ナツノキヲク 1
完全オリジナル作品です。毎回500字以内で投稿する予定です。
ナツノキヲク
小説家を夢見た中学2年生の青春時代から、約10年が経った。
現在はというと、毎日パソコンと漫画を前に小さな個室でだらだらと暮らしている。いわゆる漫画喫茶のニートというものだ。小説等の文学コンクールに応募するも入賞すら出来ずに結局その夢は叶わず終いだったのだ。
最近、「今って冬だっけ?春だっけ?」などというくだらない記憶喪失に付き合わされている。今日は何故かその質問に付き合ってみようと思い、現在の季節を調べてみた。我ながら微笑ましい事だ。パソコンの画面に映った朝顔のイラストで、だいたいは分かったような気がする。
「・・・そっか、またこの季節が来ちゃったんだね」
私にとってのこの季節は、毎年憂鬱な気分になる時期だ。今更「調べなければ良かった」なんて思いつつも、毎年定番のように蘇るこの記憶を思い返す。
あの頃の私はまだ成長期と反抗期と思春期とが混ざり合った、族に言う中学2年生であった。
◇2へつづく。
ナツノキヲク 1