Iさん考察日誌
Iさん考察日誌
Iさんの直属の部下であるFさんは
私の入社と一か月の入れ違いで退職された。
一か月の間はともに仕事をし、簡単な引き継ぎ業務などを行った。
Fさんは上司であるIさんを「パンチの効いた方」との表現にとどめていた。
Iさんについてどうのこうのは語らず、Iさんを慕っていたのか嫌っていたのか、その真意は分からないまま退職した。
成人した娘さんがいることと、昨年個人情報流失事件を起こした、問題児(問題おっさん)であることを、引き継ぎ作業の最中に、思い出したように教えてくれた。
また、この事務所は人とトラブルを起こしたり、体調を崩し復職のリハビリのためにならしでくるなど問題を抱えた職員が流れる場所でもある、とのこと。
その問題社員の一人がIさんであるとはいうまでもあらず然として。
私のポジションとFさんのポジションは、嘱託社員に等しく、決して重要なポストではない。(Iさんは正規の職員だが、なぜか私たちと同様のノリである。)私とFさん(Iさんも)は機械でいう「アソビ」の部分であり、なければないでまずはやっていけるのだが、あった方がよい、あれば助かるとのことだけである。
そのため、仕事がないときは非常に暇でありそれは苦痛ですらあるのだ。
基本的なルーティン業務を済ませれば、あとは急務がない限り暇になるのである。
(スチャダラパー/暇の過ごし方参照)
暇なので私とFさんは社内をふらつきながら無駄話をするのだが、当然表面的な世間話のみである。(出身、前職の話など)
Fさんは非常に丁寧で謙虚に見えるのだが必要以上に自分を卑下するようなタイプで、それはつまり不遜のように思える人である。自己防衛のために丁寧にする度がかなり強い。何から自分を守っているのだろうかは不明であった。
おどおどしたような態度とは裏腹に、自分のデスクにの自身のポートレイトを挟んでいた点も気になる。
私は入社3日目にして、大胆にもFさんは私用のプリントを職場の機械を使い、加工する場面に出くわした。
加工道具のある部屋は、物置倉庫のような所で、基本的に作業をする人しか利用しない。
私はたまたま仕事があったためにそこにいたのだが、Fさんがあらわれ、世間話をしながら自分の趣味のプリントを当然のように加工しはじめた。
「このくらいなんともないんです。ええ。」といった具合に。
当時はよくもまあ、そんな大それたことができるなぁ、と驚いたのだが、ほどなくして、この職場では私用を淡々と初めてしまうほど恐ろしく暇であることを痛感することとなる。
Fさんは、真面目なようで裏がある人物なのだ。とてつもなく黒い過去を秘めてそうなのだ。(私もだが)
Fさんに対する軽い疑念を確固たるものにしたのが
Iさんの愚痴である。
「Fくんはよぉ、自分のものを職場の印刷機を使ってなにかコピーしててよぉ、ほっだな少しでなくありえねぐらいしったんだ。かなりやべぇよ。」
(自分も自身の診察券などを職場のラミネートを使用し加工している)
やはりFさんは大胆不遜なのである。実は怪しい人物なのである。
大胆な数の職場の備品を使用していたのだ。
そして、Fさんは退職する前に暴挙にでる。
Fさんは別の課にいる自分よりすこし年上(40前後)のおねえさんとよく話していたのだが、最後だから記念に写真を撮りたいと、カメラを私によこしてきた。仕事中のおねえさんをどこからともなく捕まえ、わざわざ連れ出してきたようだ。
Fさんが「最後なので記念に写真をとりたい」といった際、おねえさんは自分とFさんのツーショットをとるのだと気付かず、私と写真をとろうとしたのだが、Fさんはめげずにツーショットを申し込んだ。
カメラを構え、二人にならんでもらい、いざ、シャッターをおすとなったその瞬間、
なんとFさんはおねえさんと肩を組みだすようにFさんに体を密着させたのだった!
腰に手をまわしたのであった。
驚くお姉さんと私を横目にFさんは笑っている。
最後だからといって暴挙にでたのである。
私は反射的に「キモい!」と叫んでしまったがもはや彼の耳には届いていなかった。
さながらそれは地獄絵図であった。
さらにおねえさんによると
FさんはIさんに忠実であるように振る舞っていたのだが、アンチIさん一派だったという。Tさん(女性)とともにIさんと蔭で対立し、もともとIさんと不仲であるTさんに同調していた。
そこは私が入社するまではかなり殺伐とした、緊張感漂う空間であったと教えてくれたのだが、
特筆すべきはIさん本人からはFさん・Tさんと対立し気まずい思いをしていたとう類の話を一切聞いてはいない。
推測するに、Iさんは、Tさんが好きではなくまたおばさんだったために自分から協力することは一切ない、とのことだけで
相手から敵意を持たれてていたなどのマイナス面を認識してないのである。
「自分は好きではない」の一方通行だ。「あなたも相手に好かれていなかったのだよ」というのはかなり野暮指摘になるのである。
Iさんはもはやそういった次元にいるのではないように思えるし、一方でかなり俗な悪口などを言うのである。
だれも彼の土俵には上がれず、結果一人相撲をし翻弄される形になるのだろうか。
それでは、Iさんの一人勝ちである。
やはり、人の反感を買っていることなど意に介さず
日々、上司どころか社のトップの前で延々と雑談を繰り広げ、堂々とふるまう彼は
皆を呆れさせイラつかせ、つまりそれによって皆に希望とエンターテイメントを与えているのだ。
ちなみに彼は、毎月徴収されるお茶代の会費を払わず、堂々とコーヒーを飲んでいる。
「本当は会費はらってねえから飲んじゃ悪いんだけど・・・」と私に小声で話しかけつつも、誰よりも飲んでいる。
あっぱれだ。
そんな彼の御蔭で、私も気後れしながら職場のコーヒーを飲めるのである。(私はろくな仕事もないのにお茶は飲むような女と思われたくなくずっと遠慮をしていたのだが)
Iさんの考察は続きます。
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