羊が空を飛ぶ

 そう、暑苦しかったのである。この時期の夜というのは冷房をつけ、部屋を冷やすほどではなく、かといって何もつけていないと寝苦しい。
 冷蔵庫を覗いて、飲み物―できれば冷たいもの―を探した。麦茶があった。私の記憶が確かなら、この麦茶はこの日の昼ごろから冷蔵庫に入れられているはずだから、もう、十分に冷たいはずである。
 私はコップになみなみと注ぎ、それをぐいっと流し込んだ。冷たくなっていたそれは、私の体にすとんと落ちてくれた。
 ふと、時間を確認すると、明るく光る画面の下のほう、白い文字がとっくにしていた日付の変更を伝えてくれた。
「早く寝ようと思ってたのに」
と、私は思わず声にして、画面を閉じた。もう、寝ようとしてから一時間近く経っていた。
 ふわりと布団に横になり、目を閉じた。そういえば、寝つけないときには羊を数えるといい、ということをばあちゃんが言っていた。
 ばあちゃんは元気だろうか。そういえば長い間会っていなければ、連絡もしていない。起きたら、連絡をしようか。かあさんにも、連絡をしようと頭を通ったあたりから記憶は曖昧で、確か羊が空を飛んでいた。そして、かあさんにそのことを報告したのだ。ただ、かあさんは連絡がきたことなど知らないし、私は羊が空を飛んだことなど、もう、忘れていた。

羊が空を飛ぶ

 ああ、わざわざあとがきまで、ありがとうございました。
 私がなぜこの作品を最初に投稿しようと思ったか、簡単です。短いからです。私は文章をそれほど読むわけでもないと思っています。書くこともあまり得意ではありません。そのなかで、はじめてちゃんとまともなものが書けた結果がこれです。
 寝るとき、何をしますか?ちょっとおもしろいかもしれないですよ。

羊が空を飛ぶ

あるひとが寝る前の行動。驚くほどに短いです。きっと。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-07-23

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