偲
春に埋めた想いを
夏に慈しみ秋に育てた
とうとう蕾をつけたけど
冬には枯れたその花に
名前は与えていただろうか
もうその名を口にする事はないけれど
あの頃きっと呼んでいただろう
芽吹くとは限らない
心ではそう知っていたのに
どうしてこうも切ないのか
果ても掛け値も打算もなしに
ひたすらに愛していた私の花
枯れて随分経つけれど
その日々を確かに覚えている
今はもう種を埋めもしないけど
今でも胸に宿る果実を
時折食んでは懐しむ
私の愛したその花を
懐かしく偲びながら
誰かが咲かすその花を
焦がれて眺めながら
偲