おまけな言葉の苦悩

たとえば「お茶請け」なんていう言葉がある。
思いっきり「お茶のおまけ」感満載である。きっとお茶請けは、お客様がくるたんびに悲しい思いをするのだろう。

「おかず」なんていうのも、なくてはならないけれど言葉としては完全に撃沈されたようなものだ。
いかにも、「ご飯を食べるために」を強調している。…ように私には聞こえる。

「りんごの皮」は、聞いてすぐわかるようなおまけ言葉。
あくまでもこれは「りんごの」皮ですよ、と。皮にだって名前を付けてあげたらいいじゃないですか。
───って、「皮」が名前か。でも、「りんごの」ってかわいそうですよね。りんご、みかん、ぶどう。それぞれの皮に違う名前を付けようとは思わなかったのでしょうか。

「郵便受け」。 これはどう考えてもおまけじゃないように思いますが、よく見るとおまけです。
「郵便」受けます。 つまりは、郵便が主役で、投げられた主役をキャッチする脇役なんです。
ポストという別名も、「おまけです」ってそのまま言ってるようなものですね。

「筆箱」───これはよく見ないと、考えた作者にだって一瞬分からなくなる。
「筆の」箱です。 筆さま、おいでください。私のところへお入りくださいませ。
そんなことを言ってそうですね。ぱんぱんの筆箱は、嬉しいのか苦しいのか。
おまけな言葉はいくらでもあります。だけどその言葉は言葉なりに、自分を主張しているんです。たまには「of」を感じ取って、脇役に思いをはせる日をつくってみてもいいんじゃないでしょうか。

おまけな言葉の苦悩

おまけな言葉の苦悩

おまけな言葉。主役じゃないけれど、ものすごく重要で。 そんな愛すべき言葉たちを、おもしろく書き出してみました。

  • 小説
  • 掌編
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-01-25

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