点と時

空間。
そして、過ぎ去った
かつての点。

僕は、壁に向かって、
記憶を辿る。
額縁に嵌め込まれた
友人の自画像。

ガラス窓から、
モネの深き緑の池に浮かぶ日差が見える。

記憶の裂け目に、
ディオニュソスが見える。
砕け落ちた神殿。
盗まれた神託。

世界を写し取る
僕の友人。
君が見るべきことを描き留め、
僕に教えておくれ。

隠れた時を揺り起こし、
その点に嵌め込まれた装置を、
組み立てた者の名を呼び起こせ。

再び、この額縁の前で、
線と色が、時間と空間を生み出し、
切り取られた不連続が、浅い眠りを誘発する。

点と時

点と時

  • 自由詩
  • 掌編
  • 冒険
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-07-18

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