすごく可愛い人でお兄ちゃんのタイプ通りの人だな~って
思ったんだ」

「へ~」
「あの!メアド交換しませんか?」
「あ、いいよ」
私は言われるがままにめあど交換した。
「もし、お兄ちゃんの容態が変化したらすぐ伝えますね」
「うん。ありがとう」

そして私は美夏ちゃんとさよならを言い、病室を出た。

そして私は家に戻り、夜空になったと確信し、海へ向かった。

「今日こそ、絶対撮るぞ!」

と言い、私は浜辺に座った。

そして、しばらくしていると……

「あああ!」

それは流れ星だった。

「凄い!初めて見た」

私はカメラを構え、また来るのを待った。

すると

キラッ

私は流れ星が来た!っと思いシャッターを押した。
そして、私は撮れたか確認すると

「撮れてる」

とても奇麗な流れ星の写真が画面に映っていた

メール

次の日

私は目が覚めた。

そして目が覚めたと同時に私は写真を印刷するために
1階に向かった。

「奏?印刷機使うの?」
「うん」
「何印刷するの?」
「写真」
と言うと、私は母に流れ星の写真を見せた。
「あら。随分綺麗にとれたじゃない」
「フフーン♪」
「へぇ~」
と、すっごく見ている母親に
「早く印刷しなきゃ」
「誰かにあげるの?」
「うん♪」
と、言うと母はニッコリ微笑み、キッチンへ行った。

そして私は流れ星の写真を印刷した。

「うん。綺麗!」

私はその写真を持って、2階げ向かった。

そして私の部屋のドアを開けると、私は机に向かった。
すると、携帯には″着信メール1件″と表示されていた。

「ん?メール?」

私は携帯を開き、着信メールの内容を見ると

「嘘!」

私は写真をバッグに急いで入れ、
家を急いで出た。

メールの内容は――――

龍介さんの容態が悪化した。という内容だった

彼の命

私は全速力で走りだした。


その途中、私は美夏ちゃんに電話した。

「もしもし?」
『あ!奏ちゃん?メール気付くの遅い!
もう1時間も前だよ!』
「ごめん……龍介さんは?」
『今の所は安定してるよ。
でも……』
「でも……?」
『もし、また悪化したら次は最後になる……だって』
「そんな……」

私は走るのを止め、その場所に立ち止まった。

「嘘でしょ?」
『ううん。本当だよ』

すると電話の向こうから″龍介?龍介?″
『お兄ちゃん?!』
「どうしたの!」
『また……悪化した』
「嘘……」
『早く来て!』
と、言い残すと、美夏ちゃんは電話を切った。

早くしなきゃ。

私はまた急いで走りだした。

流れ星の写真を見せたい

私は全速力で走りだした。

「はぁはぁはぁ」

靴ずれでどんどん足が痛くなってくる。

そしてとうとう

「きゃあ!」

私は転んでしまった。
足は靴ずれのせいで真っ赤。
所どころには血が出ていた。

「痛い……」

でも私は諦めたくなかった。
そして私は靴を、手に持ち走りだした。

裸足で…………コンクリートの上を……

たまに、足の裏に激痛が走るが、それを我慢し
無我夢中で走っていた。

そして私は病院へ着き、裸足のまま3階にある302号室へ行った。

″流れ星の写真を見せたい!″

という一心だった。

ありがとう

302号室へ着くと、龍介さんのお母さんと美夏ちゃんが
泣いていた。

「美夏ちゃん?龍介さんは?」
「もう…………死んじゃう……」

嘘……

私は急いで龍介さんの所に駆け寄り話しかけ始めた。

「龍介さん!私、あなたのために毎晩毎晩海へ行って、
流れ星の写真を撮ろうと頑張ったんですよ。
そしてなんと撮れたんですよ。
私、見れましたよ。
夜空は意地悪じゃなかったですよ。
夜空は……とっても優しかったですよ。
だって……願いが叶ったんですもん」
と言うと私は、バッグから写真を取り出し、
その写真を私が手に持ち
「ほら。流れ星ですよ。
写真で申し訳ないけど、流れ星」
私の目には涙でいっぱいだった。
「私、あなたに会えて夏休みが大好きになったんだよ。
あなたのお陰で、私花火大会の特等席を知ったんだよ。
私…………あなたのお陰で、恋を知ったんだよ。
私、あなたのお陰で、変ったよ!」

そして私はちょっと時間を開け

「ありがとう、龍介。
 好きだよ」

と言うと、龍介は目から涙を流し


―――息絶えた。

最高の夏休みの終わり

長そうで案外短い夏休みが終わった。

私は始業式前日、光輝の家へ行った。

インターホンを押すと、光輝が出てきた。

「お!奏!じゃあ行くか」
「うん。ていうか早くしてよねー」
「はいはい」

龍介さんが亡くなってから、3週間。
私は龍介さんの家族に特別許可を貰って、お墓参りに行く事になった。

「俺、いない方がいいんじゃない?」
「いいの。龍介さん、光輝の事きっと好きだったと思うから」

そしてお墓に着き、私と光輝はお花を添えた。

お墓の前に座り、私は龍介さんに話しかけ始めた。

「龍介さん。私は明日から始業式です。
 これからもここに来るので忘れないで下さいね」

「龍介!俺も覚えていてくれよな!」

「じゃあ、帰ろうか」
「うん。そうしよう」

と言って、立ち上がり歩く。

「もう夏休みは終わりかぁ~」
「そういえば奏はこの夏休みで″最悪″って一言も言わなかったな。
「うん。だって……」
「龍介に会ったから。だろ?」
「そうだよ」

そして、私は歩き出した。


―――こうして、私の最高の夏休みは幕を閉じた。―――

君と見た流れ星

はぁ。やっと完結しましたね。
本当は結構時間かかるかも。と思っていましたけど
案外6日間で、終わりました。
やっぱり小説って書くのも読むのも楽しいですよね。
今回は、青春と恋愛をテーマにしましたが、いかがでしょうか?
楽しんで読んでいただければ、とても嬉しいです。

君と見た流れ星

主人公、奏は毎年くる『夏休み』がとても嫌いな女の子。 しかし、終業式の帰り、運命的な出会いをする――――

  • 小説
  • 短編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-07-23


  1. 終業式
  2. 最悪な夏休みの幕開け
  3. その帰り道
  4. 私の願い事って何だろう?
  5. 彼……
  6. 彼とアイツ
  7. アイツとの帰り道
  8. 花火大会のお誘い
  9. アイツとの電話
  10. 花火大会のお知らせ
  11. 迷い
  12. 迷いと決断
  13. 一緒に行こう
  14. 花火大会の日
  15. 河原
  16. 特等席
  17. 彼の真実
  18. 悲しみ
  19. 罪悪感と自分のホントウノキモチ
  20. 彼が……
  21. 苦しそうな彼
  22. 流れ星の写真
  23. お見舞い
  24. 4日目の奇跡
  25. メール
  26. 彼の命
  27. 流れ星の写真を見せたい
  28. ありがとう
  29. 最高の夏休みの終わり