空虚

グラウンドから 乾いた打球音が聞こえた

白球が夕陽に照らされながら

大きく放物線を描いてグローブに収まる

それを横目に 僕は独り歩いている



下校する生徒で溢れかえる校門前

誰が誰と付き合ったとか

誰のことが嫌いだとか

そんな喧騒に耳も貸さず

僕は独り歩いている

国道を走る車の群れが

甲高いクラクションを鳴らした



口を開けば溜め息ばかり 僕はもう疲れたんだよ

ゴミ袋を漁るカラスがこっちを向いた

漆黒に光る瞳に映る僕は ひどくやつれている

カラスが赤い空に飛び立った



今日はまるで昨日のようだ

昨日はまるで一昨日のようだ

日付感覚もすっかり失い

学校があるかないかだけで明日を確認する



無気力に生きる僕は、まるで。

空虚

空虚

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-01-07

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