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結局どう転んだってお前は死について本気で考えなくて済んだタイプの人間なんだよ。山を挟んであっち側とこっち側でそれぞれがそれぞれのさいわいを探している。空は遠いよね。君の友達は世界を回って自分を作って、ウユニ塩湖に自分の人生を写しだりしながら生きているのかもしれないけど、私の友達は地べたを這いずり回って全員死ねって本気で願いながら誰かのネガティブな人生に自分を重ねあわせたりして生きている。キラ☆キラと輝く君のセカイを本気でぶっ壊してやりたかった。星も月もお前らのためにあるなら、僕なんかは何を信じて生きていけばいいんだろう。左手首から腕だけがわかりやすく傷だらけで、君に笑われても仕方ないように思えた。それでも、生きてきた僕を君が抱きしめてくれる。君だけが抱きしめてくれる。嘘にまみれた世界が、だから、好きだ。なくさないのは唯一憂鬱だけ。



20160819

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  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-12-31

Copyrighted
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