分速3メートル 第2章「時を超えた再会Ⅱ」
第2章、遅くなりました、
店に入ってきた女性は、僕の向かい側の席に座った。その瞬間、僕の体に電流が流れた。
「明里?篠原明里??」
疑問しか出てこない、なぜだ、何故だろう。女は、僕に向かって問いかけた。
「貴樹君?」
私は何が起きたか分からない、もちろんの事、たまたま、夕食を食べに入ってきた店に15年ぶりに会う人がる可能性は、とても低い、嫌、あったとしても気づかないと、思う。
「なぜここに?」
明里にした次の質問はこうだった。彼女はテーブルをうつり、僕のテーブルに座って、注文をする。
「15年ぶり位なのかな…暇してたから、たまたまここに来たの、けれどまさか貴樹君がいるだなんて、思いもしなかった。」
15年ぶりに聴く彼女の声は、とても大人びて、優しくて、一方でどこかが寂しそうな、ごく普通の女性の声に聞こえた。けれどもそれは、水野理紗でもなく、あの塾講師の女でもなければ、澄田花苗の声でも無かった。
「明里に会えて、良かった。だって、もう…会えないものとばかり思っていたから、本当に辛かった。」
貴樹君に会えたことが…まだ自分でもはっきり理解できていないことに…彼の言葉が新鮮すぎて、私を酔わせているように…何だかとても不思議な気持ちだ。戸惑いはあったけれども、それがどうかしたのかと思うくらいどっか遠くに行ってしまって、ただいまは貴樹君が目の前に居て、15年ぶりの貴樹君が…私を、私の気持ちを狂わせている。
「私、まだ貴樹君に会えたって実感がないの…。ゴメンネ。」
ちょっと罪悪感を覚えてしまい、正直に今の気持ちを貴樹君に打ち明けようと思った。
「いいんだよ、だって普通に考えれば、こんな所で会える可能性は低いんだから。もしも、これからも会ってくれるようなら、そのうちに段々昔みたいに仲良くなれるよ。」
「うん…」
結局その日は、彼女の電話番号と、メールアドレスを交換して、別れた。
分速3メートル 第2章「時を超えた再会Ⅱ」
今回はアメーバに載せている原版から、だいぶ手を加えました。原版はかなり短くなっていましたからね。 秒速2次創作としては、ややアッサリすぎるかも…。と腑に落ちない点が多かったので、色々とやってみました。