宿り雨


小雨を傾けてから
気づく気配は
湿っぽさに汗ばんで
昼下がりに困ってる。


意識した軒先で
雫が地面に落ちていく。
粘り気はもう
自重を忘れた。


足元で分裂して
常温に浸ってく。
摂氏何℃なんて知れない
肌下で震える冷気を気にしてる。


間合いを千切る細胞に
引っ張られてたまらない。
息吐く時の外側が漏れて
傘を開けない両手がこもる。


傘の雨音を忘れそう。
かたつむりの皮膚と 私が濡れてく。

宿り雨

宿り雨

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-07-17

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