虹のカプセル
~1~
うっわぁ・・・
私は、息をのんだ。
それは、久しぶりに帰省した故郷でのこと。
目の前に立つ家は、小さなお屋敷。
真っ白な外壁、大きな窓、立派な玄関。
ここ、で、あってる、・・・はずだけど。
緊張しながら、チャイムを押す。
ぴ~んぽ~ん♪と軽快な音の直後、その家の主は出てきた。
「いらっしゃーい!」
その気さくな声を聴き、私は心の底からほっとした。
ドアを押すと、やはり、沙紀が立っている。
西谷沙紀(にしたにさき)。私、熊井仁菜(くまがいにな)の高校時代からの親友。
3年合わなかった間も、沙紀はやっぱり沙紀だった。
中に入り、そのドリームな感じに驚く。すげぇ。
それにしても・・・
「なぜに、こんなおっきな家を?前は、こんなんじゃなかったよね?」
「うん。でも、前はボロボロになってたでしょ。それに、ここって田舎じゃん?土地が安いから、ちょっと買い足して。」
沙紀が、えへへっと笑う。
「・・・。失礼かもしれないけどさ、沙紀って、お金持ちだったっけ?」
「じ・つ・は。」
「ん~?」
「入籍したの。結婚。」
沙紀がまた、えへへっと笑っている。結婚、ね。ふーん。けっこん、ん?
「えっ、結婚!!!?」
反応の遅い私に、苦笑いしてる。
「うん。式まで言わないつもりだったけど。来るっていうからさ~。苗字はね~、棚橋になったってわけ。」
そっ、そうだったのか。先を越されていたのか。
「でも、すごいよね。旦那さん、どこづとめ?どんな人?優しい?うわ、いいな~!」
驚きのあまり、沙紀を質問攻めにしてしまった。
2人ですっかり話し込んでいると、沙紀の携帯が鳴った。
「は~い。あ、しゅう?うん、友達来てて、うん、は~い!じゃ、そういうことで。」
「誰だったの?」
私は、身を乗り出して聞く。
「旦那。しゅうっていって、修って書くの。沙紀、よかったら見てみない?ご飯食べようよ!」
「え、いいの?!あいさつしなきゃね。」
そうか。修さんかぁ。どんな人だろう。しっかり者かな、優しいのかな、カッコいいのかな・・・
「おい、にーな、手伝えっ!」
沙紀が、キッチンから私を手招きしている。いけないいけない。
「ごめーん、すぐ行くわ~!」
私は、キレイでピカピカのキッチンへと向かった。
虹のカプセル