森のハイウェイ

深き森の泉の底に
仰向いた鏡が反射する月の明かりが、
水面に揺らめく波に揺れていた。

僕の意識は、
風に運ばれてきた岸辺から、
遠く黒き岩山まで飛んでしまう。

夜が明けるまで
目覚めているわけにはいかぬ。
泉の向こうの、森の影に包まれた
深き緑の淵で眠りにつけるように、
疲れさせねばならぬ。

月の明かりに
僕の意識が小さくなって散乱して、
風と波に散りばめられていく。

森に浮かぶハイウェイを疾走する
僕の赤きバイクの単気筒エンジンが
闇の中で静寂を震わせていった。

アクセル、宇宙を滑るコントロール。
道を覆う樹々の葉の影は、
月に輝くアスファルトに漂っている。

森のハイウェイ

森のハイウェイ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 冒険
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-07-18

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted