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私すごいは聞き飽きた
わたあめおいしいのほうがいい
クリームパンみたいな憂鬱
打ち間違いから生まれる幸せを
信じて飲み干して胃が痛い
嘘をつけないから耳も痛くて
イヤホンからはいつも血が流れていた
殺してくれない赤色の音楽を
君がラブソングと読んだから
人差し指と中指で流行り遅れのハートを作った
わたしすごい!
晴れるのも大変さをこせるのも
私、だから だから?
だから、なんだって言うんだろうね
思い込みで造られていく理想郷に
わたしは住みたくなんてないのに
いつの間にか住民になっている
最高にゆううつ
私すごい!だから?だから、私!
世界に私しかいないから
君は永遠に可哀想なんだろうね
そう言って神棚から見下ろして
わたしの幼さを許そうとする。
金網越しに見たせかいの美しさだけを
信じていたかった 生きたかった
無理だった
私すごい!狭い世界で君が笑っている



20161103

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-12-31

Copyrighted
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