点と時
空間。
そして、過ぎ去った
かつての点。
僕は、壁に向かって、
記憶を辿る。
額縁に嵌め込まれた
友人の自画像。
ガラス窓から、
モネの深き緑の池に浮かぶ日差が見える。
記憶の裂け目に、
ディオニュソスが見える。
砕け落ちた神殿。
盗まれた神託。
世界を写し取る
僕の友人。
君が見るべきことを描き留め、
僕に教えておくれ。
隠れた時を揺り起こし、
その点に嵌め込まれた装置を、
組み立てた者の名を呼び起こせ。
再び、この額縁の前で、
線と色が、時間と空間を生み出し、
切り取られた不連続が、浅い眠りを誘発する。
点と時