*星空文庫

家の無い

冬夜 流治 作

友の朗読のために捧ぐ

家の無い
家の無いままに

家の無い
家の無い世界で

家の無い
家の無い貧しさに

家の無い
家の無い気ままさに

家の無い
家の無い悲しみを

家の無い
家の無いままの漂いを

家の無い
家の無いままに

家の無い
家の無い世界で

家の無い
家の無いことの無い
家の無いことの無い世界の
家の無いことの無い歓びの
家の無いことの無い豊かさの
家の無いことの無い凡庸な
家の無いことの無い落ち着きで
家の無いことのさみしさの
家の無いことを見下して

家の無いことで
家の無いことの無い人へのあこがれと
家の無いことで
家の無いゆえの楽しさとを想い

家の無いことの無いゆえに
家の無いことの無いゆえの恐れは
家の無いことの無いゆえに
なにも飾らず
家の無いゆえの雨の薫りを
家の無いゆえの土の匂いを
家の無いゆえの日の温みを
家の無いゆえの風の戦ぎを
家の無いことの無いゆえに
逃してしまうこの惜しさよ

『家の無い』

『家の無い』 冬夜 流治 作

ひとつの文字の集まりを繰り返しながら、そこに意味や韻の繰り返しの持つ”奥行”のようなものを追いかけてみる実験。 朗読会のための試作。

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2017-01-12
Copyrighted

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。