消せない過去と心身分離

消せない過去と心身分離

ただ必要とされたくて
ただ求めていてほしくて
紡ぐコトバは嘘を並べて
淡い嬌声を響かせて

湯船でひとり蹲って後悔する
『もう最後、
これでおしまい』
何度も何度も繰り返し
痛む傷に指を這わせる

本当に伝えたいコトバは
身体の奥深くにしまいこんで
思ってもないコトバを吐いて
出し切ってからいつも気付く
『また【ひとり】から目を背けてしまった』と

誰でもいいから愛してほしくて
誰でもいいから温もりがほしくて
手にした甘い蜜を零して溶かして
そしてまた、後悔する

隣にある温もりが
嘘偽りだと知っていても尚
求めてしまう己の弱さに
惨めに【アイ】を乞う己の醜さに
何度も吐き気を催して

ただ無条件に与えられる愛が
怖くて苦しくて
己にそこまでの価値などないと
己の存在価値などどこにもないと
発して聴いて、実感する

そして気付く

『今更もう、手遅れなんだ』と

消せない過去と心身分離

アイをください

ありがとうございました。

消せない過去と心身分離

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-12-25

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