正仏保の生物講義Ⅱ

動物と植物の細胞 顕微鏡関係

「授業を始めます。」
「はい。」
「まずは生物について。生物は知識問題です。基本歴史と同じく暗記物です。計算は時々しか出ません。
単元ごとに覚えたか覚えてないかだけで、点数がとれるかとれないかが決まるから、ひょっとして、今日やったところがばっちりテストに出たら、満点近くが取れるぞ!やってなかったら0点ね。何からやる?」
「ええっと…。」
「一番めんどくさいのは、細胞と発生と分裂だから、これからにするか。」
「どれでもいいんなら、『人間のからだのしくみ』とかからはどうですか?」
「いやあ、実は、細胞やってからの方が、『からだのしくみ』もちょっとウォーミングアップができていいし。
それに、『カエルを食べてしまえ』って言うだろ?」
「何ですか? カエル?」
「一番めんどくさいのを一番に片づけてしまうと後が楽ってことらしいよ。一番やる気のある一番目に、一番めんどくさいのを片付けておこう。終わったら、『人のからだ』に移るから。『人のからだ』もかなり分量あるけどなあ。」
「…先生が一番めんどくさそうですね。僕は大丈夫なんで、お願いします。あと、『めんどくさい』っていうの、やめてもらっていいですか…やる気がすごくそがれるんで…。」

*顕微鏡を使えなければ、生物をやったと言えない。
【部分ごとの名前から】

・接眼レンズ:ここに目をくっつけて見る。目に近い方。

・対物レンズ:物に近い方

・レボルバー:倍率の違う対物レンズをここにいくつも取り付けて、くるくる回せば倍率をすぐに変えられるようにしている。倍率が変わればもちろんピントも合わせ直す。

・ステージ:プレパラートをのせる台。動かしてピントを合わせる。ステージが上下するタイプと、レンズが上下するタイプと二つある。調節ねじで動かす。

・絞り:明るさを調節する。高倍率になるほど暗くなるので、絞りを開いて明るくする。明るすぎると、立体感が薄れて観察しにくいので、暗くする。

・反射鏡:光を集める。直射日光禁止。

・プレパラート:資料をスライドグラスの上に乗せて、カバーガラスを乗せて平たくしたもの。


【気を付けること】
・直射日光禁止:光が目に入って危険

・接眼レンズ→対物レンズの順に取り付ける:ほこりが対物レンズの中に入らないようにするため。ごみがレンズの中に入ると観察の邪魔だから

・低倍率から観察する。:まずは観察対象をレンズの真下に持ってくるため。

・ピントを合わせるときは、ぎりぎりまで近づけてから遠ざける。:近づけていったら、うっかりカバーグラスをぐしゃっと壊しかねないから。顕微鏡を見ても物との距離なんて分からない。

・プレパラートは逆に動かす。:右に動かしたかったら、左に動かす。逆だから。


【長さのはかり方】
*「ミクロメーター」を使う。
・接眼ミクロメーター:接眼レンズの中にコロンと入れる小さな丸いガラス板。目盛りが刻まれているが、長さは倍率で変わる。

・対物ミクロメーター:プレパラート上に目盛りが刻まれている。1目盛り10μmまずはこれで、接眼ミクロメーターの一目盛りの長さを出す。

*接眼ミクロメーターと、対物ミクロメーターの両方を顕微鏡にセット。長さ計算。
(式)  y=B/A ×xμm
(y=接眼1目盛りの長さ x=対物1目盛りの長さ。普通は10μm)
 A=接眼の目盛り数。
 B=対物の目盛り数
 接眼と対物の目盛りがぴったり重なる2点を探して計算。
まずはこれで長さを計ってから本当のプレパラートを乗せる。


「はい、図表のp26を開いて…。顕微鏡使ったことある?」
「…先生、これ細胞ですか?」
「いや、関係ない。…実は、最初に顕微鏡と電気泳動と遠心分離器の細胞分画法とオートラジオグラフィー、教えないといけないの、忘れててさっ。すぐ終わるから。」
「…」
「生物好きなら、プレパラートの上でミジンコを解剖したり、草の茎を薄切りにして染色してのぞいたりとか、…やったことない?」
「ないです。でも、使ったことはありますよ。中学生のころ。木箱に入ってました。反射鏡に直射日光あたるといけないからって、理科の先生がカーテン閉めてました。」
「そうそう。それ!理科室にあるのでも、μm(マイクロメートル)単位でみられるからさ。細胞の核は、約10μmだから、余裕で見えるよ。
大きめなら細菌も見える。この顕微鏡ができたから、病原菌が見えたといっても過言ではないね。ウイルスは見えないけど。
ちなみに、μm=1000分の1ミリね。覚えやすく言うなら、1000分の1ミリがμで、1000分の1マイクロが、ナノ。
ナノに行くと、電子顕微鏡の世界だから。これは、水気があるといけないから、特殊な方法で加工したり、特殊レーザーで薄切りしないといけないけどね。
今は凸凹でも見える特殊な方法がいろいろあって、日本人が1人それでノーベル賞もらってたなあ。確か。誰だっけ…たしか、会社勤めで奥さんと仲のいい…ええっと…。」
「1㎚(ナノメートル)は、いくつなんですか?」
「10⁻⁹m。0.000000001m かければ0が9個分小さくなる。
μ(マイクロ)=10⁻⁶、n(ナノ)=10⁻⁹という意味なんだ。さっき、μをミリで表したけど、本当はm(メートル)で表すのが正式で、マイクロ、ナノはℓやgにももちろん使える。
国際単位(SI)で決まってて、キロ(k)=10³ センチ(c)=10⁻² ミリ(m)=10⁻³ マイクロ(μ)=10⁻⁶ ナノ(n)=10⁻⁹・・・あと、興味あったらインターネットとか調べて。
向こうの人は、ゼロ3つ単位で数字を分けて計算するから、基本ゼロ3つごとの単位になってる。」
「ううう。」
「『1000分の1ミリがμで、1000分の1マイクロが、ナノ。』これだけ覚えればいいから。
それから、『細胞を分離するとき、薄い塩酸を使う、』とか、いろいろ細かいことあるけど、そのあたりは、自分で深めてね。
基本基礎だけ教えるから。その方が頭に入るから。」


*細胞分画法―遠心分離機にかけると大きい物から順に沈む。
①1000倍×10分:核(細胞の情報)細胞骨格(アクチンフィラメント/中間径フィラメント/微小管)
②3000倍×10分:葉緑体(光合成)
③8000倍×20分:ミトコンドリア(呼吸)
④100,000倍×1時間:小胞体(膜) リボソーム(ダルマ型) どちらもタンパク質合成


【注意点】
・遠心分離にかける前に氷で冷やしながらすりつぶす。
(氷で冷やしておかないと酵素で細胞小器官が融けてしまうので。)


「遠心分離器にかけると、重たい物から順に沈んでくよ。
( )の短い説明は、細胞の所でもやるから。」
「ふあーい。」
「眠い?じゃ、そろそろ終わりに…よく頑張っているし、あとは世間話でも…だめ?うーん、分かった。…かける前には、氷で冷やしながらすりつぶす。細胞に含まれている酵素で、細胞小器官が消化されてしまうから、酵素が働かないようにだよ。
 あと、これは余談だが、遠心分離器にかけるときには、必ず反対側にも、試験管を乗せておかないと、遠心力で、試験管が飛ばされるからね。」


*オートラジオグラフィー 放射性同位体の物質を混ぜておき、後からX線で撮影する。
(取り込まれたか、どの物質になったかなどが分かる。)
「図表のp30に載っているような物質が使われるけど…『同位体』分かる?」
「分かります。えーっと…重さの違う元素ですよね?炭素だけど12じゃなくて13とか。」
「そうそう。分かりやすいね。君、化学は得意?…重くて崩壊していくので、放射線を出す。それをX線撮影できるので、実験に使われるんだ。
例えば、光合成で取り込まれたH₂OとCO₂、どちらがO₂になるのか?とかね。答えはH₂O。…とかを調べるのに使われる。これは図表のP117、ルーベンの実験だよ。
カルビン・ベンソン回路とかも、放射性同位体を何度も何度も、短時間吸収させては、何になったかを確かめて作られたんだ。…忍耐だね。」
「先生、すごく感心してますね。」
「いや、僕には無理。」

植物と動物の細胞 細胞の構造

*細胞の構造「植物と動物の細胞はほぼ同じ。」(細胞分画法と同じ番号付き)
・①核:細胞の情報
・核小体:RNA 目玉のようになっている色の濃いところ。2~3個ある生き物もある。
・染色質:DNA 染色できるので、「染色質」。これが分裂のときには太いひも状に集まって「染色体」となる。

・①細胞骨格:3種類ある。太さちがう。
・アクチンフィラメント(細)(6nm):アメーバ運動
・中間径フィラメント(やや太)(10nm):細胞の構造を保つ
・微小管(=チューブリン)(太)(25nm):細胞内のレール。中央と周辺をつなぐ。細胞分裂時の紡錘糸にもなる。9本ワンセットでこの太さ。

・②葉緑体(植物のみ):光合成
・チラコイド:緑の袋 光合成色素が詰まっている。
・グラナ:チラコイドが積み重なるとグラナと呼ぶ。
・ストロマ:チラコイドでないすきま部分。カルビン・ベンソン回路。

③ミトコンドリア:呼吸
・マトリックス:2重膜のさらに膜内
・クリステ:内側の膜 膜と膜の間にH⁺をためる。ためてぷうっと膨らみ、一気に放出する勢いでATPを作り出す。


④小胞体:膜。リボソームがたくさんくっついている。くっついているとぼこぼこして「粗面小胞体」 いないとつるつるして「滑面小胞体」
・リボソーム:ダルマ型 送られてきたRNAをもとにアミノ酸の長い鎖をどんどん作り出す。tRNAがどんどんとアミノ酸を持ってきて対応するmRNAにくっつくので、それをつなぐ。トロッコとトロッコをつなぐ連結器のようなもの。


【その他】ゴルジ体:分泌。これも膜。消化酵素や粘液を作り出し、そのまま出すと細胞が融けるので、「リソソーム」という固まりにして細胞内を運び、膜の外へ出す。
・細胞壁(植物のみ):固くて構造をしっかり支える壁。選択的透過性、とか、器用なことはできない。ただ、浸透圧にかかわりないので、脱水しても形を保っていられる。
・液胞(植物のみ):老廃物等をためておく袋。したがって、古い細胞ほど大きい。しかし、ここに色素を入れて、花弁の色にしたりとか、いろいろ便利にも使える。


【大事で特殊→膜】
細胞内にはたくさん膜がある。ゴルジ膜、小胞体など。
でも一番注目すべきは細胞膜である。
核もミトコンドリアも葉緑体も、同じリン脂質2重膜の細胞膜を持っている。
必要なものは細胞内にどんどん取り込み、不必要なものは入れず、アンテナを立ててホルモンなど必要な情報はキャッチする。入れると入れないを同時に行う不思議輸送システムである。

【構造】「リン脂質2重膜」親水基と疎水基があり、水になじむ方を外と中へ、2重の内側は、水をはじく構造になっており、何でも受け入れるが、間でストップをかける。

【輸送】3種類ある。「受動輸送」(単純拡散)「チャネル」(選択拡散)「能動輸送」(エネルギーを使った選択輸送「ポンプ」)
「受動輸送」は、拡散 物質が勝手に広がるのに任せている。小さい分子や脂溶性分子は膜を通り抜けられるので、これを使える。
「チャネル」は拡散だが、特定の物質だけを通すトンネル。Na⁺イオンチャネルやH₂O専用チャネル「アクアポリン」など。閉じて入れないこともできる。
「能動輸送」はエネルギーを使った積極的取り込み。「ポンプ」という名前が、そのイメージを物語る。これによって、細胞の中だけ多いとか、細胞の中にはほとんどない、などという状況を作り出すことができる。細胞内にK⁺が多くて、Na⁺が少ないとか。
「流動モザイクモデル」=リン脂質の2重膜のところどころにに、タンパク質(チャネルやらポンプやら)が埋め込まれて、ある程度自由に移動している。

・特殊!細胞接着
「これ時々出ます。難関だと。
イメージしやすいように、横にコンクリートとか、書いときます。」
・密着結合 「クローディン」(「クローズ=閉じる」から)→コンクリート(水も漏らさない)
・ギャップ結合 「コネクソン」によるチャネル。(「コネクト=つながる」から。)→パイプ(つながるだけでなく水とかを運べる。)
・固定結合→リベット(鋲)でつなぐようなもの。
アクチンフィラメント―デスモソーム(受け)―カドヘリン(細胞どうし)(鋲)
中間径フィラメント―ヘミデスモソーム(受け)―インテグリン(細胞と細胞外)(鋲)
*これは「角へIN」と覚えます。つまり「カドヘリン」

【生物界では進化の常識「共生説」】(P283)
遠い昔(35~40億年前)、まだ生物が核もなくて原核生物で、単細胞生物のみであった時代に、生物間で競争が起きて、共生のために他生物を自分の中に取り込んだ生物がいました。呼吸のできる好気性細菌は、取り込まれた細胞の中で「ミトコンドリア」となり、光合成のできるシアノバクテリアは、細胞内で「葉緑体」となりました。
だから今でも独自のDNAをもつし、核に頼らずに勝手に増え、とりこまれたときに細胞膜を通ってその膜を上からまとったのでそのためにリン脂質2重膜を2枚も持つようになりました。めでたしめでたし。おしまい。…という説。
マーグリスが唱える。

【生物の種類分け】
Ⅰ単細胞生物-単細胞だって生きてます(p308他)
・原核生物:核なし。DNAは素のまま細胞の中。かろうじて環状になっている。すべて細菌類。なぜか細胞壁もある。

・バクテリアとシアノバクテリア:バクテリア(「べん毛」なるしっぽあり。光合成なし)とシアノバクテリア(光合成色素をもち、光合成あり)の2種類に分けられる。
 ・バクテリア=大腸菌 放線菌(納豆) 乳酸菌(ヨーグルト)
 ・シアノバクテリア=ユレモ・ネンジュモ

・真核生物:核あり。それもヒストンにまきついている。(=分裂するとき、染色体ができる)。植物と菌には細胞壁あり。それ以外はなし。

・原生生物:動ける単細胞。口(細胞口)もあるし、老廃物や浸透圧で細胞膜内に入ってくる水を出すところ(収縮胞)もある。もちろん核もあるし、消化(食胞)もできるし、動くための繊毛もある。…という、たった一つの細胞の中に何でも備えている生き物。
アメーバ ゾウリムシ等。

・藻類:言わずと知れた海藻の仲間。単細胞のものもある。
上記と同じく一つの細胞の中に何でも備えているが、そのうえ、光合成色素があって、光合成をする。「べん毛」しっぽ付き(紅藻類以外 そして動ける)。植物プランクトンとか。クロレラとか。そのままで十分役に立ってくれているが、種類によっては、最新バイオテクノロジーに利用・研究されている。
珍しいのは、「ミドリムシ」で、こいつはゾウリムシのように収縮胞を備え、その上葉緑体と、「眼点」(光を感じられる目)まで持っている。
ケイ藻 クロレラ ミドリムシ

・菌類:基本多細胞で集合しているが、実際に他を必要とするのは、胞子を作る時だけ(つまり生殖をおこなう!)である。べん毛はないし、動けないが、その代り胞子を作れる。細胞壁あり。
種類に分けられているが、カビ、キノコ、酵母菌等。

・細胞性粘菌:これが、原生生物に輪をかけて不思議な単細胞生物。「粘菌」
普段はアメーバで分裂して増殖するが、エサがなくなると集合して1つになり(集合体)、よい場所を求めてナメクジの形で動物のように移動し(移動体)、これはと思う所に来れば、立ち上がってキノコみたいな格好になり(子実体)、胞子を作る。
胞子からはまたアメーバができる。
キイロタマホコリカビ等。

・ウイルス:電子顕微鏡でしか見えない大きさ
体の構造も2つしかない。DNA/RNA(核酸)と タンパク質のみ。
生命体とすら認定されていない。
宿主の細胞に寄生して増える。
しかし存在はしており、人間の免疫はこのウイルスにすら対抗できる。

ほとんどのウイルスはDNAだが、
インフルエンザウイルスやHIVウイルスはRNAである。

Ⅱ単細胞から多細胞へ―間にいるような生き物がいるよ。だから重要「細胞群体」

緑藻類が、間生物として取り上げられている。
1個「パンドリナ」
16個 「ユードリナ」
64個「プレオドリナ」 生殖細胞と光合成細胞への分化が見られる
数百個「オオヒゲマワリ」(別名ボルボックス) 上に同じ
→と、このように、多細胞生物とまではいかないけれど、集合して暮らしている細胞がある。(細胞群体)
進化の中間地点にいるのではないかと思われている。

「後はおなじみの多細胞生物…と、ここまでで何か質問ありますか?」
「聞きたいことたぶんあるんですけど…詰め込まれすぎてわかりません。」
「もし教え残したところがあったら、後で他の単元の所に入れるから。大丈夫。」

DNA・遺伝Ⅰ

*小さすぎてさっぱりだけど、SFではとってもおなじみDNA
【まずは歴史からやります。えんどう豆から始まる遺伝の探究。歴史を見るとスッとわかる】

Ⅰメンデルがえんどう豆から「メンデルの法則」を発見。(1865年)
遺伝に法則があることを発見。
①「優性の法則」優性遺伝子と劣性遺伝子がある。2つあれば優性の方が発現する。
②「独立の法則」2つの遺伝子はおたがいに影響し合わない。豆のしわと、花の色は、遺伝的に関係しない。
(染色体が違うと、この法則が成り立つが、同一染色体上にあると、組み換えが起こるので、法則は成り立たない。)
③「分離の法則」対立遺伝子は分かれて別々に遺伝する。
*「分離の法則」は、染色体が分かれて別々の配偶子に入ることを、現象から言い当てている。
*他に純系/雑種、ホモ/ヘテロ接合体、優性劣性、遺伝子型/表現型など、用語多数。
*「1代目/2代目に○○の形質は、何:何の比で現れるか?」という問題がたびたび出て、思考力を試す。

Ⅱモーガンがキイロショウジョウバエの突然変異率から「連鎖地図」を作る。(1926年)
突然変異はメンデルの「独立の法則」に従わない。原因は染色体の「乗り換え」がおこり、遺伝子の「組み換え」が起こることである。この組み換え価は、そのまま遺伝子間の距離となる。(遠いところにあるほど、よく組み換えが起こる) これをもとに「連鎖地図(染色体地図)」を作り、生き物の体の遺伝子配列は同じだという、「遺伝子説」を唱えた。

Ⅲグリフィスとエイブリーの実験 遺伝の原因はたぶんDNAである。(1928年)
グリフィスの実験「肺炎双球菌の形質転換」=何か熱に強い物質が、菌の形質を変えてしまう。R型→S型へ。
エイブリ―の実験「形質転換を起こすのはDNAだ」=DNAを分解すると、形質転換が起こらない。


Ⅳハーシーとチェイスの実験 細菌に感染するウイルス(ファージ)を使えば、細菌に好きなDNAを感染させられる。遺伝の原因は間違いなくDNA、と証明(1952年)
ファージはほとんどエイリアンみたいなウイルスだが、取りつくと菌のDNAを溶かして、自分のDNAを植え付ける。すると菌(のDNAなしの抜け殻)は、ウイルスのDNAをせっせと複製し始める。やがて子ファージがたくさん、菌の殻(細胞壁)を破って出てくる。
このおかげで、放射性同位体で標識すれば、何の物質が菌に植え付けられたかがわかる。=答え DNA

Ⅴワトソンとクリック DNAが2重らせん構造だと見破る。(1953年)
DNAは核酸の一種である。昆布のうまみ成分も、ATPも核酸で、DNAはその核酸の、ヌクレオチド=リン酸+デオキシリボース+塩基、そしてその塩基は4種類 C-GとA-Tである。という事を発見した。リン酸がDNAとDNAを結び付けて鎖にする。突き出したC-GとA-Tがお互いにくっつく。2本の鎖がくっつきあってしかもねじれている。これがDNAである。
「C-GとA-T」これだけで、生体内のありとあらゆるタンパク質を合成している。実に単純で、応用の効く情報管理である。
ワトソンとクリックは、これでノーベル賞をもらった。しかし本当の功績は、ライバルで女性科学者のフランクリンの、根気のいるX線解析のおかげだという陰口もあるが、彼女は事故で死んでいたので、賞はもらえなかった。


Ⅵクリックの「セントラルドグマ」
DNAは普段核の中に入っている。その情報をもとに細胞内のリボソームで、タンパク質が合成される。しかし、DNAは絶対に核内から出てこない。
まずは核内でDNA→RNAに「転写」(コピー)され、そののち「スプライシング」(余分な情報を切り抜く)され、やっと核の外に出て、「翻訳」(タンパク質合成)される。
つまり、DNAは現場には出ずに、RNAが代わりに働いている。
この現場でこき使われていることに加えて、ウイルスにはRNAしかもたない者がいたりして、RNA→DNAの順に進化したのではないかという説がある。(RNAワールド) RNAの地位は低いが、違いはR(リボース)とD(デオキシリボース)の違いだけである。五角形リボースに、オキシ(酸素)があるかないかだけの違いなのである。
「DNA→RNAの順で起こり、その逆はない」これが「セントラルドグマ」の考え方。(今は「逆転写酵素」なるものが発見されたり、RNAが見直されている。)

「はい、これで、『遺伝の法則』が発見されてから、染色体上に情報が載っていることが分かり、さらに染色体の中のDNAが問題で、染色体はDNAの長い鎖が、きつくぐるぐる巻きにされているにすぎないという事が分かりました。さらに、DNAが単なる核酸に過ぎないことも、さらに、遺伝子の情報は4文字C-GとA-Tだけで書かれていることも分かり、DNAだけでなくてRNAも活躍している…という事が分かりました。OK?」
「うーん。何となく…。」
「ぼやっとでOK。これで頭に器ができました!じゃ、いちいち詳しく解説します。」
「すみません。なんか詰め込み方が早いと思うんですけど…。」
「確かに間あけた方がよく定着する。一日に頭に入る量って、限られてる。…でもお母様がとても急いでらっしゃるから。授業の後10時間くらい寝て。睡眠学習で。」
「それ効くんですか?」
「う―ん。根拠ない。気休め。でも僕はそれくらい寝てるよ。僕見てよ! すごく効果あるでしょ?」
「はあ。たぶんうちの母は、先生が世間話で時間をつぶそうとしたのを、聞いただけじゃないかと思うんですけど…。」

昔から人は遺伝子地図を作りたがる。今はゲノムマップ 昔は染色体地図
【2種類あります】
連鎖地図(組換え価から、位置を推理・決定)
細胞学的地図(実際に染色体の縞を観察して位置を決定)(なるべく大きな染色体で)

【連鎖地図はモーガンさんが作りました】(p142~)
同じ相同染色体上にあると、遺伝子の組み換えが起こります。
そしてその組み換えは、距離が遠いほどよくおこります。
よって
組み換え価を調べて、比較して、(「三点交雑」)「距離の地図」を作ります。
これが連鎖地図(染色体地図)

【連鎖地図だと違う点も多かったので、モーガンさんの弟子達が実際に観察して作る地図を作りました。「細胞学的地図」】
キイロショウジョウバエ/ユスリカのだ液染色体は、観察に大変便利。
①大きい 100~150倍
②酢酸オルセインでよく染まる 縞が出て観察しやすい。
③パフがでる。(盛んに使われている部位が、膨らんでみて分かる)

他に、こういう小さな動物は、大量に、しかも短いスパンで増えて、実験室の中でも気軽に大量の実験台を入手可能なので、実験向きです。
そういうわけで、見て遺伝子地図を作りました。

「ここは短いけど…ホントに大丈夫?」
「…大丈夫です。(+_+)…まだ時間はありますよ、せんせい…。(+へ+)」
「うーん。若い生徒って、ほんとによく勉強するよねえ。『この杯を干してくれ どうぞなみなみつがしておくれ 花に嵐のたとえもあるぞ さよならだけが人生だ』」
「それ、生物ですか?」
「いや、全く関係ない。何となく浮かんだ。ただ、お茶を飲んでちょっと休んだらいいかなあって。」
「授業お願いします。あと体力残り少ないんで、意味不明なことやめてください。つっこむ気力もないです。」
「うーんすまん。ここから先は後ちょっとだから。」

DNA・遺伝Ⅱ

現代科学は迫る!生命の正体 DNA
グリフィスの実験、エイブリ―の実験、ハーシーとチェイスの実験、ワトソンとクリックの2重らせん構造等々により、DNAは解明される。(図表p73~)
【DNAの物質説明】
物質としては、核酸

DNA= デオキシリボース nucleic acid(核酸)
核酸とは、リン酸+糖(ここでは5角形の糖)+塩基=ヌクレオチド
     ヌクレオチドがたくさん重なると、「核酸」になる。

リンがヌクレオチドをつないで鎖を作り、
糖(デオキシリボース)が本体で
塩基(C-GとA-T)が情報を表す。水素結合でゆるく2本の鎖をつなぐ。
2重らせん構造を取っている。

よく似た仲間に、RNAがあり、
これは リボース nucleic acid(核酸)の略。
デオキシリボースが、リボースになっている。
(「デオキシ」は、「酸素が抜けた」という意味)
DNAと協力して働いている。

*この長い2重鎖は、普段は「ヒストン」なる、糸巻のようなものにきつく巻きつき、巻きついたものがさらにぐるぐる巻きになって、コンパクトに収納されてますが、使うときはヒストンが緩みます。(ヒストンのメチル化・アセチル化)

*構造は4段階くらい それぞれの名前
DNA(2重らせんの鎖)→ヌクレオソーム(糸巻「ヒストン」に巻きついている)→クロマチン繊維(糸巻が数珠つなぎになって太めの糸みたいになる)→染色体(クロマチン繊維がギュッと縮まって、染色体分裂中期にはX字型に見える)

はい、これでDNAから染色体へのイメージがわきました。
染色体って、2重らせんDNAの長―い鎖だったんですね。

保存方法
半保存的複製
複製の時は、2本の古い鎖を、1本ずつ新しい細胞へと振り分ける。

プラスミド
原核動物の染色体DNAとは別に細胞質中に漂っている。環状である。
これが「プラスミド」
葉緑体、ミトコンドリアの持っているDNAも、このプラスミドである。
真核生物では、複数場所から合成するが、プラスミドは1箇所のみである。

遺伝情報のルール
塩基(C-GとA-T)には、「相補性」というものがあり、
CはGと、AはTとしかくっつかない。
つまり必要なのは片方の情報だけであり、
しかし片方がダメになっても、
もう片方がある限り複製できる。

相補性のおかげで、2本鎖の両方が鋳型となれる。

情報は、3文字で1アミノ酸を表す。(「トリプレット説」)
3文字暗号を「コドン」と呼ぶ。
コドンとアミノ酸の対応を表した表を「遺伝暗号表」と呼ぶ。
C-GとA-Tの4文字で3文字記号を作れば、その組み合わせは、4×4×4=48通り。
つまり48のアミノ酸を表現できるし、
実際にはアミノ酸は20種類なので、C-GとA-Tの4文字で十分。

「開始コドン」と「終止コドン」の間のアミノ酸を、長くつなげてペプチドにする。


「テロメア」
すでに何回かやっているけど、再録。

実際にタンパク質を作る情報は、RNAが運び、
リボソームで合成される。

リボソームも実は、rRNA(リボソームRNA)とタンパク質でできている。

「転写」(コピー DNA→RNA 核内)
「スプライシング」(余分な情報を切り抜く 核内)
「翻訳」(タンパク質合成 リボソーム)


重要な「スプライシング」
切り貼りのスプライシングは、どんな遺伝子が発現するかで重要。
「エキソン」翻訳される部分
「イントロン」翻訳されない部分
DNAには、使われない部分もたくさん載っているので、使う部分だけを、RNAに「転写」(コピー)する。

例えば、ABC 3つのコドンを必要とするタンパク質があるとする。
ヒトの遺伝には、A40種類 B10種類 C20種類 DNA上に情報がある場合もある。
その中から一つずつ選んでタンパク質合成をできる。

これで、より複雑なパターンを生み出せる。
例えば免疫細胞など、多様さが求められても、切り貼りで対応可能であるし、
予期せぬ事態には、普段使われないDNA部分がONになることだってある。

遺伝子のONとOFF(エピジェネティックな変化)
遺伝子はたくさんあるけど、全部使うわけではありません。
ヒストン(糸巻っぽい)にきつく巻きついており、ゆるんでいるものが発現しやすいです。
メチル化=きつく巻きつく。クロマチン繊維(糸巻の数珠つなぎ)がギュッと凝集。発現しにくい。
アセチル化=クロマチン繊維ゆるむ。発現しやすい。

*つまり、普段あらわれなくても遺伝として持っていれば、何かの拍子に現れたりする。
例えば白目のショウジョウバエが熱ショックを与えられ続けて、少し赤目になったり。
逆に遺伝として持っていても現れにくいときもある。

*三毛猫の「ライオニゼーション」:三毛猫の毛色の遺伝子は、X染色体上にある。雌のX染色体は2本。茶色Xと黒Xの2本があったとして、そのどちらかが活性化して、もう一方は不活性になることで、1色のみ発現する。しかし三毛猫は細胞ごとに黒や茶色、どちらかが活性化し、どちらかが不活性という、ランダムなモザイク状態になっている。
これが「ライオニゼーション」

調節タンパク質
調節タンパク質が遺伝子にくっつき、
ON(活性化因子)やOFF(抑制因子)を調節している。
それも複数の調節タンパク質がかかわっている。
調節たんぱく質はさらに別のタンパク質やホルモンや無機物質によって、活性化したりするので、たいそう複雑。

RNA干渉
調節タンパク質だけでなく、RNAも、ON/OFF調節をする。
小さなRNAが、転写後のmRNAを分解することで、翻訳を妨害する。
これがエイズの治療に役立てないかと研究中。

DNAの仕事はタンパク質合成だけ?(p79)
そうです。
タンパク質が体を決めると言っても過言ではありません。
どんなタンパク質を作るかが、どんな生物になるかを決めてます。

体の部品=骨・筋肉・内臓等々
特殊な機能付きタンパク質=酵素・血液

タンパク質が一つ合成できなければ、病気になります。

例)・正常なヘモグロビンが作れない=鎌状赤血球貧血症
・メラニンが作れない=アルビノ(全身真っ白 目は真っ赤な固体)


コピー間違いが大変なことに
DNAもコピー違いというものがある。
一番起こりやすいのは、DNAをコピーするときである。
単純に複製を誤ったり、ガンだったり、放射線やたばこによって、傷つくときもある。
DNAが損傷すれば突然変異が起こるので大変である。
突然変異の種類は4つ
置換(入れ替わる) 付加(入り込む) 欠失(欠ける) 逆位(順序が変わる)
塩基(C-GとA-T)のどれか一つがこれになるだけで、作るたんぱく質は違ってくる。
DNAポリメラーゼ(DNAの複製酵素)が、間違っていれば、戻って複製をやり直す。
大変なのは「フレームシフト」で、DNAが一個欠けてそれ以降がすべてずれる。

ここで重要なのは、「2本鎖の1本だけの損傷か」という点である。

塩基(C-GとA-T)の相補性、そして2本鎖である利点が、修復の時にはとくに生かされる。
相補性があるので、とにかくもう1本が無事なら、その塩基(C-GとA-T)をもとに、もう片方を修復できるし、損傷は直される。

しかし、2本鎖を2本とも同位置を失っていたら手の付けようがない。
そこは失われたままくっつけて、コピーされていくこととなる。

また、2本鎖の別々の部位を損傷した場合、染色体の交差の途中なら、組み換えの起こる可能性が高い。

【その他SFか?本当なのか?と言いたくなるようなバイオテクノロジー】
「制限酵素」
DNAの特定部位を切り取る酵素。
まっすぐ切り落とす「平滑末端」と、
ジグザグに切る「相補末端」がある。

「DNAリガーゼ」
切ったDNAをはりつける。
同じ制限酵素で切った遺伝子同士/平滑末端同士/同じ塩基配列同士
等のルールではりつける。

これを用いて遺伝子を切り貼りをする。
「プラスミド」
小さな環状のDNA
オワンクラゲの蛍光タンパク質を組み込んで、
これが糖を加えると光るのでどこにあるかすぐにわかる。
「遺伝子組み換え」
小さな環状DNA、プラスミドを使う。
プラスミドは、細胞質内で、勝手に増殖するので、
例えば大腸菌に、必要なDNAを組み込んだプラスミドを取り込ませて、(切り貼りは制限酵素とDNAリガーゼで行う) 有用物質を作り出す大腸菌を作る。
大腸菌はすごい勢いで増えるため、貴重な有用物質が、簡単にたくさん手に入る。
「PCR法」
DNAを増やすのはこれを使えば簡単にできる。
必要なのは、「プライマー」(目的のDNAと相補性あり。結果目的の場所にくっつく)と「DNAポリメラーゼ」(遺伝子修復酵素)。
2本鎖の結合は水素結合でゆるいので、温度を上げると離れる。
離れたところにプライマーがくっつき、下げるとDNAポリメラーゼが残りの部分を修復する。以下繰り返し。
このように、温度を上げ下げするだけで、簡単に大量に複製を作ることができる。
「DNA鑑定」
DNAを取り出し、量が少なくてもPCR法で複製を大量に作って鑑定できる量にする。
制限酵素で切断。電気泳動で縞を見る。
→これで個人を特定。

「とりあえず、上↑。用語はこれでわかったかな?」
「IPS細胞が分かりません。」
「ES細胞は受精卵から作って、IPS細胞は、普通の細胞から作ろうとしている万能細胞です。ES細胞は、すでにできてるけど、IPS細胞は、まだできてないよ。今作ってるところ。」
「山中教授ですよね? ノーベル賞取った!」
「うん。…その人マラソンする?走ってる?チャリティーで。…うん、その人。
何といっても遺伝が活躍するのは、細胞分裂と生殖=個体の増殖の時だね。それに、持っている遺伝子もONとOFFにして使ってなかったりするから。」

「それから他にも難しいところがいろいろあってそこが出るけれど、またの機会にね。」

DNA・遺伝Ⅲ

【メンデルは、記号を使ったりとか、用語とか、いろいろ基本規則を整えました。「遺伝子記号の基本規則」】
・一つの形質をアルファベット1文字であらわす。その際、優性は大文字、劣性は小文字にする。例)Tを背が高い(優性)という遺伝とすると、tは背が低い(劣性)。
・出ている特徴を特徴ではなく「形質」、出てくる特徴を、出てくる特徴ではなく、「表現型」と呼ぶ。
・一つの遺伝子型は、2文字持つ。(染色体が同じもの2本あるので。)2つで「遺伝子型」
・TT ttのように、同じもの二つを「ホモ」 Ttのように、2つ入るのを「ヘテロ」。
・純系=遺伝子型ホモ いくら自家受精を繰り返しても、同じ形質しか出てこない。
・交雑一代目をなぜかF₁、二代目をF₂と書きます。
*交雑すれば、それも2代3代と繰り返せば、もともとの親の持つ遺伝子型が見えてきます。
また逆に、推理した遺伝子型から、子孫に出てくる形質の比率も推測できます。
これが遺伝で問われる問題です。論理だった推理力、計算力、基本知識が求められます。

【他にもいっぱい法則はあります。この知識を全部駆使して、解こう!比率問題。】
不完全優性:アサガオの花色 Rは赤、rは白、そしてRrは中間色のピンクとなる。

致死遺伝子:黒ネズミ Yは黄色の優性遺伝、yは黒で劣性。しかし、劣性ホモのyyは胎児の時に死んで生まれてこない。

複対立遺伝子:アサガオの葉の形 ヒトの血液型 1形質に、対立遺伝子が3つある。大文字小文字だけでは足りないので、´をつけたりとかする。人間でも、血液型は、AとBとOの3つがある。

補足遺伝子:スイートピーの花色 赤色になるためには、CとPふたつの優性遺伝子がそろわなければならない。Cが色素で、Pが発色。

同義遺伝子:ナズナの果実の形 うちわ型になるためには、AかBどちらかの優性があればよい。AもBも同じ仕事をするのに、なぜか二つも遺伝子が存在している。ゆえにうちわ型になりやすい。

条件遺伝子:黒と灰色と白ウサギ Cだけだと黒色、しかしGがあると、灰色になる。Cがなければ、(=c劣性だと)Gだろうがgだろうが、白ウサギになる。補足遺伝子に似ているが、第三の形質がある点で違う。

抑制遺伝子:カイコガのまゆの色 Yyは、優性劣性で、黄色白の色になる。(ここまでは普通の優性遺伝)しかしながら、ここにIiという抑制遺伝子があって、Iがあると、黄色が発現できない。

被覆遺伝子:カボチャの色 Yが黄色、yが緑。しかし、Wがあると、白になる。wwではじめて、黄色や緑のカボチャになる。抑制遺伝子に似ているが、劣性yyが緑という所で、形質が2つではなく3つになっている。


【特殊遺伝…変わってるので、試験に出たら知ってなきゃ解けない。】

遅滞遺伝:モノアラガイの殻の巻き方 Ddで、右巻きか左巻きかが決まる。ただし、母貝の遺伝子に左右されるために、発現が1代遅れる。

キセニア:トウモロコシの胚乳 うるち米ともち米
被子植物の胚乳は、雌2+雄1=3nの、重複受精を行う。トウモロコシには、デンプン質砂糖質があるが、デンプン株に砂糖質の実、砂糖質株にデンプン質の実、等、おかしな実を着けることもある。これが「キセニア」3n中Sが一個でもあったら、デンプン、sしかなければ砂糖質、と、普通に遺伝しているだけなのだが、実が目的のトウモロコシの栽培者にとっては、衝撃の事実である。稲でも起こる。

細胞質遺伝:オシロイバナの斑入りの葉 ミトコンドリア
核によらない遺伝。細胞質内に遺伝物質があって、勝手に遺伝する。細胞質内なので、母系の卵細胞のみが遺伝する。父系がどんな遺伝をもってようが、全く関係しない。
特にオシロイバナは、いろいろな遺伝子の組み合わせを、葉ごとに分配するため、主に斑入りの葉の株でも、緑葉が混じったりする。

【さっきまでのは序の口でした。本当にややこしいのは伴性遺伝 図表p144~】
*伴性遺伝とは…性染色体上の遺伝

雄ヘテロ型
XY型 XYが雄、XXが雌 人間も入る。
Yなしで、XOが雄のこともある。
XO型の場合、染色体が2本ではなく1本しかないという意味。

雌ヘテロ型
ZW型 ZWが雌、ZZが雄 鶏とか。
雌が1本しかない、ZO型もある。

*性染色体はこれでわかりました。血友病とか、これで遺伝します。伴性遺伝


伴性遺伝:
例えば雄ヘテロの人間・ハエの場合
X染色体だけにある遺伝子は、雄の方が遺伝後即発現する。
逆に言えば、発現していない雌でも、キャリアーの可能性はある。その場合、子供には(特に息子に)半分の確率で遺伝することになる)。
母→息子 父→娘へと遺伝しやすい。
血友病、色覚異常、ハエの白眼、等々。

限性遺伝:
Y染色体、あるいはW染色体上にある遺伝子。
よって、ヘテロ型の性別にのみ、出てくる。
雄ヘテロのY染色体なら、雄のみ。(グッピーの背びれの紋)
雌ヘテロのW染色体なら、雌のみ。(カイコガのシマ)
性別限定の遺伝。

従性遺伝:
性染色体上ではなく、常染色体上にある。
しかし、優性劣性が性別で入れ替わり、たとえば、羊の角は、雄なら発現しやすい優性遺伝である。Hが優勢。しかし雌では、h(無角)が優性で、角ありの雌が少なくなるようにできている。
しかも、角なしの雌からは角ありの雄、角なしの雌が生まれやすいという、女らしい角なし雌羊ほど、男らしい雄羊と、女らしい雌羊を産むという、何ともよくできた遺伝。
性ホルモンが関係する。


【解き方 超技】
単純な数式にして考える。
Aという形質について考えよう。
純系AA×AA=A×A=AAのみ
  aa×aa=a×a=aaのみ
ヘテロ×ヘテロ Aa×Aa=(A+a)×(A+a)=AA+2Aa+aa=AA:Aa:aa=1:2:1
ヘテロ×純系 Aa×aa=(A+a)×a=Aa+aa=Aa:aa=1:1

→お分かりだろうか?
作る配偶子を、比率をそのまま係数に入れて、単純に数式の掛け算にすれば、さして苦労もなく比率が出てきます。係数がそのまま存在比です。
でももちろん表の方が確実。あまりトリッキーな方法を使うと失敗する。

では応用問題。
抑制遺伝子 カイコガのまゆ IiとYy Iが抑制遺伝子 ヘテロ交雑の結果は?
→IiYy×IiYy=(IY+Iy+iY+iy)²
=IIYY+IIyy+iiYY+iiyy+2IIYy+2IiYY+4IiYy+2Iiyy+2iiYy
Iがあればすべて白 iiでYのみ黄色
=白:黄色=13:3
はい、驚くほど簡単に解けました。

逆に、どのような%で発現するかで元の比率を当てることも可能です。
同じ遺伝子型同士を掛け合わせて、84%と16%で優性劣性が発現するとする。
(pA+qa)²=p²AA+2pqAa+q²aa
p²+2pq=0.84 q²=0.16  q=0.4 p+q=1より、p=0.6 
はい、見事に解けました。 元の遺伝子型の比率は60%と40%です。

というわけで、もう比率問題は大丈夫です。

「はい、これで比率問題全て解けると思います。後で問題当たっといてね。易しい奴から順番にね。いきなり難しいのやっても身につかないぞ。
じゃ、次遺伝の組み換え、染色体地図やります。…平気?やめにする?」
「やります。大丈夫です。でもちょっとアイスノン取ってきていいですか? 頭痛くなりそうで。…はい。これで大丈夫。どんとこい!」
「鉢巻すると、すごく受験生っぽいね。ははあ。」
「タオルですけどね。アイスノン入ってます。」
「ペンさすと便利だな。」
「授業お願いします。」

正仏保の生物講義Ⅱ

わかりやすい説明を心がけて書いておりますが、記述式でこの通り書くと多分バツが付きます。記述を求められたら、教科書に書いてあるように、必要な用語を入れて、難しく書いてください。それから、間違いがあるとあっているところがあってもすべてにバツがつくので、間違っていそうなことは書かない、あいまいに知っているところはあいまいに書くのがコツです。少なくとも△で部分点が付きます。0点よりましです。

正仏保の生物講義Ⅱ

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-01-22

CC BY-NC-ND
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CC BY-NC-ND
  1. 動物と植物の細胞 顕微鏡関係
  2. 植物と動物の細胞 細胞の構造
  3. DNA・遺伝Ⅰ
  4. DNA・遺伝Ⅱ
  5. DNA・遺伝Ⅲ