天に向けて拳を創る

私は中学の頃から読書が大好きである。そのなかでも学生の恋愛ものが好きだ。今まで自分で小説を自作してみようとは考えたことがなかったが、大学であるラノベのラブコメにはまってしまい、自分でも自作してみたいと考えるようになった。そのためそのラノベの影響を受けているため、「奉仕部」などといってシチュエーションが出てくるが、あくまで趣味で初心者なのでご容赦願いたい。いつかは完全に自分の物語を書いてみたいと考えてるので、読者の皆様はできればやさしーくアドバイスや感想をいただきたいです。

~俺はいやいや門をくぐる~
高校二年の春、おれは重い足取りで自転車をこぎ、今年度最初の学校に向かっていた。おそらく全国の高校生が、新しいクラスでの学校生活を期待する中、友人が少ない俺には地獄の日であった。おれの高校は山の上を無理やり切り開いた丘の上にある。そのため自転車通学生は毎日足腰をきたえてトレーニングをさせられる感覚だ。偏差値は非常に高く、国立の高校だ。正直国立でなければ誰も入学したがらないような場所にある。
若松「ラストこの坂を超えれば着く」
と独り言を言いながら坂を登っていると、後ろから少し高めの声の聞き覚えのある声が聞こえた。
加賀「おーい若松!まてって!一緒にいこうぜ!てか歩こうぜ!」
汗だくのその声の主は加賀浩二。おれが高校ではじめてできた友達である。こいつはテニス部に所属していて、我が校のエースだ。去年は北信越大会の切符は逃したものの、県内ベスト4という、いわゆる文武両道タイプである。そのため女子からの人気も非常に高い。
加賀「若松と同じクラスなればいいなー」
若松「お前理系だろ?文系志望の俺と同じクラスになるわけないやん」
加賀「ワンチャンあるっしょ!」
若松「ねえよあほ」
と何気ない世間話をしながら歩いていると気がついたらもう校門を過ぎていた。
加賀「やっぱ話しながらだとあっという間だよなあ、授業もこのくらい早く時間経てばいいのに」
まったくそのとうりである。なんで話しながらとか、遊んでる時とか時間ってあっという間なのだろうか。この現象に名前をつけたいくらいである。
そうこうしているうちにクラス分けの掲示された掲示板の前まできた。なにやら周囲は友達と一緒のクラスになったとかで大賑わいをしている。まるでうちの近所のお祭りのような騒ぎだ。
加賀「あちゃーやっぱ若松とは違うクラスかー」
若松「あたりまえだろ、おれは文系なんだから」
そう言いながら自分のクラス表をみると案の定友達はいなかった。まあ学内での友達は加賀しかいないのだから当然なのだが。そもそもなんで加賀と友達になれたかというと、たまたま1年の入学式で隣同士でテニスの話で盛り上がったからである。
こう見えて私若松健は地味にすごいテニス選手だった。幼稚園からテニスを習い、中学二年の時には世界ジュニア全米オープンのチャンピオンだった過去もある。しかしあくまで「だった」である。決勝戦の最中に母が病でなくなったのだ。俺は母が亡くなる直前にお見舞いか、決勝戦かを悩んでおり、試合を選んだ。そのため死に目に会えずひどくテニスと自分に罪悪感を感じていた。それを引きずって翌年には一回戦で敗退し、肘が故障したのを期におれはラケットを離すことにきめた。テニス選手よりも勉強をしっかりして、いい大学に進学して、公務員とかに就職すればよっぽど堅実的だと考えたからである。そのため俺は必死で勉強して県内トップクラスの偏差値の石川大学附属高校に入学を果たした。
親が離婚し、母方の方に引き取られたため、苗字が鈴木から若松に変わった。当時の中学テニス界では鈴木健を知らないものはいなかった(多分)が、若松に変わり、髪を伸ばしてメガネをかけてる現在の自分の経歴を知っているものなどいなかった。むろん加賀にもこの秘密は話していない。昔の自分と比較されるのが嫌だからだ。
がらがらっと教室の扉を開けるとそこには新しいクラスメートがいた。みんな話したことない友達である。さらに三分の二が女子であった。おれは女子にはコミュ障というスキルが最最大限に発揮してしまうタイプである。そのため自分からは絶対に女子には話しかけない。
若松「はあぁぁぁ、帰りたい」
深いため息をつくと後ろからぽんっと背中を叩かれた。
千里浜「若松くんもFクラスだったんだー!」
若松「どちら様ですか?」
千里浜「ひどっ!去年まで同じクラスだったのに!忘れたの!?」
むろん本当に忘れたわけではない。彼女は千里浜有美。1年時に同じクラスで、童顔で茶髪のいわゆるモテる系女子だ。彼女は一番カーストの高いメンバーのひとりで、俺みたいな引きこもりと話をするタイプではなかった。しかし千里浜は1年の後期に急におれによく話しかけてくるようになった。理由は分からないが、明らかになにか態度が変わった気がする。もしかして好意をもたれてるのでは?と最初は考えたが、すぐにその考えは否決された。なぜならおれはいわゆるカチ闇の部類で、そのうえ顔も死んだ魚と呼ばれるくらいの顔立ちである。いや、こうみえて中学の時は女子にキャッキャ言われてたんだよ?テニスもやめて、髪型も変えるとここまでモテなくなるのかと絶望するくらいまで落ちてしまった。
千里浜「ねー若松って部活なに入るかきめた?」
若松「??何を今更、おれは部活なんて入ってないぞ?」
千里浜「違う違う!今年から二年生も何かしらの部活に入部しないといけないみたいなんだよ!わすれたの?」
そうだったのか!?俺の中に旋律がはしった。そういえばたしかそんなこと昨年度のホームルームで言ってたような。夢かと思った。
若松「まじか、、あれは夢ではなかったのか、、」
千里浜「どんだけおちこんでるのー!?でも結構楽そうな部活見つけて適当に入ればよくない?」
若松「たしかにな、なにか楽な部活ねえかなー」
そうため息をついてると、千里浜が嬉しそうにある部活の広告を机にドンッと叩きつけるように置いた。
若松「なんだこれ?奉仕部?」
千里浜「そう!去年からできたみたいで、部員もほとんどいないみたいだし、一緒にはいろうよ!」
若松「嫌だ」
千里浜「即答!?少しは考えるフリしてもいいんじゃない!?」
若松「こんな社畜みたいな部活お断りだね、ただの雑用係じゃん」
おれはめんどくさ気に言葉は並べた。
若松「そんな得体の知れない部活には入らないぞ、それに家の事情でバイトとか許可得ている学生は部活入部は強制ではなかったはずだし」
そう、おれは現在コンビニでバイト中だ。居酒屋のような大人数で楽しくって感じのアルバイトよりも、コンビニで1人黙々とレジする方が自分ににあっている。中学時代と比べるとほんと現在の自分の性格が変わりすぎていることに驚いている。昔はこんなんじゃなかったんだけどなぁ。
若松「ってことでお前友達多いんだし、そいつら誘えよ、おれはパスだ」
千里浜「・・・・・・」
千里浜が悲しげにこちらを見つめていると、ホームルーム開始のチャイムがなった。みんながそそくさと自分の席に座り、先生も教室に入ってきて今年最初の学校の幕が上がった。
最初の登校日のため学校は午前におわった。ようやくかと、安堵の表情を浮かべたおれは荷物をまとめて下校の準備をすると、背後から先生に話しかけられた。
木村先生「若松―、ちょっといいか?」
若松「・・なんでしょうか?」
木村先生「お前部活はじめてみないか?ちょうど奉仕部を募集してて」
若松「あ・・いや・・おれ家の事情でアルバイトをしてまして・・」
木村先生「そんなこと知っている!でも土日だろ?平日にだけ来てくれればいい」
紹介し忘れたが、この先生は木村一先生。テニス部の顧問兼奉仕部の顧問で、優しく親身に生徒に接するとても人気な先生だ。たまーにこの人が放つ言葉は重みがある。ついでにこの人は俺の正体を知っている。テニスの顧問だけあって、入学式にすぐに気づいて話しかけてきた。
若松「まあ、そうなんですけれども・・・、気乗りはしません。」
木村「ならば週一回でもいい、顔出すだけでもいいから」
若松「・・・・・」
 しぶっていると木村先生が少し怖い真面目な顔で、
木村先生「今のお前を変えるきっかけになるかもしれん、、いつまで洞窟にとじこもっているつもりだ?」
おそらくこの人は現状の俺をどうにかしたいのだろう、入学当初からよくおれに話しかけてくる。過去の栄光を知っているからこそ、おれにもう一度輝いてほしいというのがこの人の願いなのだろう。
若松「分かりましたよ・・幽霊部員になってあげますよ」
木村先生「そうこなくっちゃ!早速このあと部活の説明をしたいから奉仕部部室に来てくれ!よろしくな!」
そうおれに言い残すと先生は足早に職員室に向かって走っていった。そしておれは重い足取りで部室に向かって進みだした。この入部という出来事が後に多くの騒動に発展するとはしらずに・・。

~美女と魔王~
足かせをハメられてるように俺はゆっくり部室に向かった。部室は本棟とは別の別棟のとこに有り、距離も少し離れている。教室の目の前についた俺は「奉仕部」と可愛くデコられた紙が貼られている扉を恐る恐る開けた。
若松「大人数とかだと面倒だなあ」
教室を開けるとそこには千里浜ともうひとり・・、誰だ?
千里浜の横に居たのは、美しさのあまり思わず呆然としてしまいそうなほどの女生徒が座ってこちらを見つめていた。まるで全てを見透かしていそうな・・そんな目をしていた。
鳴和「こーんにちは!!、君が噂の若松くんかー、先生からさっきメールできいたよー!それと千里浜ちゃんからも・・ニコ」
千里浜「ちょっつ先輩!なんでいうんですかー!汗」
先輩ということは三年生か・・それにしても美人すぎるだろ!!こんなの反則だ、顔はもちろん体型も素晴らしい、俺よりも少し小さいくらいの身長と制服から突き出ている胸に俺は卒倒しそうだった。いや、だって男の子だもん。
鳴和「あれぇ?どうしたの?もしかしてお姉さんにみとれていた!?ニコ」
千里浜「ちょっつ初対面で惚れるとかきもいよ!?何考えてるの!?」
若松「別になんもねぇよ、この人誰?てか二人だけ?」
鳴和「いろいろ聞きたいことがありそうだねぇ、まずは自己紹介しようか!」
そう言って先輩は教壇の机の上に座り話し始めた。
鳴和「私は鳴和沙織!三年生で今はこの奉仕部で部長してまーす!あっつちなみに部員数は君合わせて3人だよ?笑」
手馴れた感じで自己紹介したこの人はどことなく家系のいいお嬢様に見えた。
千里浜「てか若松先輩のこと知らないの?!学内では有名人だよ!」
なんとなく思い出してきた。たしか一個上の先輩に完璧超人がいるって話を加賀に聞いたことがある。テニス個人で北陸一位、全国ベスト8にして音楽ではバイオリン、ピアノで全国優勝、模試では全国トップ10に入るほどの文武両道完璧超人で数々の男性を虜にしてきたとかどうとか・・・
鳴和「あたしのこと知らないと人ははじめてだなぁ!なんか悲しいー照れ」
若松「覚えてなかっただけです、いまなんとなく思い出してきました。」
鳴和「だとしてもはじめてだよぉ!!なんだかますます興味が沸いてきた・・」
彼女は急に冷静に放った言葉に少し凍りついた。そしておれは一瞬で見抜いた。この人は自分の何かを隠している。彼女の社交性のある話し方はおそらく「本物ではない」。真っ黒い本物の上にウワベというペンキで塗られているのではないか。
鳴和「何を考えているのかなぁ?」
ふと目の前に急に先輩が俺の腕に抱きついてきた。俺はもちろん千里浜も唖然と口を開けている。そして地味に胸も手にあたっている。いやうれしくないよ??多分・・
鳴和「よ・ろ・し・く・ね」
若松「うっつ・・・」
鳴和「もーーう!!可愛いー!!若松くんは年上が好みなんだね!」
若松「ちがいますから!」
ふと千里浜に目を向けるとひいた目で俺を見ている。
若松「というかこの部の活動内容とか諸々説明うけたいんですけど!」
にやにやしながら先輩は何もかも見透かした目で俺を一瞬みてから、活動内容の説明をその場で始めた。教卓に座っているからパンツがが見えそうなのをぐっとこらえながらおれは話を聞いた。
鳴和「それでは説明しましょう!この部活の名前は奉仕部!ざっくり言うと、ボランティアをします!生徒や先生から依頼を受けてそれのお手伝いをするのが基本だね」
若松「なんだか随分おひとよしな部活動ですね」
鳴和「まだ話の途中だよぉ~?この部活動で多くの実績を残すとなんと、校長から大学への指定校推薦がもらえるのです!」
若松「!?」
千里浜「!?」
鳴和「二人共食いついてるねぇ?笑」
そんなのあたりまえだ。指定校推薦・・・それは大学合格への一番の近道だ。普通大学へ進学する場合は二月、三月に筆記受験して合格しなくてはならない。ただその筆記試験を免れる手段が大きく二つある。それは自己推薦と学校長推薦だ。学校長推薦は自己推薦の上位互換と言っていいだろう。しかし学校長推薦にもさらに上が存在する。それが指定校推薦だ。この方法ならほぼ間違いなく大学へ合格することができる。しかも10月あたりに・・・。ただこの指定校推薦相当に資格を得るのが難しい。三年間の定期テストで評点平均4.7以上が必要だ。つまり毎回全教科を80点以上維持しないと厳しいのだ。しかしうちの高校は指定校の大学先が有名私立国立ばかりで、指定校推薦をとるとそれは人生の勝ち組をいみするのだ。
若松「モチベーション上がってきました。」
千里浜「私評点全然足りないからここで逆転できるかも・・」
 若松「んっつ?でも先輩なら推薦得なくても難関大にくらい合格できる学力ではないんですか?」
鳴和「私は早く合格してあそびまくりたいのー!!」
若松「そうですか・・・」
ほんとにそれだけの理由なのか気になったが深くは突っ込まなかった。
鳴和「ってなわけで!部長としてみんなの長所短所把握したいから、まず千里浜さんの事教えて!」
 千里浜「あっ!あたしからですか!うーん、小中学校でテニスクラブ入ってたんでテニスは少しできます・・あと体力と元気ももりもり!!」
元気もりもりとか久しぶりにそんな表現きいたぞ。
千里浜「でも調理できないし、服装のセンスもあまりよくないらしい・・」
 若松「どんなファッションしてんだよ、ちょっと見てみたいじゃん笑」
 千里浜「うるさい!!若松にはみせないからかんけいないでしょう!」
 若松「さいですか・・」
鳴和「はーーい夫婦喧嘩はそこまでで。うーーんなるほどだいたい理解したわ」
それにしても千里浜はテニスクラブ出身だったのか。テニスというのは普通中学か、高校から部活動をとうして始める。しかし部活に籍をおかず、ジュニアクラブでテニスをしている学生もおり、早くて小学校からはじめてるものもいる。ジュニア出身と部活動出身は同じ経験年数でもだいぶ実力に差が出る。圧倒的にジュニア出身の方が強い。おれがジュニアに入っていた頃、同学年で一番弱い奴がいたが、そいつは今ある高校のエースをしているという。なのでクラブ出身と聞いて千里浜のテニスができるという長所におれは深く納得した。
 鳴和「じゃあ次は若松君の番だよ!」
 若松「おれは・・・特にこれといった長所はないです・・勉強もできないし」
テニスができる、運動神経がいいとは言えなかった。なんで言えなかったのかは自分でもはっきりしない。多分過去のスポーツ万能の自分から逃避したかったのだろう。
 千里浜「若松たしかに成績悪いけど英語はたしか成績良くなかった?学年一位って聞いたけど」
なんでこいつおれの成績知ってるの?怖いんだけどブルブル
 鳴和「そうなの?」
 若松「ええ、一応英語は得意です・・」
 鳴和「じゃ英語が得意っていう長所だね!!ちゃんと長所あるじゃーん!」
別にそんなすごいことではない。小学時代から中3までアメリカで暮らしていたんだ、英語はもはや母国語並だし、むしろ日本語よりも自信が有るまでである。あと地味にテニスの次にバスケが得意だなぁ、むこうでは公園のごとくバスケコートが置かれてあったし。
 鳴和「若松くん他にも長所かくしてるでしょ?」
 若松「!?」
不意をつかれた鳴和先輩の言葉におれは言葉が出なかった。
 鳴和「私がみるかぎり君すごく運動神経良さそうだけど、しかも相当すごい能力・・」
この人は何者なんだ、おれの体格は身長は普通だが細身で決して運動が出来そうな体格にはみえない。全米Jrで優勝したときはトレーニング効果もあり少しは筋肉が締まっていいたが、辞めたあとはただの細身の男にしか見えないはず。それを服の上から察するなんて・・・鳴和先輩侮りがたし・・
 若松「・・・かいかぶりすぎですよ・・・おれはこう見えて去年の体力測定はクラスで一番ビリです。」
もちろん本気で体力測定したわけではない。適当に流してたらまさかのびりだったのだ。
 鳴和「ふーーーん、ならあたしの勘違いかなぁ」
 千里浜「若松・・・」
千里浜が憐れむように俺を見ている。そんな目で見ないで!なんか恥ずかしいんじゃん。
 若松「先輩はなにか長所あるんですか?」
なんとなく返ってくる言葉はわかっていたが、
 鳴和「あたしはなんでもできるよ!運動も勉強も「完璧に」ね?」
 若松「そうですか・・」
完璧・・その言葉は理想論だ。この世に完璧、完全なんて存在しない。ただ・・この人はその言葉に近い何かをもってるのかもしれない。

~初の依頼~
鳴和「さて!!そこでいきなりですが早速依頼が来ております!」
 若松「えっもうするんでうすか?」
 鳴和「あたりまえでしょー??指定校取りたくないの?」
 若松「うぐっ」
 千里浜「そ、それでどんな依頼なんですか?」
 鳴和「ある悲運なバスケ部を救ってもらいます。」
 若松「悲運?」
 鳴和「我が校ではバスケ部があるんだけど、去年から深刻な部員不足なの、去年は部員不足で大会にすら出場してないわ」
 若松「バスケってたしか5人いれば出れますよね?5人もいないんですか?」
 鳴和「4人だね、しかも来週行われる大会で一回戦を勝たないと廃部が決定するらしいわ」
 若松「来週ってもう時間ないじゃないですか・・」
 千里浜「その期間だと新入生の入部を待つのも際どいね・・時間的に」
 鳴和「そのとうり!だから若松君には五人目の助っ人部員としてバスケ部の一回戦勝利に貢献してもらいます。わたしと千里浜ちゃんは新入生の勧誘活動だね。10人は集めるわよ!」
 若松「ちょっ!それ無理ゲーじゃないですかね!おれの責任重大すぎるじゃないですか、負けたらどうするんですか」 
鳴和先輩は一瞬笑みをみせすぐにこういった。
 鳴和「勝つか負けるか・・それ以前に君が出ないとイコール廃部が決まるわけだよ?」
 若松「それはそうですけど・・・」
バスケは得意だがあくまで遊びのバスケだ。球技としてのバスケ経験はない。遊びの奴らとガチ選手は選手としての質が全然違う。それはテニス選手だった俺が一番よくわかっている。
 鳴和「ちなみにこの試合に負けたら指定校の話もかなり危なくなるわね」
 千里浜「そうなんですか!?」
 鳴和「あたりまえでしょう!実績が命なの、実績がない人にチャンスはもらえないのはとうぜんでしょ?・・あとね、若松くんには試合当日に部員と組んでもらうわ」
 若松「それって5人で練習せずにいきなり当日一緒に試合しろってことですか?」
 鳴和「そう!明日から体育館の改装でねぇ」
 若松「相当勝算が低いですね・・部員もいなくて練習もできないとは・・」
俺が呆然としていると先輩が目の間にきた。なにこれすごくいい匂いする。
 鳴和「この依頼は単純なものではないの、でも・・君なら大丈夫だよ」
そう言われ初日の部活は終了した。ってか先生顔出してねぇし!
ただ先輩の単純でないという言葉が引っかかる・・・。
帰り道は途中まで千里浜と一緒だった。千里浜は心配した顔で、
 千里浜「大丈夫若松?」
 若松「大丈夫じゃねぇよ・・ただ・・」
 千里浜「ただ?」
 若松「俺たちがやらないとバスケ部員は願ってもない廃部に追い込まれるのはかわいそうだ・・」
おれは自分から願ってテニスを辞めた。世界一までなったのにその世界一のテニスを捨てた。それはおれが願って捨てたことだ。バスケ部はまだまだ続けたいのに無理やり廃部の危機にさらされている。世の中不平等だ・・・。
 千里浜「若松は優しいね・・」
 若松「そんなんじゃねーよ、ほとんど指定校推薦が目的だからな、負けるわけにはいかない」
奉仕部の後バスケ部の活動を見たが、とてもうまいとは言えない連中だった。おそらく俺の方がうまいかも知れない。さらに4人の部員の結束力がまるで足りない。みんな自分ひとりでプレーしようとしている印象だった。おそらくこの依頼はただ勝利して廃部を逃れればいいという単純な話ではない。部員同士のチーム力を構築し、部が存続後もしっかりと部を運営できるようなチームにしてくれということなのだろう。先輩がいってた単純ではない、というのもおそらくはこれだ。ならばおれの役目は・・・・

~若松健は策を弄する~
~試合当日~
林「やぁ、君が助っ人の若松君だね、鳴和さんから話は聞いてる。おれは部長の林だ。今日はよろしく頼むよ。」
若松「こちらこそ・・」
林「まず自己紹介だね。右向かってから三宅、武田、菊沢だ。」
若松「よろしくっす・・今日の相手はどんなところなんですか?」
林「今日の相手は石川西高校だ。今大会のシード校で去年はベスト16まで進出している。」
絶望的だ。ノーシードの高校であればまだワンチャンスあったかもしれないのに、シードとは運の悪い・・
三宅「絶望的だなぁ、もう終わりだよ、ボロ負けで恥かくのがおちだ・・」
林「おい!!まだ試合も始まってないのに諦めるなよ!」
三宅「じゃあお前には勝てる見込みでもあるのかよ」
林「それは・・・」
林が言葉を返せていない。キャプテンがこんな状態ではダメだ。すでにチームには負のオーラが蔓延していた。これはおれの出番だ。
 若松「俺は見込みがあると思うぞ・・昨日考えてきた作戦がある。」
 三宅「素人の君にどんな作戦があるんだよ笑」
 林「若松くん・・・」
 若松「どうせ普通にやってもかなわないんだ、なら素人の作戦でも無いよりましじゃないか?」
三宅が気に食わない顔で俺を見る中、俺は作戦を話した。
 若松「ポジションだが、おれがガードをする」
 林「・・・本気か??ドリブルできるのか??」
 若松「まぁ何とかする・・・」
その言葉をきいて三宅は大笑いした。
 三宅「ぶっつはははは!!おまえガード出来んのかよ?俺はこれ以上恥はかきたくないから勝手にさせてもらうぜ」
三宅はそう言い残してアップに出かけて行った。
無理もない・・ガードはバスケにおいて攻撃の起点・・ガードはゲームを左右するポジションだ。それゆえ上手い奴じゃないと一点も取れないことだってありえる・・
 林「あいつはほっとけ・・ふむ・・案外いい案かも知れないな」
 若松「どうした?」
林「本来俺等4人ともはフォワード専門なんだ、つまりガード専門がいない・・4人ともフォワードで割り切って攻めたらいい勝負にもちこめるかも知れない」
武田「ただ問題は守備ですね・・」
若松「そこだが点の取り合いのシーソーゲームに持ちこむ。つまり俺らは点を取ったら相手の速攻が始まるわけだがその速攻を捨てる・・守備はおれが一人でする」
 林「僕らの体力をすべて攻撃に注ぐわけか・・」
 若松「そうだ。そして試合終わり際に一斉に全員で守備につく。そこで死守して逃げ切るんだ」
 林「悪くない作戦だ・・なんだかいけそうな気がしてきたぞ」
 三宅「聞いてればそんな作戦通用する訳無いだろ、猿でももっとまともな作戦考えるぞ笑」
いつの間にかアップをおえた三宅が話を聞いていた。たしかにこの作戦は賭けだ。勝率はかなり低い・・その時背後から聞き覚えのある声が聞こえた。
 鳴和「やっほー!どうだいみんなの士気はー??」
 若松「先輩・・・」
 三宅「こいつがサルよりもひどい作戦を考えていて呆れているところですよははは笑」
 鳴和「ふーーーん・・じゃあつまり作戦すら思いつかない君らは猿以下ってことだよね笑」
 部員一同「!?!?」
 鳴和「三宅くーん強がるのは良くないよ??むしろ弱く見えるから」
先輩の言葉に一同は凍りついた。
 鳴和「猿以下は猿に従いなさい」
三宅がきょとんとしている・・・何なんだこの先輩は・・・怖すぎにも程がある・・この人の言葉で何枚か桜散ったんじゃない?ってかおれ猿じゃないし・・・
 若松「あ・・あの千里浜は?」
 鳴和「あーーあの子はもう会場に入ってるよ?今回は校長も見に来てるから君らの誠意をみせてあげてね?」
 若松「了解しました・・」
先輩はそう言い残して会場に入っていった。試合まで一時間・・やるしかない・・正直久しぶりのスポーツで武者震いしている自分が居る・・
 林「どうせ恥をかくんだ・・有名になってやろうぜ三宅笑」
 三宅「絶対に恥はかきたくねぇ・・こうなりゃ勝つぞ」
 林「急に素直になったな笑」
 三宅「猿以下は勘弁だ・・」
どうやら三宅も少し受け入れてくれたそうだ。先輩のパワー強すぎ!・・あと怖すぎ・・
 僕らの即席チームはまるでラーメンのハリガネの硬さのごとく即席なチームに仕上がった。ラーメンはそのままだと硬いが、お湯かけて一分のハリガネはほどよく硬くて上手い。だからというわけではないが、この試合も上手くいきそうな気がする。もっとも麺の上にお湯をかけてくれたのは先輩という魔王であるが・・・
~一時間後~
 会場は意外と簡素としていた。無理もない。シード校と無名校だ。観客はうちの校長と鳴和先輩、千里浜、あと複数の先生方が来ていた。最後のバスケ部を見に来たのだろうか・・・。対する相手の高校は20名弱の応援団を構え、団旗を掲げる準備していた。なにそれめっちゃかっこいい・・・
 相手校「付属校のやつら今日負けたら廃部らしいよ・・・ヒソヒソ」
ちっつ。自分の部活動じゃなくても自分の高校disられるのは腹立つな・・。ふと視線を相手コートに向けると何やら相手校の顧問が話しているのが聞こえた。
 相手校顧問「おまえら噂に聞いてるかもだが今日の相手はうちに負けたら廃部という情報だが、一切手加減はいらない!相手に敬意を評して100点ゲームにしろ。手を抜くとこっちが悪者に見えるからな」
 相手校部員「はいっ!!!」
そう言って相手は円陣を組み始めた。
 林「随分な言われようだな・・」
 三宅「うわーーもう始まっちまうよ・・・」
なんだか俺も緊張してきた・・
 鳴和「なーに緊張してるの?」
 若松「うわっつ!いきなりなんですか!寿命縮まりましたよ・・」
 鳴和「君の目・・・負ける1チームの目には見えないなぁ。」
 若松「そ、そうですかね?」
 鳴和「なにか秘策でもあるの?」
 若松「先輩、なんでスポーツでは番狂わせが起こると思います?」
 鳴和「えっつ?」
 若松「格上の相手は極端に各下の相手と戦うと、思ってなくても無意識に油断が生じる。そこを突かれても奴らは気にしない・・なぜならこんな格下なんかに負けるわけないという、根拠のないプライドが生まれるからです。そして試合終了直前にようやく気づくんです。・・・俺たち負けるんじゃないかって・・」
 鳴和「つまり??」
 若松「番狂わせは奇跡でも何でもないんです。起こりうる必然ということ・・つまり・・この試合だって俺等は必然的に勝てるってことですよっ!!」
 部員と鳴和「!?!?」
 若松「じゃ先輩、僕らそろそろ行くんで・・」
 鳴和「・・・ええ。見せてもらうね♫」
部員全員の目の色が変わった。さぁショーの始まりだ。俺等は必然を信じてコートに入場した。ってかシューズ体育のシューズなんだけど超恥ずかしい・・・
 審判「それでは位置についてください!」
その合図とともに俺等は配置に着く。バスケはコート中央でのジャンプボールから始まる。俺等は一番背の高い林に任せた。
「ピーーーー!!」
笛の合図とともにジャンプボールが始まる。林は懸命にジャンプするが・・だめだ相手選手のジャンプ力が高すぎる!序盤はこちらからボールをとる予定だったがいきなり予定ミスだ・・・
 三宅「パシっ!!」
っとそのときいきなり三宅が相手のパスをカットした。っよし!
 若松「パスだ!まず俺にっ」
というまえに三宅は1人ドリブルで駆け上がって行ったチームの悪いところが出た。案の定三宅の前進ははとまり、無理にシュートを打ったが入るはずもなかった。だめだ!!当初の作戦をなんにも理解してない!
相手の速攻がはじまり、いきなりあっさり点を取られた・・・
 林「おい!若松に回す作戦だろ!」
 三宅「うるさい!勝手にさせてもらうっていっただろ!?」
 俺は武田からボールを受け、コート中央までゆっくりとボールを運んだ。相手校の一人を、さらりとかわし フェイントをひとついれて、ゴール下で待つ林にパスを回した。相手は不意を突かれたのか林は難なくシュートを決めて同点にした。それと同時に相手校の応援が「おーうう!」と漏らした。まるで俺らが点を取るのが奇跡かのように・・
 守備だが当初の予定どうり軽めにして体力を使わない作戦をとった。相手校はスリーポイントを狙ったが運良く外れ、おれがリバウンドをとった。
 相手校(あのガード思ったよりやるな・・さっきのパスカットといい並みの選手じゃないぞ・・)
 俺はまたゆっくりとボールを中央まで運んだ。さっきのドリブルを警戒してるのかあんまりおれにあったてこなくなった。俺はひとつフェイントをいれて林にパス・・ではなく完全にノーマクの菊沢にパスした。
 相手校(しまった!またこいつにパスを回すのかと!)
菊沢はスリーポイントラインからシュートを打ち見事にゴールした。これでいい。菊沢はドリブル力はないものの、遠距離攻撃は地味にうまい!今のシュートで中と外での相手の守備が緩んだ。相手は流れを変えようとゆっくりと時間をかけてボールを中央まで運んだだが甘い!。
 三宅「パシっ!!」
三宅の二度目のパスカットだ。こいつはおそらく一番バスケ部でドリブルと反射神経がいい。三宅はまたも自分勝手に前進したが予定済みだ。三宅はドリブルで一気にゴール下まで駆け上がり、綺麗なレイアップをきめた。
 千里浜「すご!!なんで今度は抜けたの!?」
 鳴和「若松くんの作戦だね」

 千里浜「え!」
 鳴和「内側と外側でシュートを決められて今度は中にいる林くんなのか?それとも遠距離の菊沢くんか・・はたまたガードの若松くんに回すのか、ってあれこれ考えていて気づいたら自分から切り込んできたから完全に裏をかかれたわね」
 千里浜「三宅くんすごいですね!」
 鳴和「いや・・すごいのは若松くんだね、三宅くんの自分勝手なところをあえて作戦に加えたんだね、おかげで相手は次は何をしてくるのか完璧に読めていないわ」
 千里浜「ふーーむ・・若松くん意外と策士なんですね笑」
 鳴和「勝っちゃうかもね♫・・この状態が保てたらだけど」
笛の音「ピーーーーーーーー!!!」
 審判「第一クオーター終了です。」
試合は第四クオーターまである。俺たちは相手の出鼻をくじき、なんと13対4で勝っている。しかし選手たちは一向に嬉しそうな顔をしていない・・・やはり体力が問題になってきたか。 林たちは今にも吐きそうな顔をしている。1クオーターたった十分だが無酸素運動は急激に体力を消耗していく。
 林「はぁ・・はぁ・・若松くん・・次はどうするんだい・・・・」
 若松「あぁ、策はある、おまえらちょっと集まれ・・ごにょごにょ」
~~~~~~~~
 校長「ふむ・・・善戦してるじゃないか・・このままいってもらいたいものだ」
 鳴和「あら♫校長先生は廃部になって欲しいんじゃないんですか?」
 校長「そんなわけあるまい・・私は高校時代バスケ部だったからな・・ただ国の委員会が費用削減であれこれ言ってくるんだよ、一回戦勝利を条件になんとかつなぎ止めたが・・」
 鳴和「今年度最初の依頼が校長先生だったとは思わなかったですよー!」
 校長「君に頼めばなんとかなりそうな気がしたからな」ほほ
 千里浜(頑張って若松っ!)
~~~~~~~~
その後第二クオーターが始まったが序盤から試合は動いた。
 相手校「!?全員ディフェンスだと!」
相手校はさっきまでイケイケに攻めていたスタンスから完全守備スタンスにかわった俺らに動揺していた。俺らがボールを持ったときは時が止まったようにゆっくりと攻めた。
千里浜「どっどうしたの!?急に攻めなくなったじゃん」
鳴和「・・なるほど」
千里浜「鳴和さんわかるんですか?」
鳴和「体力切れね・・おそらく彼らこの第二クオーターで一点も取る気はないわよ」
千里浜「徹底して守備ですか・・でも終盤ならともかく第二クオーターでやるのはいみあるんですかね?」
 鳴和「たしかに終盤にやるスタイルではないね・・なにを隠してるのかしら若松くん♫」
~~~~
相手校(ちっこいつらいがいと守備固いぞ)
相手校は守備の固さに驚いてるはず。それもそうだ。こっちは鼻から点を取る気などない。目的は守備だけだからな。林たちのチームはあれこれ考えるほどできたチームではないが、1つの仕事にのみしぼった作戦に全力を注げる奴らだ。そういうやつらの厄介さはおれがよく知っている。
 笛の音「ピーーー!!!!」
 審判「第二クオーター終了です」
今の時点で点差は16対13・・よくしのいでくれた・当初は引き分けまでの予定だったが、三宅のスリーポイントが一本が効いたな。
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 鳴和「問題はこの第三クオーターだね、ここをどう凌ぐのかしら若松くん♫」
 ~~~~~
若松「みんなさっきの作戦理解してるな?」
三宅「理解はしたがほんとにいいのか?」
若松「もちろんだ・・みんな頼むぞ」
気が付くと反抗的だった三宅は素直におれの考えを受け入れていた。みんなが一つにまとまりつつある。この第三が勝負だ!
~~~~~
 千里浜「ちょなんだかトイレしたくなってきちゃった・・鳴和さんすこし行ってきます。」
 鳴和「了解!しっかり千里浜ちゃんの分も見といてあげるね!」
 千里浜「おながいします・・・」
~~~~~女子トイレ~~~~~~
 千里浜(ふうううーー。いがいとかかちゃった・・きのう食べ過ぎたのかな?もう3クオーター終わる頃だよね?それにしてもトイレの十分とバスケの十分は全然時間感覚がちがうなぁ、でも若松なら勝てるよね!うん!大丈夫大丈夫!)
 会場の扉を開ける音「ガチャ」
 千里浜(えっ・・・・・・・・)
 審判「第三クオータ終了。18対32で西高校のリードです。」

~決着~
千里浜「うそ・・・・・」
 千里浜は席についても動揺を隠せずにいた。
 千里浜「なんで・・・」
 鳴和「・・実力の差がでたってことかしら・・彼らも必死で耐えていたんだけどね・・・」
 千里浜「このままじゃ負けちゃう・・・・」
 鳴和「でもおかしいわね・・点差がかなり開いてるのにあの子達全然悔しそうじゃない・・それどころか第二クオーターでは肩で息してたのが今じゃそこまで息は乱れていない。なにより若松くんが未だにシュート0ってのも気になるわね」
 千里浜「もう諦めたとか・・・」
 校長「・・・・・・・」
~~~~~~ 
 笛の音「ピーーーーーー!!」
最後のクオーターと同時に試合は再開された。
 相手ジャンプボーラー(なんだ、結局大したことなかったな・・体力が付けば驚異的なチームだったろうに・・この林ってやつはもうジャンプはもうほとんどできねぇ、軽くでいいだろう)
ボールが上がる音「ふわっ」
 林「バシ!!!!」
 相手校ジャンプボーラー「なに!?!?こいつぜんぜんジャンプ力がおちてねぇ!」
狙い通り!
 若松「パスだ!!」
俺はすかさず林からパスを受けた。
 林(見せてもらうよ・・君の実力)
 相手校(ガードのコイツか・・厄介だがこいつには決定力はない、ほかの4人をマークすればヘトヘトのこのチームはもう点はとれない!ってえっつ!?!?早い!?)
 俺はパスを受けドリブルでひらりひらりと三人かわし、ゴール下で渾身の力でジャンプした。
 三宅「まさかあいつ!?」
「ドゴオォォォォォォン!!!」
林「ダ・ダンクだと・・・」
相手校「・・・・・うそだろ・・あいつあの身長で・・どんな跳躍力だよ・・・」
相手校キャプテン「いやそれもだが付属のポジション見てみろ」
相手校「なっつ!!4人ともディフェンス・・・だと」
相手校キャプテン「つまりこの4クオーターはあいつひとりで点を取るってことだ・・」
相手校「くっつ!なめやがって」
相手校キャプテン(しかしあのガードやばいぞ・・県内でもあんな跳躍力のやつはいないぞ・・何者なんだ)
~~~~~~
鳴和「なるほど・・・それが狙いね・・」
千里浜(若松かっこいーーーーーー!!!)
千里浜「あれっつ?なんで序盤で本気でしなかったんだろう?」
鳴和「彼のバスケスキルは相当に高いわ。でも所詮は偽物・・おそらく遊びのなかでみについたバスケなんだろうね。序盤からそれを出すとさすがにシード校もあって必ず後半に攻略してくる・・偽物と本物の違いを知っている彼だからこそできる作戦ね」クス
千里浜「でっでもこのあと攻略されたら・・・・」
鳴和「大丈夫だよ千里浜ちゃん!」
千里浜「えっ」
鳴和「彼らじゃ、あのバスケは十分では攻略できないから・・・」
~~~~~~~
 俺は次々に得点を重ねた。守りが始めから4人の守備は相当固く、相手は追われる側のプレッシャーからかほとんどシュートが入らなくなっていた。
 相手校「クソっ!三人でガードをマークしろ!」
その指示と同時におれに相手選手が3人がかりできた。 
~~~~~~ 
 千里浜「ちょっ!ずるいよあんなの!!!」
 鳴和「大丈夫だよ♫彼は別にひとりでバスケはしてないから」
~~~~~~~
三宅「パスだ!!!」
おれは向かってくる三宅にパスを回した。体力を温存した三宅のドリブルのキレは凄まじくあっという間にレイアップシュートをきめた。
その後もおれが起点に菊沢、林にパスを回し、点を量産した。そう、まるで序盤のような攻撃のスタンスだ。相手は無理なシュートを打ち続けるなど完全に総崩れを起こしていた。
この依頼はただ勝てばいいわけではない。チームが一つになって、部として自立させるのが趣旨である。相手が総崩れしたいま、ひとつになった俺らを止められる術はなかった。相手校の最大の汚点は、自分らが「一番下のシード」だってことを忘れていたからだ。シード校ゆえに己らが強豪と思ってしまう。ノーシードなんかに負けるわけないと、たかをくくっていたのが欠点だ。
本当に怖いのは情報のあるシード校よりも情報のないノーシードの無名校であることを忘れてはならない。
笛の音「ピピーーーーーー!!!」
審判「試合終了!52対40で石川付属高校の勝利です!」
一同「ありがとうございました!!」
俺等は勝った。上を向くと天井のライトがまるで太陽のように眩しく見え、手のひらをライトに重ね合わせ、ぐっと握りこぶしを作った。いつぶりだろうか・・両手の拳を天に突き上げたのは・・・・・。

~~~~第2章へ続く~~~~~

天に向けて拳を創る

この章ははまだ1章で、2章目を書いている最中です。若松は無事一つ目の依頼を達成しましたね。ただこの物語は恋愛ものなのでこのあとの章で多くのラブコメが展開されます。若松はスポーツを通してどのように恋愛と関わっていくのか・・期待していてください。(何を偉そうに言ってるのだ私は笑)

天に向けて拳を創る

元テニスJr世界チャンピオンの若松健は母を病で亡くした罪悪感からテニスを捨てて、普通の高校生の道を歩き始める。担任からなかば無理やり入部させられた奉仕部で2人の美女と出会う。大学推薦を得るために張り切る若松だったが、最初の依頼はバスケ部の1回戦勝利・・しかも相手はシード校・・部員は4名・・・できなければバスケ部は廃部という無理難題の依頼であった!!

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更新日
登録日
2016-12-26

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