森のハイウェイ
深き森の泉の底に
仰向いた鏡が反射する月の明かりが、
水面に揺らめく波に揺れていた。
僕の意識は、
風に運ばれてきた岸辺から、
遠く黒き岩山まで飛んでしまう。
夜が明けるまで
目覚めているわけにはいかぬ。
泉の向こうの、森の影に包まれた
深き緑の淵で眠りにつけるように、
疲れさせねばならぬ。
月の明かりに
僕の意識が小さくなって散乱して、
風と波に散りばめられていく。
森に浮かぶハイウェイを疾走する
僕の赤きバイクの単気筒エンジンが
闇の中で静寂を震わせていった。
アクセル、宇宙を滑るコントロール。
道を覆う樹々の葉の影は、
月に輝くアスファルトに漂っている。
森のハイウェイ