能動的3分間

能動的3分間

目が覚めた。
アラームを止め、もう一度布団をかぶる。
まだ眠い。やっぱり何気なく時間を確認した。7時30分。
朝食を食べ服を着替える、歯を磨き髪を整える。やる事は多い。そうだ朝食をやめよう・・・。
あと10分は寝れる。僕はすぐ2度目の眠りについた。

アラームが鳴った。
まだ眠い。時間を確認。7時30分。
アラームは7時30分に昨日セットした。なんだまだ全然時間が経ってない。もうひと眠り。

アラーム。そろそろ起きなくては。
時間を確認。7時30分。
おかしい。体感時間ではもう10分、いや5分は確実に寝ている。
頭が働かない。
とりあえず僕はベットから抜け出し、朝食の準備を始めた。

アラームが鳴った。

アラームを止める。
ふと思った。おかしい。
このアラームが鳴るのは何回目だ??
4回目?・・・4回目のはずだ。時間は7:30。
俺は寝ぼけているのか? いやだがもう眠気は無い。
異常だからだ。思わず体を起こしベットから出る。
何気なくリモコンを取りテレビをつけた。
「おはようございます!今日も1日元気に頑張りましょう!」 女子アナウンサーが朝から鬱陶しいくらいに元気にお決まりの挨拶をする。女子アナも朝から大変だな。俺なら無理だね。朝からこんな笑顔ひねりだして。
何だったんだろう。やはり気のせいかと思う事にした。
朝食を食べよう。僕は朝食はしっかり食べる派なのだ。
冷蔵庫を開けた。

またアラームが鳴った。

視線の先は冷蔵庫から天井に変わっていた。
アラームを止める。
やはりおかしい。画面を見る。7:30だ。冷静に考えよう。僕は結構冷静に考える派なのだ。今までの人生慌てて良かったためしがない。そうだ。これはループだ。
SFなんかでよくあるやつだと思った。強制的に7:30に戻される。なんの嫌がらせだろうか。だがあまりにも時間が短い。このループが永久に続くならそれは嫌だ。
だがこのループの法則性、傾向を見つけたい。僕は時計を注意深く見ることにした。

アラームが鳴る。
6回目。もう一回。
アラームが鳴る。
7回目。もう一度。

15回目のアラームを止めある程度気づいた事がある。
7:30にアラームが鳴る。15回中15回そこに戻らされる。
そして時計を確認して気づいたが3分。3分立つと7:30に戻る。つまり7:30から7:33。この間でひたすらループしている事に気づいた。素晴らしい、今日の僕はさえている。だが1つ思う事はなぜこんな事になってしまったのか。時空のズレに巻き込まれたのか?このループを抜け出す策は?

アラームが鳴った。

ここはある大手企業の研究所。

「いやーおはよう」
白髪に白い髭を蓄えたいかにも研究者な男が意気揚々と研究室に入ってきた。真っ白な白衣に身を包んだこの男、名をF氏、この研究所の所長だ。
「ついに完成しましたね、正規の大発明。」
黒髪を見事にきっちり七三分けにしたメガネの男。F氏の右腕として長年働いてきた助手である。
「そうだろう、そうだろう。私も長年の研究の甲斐があったというものだ。」
「これで多くの人が救われるというものです。」
「今回のテストが完成すれば私も肩の荷が降りるというものだよ。」
「今回のクライアントの依頼、絶対に起きる事の出来る目覚まし時計。まさかこんな発想があったとは。私も驚きでした。」
「はは、長年思っていたのだよ。最近の目覚まし時計はアラームの音にしか視点がない。」
「素晴らしい発想力です。テストの方はどうなっているのでしょうか。気になりますね。」
「うむ。ある知り合いの企業に協力してもらったよ。毎朝寝坊してくる社員の部屋にこの目覚まし時計をこっそり送ってもらおうとね。」
「設定は3分でしたね。3分以内に部屋から出ないとループしてしまう。」
「ああ会社には7時34分に電話を彼にしてあげろと伝えておいたよ。」

能動的3分間

能動的3分間

タイトルは東京事変から。

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-01-31

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