空虚
グラウンドから 乾いた打球音が聞こえた
白球が夕陽に照らされながら
大きく放物線を描いてグローブに収まる
それを横目に 僕は独り歩いている
下校する生徒で溢れかえる校門前
誰が誰と付き合ったとか
誰のことが嫌いだとか
そんな喧騒に耳も貸さず
僕は独り歩いている
国道を走る車の群れが
甲高いクラクションを鳴らした
口を開けば溜め息ばかり 僕はもう疲れたんだよ
ゴミ袋を漁るカラスがこっちを向いた
漆黒に光る瞳に映る僕は ひどくやつれている
カラスが赤い空に飛び立った
今日はまるで昨日のようだ
昨日はまるで一昨日のようだ
日付感覚もすっかり失い
学校があるかないかだけで明日を確認する
無気力に生きる僕は、まるで。
空虚