春生志乃

朝

障子の隙間から、光が差し込んだ。
座敷全体が隅の方から明るくなり始め、私の目元まで届いた。
その時、私は目を覚ました。
カーテンなどは要らない。
カーテンをつけてしまえば、私は目を覚まさないだろう。
毎朝徐々に障子の隙間から入ってくる光で、私は目が覚めるのだから、カーテンなどをつけてしまえば、私は目を覚まさない。
私が目を覚まさない事を望むものもいるのかもしれない。
そう思うのなら、私の座敷にカーテンをつければいい。
きっと誰がやったかなんて、どうやって死んだのか、なんて解らないだろう。
ただ、瘦せ細り、そのまま生き絶えていくのだ。
そんな人生も悪くない。
けれど、私はまだ読んでいない、溜めている小説が山ほどあるので、死ぬ訳にはいかないのだ。
諸君よ、私は障子の横に座椅子を起き、諸君がカーテンをつけに来ないように見張らなければいけない。
その間に、私は読み溜めた小説を読んでおこう。
何度も言うが、諸君がいつかカーテンをつけに来るのを阻止するためにだ。

朝の話

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
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