78

黒髪のおんなのこの手を君が握る
わたしはそれをじっと見ている

隠れもせず
正面からじっと
じっと見ている

その視線は君の心臓を通りぬけ
遠くへ 遠くへ 飛んでいく

せめて君のおんなのこのその黒髪に
呪いとして染み込んでくれればいいのに
そんな願いは叶わない

走り去っていくふたりの愛と
風にたなびく彼女の黒髪は
憎むことも面倒になるくらい美しかった

死んでほしい
それが無理ならせめて
かっこよく走り出した君が
なにかの角に小指をぶつけて
のたうち回るところを
世界中の人間に見せて欲しい

そうでなければ報われない
わたしの視線が報われない


20160914

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  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-12-31

Copyrighted
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