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“Schizophrenia” “Depression”
息を 抹殺するように 透明。
蒼白い命の火を 凍結させた アノニマス。
永久か、
それに ずっと 近く。
命が あるかぎり
いつまでか
どこまでか ・・・・・・。
実感のなかで、
ひとり。
実感。
半分こ もできずに、
ひとり。
ふたりではなく、
なおも ひとり。
「ひとりどうし。」
ある日 唐突
送られてきた 「名前」。
突き刺された 「名前」
隔てられた 「名前」
罪人の彫り物か 黄色いユダヤのバッジみたいな
逃れようのないリアリティ 街角の中で人々に紛れ込んで
「名前」。
別々の名前。
決して
知られてはならない名前。
そして
知ってくれている名前。
ひっそりと 秘めあって
電話かけたり、 待ち合わせたり
別々で 生きなくてはならないけど
ときどきは 別々のまま
誰もいない 平日の夕刻のカフェ
一緒にいる 名前。
人々の中から
-1。
-2にもなれない、
-1が ひとりずつ。
-1と
もうひとりの -1。
-1と-1が
ひとりずつ。
いま
ここで
ひとりずつで
ふたり。
いつか
ふたりで
この世界のなかで
-2になることを 待ちわびながら。
「・・・・・・ひとりどうし?」
教えてくれ、
「恋人よりも 夫婦なんかよりも
もっと 深い感じがするわ」
って、
どういう意味なんだい?
-2
Schizophreniaとは「統合失調症」、Depressionは「鬱病」。
鬱病を病んで、まだ間もなかった若い頃に、統合失調症の女性と閉鎖病棟で知り合い、退院後にしばしば会っていたころを描いた作品。
今では「メンヘラ」という言葉でカミングアウトしやすくなった精神病も、僕の若い頃は病名を誰かに告げることは容易ではなかった。
まして保守的な田舎の地方都市に住む人間にとっては。
そのころは統合失調症のことを「精神分裂病」と呼んでいた。
個人的には、この精神分裂病という名前の方が、社会的に置かれた位置の苛酷さを正確に表していると思う。
作者ツイッター https://twitter.com/2_vich